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保証債務 - 解答モード

条文
第446条(保証人の責任等)
① 保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。
② 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。
③ 保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。
過去問・解説

(H18 司法 第28問 1)
連帯保証契約は書面によらなければ効力を生じないが、単純保証契約であれば書面によらなくても効力を生じる。

(正答)  

(解説)
446条2項は、単純保証契約と連帯保証契約を区別することなく、「保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。」と規定して、要式性を要求している。


(H20 司法 第18問 ア)
保証契約は、書面でしなければ効力を生ぜず、電磁的記録によってされたときは、書面によってされたものとみなされる。

(正答)  

(解説)
446条は、2項において「保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。」と規定した上で、3項において「保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。」と規定している。


(H21 司法 第24問 オ)
保証人は、書面によらない保証契約を解除することができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。

(正答)  

(解説)
550条は、「書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。」として、書面によらない贈与の解除について規定している。
これに対し、446条2項は、「保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。」と規定しており、書面によらない保証契約は効力を生じないから、これを解除する余地はない。


(R1 共通 第17問 ア)
保証契約は、書面又はその内容を記録した電磁的記録によってされなければ、その効力を生じない。

(正答)  

(解説)
446条は、2項において「保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。」と規定した上で、3項において「保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。」と規定している。


(R3 司法 第37問 イ)
保証契約は、その合意が電子メールを相互に送受信する方法によってされた場合には、書面が作成されていなくてもその効力を生じる。

(正答)  

(解説)
446条は、2項において「保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。」と規定した上で、3項において「保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。」と規定している。ここでいう「電磁的記録」とは、「電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるもの」をいう(151条4項)。内田貴「民法Ⅲ 債権総論・担保物権」第4版404頁には、「電子データで書面要件が満たされることの趣旨からすれば、口頭で成立した保証契約の記録を債権者が自分のディスクに保存するのでは足りず、合意の成立に必要な保証人の意思表示そのものが電子データに表示されることが必要と解すべきである。たとえば、保証契約書の電子データに保証人が自分の氏名を入力し、インターネット経由で債権者に送れば、書面要件を満たしたことになる(当事者が法人であれば有用であろう)。」とある。
したがって、保証契約は、その合意が電子メールを相互に送受信する方法によってされた場合には、「保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたとき」に当たるから、書面が作成されていなくてもその効力を生じる。


(R4 司法 第19問 エ)
債権者から保証債務の履行請求を受けた保証人が、債権者に対して有する自己の債権をもって相殺を援用したときは、主たる債務は対当額において消滅する。

(正答)  

(解説)
446条1項は、「保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。」と規定している。これは、保証債務は、主たる債務の存在を前提とし、主たる債務の履行がない場合において保証人が保証債務の履行をすることを、その内容とすることを意味する。そして、保証債務の履行により、債権者は、主たる債務が履行されたのと同じ利益を保持することができる(潮見佳男「プラクティス民法 債権総論」第5版補訂605頁)ため、その反面において、保証債務のみならず主たる債務も消滅することになる。
したがって、債権者から保証債務の履行請求を受けた保証人が、債権者に対して有する自己の債権をもって相殺(50条1項本文)を援用したときは、保証債務のみならず、主たる債務は対当額において消滅する。

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条文
第447条(保証債務の範囲)
① 保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する。
② 保証人は、その保証債務についてのみ、違約金又は損害賠償の額を約定することができる。
過去問・解説

(H20 司法 第18問 ウ)
保証人が債権者との間で保証債務についての違約金を約定した場合には、保証人の負担は、主たる債務者の負担より重くなることがある。

(正答)  

(解説)
448条は、1項において「保証人の負担が債務の目的又は態様において主たる債務より重いときは、これを主たる債務の限度に減縮する。」として、2項において「主たる債務の目的又は態様が保証契約の締結後に加重されたときであっても、保証人の負担は加重されない。」としており、保証債務の内容に関する付従性を定めている。これは、保証債務は主たる債務の履行の担保を目的とするものであるから、その内容が主債務より重いものであってはならないことを意味する。
もっとも、447条2項は、「保証人は、その保証債務についてのみ、違約金又は損害賠償の額を約定することができる。」と規定しているから、この意味において、保証人の負担は、主たる債務者の負担より重くなることがある。保証債務自体について違約金や損害賠償額の予定をすることは、保証債務そのものの内容を拡張するものではないから、内容に関する付従性に抵触しないのである。


(H26 共通 第19問 ア)
AのBに対する金銭債務について、CがBとの間で保証契約を締結した。AのBに対する債務に関して違約金の定めがなかった場合、BC間の保証契約において違約金の定めをすることはできない。

(正答)  

