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民法 親権者と子の利益相反行為の判断基準 最三小判昭和37年10月2日
概要
親権者が子を代理してした法律行為が利益相反行為(826条)に当たるかを判断する場合においては、親権者が子を代理してした行為自体を外形的客観的に考察して判断するべきであり、代理行為を行うについての親権者の動機や意図をもって判断するべきではない。
判例
事案:親権者が子を代理してなした行為が利益相反行為(826条)に当たるかを判断する場合において、いかなる基準で判断するべきかが問題となった。
判旨:「親権者が子の法定代理人として、子の名において金員を借受け、その債務につき子の所有不動産の上に抵当権を設定することは、仮に借受金を親権者自身の用途に充当する意図であつても、かかる意図のあることのみでは、民法826条所定の利益相反する行為とはいえないから、子に対して有効であり、これに反し、親権者自身が金員を借受けるに当り、右債務につき子の所有不動産の上に抵当権を設定することは、仮に右借受金を子の養育費に充当する意図であつたとしても、同法条所定の利益相反する行為に当るから、子に対しては無効であると解すべきである。」
判旨:「親権者が子の法定代理人として、子の名において金員を借受け、その債務につき子の所有不動産の上に抵当権を設定することは、仮に借受金を親権者自身の用途に充当する意図であつても、かかる意図のあることのみでは、民法826条所定の利益相反する行為とはいえないから、子に対して有効であり、これに反し、親権者自身が金員を借受けるに当り、右債務につき子の所有不動産の上に抵当権を設定することは、仮に右借受金を子の養育費に充当する意図であつたとしても、同法条所定の利益相反する行為に当るから、子に対しては無効であると解すべきである。」
過去問・解説
(H19 司法 第2問 3)
親権者が未成年の子を代理して子の所有する不動産を第三者の債務の担保に供する行為は、親権者による利益相反行為に当たる。
親権者が未成年の子を代理して子の所有する不動産を第三者の債務の担保に供する行為は、親権者による利益相反行為に当たる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭37.10.2)は、親権者が子を代理してした法律行為が利益相反行為(826条)に当たるかを判断する場合においては、親権者が子を代理してした行為自体を外形的客観的に考察して判断するべきであり、代理行為を行うについての親権者の動機や意図をもって判断するべきではない旨判示している。
本肢においては、親権者が未成年の子を代理して子の所有する不動産を第三者の債務の担保に供する行為を外形的客観的に見ると、当該行為により不利益を受けるのが子であるのに対して、当該行為により利益を得るのが債務者たる第三者であるから、親権者と子の利益が相反する行為には当たらない。したがって、親権者による利益相反行為に当たらない。
判例(最判昭37.10.2)は、親権者が子を代理してした法律行為が利益相反行為(826条)に当たるかを判断する場合においては、親権者が子を代理してした行為自体を外形的客観的に考察して判断するべきであり、代理行為を行うについての親権者の動機や意図をもって判断するべきではない旨判示している。
本肢においては、親権者が未成年の子を代理して子の所有する不動産を第三者の債務の担保に供する行為を外形的客観的に見ると、当該行為により不利益を受けるのが子であるのに対して、当該行為により利益を得るのが債務者たる第三者であるから、親権者と子の利益が相反する行為には当たらない。したがって、親権者による利益相反行為に当たらない。
(H24 司法 第5問 2)
判例によれば、Aの親権者Bは、Cから金銭を借り入れるに当たり、Aを代理してA所有の不動産にCのBに対する債権を担保するために抵当権を設定することはできないし、その設定行為を追認することもできない。
判例によれば、Aの親権者Bは、Cから金銭を借り入れるに当たり、Aを代理してA所有の不動産にCのBに対する債権を担保するために抵当権を設定することはできないし、その設定行為を追認することもできない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭37.10.2)は、本肢と同種の事案において、「親権者自身が金員を借受けるに当り、右債務につき子の所有不動産の上に抵当権を設定することは、仮に右借受金を子の養育費に充当する意図であつたとしても、同法条所定の利益相反する行為に当るから、子に対しては無効であると解すべきである。」と判示している。したがって、本肢前段は正しい。
また、判例(最判昭46.4.20)は、「親権者が民法826条に違反して、親権者と子の利益相反行為につき法定代理人としてなした行為は民法113条所定の無権代理行為にあたる…。」と判示している。そして、113条1項は、「代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。」と規定しており、無権代理行為を、無権代理人自身が追認をすることは認められないと解される。したがって、Aの親権者Bが、Cから金銭を借り入れるに当たり、Aを代理してA所有の不動産にCのBに対する債権を担保するために抵当権を設定した場合、当該設定行為は利益相反行為として無権代理行為に当たり、B自らその設定行為を追認することはできない。よって、本肢後段も正しい。
判例(最判昭37.10.2)は、本肢と同種の事案において、「親権者自身が金員を借受けるに当り、右債務につき子の所有不動産の上に抵当権を設定することは、仮に右借受金を子の養育費に充当する意図であつたとしても、同法条所定の利益相反する行為に当るから、子に対しては無効であると解すべきである。」と判示している。したがって、本肢前段は正しい。
また、判例(最判昭46.4.20)は、「親権者が民法826条に違反して、親権者と子の利益相反行為につき法定代理人としてなした行為は民法113条所定の無権代理行為にあたる…。」と判示している。そして、113条1項は、「代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。」と規定しており、無権代理行為を、無権代理人自身が追認をすることは認められないと解される。したがって、Aの親権者Bが、Cから金銭を借り入れるに当たり、Aを代理してA所有の不動産にCのBに対する債権を担保するために抵当権を設定した場合、当該設定行為は利益相反行為として無権代理行為に当たり、B自らその設定行為を追認することはできない。よって、本肢後段も正しい。
(R2 司法 第31問 エ)
親権者がその子の名義で金銭を借り受け、その子が所有する不動産に抵当権を設定する場合であっても、親権者がその金銭を自らの用途に供する意図を有していたときには、利益相反行為に当たる。
親権者がその子の名義で金銭を借り受け、その子が所有する不動産に抵当権を設定する場合であっても、親権者がその金銭を自らの用途に供する意図を有していたときには、利益相反行為に当たる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭37.10.2)は、「親権者が子の法定代理人として、子の名において金員を借受け、その債務につき子の所有不動産の上に抵当権を設定することは、仮に借受金を親権者自身の用途に充当する意図であつても、かかる意図のあることのみでは、民法826条所定の利益相反する行為とはいえないから、子に対して有効であ…ると解すべきである。」と判示している。
判例(最判昭37.10.2)は、「親権者が子の法定代理人として、子の名において金員を借受け、その債務につき子の所有不動産の上に抵当権を設定することは、仮に借受金を親権者自身の用途に充当する意図であつても、かかる意図のあることのみでは、民法826条所定の利益相反する行為とはいえないから、子に対して有効であ…ると解すべきである。」と判示している。