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民法 統制額を超える賃料債権の支払いと705条適用の成否 最二小判昭和35年5月6日
概要
705条にいう「債務の弁済」は、給付が任意になされたものであることを要するから、家屋の賃料が地代家賃統制令による統制額を超えるものであることを知りながら、将来の債務不履行による責任を問われることをおそれ、賃借人が「後日超過部分については、返還請求をなすべき」旨を特に留保して、やむをえず賃貸人の請求する金額の支払いをした場合、同条は適用されず、賃借人は、賃貸人に対して支払った金額の不当利得返還請求をすることができる。
判例
事案:家屋の賃料が地代家賃統制令による統制額を超えるものであることを知りながら、将来の債務不履行による責任を問われることをおそれ、賃借人が「後日超過部分については、返還請求をなすべき」旨を特に留保して、やむをえず約定賃料の支払いをした場合において、当該支払いが705条にいう「債務の弁済」に当たるかが問題となった。
判旨:「昭和24年10月1日から昭和25年7月31日までの賃料については、被上告人は約定賃料額の請求を拒否して来たが、昭和25年7月にいたり上告人から内容証明郵便による支払の催告をうけたので、その統制額を超えるものであることを熟知しながらも、将来の債務不履行による責を問われることあるべきをおそれ、「後日超過部分については、返還請求をなすべき」旨を特に留保して、やむをえず上告人の請求する金額を支払つた事実…関係によれば、本件においては、民法705条はその適用を見ないものと認めるのが相当である。けだし、同条にいう「債務ノ弁済」は、給付が任意になされたものであることを要するところ(大正6年12月11日大審院民事判決録23輯2075頁参照)、被上告人は後日の返還請求を留保し、やむをえず弁済をしたものであつて、右給付は任意になされたものということはできないからである。
判旨:「昭和24年10月1日から昭和25年7月31日までの賃料については、被上告人は約定賃料額の請求を拒否して来たが、昭和25年7月にいたり上告人から内容証明郵便による支払の催告をうけたので、その統制額を超えるものであることを熟知しながらも、将来の債務不履行による責を問われることあるべきをおそれ、「後日超過部分については、返還請求をなすべき」旨を特に留保して、やむをえず上告人の請求する金額を支払つた事実…関係によれば、本件においては、民法705条はその適用を見ないものと認めるのが相当である。けだし、同条にいう「債務ノ弁済」は、給付が任意になされたものであることを要するところ(大正6年12月11日大審院民事判決録23輯2075頁参照)、被上告人は後日の返還請求を留保し、やむをえず弁済をしたものであつて、右給付は任意になされたものということはできないからである。
過去問・解説
(H26 司法 第28問 ア)
Aが公正証書を債務名義としてBの財産に強制執行をしようとしている場合、Bは、その強制執行に係る債務を既に弁済したことを知りつつ、後日返還を請求する旨を留保して、強制執行を避けるためやむを得ずAに債務の弁済として金員を支払ったときは、Aに対し、その金員の返還を請求することはできない。
Aが公正証書を債務名義としてBの財産に強制執行をしようとしている場合、Bは、その強制執行に係る債務を既に弁済したことを知りつつ、後日返還を請求する旨を留保して、強制執行を避けるためやむを得ずAに債務の弁済として金員を支払ったときは、Aに対し、その金員の返還を請求することはできない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭35.5.6)は、家屋の賃料が地代家賃統制令による統制額を超えるものであることを知りながら、将来の債務不履行による責任を問われることをおそれ、賃借人が「後日超過部分については、返還請求をなすべき」旨を特に留保して、やむをえず賃貸人の請求する金額の支払いをしたという事案において、705条にいう「債務の弁済」は、給付が任意になされたものであることを要するから、同条は適用されない旨判示している。そして、同条は、「債務の弁済として給付をした者は、その時において債務の存在しないことを知っていたときは、その給付したものの返還を請求することができない。」と規定している。
本肢においても、Bは、その強制執行に係る債務を既に弁済したことを知りつつ、後日返還を請求する旨を留保して、強制執行を避けるためやむを得ずAに債務の弁済として金員を支払ったのであるから、当該支払いは任意にされたものとはいえず、705条は適用されない。よって、Bは、Aに対し、その金員の返還を請求することができる。
判例(最判昭35.5.6)は、家屋の賃料が地代家賃統制令による統制額を超えるものであることを知りながら、将来の債務不履行による責任を問われることをおそれ、賃借人が「後日超過部分については、返還請求をなすべき」旨を特に留保して、やむをえず賃貸人の請求する金額の支払いをしたという事案において、705条にいう「債務の弁済」は、給付が任意になされたものであることを要するから、同条は適用されない旨判示している。そして、同条は、「債務の弁済として給付をした者は、その時において債務の存在しないことを知っていたときは、その給付したものの返還を請求することができない。」と規定している。
本肢においても、Bは、その強制執行に係る債務を既に弁済したことを知りつつ、後日返還を請求する旨を留保して、強制執行を避けるためやむを得ずAに債務の弁済として金員を支払ったのであるから、当該支払いは任意にされたものとはいえず、705条は適用されない。よって、Bは、Aに対し、その金員の返還を請求することができる。