(解説)
447条2項は、「保証人は、その保証債務についてのみ、違約金又は損害賠償の額を約定することができる。」と規定している。
したがって、AのBに対する金銭債務について、CがBとの間で保証契約を締結した場合において、AのBに対する債務に関して違約金の定めがなかったときであっても、BC間の保証契約において違約金の定めをすることができる。


(H30 共通 第18問 エ)
主たる債務について違約金の定めがない場合、保証人は、債権者との間で、保証債務についてのみ違約金を約定することができない。

(正答)  

(解説)
447条2項は、「保証人は、その保証債務についてのみ、違約金又は損害賠償の額を約定することができる。」と規定している。
したがって、主たる債務について違約金の定めがない場合であっても、保証人は、債権者との間で、保証債務についてのみ違約金を約定することができる。

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条文
第449条(取り消すことができる債務の保証)
 行為能力の制限によって取り消すことができる債務を保証した者は、保証契約の時においてその取消しの原因を知っていたときは、主たる債務の不履行の場合又はその債務の取消しの場合においてこれと同一の目的を有する独立の債務を負担したものと推定する。
過去問・解説

(H26 共通 第19問 イ)
AのBに対する金銭債務について、CがBとの間で保証契約を締結した。Aが未成年者であって、その法定代理人の同意を得ないでBに対する債務を負担する行為をした場合において、Cが、保証契約締結の当時、そのことを知っており、その後、Aの行為が取り消されたときには、Cは、Aの負担していた債務と同一の目的を有する独立の債務を負担したものと推定される。

(正答)  

(解説)
449条は、「行為能力の制限によって取り消すことができる債務を保証した者は、保証契約の時においてその取消しの原因を知っていたときは、主たる債務の不履行の場合又はその債務の取消しの場合においてこれと同一の目的を有する独立の債務を負担したものと推定する。」と規定している。
本肢の事例では、Cは、保証契約締結の当時、Aが未成年者であって、その法定代理人の同意を得ないでBに対する債務を負担する行為を知っていたのだから、Aの行為が取り消された場合においてAの負担していた債務と同一の目的を有する独立の債務を負担したものと推定される。


(H30 共通 第18問 イ)
未成年者が法定代理人の同意を得ずに債務を負担する行為をした場合において、その債務の保証人は、保証契約締結の当時、未成年者が法定代理人の同意を得ずに債務を負担する行為をしたことを知っており、かつ、その後に、当該未成年者の行為が、未成年者の行為であることを理由に取り消されたときは、当該未成年者が負担していた債務と同一の目的を有する独立の債務を負担したものと推定される。

(正答)  

(解説)
449条は、「行為能力の制限によって取り消すことができる債務を保証した者は、保証契約の時においてその取消しの原因を知っていたときは、主たる債務の不履行の場合又はその債務の取消しの場合においてこれと同一の目的を有する独立の債務を負担したものと推定する。」と規定している。


(R4 司法 第19問 ア)
制限行為能力を理由に取り消すことができる債務を保証した者は、保証契約締結時にその取消しの原因を知っていたときは、主たる債務の不履行の場合又はその債務の取消しの場合においてこれと同一の目的を有する独立の債務を負担したものと推定される。

(正答)  

(解説)
449条は、「行為能力の制限によって取り消すことができる債務を保証した者は、保証契約の時においてその取消しの原因を知っていたときは、主たる債務の不履行の場合又はその債務の取消しの場合においてこれと同一の目的を有する独立の債務を負担したものと推定する。」と規定している。

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条文
第450条(保証人の要件)
① 債務者が保証人を立てる義務を負う場合には、その保証人は、次に掲げる要件を具備する者でなければならない。 
 一 行為能力者であること。
 二 弁済をする資力を有すること。
② 保証人が前項第2号に掲げる要件を欠くに至ったときは、債権者は、同項各号に掲げる要件を具備する者をもってこれに代えることを請求することができる。 
③ 前2項の規定は、債権者が保証人を指名した場合には、適用しない。 
過去問・解説

(H21 司法 第25問 5)
正当な利益を有する者でない第三者は、債務者の意思に反して、その債務の保証をすることができない。

(正答)  

(解説)
保証人となる資格には、原則として制限はなく、450条1項が「債務者が保証人を立てる義務を負う場合」における保証人の資格要件について規定するにとどまる(潮見佳男「プラクティス民法 債権総論」第5版補訂614頁)。
したがって、正当な利益を有する者でない第三者は、債務者の意思に反して、その債務の保証をすることができる。


(R1 共通 第17問 イ)
保証人は、債権者が保証人を指名した場合でも、行為能力者であることを要する。

(正答)  

(解説)
450条1項は、「債務者が保証人を立てる義務を負う場合」における保証人の資格要件として、「行為能力者であること」(1号)と「弁済をする資力を有すること」(2号)を挙げている。しかし、450条3項は、「前2項の規定は、債権者が保証人を指名した場合には、適用しない。」と規定している。したがって、保証人は、債権者が保証人を指名した場合には、450条3項により同条1項の適用は排除されるから、行為能力者であることを要しない。

