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民事執行法
第59条
条文
① 不動産の上に存する先取特権、使用及び収益をしない旨の定めのある質権並びに抵当権は、売却により消滅する。
② 前項の規定により消滅する権利を有する者、差押債権者又は仮差押債権者に対抗することができない不動産に係る権利の取得は、売却によりその効力を失う。
③ 不動産に係る差押え、仮差押えの執行及び第1項の規定により消滅する権利を有する者、差押債権者又は仮差押債権者に対抗することができない仮処分の執行は、売却によりその効力を失う。
④ 不動産の上に存する留置権並びに使用及び収益をしない旨の定めのない質権で第2項の規定の適用がないものについては、買受人は、これらによって担保される債権を弁済する責めに任ずる。
⑤ 利害関係を有する者が次条第1項に規定する売却基準価額が定められる時までに第1項、第2項又は前項の規定と異なる合意をした旨の届出をしたときは、売却による不動産の上の権利の変動は、その合意に従う。
過去問・解説
(R2 共通 第12問 ウ)
Aの一般債権者が甲につき強制競売の申立てをし、当該強制競売手続において甲が売却されたときは、Bの抵当権は消滅する。
(正答) 〇
(解説)
民事執行法59条1項は、「不動産の上に存する先取特権、使用及び収益をしない旨の定めのある質権並びに抵当権は、売却により消滅する。」と規定しており、これを消除主義という。
したがって、Aの一般債権者が甲につき強制競売の申立てをし、当該強制競売手続において甲が売却されたときは、Bの抵当権は消滅する。
(R6 司法 第16問 イ)
債務者が所有する甲土地に第一順位及び第二順位の抵当権が設定された場合において、第二順位の抵当権の実行として甲土地の競売がされたときは、第一順位の抵当権は、消滅する。
(正答) 〇
(解説)
民事執行法59条1項は、「不動産の上に存する先取特権、使用及び収益をしない旨の定めのある質権並びに抵当権は、売却により消滅する。」と規定しており、これを消除主義という。
したがって、債務者が所有する甲土地に第一順位及び第二順位の抵当権が設定された場合において、第二順位の抵当権の実行として甲土地の競売がされたときは、第一順位の抵当権は、消滅する。
第79条
条文
買受人は、代金を納付した時に不動産を取得する。
過去問・解説
(H23 共通 第15問 ア)
Aが所有する土地について、Bを抵当権者とする抵当権が設定され、その登記がされていた。Bが抵当権を実行しCが買受人としてこの土地の所有権を取得した場合、CはAに対してこの土地について所有権に基づいて引渡しを請求することができる。
(正答) 〇
(解説)
民事執行法79条は、「買受人は、代金を納付した時に不動産を取得する。」と定めている。したがって、Bが抵当権を実行しCが買受人としてこの土地の所有権を取得した場合、CはAに対してこの土地について所有権に基づいて引渡しを請求することができる。
第145条
条文
① 執行裁判所は、差押命令において、債務者に対し債権の取立てその他の処分を禁止し、かつ、第三債務者に対し債務者への弁済を禁止しなければならない。
② 差押命令は、債務者及び第三債務者を審尋しないで発する。
③ 差押命令は、債務者及び第三債務者に送達しなければならない。
④ 裁判所書記官は、差押命令を送達するに際し、債務者に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、第153条第1項又は第2項の規定による当該差押命令の取消しの申立てをすることができる旨その他最高裁判所規則で定める事項を教示しなければならない。
⑤ 差押えの効力は、差押命令が第三債務者に送達された時に生ずる。
⑥ 差押命令の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
⑦ 執行裁判所は、債務者に対する差押命令の送達をすることができない場合には、差押債権者に対し、相当の期間を定め、その期間内に債務者の住所、居所その他差押命令の送達をすべき場所の申出(第20条において準用する民事訴訟法第110条第1項各号に掲げる場合にあっては、公示送達の申立て。次項において同じ。)をすべきことを命ずることができる。
⑧ 執行裁判所は、前項の申出を命じた場合において、差押債権者が同項の申出をしないときは、差押命令を取り消すことができる。
過去問・解説
(H21 司法 第22問 2)
債権が差し押さえられた場合、債務者は、差し押さえられた債権を自働債権とし、第三債務者が債務者に対して有する債権を受働債権として、相殺をすることができる。
(正答) ✕
(解説)
民事執行法145条1項は、「執行裁判所は、差押命令において、債務者に対し債権の取立てその他の処分を禁止し、かつ、第三債務者に対し債務者への弁済を禁止しなければならない。」と規定しているところ、相殺も「差権の…処分」として禁止される。したがって、債権が差し押さえられた場合、債務者は、差し押さえられた債権を自働債権とし、第三債務者が債務者に対して有する債権を受働債権として、相殺をすることができない。
第169条
条文
① 第168条第1項に規定する動産以外の動産(有価証券を含む。)の引渡しの強制執行は、執行官が債務者からこれを取り上げて債権者に引き渡す方法により行う。
② 第122条第2項、第123条第2項及び第168条第5項から第8項までの規定は、前項の強制執行について準用する。
過去問・解説
(R8 司法 第19問 ア)
大麦200キログラムの買主が、目的物の引渡しを命ずる債務名義を得たときであっても、売主に対し、その履行を代替執行の方法により強制することはできない。
(正答)〇
(解説)
