現在お使いのブラウザのバージョンでは、本サービスの機能をご利用いただけない可能性があります
バージョンアップを試すか、Google ChromeやMozilla Firefoxなどの最新ブラウザをお試しください
民法 銀行が相続財産である預金債権の全額を共同相続人の一部に払い戻した場合についての「損失」(703条) 最二小判平成17年7月11日
概要
相続財産である預金債権について、一部の共同相続人が銀行から、他の共同相続人の法定相続分相当額の預金についてもこれを受領する権限がなかったにもかかわらず払戻しを受け、当該払戻しが478条の要件を満たす弁済に当たるという事情もない場合においては、銀行は、当該払戻しをした時点において、当該他の共同相続人の法定相続分相当額の金員について、当該払戻しを受けた相続人らに対する不当利得返還請求権を取得する。
判例
事案:相続財産である預金債権について、一部の共同相続人が銀行から、他の共同相続人の法定相続分相当額の預金についてもこれを受領する権限がなかったにもかかわらず払戻しを受け、当該払戻しが478条の要件を満たす弁済に当たるという事情もない場合において、銀行が、当該払戻しをした時点において、当該他の共同相続人の法定相続分相当額の金員について、当該払戻しを受けた相続人らに対する不当利得返還請求権を取得するかが問題となった。
判旨:「Aらは、本件預金のうちCの法定相続分相当額の預金については、これを受領する権限がなかったにもかかわらず、払戻しを受けたものであり、また、この払戻しが債権の準占有者に対する弁済に当たるということもできないというのである。そうすると、本件払戻しのうちCの法定相続分相当額の預金の払戻しは弁済としての効力がなく、Cは、本件預金債権のうち自己の法定相続分に相当する預金債権を失わないことになる。したがって、Aは、本件払戻しをしたことにより、本件預金のうちCの法定相続分に相当する金員の損失を被ったことは明らかである。そして、本件払戻しによりAらがCの法定相続分に相当する金員を利得したこと、Aらの利得については法律上の原因が存在しないこともまた明らかである。したがって、Bは、Aらに対し、本件払戻しをした時点において、本件預金のうち己の法定相続分に相当する金員について、Aらに対する不当利得返還請求権を取得したものというべきである。」
判旨:「Aらは、本件預金のうちCの法定相続分相当額の預金については、これを受領する権限がなかったにもかかわらず、払戻しを受けたものであり、また、この払戻しが債権の準占有者に対する弁済に当たるということもできないというのである。そうすると、本件払戻しのうちCの法定相続分相当額の預金の払戻しは弁済としての効力がなく、Cは、本件預金債権のうち自己の法定相続分に相当する預金債権を失わないことになる。したがって、Aは、本件払戻しをしたことにより、本件預金のうちCの法定相続分に相当する金員の損失を被ったことは明らかである。そして、本件払戻しによりAらがCの法定相続分に相当する金員を利得したこと、Aらの利得については法律上の原因が存在しないこともまた明らかである。したがって、Bは、Aらに対し、本件払戻しをした時点において、本件預金のうち己の法定相続分に相当する金員について、Aらに対する不当利得返還請求権を取得したものというべきである。」
過去問・解説
(H26 司法 第28問 イ)
A銀行は、Bに帰属している預金を誤ってC及びDに払い戻したものの、その払戻しについて過失があった場合、その預金について、Bへの払戻しをしていないときでも、C及びDに対し、支払った金員の返還を請求することができる。
A銀行は、Bに帰属している預金を誤ってC及びDに払い戻したものの、その払戻しについて過失があった場合、その預金について、Bへの払戻しをしていないときでも、C及びDに対し、支払った金員の返還を請求することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平17.7.11)は、相続財産である預金債権について、一部の共同相続人が銀行から、他の共同相続人の法定相続分相当額の預金についてもこれを受領する権限がなかったにもかかわらず払戻しを受け、当該払戻しが478条の要件を満たす弁済に当たるという事情もない場合においては、銀行は、当該払戻しをした時点において、当該他の共同相続人の法定相続分相当額の金員について、当該払戻しを受けた相続人らに対する不当利得返還請求権を取得する旨判示している。したがって、A銀行は、Bに帰属している預金を誤ってC及びDに払い戻したものの、その払戻しについて過失があった場合、C及びDは当該預金の払い戻しを受ける権限がなかったにもかかわらず払い戻しを受けており、当該払戻しが478条の要件を満たす弁済に当たるという事情もない場合に当たるから、その預金について、Bへの払戻しをしていないときでも、C及びDに対し、不当利得返還請求により、支払った金員の返還を請求することができる。
判例(最判平17.7.11)は、相続財産である預金債権について、一部の共同相続人が銀行から、他の共同相続人の法定相続分相当額の預金についてもこれを受領する権限がなかったにもかかわらず払戻しを受け、当該払戻しが478条の要件を満たす弁済に当たるという事情もない場合においては、銀行は、当該払戻しをした時点において、当該他の共同相続人の法定相続分相当額の金員について、当該払戻しを受けた相続人らに対する不当利得返還請求権を取得する旨判示している。したがって、A銀行は、Bに帰属している預金を誤ってC及びDに払い戻したものの、その払戻しについて過失があった場合、C及びDは当該預金の払い戻しを受ける権限がなかったにもかかわらず払い戻しを受けており、当該払戻しが478条の要件を満たす弁済に当たるという事情もない場合に当たるから、その預金について、Bへの払戻しをしていないときでも、C及びDに対し、不当利得返還請求により、支払った金員の返還を請求することができる。