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条文
第453条(検索の抗弁)
 債権者が前条の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない。
過去問・解説

(H21 司法 第19問 イ)
保証人が検索の抗弁権を行使するためには、主たる債務者に弁済の資力があること及び主たる債務者の財産が執行の容易なものであることを証明する必要がある。

(正答)  

(解説)
保証人は、連帯保証の場合を除き、催告の抗弁(452条)と検索の抗弁(453条)を有する。
催促の抗弁とは、「債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる」ことを内容とし、検索の抗弁とは、「債権者が前条の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない」ことを内容とする。

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条文
第455条(催告の抗弁及び検索の抗弁の効果)
 第452条又は第453条の規定により保証人の請求又は証明があったにもかかわらず、債権者が催告又は執行をすることを怠ったために主たる債務者から全部の弁済を得られなかったときは、保証人は、債権者が直ちに催告又は執行をすれば弁済を得ることができた限度において、その義務を免れる。
過去問・解説

(R1 共通 第17問 オ)
保証人が催告の抗弁権を行使したにもかかわらず、債権者が催告を怠ったために主たる債務者から全部の弁済を得られなかったときは、保証人は、債権者が直ちに催告をすれば弁済を得ることができた限度において、その義務を免れる。

(正答)  

(解説)
455条は、催告の抗弁及び検索の抗弁の効果として、「第452条又は第453条の規定により保証人の請求又は証明があったにもかかわらず、債権者が催告又は執行をすることを怠ったために主たる債務者から全部の弁済を得られなかったときは、保証人は、債権者が直ちに催告又は執行をすれば弁済を得ることができた限度において、その義務を免れる。」と規定している。

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条文
第457条(主たる債務者について生じた事由の効力)
① 主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の完成猶予及び更新は、保証人に対しても、その効力を生ずる。
② 保証人は、主たる債務者が主張することができる抗弁をもって債権者に対抗することができる。
③ 主たる債務者が債権者に対して相殺権、取消権又は解除権を有するときは、これらの権利の行使によって主たる債務者がその債務を免れるべき限度において、保証人は、債権者に対して債務の履行を拒むことができる。
過去問・解説

(H23 共通 第19問 1)
保証人は、主たる債務者がその有する債権をもって相殺するまでは、債権者に対して債務の履行を拒むことができない。

(正答)  

(解説)
457条3項は、「主たる債務者が債権者に対して相殺権…を有するときは、これらの権利の行使によって主たる債務者がその債務を免れるべき限度において、保証人は、債権者に対して債務の履行を拒むことができる。」と規定している(履行拒絶構成)。したがって、保証人は、主たる債務者がその有する債権をもって相殺しなくても、「相殺権…の行使によって主たる債務者がその債務を免れるべき限度において」、債権者に対して債務の履行を拒むことができる。


(H24 予備 第9問 1)
主たる債務者の意思に反して保証人となった者は、主たる債務者が債権者に対して有する債権と保証債権との相殺をもって債権者に対抗することができない。

(正答)  

(解説)
457条2項は、「保証人は、主たる債務者が主張することができる抗弁をもって債権者に対抗することができる。」と規定しており、ここでは単に「保証人」とだけ規定されており、主たる債務者の意思に反して保証人となった者は除外されていない。
したがって、主たる債務者の意思に反して保証人となった者であっても、主たる債務者が債権者に対して有する債権と保証債権との相殺をもって債権者に対抗することができる。


(H27 司法 第18問 3)
AがBに金銭を貸し付け、CがAに対しBの借入金債務を保証したが、BがAに対する借入金の返還を怠ったことから、Aが、Cに対して保証債務の履行を請求する訴えを提起した。Cが保証債務の消滅時効を援用して抗弁を主張するのに対し、主たる債務の消滅時効が完成する前にBがその債務の一部を弁済したことは、時効の更新の再抗弁となる。

(正答)  

(解説)
457条1項は、「主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の完成猶予及び更新は、保証人に対しても、その効力を生ずる。」と規定している。
したがって、主たる債務の消滅時効が完成する前にBがその債務の一部を弁済したことは、「権利の承認」(152条1項)として時効の更新事由にあたり、その効力はCにも及ぶから、そのことが保証債務履行請求訴訟において、消滅時効の抗弁に対する再抗弁となる。


(H30 共通 第18問 ウ)
主たる債務者が債権者に対し反対債権を有している場合であっても、保証人は、債権者から保証債務の履行を請求されたときは、保証債務を履行しなければならない。

(正答)  