民事執行法169条1項は、「動産…の引渡しの強制執行は、執行官が債務者からこれを取り上げて債権者に引き渡す方法により行う。」と規定している。他方で、代替執行について定める民事執行法171条1項1号は、「作為を目的とする債務についての強制執行」について、代替執行による旨を規定している。
本肢の事例では、大麦200キログラムの引渡債務は、民事執行法169条1項による動産引渡しの直接強制の対象であり、民事執行法171条1項1号による代替執行の対象とはならない。
したがって、買主が目的物の引渡しを命ずる債務名義を得た場合であっても、売主に対し、その履行を代替執行の方法により強制することはできない。
第172条
条文
① 作為又は不作為を目的とする債務で前条第1項の強制執行ができないものについての強制執行は、執行裁判所が、債務者に対し、遅延の期間に応じ、又は相当と認める一定の期間内に履行しないときは直ちに、債務の履行を確保するために相当と認める一定の額の金銭を債権者に支払うべき旨を命ずる方法により行う。
② 事情の変更があつたときは、執行裁判所は、申立てにより、前項の規定による決定を変更することができる。
③ 執行裁判所は、前二項の規定による決定をする場合には、申立ての相手方を審尋しなければならない。
④ 第1項の規定により命じられた金銭の支払があつた場合において、債務不履行により生じた損害の額が支払額を超えるときは、債権者は、その超える額について損害賠償の請求をすることを妨げられない。
⑤ 第1項の強制執行の申立て又は第2項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
⑥ 前条第2項の規定は、第1項の執行裁判所について準用する。
過去問・解説
(R8 司法 第19問 エ)
土地の買主が、売主に対し、当該土地の所有権移転登記手続を命ずる債務名義を得たときは、その履行を間接強制の方法により強制することができる。
(正答)✕
(解説)
民事執行法172条1項は、「作為又は不作為を目的とする債務で前条第1項の強制執行ができないものについての強制執行」について、間接強制の方法によることができる旨規定している。他方で、民事執行法177条1項本文は、「意思表示をすべきことを債務者に命ずる判決その他の裁判が確定し…たときは、債務者は、その確定又は成立の時に意思表示をしたものとみなす。」と規定している。そして、所有権移転登記手続を命ずる判決については、民事執行法177条1項本文により、判決の確定時に、登記申請に必要な意思表示をしたものとみなされる。
したがって、土地の買主が、売主に対し、当該土地の所有権移転登記手続を命ずる債務名義を得たときであっても、その履行を間接強制の方法により強制することはできない。
第188条
条文
第44条の規定は不動産担保権の実行について、前章第2節第1款第2目(第81条を除く。)の規定は担保不動産競売について、同款第3目の規定は担保不動産収益執行について準用する。
過去問・解説
(H25 共通 第15問 3)
債務者が所有する同一の不動産について、第1順位の抵当権と第2順位の抵当権が設定され、それぞれその旨の登記がされている場合、第1順位の抵当権の実行としての競売の結果、第1順位の抵当権者のみが配当を受けたときは、第2順位の抵当権は消滅しない。
(正答) ✕
(解説)
民事執行法59条1項は、「不動産の上に存する先取特権、使用及び収益をしない旨の定めのある質権並びに抵当権は、売却により消滅する。」と規定しており、同条は「担保不動産競売」について準用される(同法188条)。
したがって、債務者が所有する同一の不動産について、第1順位の抵当権と第2順位の抵当権が設定され、それぞれその旨の登記がされている場合、第1順位の抵当権の実行としての競売の結果、第1順位の抵当権者のみが配当を受けたときは、第2順位の抵当権は消滅する。
第195条
条文
留置権による競売及び民法、商法その他の法律の規定による換価のための競売については、担保権の実行としての競売の例による。
過去問・解説
(H24 司法 第14問 エ)
抵当権は、債権の弁済がないときに目的物を換価して優先弁済を受ける権利であるから、抵当権者は、目的物の競売を申し立てることができるが、留置権は、債権の弁済を受けるまで目的物を留置する権利にすぎないから、留置権者は、目的物の競売を申し立てることはできない。
(正答) ✕
(解説)
民事執行法180条1号は、不動産担保権の実行の方法として「担保不動産競売」を認めている。また、民事執行法195条は、「留置権による競売及び民法、商法その他の法律の規定による換価のための競売については、担保権の実行としての競売の例による。」と規定しているから、留置権者も目的物の競売を申し立てることができる(これを「形式競売」という。)。
(H28 共通 第11問 4)
留置権者及び抵当権者は、いずれも目的物の競売を申し立てることができる。
(正答) 〇
(解説)
民事執行法180条1号は、不動産担保権の実行の方法として「担保不動産競売」を認めている。また、民事執行法195条は、「留置権による競売及び民法、商法その他の法律の規定による換価のための競売については、担保権の実行としての競売の例による。」と規定しているから、留置権者も目的物の競売を申し立てることができる(これを「形式競売」という。)。
(R1 共通 第12問 エ)
留置権者は、留置権に基づき、目的物の競売を申し立てることはできない。
(正答) ✕
(解説)
民事執行法195条は、「留置権による競売及び民法、商法その他の法律の規定による換価のための競売については、担保権の実行としての競売の例による。」と規定しているから、留置権者も目的物の競売を申し立てることができる(これを「形式競売」という。)。