(解説)
457条3項は、「主たる債務者が債権者に対して相殺権…を有するときは、これらの権利の行使によって主たる債務者がその債務を免れるべき限度において、保証人は、債権者に対して債務の履行を拒むことができる。」と規定している(履行拒絶構成)。したがって、保証人は、主たる債務者がその有する債権をもって相殺しなくても、「相殺権…の行使によって主たる債務者がその債務を免れるべき限度において」、保証債務の履行を拒むことができる。


(R6 司法 第23問 オ)
債権者が主たる債務者に対し債務を免除したときは、連帯保証人の債務は、消滅する。

(正答)  

(解説)
457条2項は、「保証人は、主たる債務者が主張することができる抗弁をもって債権者に対抗することができる。」と規定しており、債務免除(519条)による主たる債務の消滅も「主たる債務者が主張することができる抗弁」に当たる。
したがって、債権者が主たる債務者に対し債務を免除したときは、連帯保証人の債務は、消滅する。

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条文
第458条(連帯保証人について生じた事由の効力)
 第438条、第439条第1項、第440条及び第441条の規定は、主たる債務者と連帯して債務を負担する保証人について生じた事由について準用する。
過去問・解説

(H24 予備 第9問 3)
主たる債務者から委託を受けて連帯保証人となった者が、債権者に対して保証債務を承認したときは、主たる債務についての消滅時効が更新される。

(正答)  

(解説)
普通保証では、弁済その他債権者に満足を与える事由(付従性により債権者に影響を及ぼす事由)を除いては、保証人について生じた事由は、主たる債務者に影響を及ぼさない。これに対し、連帯保証では、連帯保証人の一人について生じた事由について、相対的効力の原則(441条)を採用した上で、更改(438条)、相殺(439条)及び混同(440条)については主たる債務者に影響を及ぼすとされている(458条)。
連帯保証人の「権利の承認」(152条1項)による時効の更新は、相対効効力を有するにとどまるから、連帯保証人が債権者に対して保証債務を承認しても、保証債務の消滅時効が更新されるにとどまり、主たる債務についての消滅時効は更新されない。


(R3 予備 第8問 ウ)
AのBに対する1000万円の貸金債権(以下「甲債権」という。)につき、Cが保証した。Cの保証債務が連帯保証債務であり、AがCに対してその履行を求めて訴えを提起した場合には、Bとの関係でも、時効の完成が猶予される。

(正答)  

(解説)
普通保証では、弁済その他債権者に満足を与える事由(付従性により債権者に影響を及ぼす事由)を除いては、保証人について生じた事由は、主たる債務者に影響を及ぼさない。これに対し、連帯保証では、連帯保証人の一人について生じた事由について、相対的効力の原則(441条)を採用した上で、更改(438条)、相殺(439条)及び混同(440条)については主たる債務者に影響を及ぼすとされている(458条)。
連帯保証人の「裁判上の請求」(147条1項1号)による時効の完成猶予は、相対効効力を有するにとどまるから、AがCに対して保証債務の履行を求めて訴えを提起した場合には、連帯保証人Cとの関係では、時効の完成が猶予されるが、主たる債務者Bとの関係では時効の完成は猶予されない。

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第458条の2

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条文
第458条の2(主たる債務の履行状況に関する情報の提供義務)
 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、保証人の請求があったときは、債権者は、保証人に対し、遅滞なく、主たる債務の元本及び主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものについての不履行の有無並びにこれらの残額及びそのうち弁済期が到来しているものの額に関する情報を提供しなければならない。
過去問・解説

(R3 司法 第19問 ウ)
個人であるAがBのCに対する債務を保証する場合において、Aが、Bの委託を受けて保証したとき、Cは、定期的に、Aに対し、主たる債務の元本及び利息について、不履行の有無、残額及び弁済期が到来しているものの額に関する情報を提供しなければならない。

(正答)  

(解説)
458条の2は、主たる債務の履行状況に関する情報の提供義務について規定しているが、「保証人の請求があったときは、…情報を提供しなければならない。」に発生するにとどまる。
本肢は、「定期的に」としている点において、誤っている。

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第458条の3

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条文
第458条の3(主たる債務者が期限の利益を喪失した場合における情報の提供義務)
① 主たる債務者が期限の利益を有する場合において、その利益を喪失したときは、債権者は、保証人に対し、その利益の喪失を知った時から2箇月以内に、その旨を通知しなければならない。
② 前項の期間内に同項の通知をしなかったときは、債権者は、保証人に対し、主たる債務者が期限の利益を喪失した時から同項の通知を現にするまでに生じた遅延損害金(期限の利益を喪失しなかったとしても生ずべきものを除く。)に係る保証債務の履行を請求することができない。
③ 前2項の規定は、保証人が法人である場合には、適用しない。
過去問・解説

(R3 司法 第19問 エ)
個人であるAがBのCに対する債務を保証する場合において、Bがその有していた期限の利益を喪失したとき、Cは、Aに対し、その旨を通知しなければならない。

(正答)  

(解説)
458条の3は、「主たる債務者が期限の利益を有する場合において、その利益を喪失したときは、債権者は、保証人に対し、その利益の喪失を知った時から2か月以内に、その旨を通知しなければならない。」と規定している。

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条文
第459条(委託を受けた保証人の求償権)
① 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務者に代わって弁済その他自己の財産をもって債務を消滅させる行為(以下「債務の消滅行為」という。)をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対し、そのために支出した財産の額(その財産の額がその債務の消滅行為によって消滅した主たる債務の額を超える場合にあっては、その消滅した額)の求償権を有する。
② 第442条第2項の規定は、前項の場合について準用する。
過去問・解説

(H21 司法 第19問 エ)
保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合であって、債権者に弁済をすべき旨の裁判の言渡しを受けたとき、又は主たる債務者に代わって弁済をし、その他自己の財産をもって債務を消滅させるべき行為をしたときは、そのいずれのときでも保証人に過失がないときに限り、その保証人は主たる債務者に対して求償権を有する。

(正答)  

(解説)
459条1項は、受託保証人の事後求償権について、「主たる債務者に代わって弁済その他自己の財産をもって債務を消滅させる行為(以下「債務の消滅行為」という。)をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対し、そのために支出した財産の額…の求償権を有する。」と規定しており、保証人の無過失を要求していない。したがって、本肢は、受託保証人の求償権について、保証人の無過失を要件としている点において、誤っている。
なお、460項3号は、受託保証人が事前求償権を取得する場合として、「保証人が過失なく債権者に弁済をすべき旨の裁判の言渡しを受けたとき」を挙げている。


(H24 司法 第7問 ウ)
主たる債務の消滅時効期間が5年である場合、連帯保証人が主たる債務の履行期から3年を経過した日に保証債務の履行として弁済をしても、主たる債務の履行期から5年が経過したときは、主たる債務が時効により消滅するから、弁済をした連帯保証人は、主たる債務者に対して求償権を行使することができない。

(正答)  

(解説)
連帯保証人は、主たる債務の履行期から3年を経過した日に保証債務の履行として弁済をしたことにより、「主たる債務者に代わって弁済…をした」として、事後求償権を取得する(459条1項)。また、弁済により、保証債務とともに主たる債務の消滅する。したがって、本肢は、「主たる債務の履行期から5年が経過したときは、主たる債務が時効により消滅する」としている点において、誤っている。そして、受託保証人の事後求償権の消滅時効は、主観的起算点から5年、客観的起算点から10年である(166条1項1号、2号)から、主たる債務の履行期から5年が経過した時点では、受託保証人の事後求償権は時効によって消滅していない。したがって、本肢は、「弁済をした連帯保証人は、主たる債務者に対して求償権を行使することができない。」としている点においても、誤っている。

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第459条の2

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条文
第459条の2(委託を受けた保証人が弁済期前に弁済等をした場合の求償権)
① 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務の弁済期前に債務の消滅行為をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対し、主たる債務者がその当時利益を受けた限度において求償権を有する。この場合において、主たる債務者が債務の消滅行為の日以前に相殺の原因を有していたことを主張するときは、保証人は、債権者に対し、その相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。
② 前項の規定による求償は、主たる債務の弁済期以後の法定利息及びその弁済期以後に債務の消滅行為をしたとしても避けることができなかった費用その他の損害の賠償を包含する。
③ 第1項の求償権は、主たる債務の弁済期以後でなければ、これを行使することができない。
過去問・解説

(H27 司法 第36問 ウ)
主たる債務者の委託を受けないで保証をした保証人が弁済をしたときは、主たる債務者は、弁済がされた日以後の法定利息をその保証人に支払わなければならない。

(正答)  

(解説)
459条の2は、受託保証人が期限前弁済等をした場合の求償権について、第1項前段において「保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務の弁済期前に債務の消滅行為をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対し、主たる債務者がその当時利益を受けた限度において求償権を有する。」と規定した上で、第2項において「前項の規定による求償は、主たる債務の弁済期以後の法定利息…を包含する。」と規定している。
もっとも、462条1項は、無委託保証人の事後求償権について、「第459条の2第1項の規定は、主たる債務者の委託を受けないで保証をした者が債務の消滅行為をした場合について準用する。」と規定する一方で、459条の2第2項は準用していない。
したがって、無委託保証人の事後求償権は、「主たる債務の弁済期以後の法定利息」を包含しない。

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条文
第460条(委託を受けた保証人の事前の求償権)
 保証人は、主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、次に掲げるときは、主たる債務者に対して、あらかじめ、求償権を行使することができる。  
 一 主たる債務者が破産手続開始の決定を受け、かつ、債権者がその破産財団の配当に加入しないとき。 
 二 債務が弁済期にあるとき。ただし、保証契約の後に債権者が主たる債務者に許与した期限は、保証人に対抗することができない。 
 三 保証人が過失なく債権者に弁済をすべき旨の裁判の言渡しを受けたとき。 
過去問・解説

(H20 司法 第18問 エ)
主たる債務者の委託を受けて保証をした者は、主たる債務が弁済期にあるときは、自ら弁済をする前であっても主たる債務者に対して求償権を行使することができる。

(正答)  

(解説)
460項2号本文は、受託保証人が事前求償権を取得する場合として、「債務が弁済期にあるとき」を挙げている。
したがって、受託保証人は、主たる債務が弁済期にあるときは、自ら弁済をする前であっても主たる債務者に対して求償権を行使することができる。


(H24 司法 第23問 1)
保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、過失なく債権者に弁済をすべき旨の裁判の言渡しを受けたときは、その保証人は、主たる債務者に対して求償権を有する。

(正答)  

(解説)
460項3号は、受託保証人が事前求償権を取得する場合として、「保証人が過失なく債権者に弁済をすべき旨の裁判の言渡しを受けたとき」を挙げている。
したがって、受託保証人は、過失なく債権者に弁済をすべき旨の裁判の言渡しを受けたときは、主たる債務者に対して求償権を有する。

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条文
第462条(委託を受けない保証人の求償権)
① 第459条の2第1項の規定は、主たる債務者の委託を受けないで保証をした者が債務の消滅行為をした場合について準用する。
② 主たる債務者の意思に反して保証をした者は、主たる債務者が現に利益を受けている限度においてのみ求償権を有する。この場合において、主たる債務者が求償の日以前に相殺の原因を有していたことを主張するときは、保証人は、債権者に対し、その相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。
③ 第459条の2第3項の規定は、前2項に規定する保証人が主たる債務の弁済期前に債務の消滅行為をした場合における求償権の行使について準用する。
過去問・解説

(H26 共通 第19問 エ)
AのBに対する金銭債務について、CがBとの間で保証契約を締結した。Cが、Aの意思に反してBとの間で保証契約を締結し、Bに保証債務の弁済をした場合には、Cは、Aが現に利益を受けている限度でのみ、Aに対して求償をすることができる。

(正答)  

(解説)
462条2項前段は、無委託保証人のうち主たる債務者の意思に反して保証をした者の求償権について、「主たる債務者の意思に反して保証をした者は、主たる債務者が現に利益を受けている限度においてのみ求償権を有する。」と規定している。
したがって、Cは、Aが現に利益を受けている限度でのみ、Aに対して求償をすることができる。


(R1 共通 第19問 2)
債務者Aが債権者Bに対して金銭債務(以下「本件債務」という。)を負っている。第三者は、Aの意思に反しても、本件債務を主たる債務とする保証をすることができる。

(正答)  

(解説)
462条2項前段は、「主たる債務者の意思に反して保証をした者は、主たる債務者が現に利益を受けている限度においてのみ求償権を有する。」と規定し、主たる債務者の意思に反して保証することができることを前提としている。
したがって、第三者は、Aの意思に反しても、本件債務を主たる債務とする保証をすることができる。


(R4 司法 第19問 イ)
主たる債務者の意思に反して保証がされた場合において、保証債務の弁済をした保証人は、主たる債務者に対し、その弁済の当時に主たる債務者が利益を受けた限度において求償権を有する。

(正答)  

(解説)
462条2項前段は、無委託保証人のうち主たる債務者の意思に反して保証をした者の求償権について、「主たる債務者の意思に反して保証をした者は、主たる債務者が現に利益を受けている限度においてのみ求償権を有する。」と規定している。

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条文
第463条(通知を怠った保証人の求償の制限等)
① 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務者にあらかじめ通知しないで債務の消滅行為をしたときは、主たる債務者は、債権者に対抗することができた事由をもってその保証人に対抗することができる。この場合において、相殺をもってその保証人に対抗したときは、その保証人は、債権者に対し、相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。
② 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務者が債務の消滅行為をしたことを保証人に通知することを怠ったため、その保証人が善意で債務の消滅行為をしたときは、その保証人は、その債務の消滅行為を有効であったものとみなすことができる。
③ 保証人が債務の消滅行為をした後に主たる債務者が債務の消滅行為をした場合においては、保証人が主たる債務者の意思に反して保証をしたときのほか、保証人が債務の消滅行為をしたことを主たる債務者に通知することを怠ったため、主たる債務者が善意で債務の消滅行為をしたときも、主たる債務者は、その債務の消滅行為を有効であったものとみなすことができる。
過去問・解説

(H26 共通 第19問 ウ)
AのBに対する金銭債務について、CがBとの間で保証契約を締結した。AのBに対する債務の額が500万円であり、CがAの依頼を受けてBとの間で保証契約を締結した場合において、Aが、その後取得したBに対する300万円の金銭債権を自働債権として、Bに対する債務と相殺をしようと考えていたところ、CがAに対して通知することなくBに500万円を弁済したときには、AはCから500万円の求償を受けても、相殺をすることができる地位にあったことを主張して、300万円の範囲でこれを拒むことができる。

(正答)  

(解説)
463条1項前段は、「保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務者にあらかじめ通知しないで債務の消滅行為をしたときは、主たる債務者は、債権者に対抗することができた事由をもってその保証人に対抗することができる。」として、主たる債務者に対する受託保証人の事前通知義務を定めている。
本肢の事例では、受託保証人Cが、「主たる債務者」Aに対して事前の通知をすることなくBに500万円を弁済しているから、「主たる債務者」Aは、Cから500万円の求償を受けても、AのBに対する300万円の金銭債権による相殺という「債権者に対抗することができた事由」をもって対抗することで、300万円の範囲でこれを拒むことができる。


(R4 司法 第19問 ウ)
主たる債務者の委託を受けないで保証がされた場合において、主たる債務者が債務の弁済をしたが、保証人にその事実を通知しなかった。保証人が主たる債務者による弁済の事実を知らないで保証債務の弁済をしたときは、保証人は、その弁済を有効とみなすことができる。

(正答)  

(解説)
463条2項は、「保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務者が債務の消滅行為をしたことを保証人に通知することを怠ったため、その保証人が善意で債務の消滅行為をしたときは、その保証人は、その債務の消滅行為を有効であったものとみなすことができる。」として、受託保証人に対する主たる債務者の事後通知義務を定めている。同条2項は、無委託保証人に対する主たる債務者の事後通知義務については定めていない。
したがって、主たる債務者が債務の弁済をした後に、無委託保証人にその事実を通知しなかった場合において、無委託保証人が主たる債務者による弁済の事実を知らないで保証債務の弁済をしたときであっても、無委託保証人は、その弁済を有効とみなすことができない。

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条文
第464条(連帯債務又は不可分債務の保証人の求償権)
 連帯債務者又は不可分債務者の1人のために保証をした者は、他の債務者に対し、その負担部分のみについて求償権を有する。
過去問・解説

(H24 予備 第9問 4)
連帯債務者の1人から委託を受け、その者のために保証人となった者が、債権者に対して保証債務の全額を弁済したときは、この保証人は、その連帯債務者に対し、その者の負担部分についてのみ求償権を有する。

(正答)  

(解説)
464条は、「連帯債務者…の1人のために保証をした者は、他の債務者に対し、その負担部分のみについて求償権を有する。」と規定している。すなわち、連帯債務の保証人は、自分が保証した連帯債務者に対しては、全額の求償権を取得するが、自分が保証していない他の連帯債務者に対しては、「その負担部分について求償権を有する」にとどまる(潮見佳男「プラクティス民法 債権総論」第5版補訂655頁)。

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条文
第465条(共同保証人間の求償権)
① 第442条から第444条までの規定は、数人の保証人がある場合において、そのうちの1人の保証人が、主たる債務が不可分であるため又は各保証人が全額を弁済すべき旨の特約があるため、その全額又は自己の負担部分を超える額を弁済したときについて準用する。
② 第462条の規定は、前項に規定する場合を除き、互いに連帯しない保証人の1人が全額又は自己の負担部分を超える額を弁済したときについて準用する。
過去問・解説

(H24 予備 第9問 5)
共同保証人の1人が債権者に対し保証債務を弁済し、他の共同保証人に対して求償をした場合において、求償を受けた保証人が、主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者に弁済をした保証人は、まず主たる債務者に求償権を行使しなければならない。

(正答)  

(解説)
465条2項は、共同保証人間の求償権について、無委託保証人の求償権に関する462条を準用するにとどまり、検索の抗弁に関する453条を準用していない。


(R4 司法 第19問 オ)
数人の連帯保証人の1人が債権者に対して保証債務の弁済をした場合は、その額が自己の負担部分を超えるかどうかにかかわらず、他の連帯保証人に対して求償をすることができる。

(正答)  

(解説)
連帯保証人間の求償権についても465条1項が適用されるかが、連帯保証人の分別の利益の有無との関係で問題となる。連帯保証人について分別の利益がないことを明示する規定はないものの、保証人が債権者に対し主債務者と連帯して全額弁済義務を負うことを約束していることからすれば、連帯保証人には分別の利益がないのは当然のことであると解されている。したがって、連帯保証人間の求償権については、「数人の保証人がある場合」のうち、「各保証人が全額を負担すべき旨の特約がある」ときとして、465条が適用され、その結果、連帯債務者間の求償権に関する規定(442条ないし444条)が準用されることになる(潮見佳男「プラクティス民法 債権総論」第5版補訂667頁)。連帯保証人間の求償権は、「その全額又は自己の負担部分を超える額を弁済したとき」に限って認められるものであり、「その免責を得た額が自己の負担部分を超えるかどうかにかかわらず」認められる連帯債務者間の求償権(442条1項)とは異なる。
数人の連帯保証人の1人が債権者に対して保証債務の弁済をした場合は、その額が自己の負担部分を超えるときに限り、他の連帯保証人に対して求償をすることができる。


(R6 司法 第20問 オ)
A及びBがCのDに対する100万円の債務について保証人となり、A及びBが各自全額を弁済すべき旨の特約がされ、負担部分は平等である。この場合に、Aは、Dに20万円を弁済しても、Bに10万円を求償することができない。

(正答)  

(解説)
本肢の事例では、「各保証人が全額を弁済すべき旨の特約」があるため、共同保証人間の求償権について定める465条が適用される。連帯保証人間の求償権は、「その全額又は自己の負担部分を超える額を弁済したとき」に限って認められるものであり、「その免責を得た額が自己の負担部分を超えるかどうかにかかわらず」認められる連帯債務者間の求償権(442条1項)とは異なる。
Aは、Dに20万円を弁済しても、「その全額又は自己の負担部分を超える額を弁済したとき」に当たらないから、Bに10万円を求償することができない。

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第465条の2

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条文
第465条の2(個人根保証契約の保証人の責任等)
① 一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(以下「根保証契約」という。)であって保証人が法人でないもの(以下「個人根保証契約」という。)の保証人は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う。
② 個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。
③ 第446条第2項及び第3項の規定は、個人根保証契約における第1項に規定する極度額の定めについて準用する。
過去問・解説

(H18 司法 第28問 2)
継続的売買契約により生じる代金債務を主たる債務とする根保証契約がされた場合、主たる債務の元本、主たる債務に関する違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、極度額を定めなければ、根保証契約の効力は生じない。

(正答)  

(解説)
465条の2第1項は、個人根保証契約の被担保債権について、「主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額」と規定しており、同条の2第2項は、「個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない」と規定している。


(H20 司法 第18問 オ)
金銭消費貸借上の債務を主たる債務とする法人間の根保証契約において、極度額の定めがないときは、その根保証契約は効力を生じない。

(正答)  

(解説)
465条の2第2項は、「個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。」と規定しているが、法人根保証契約については、このような規定はなく、「保証人が法人である根保証契約において、第465条の2第1項に規定する極度額の定めがないときは、その根保証契約の保証人の主たる債務者に対する求償権に係る債務を主たる債務とする保証契約は、その効力を生じない。」(465条の5第1項)と規定されているにとどまるから、極度額の定めがないからといって、直ちに無効になるわけではない(潮見佳男「プラクティス民法 債権総論」第5版補訂673頁)。


(H22 司法 第18問 イ)
個人根保証契約においては、元本の確定期日を定めた場合であっても、極度額を定めなければ、その効力を生じない。

(正答)  

(解説)
465条の2第2項は、「個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。」と規定している。したがって、個人根保証契約においては、元本の確定期日を定めた場合であっても、極度額を定めなければ、その効力を生じない。


(H24 司法 第20問 ア)
個人貸金等根保証契約(一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とし、その債務の範囲に金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることにより負担する債務が含まれ、保証人が自然人である保証契約)は、書面でしなければ、その効力を生じない。

(正答)  

(解説)
465条の2第3項は、「第446条第2項及び第3項の規定は、個人根保証契約における第1項に規定する極度額の定めについて準用する。」として、個人根保証契約における極度額の定めについて、要式性を要求している。そして、446条は、2項において「保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。」と規定した上で、3項において「保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。」と規定している。
したがって、個人根保証契約は、極度額の定めを書面又はその内容を記録した電磁的記録によってしなければ、その効力を生じない。


(H24 司法 第20問 ウ)
個人貸金等根保証契約(一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とし、その債務の範囲に金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることにより負担する債務が含まれ、保証人が自然人である保証契約)は、極度額を定めなければ、その効力を生じない。

(正答)  

(解説)
465条の2第2項は、「個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。」と規定している。


(R3 司法 第19問 オ)
個人であるAがBのCに対する債務を保証する場合において、Aの保証が根保証であるとき、極度額が定められなければ、その効力は生じない。

(正答)  

(解説)
465条の2第2項は、「個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。」と規定している。


(R5 司法 第19問 ア)
個人根保証契約は、極度額の定めを書面又はその内容を記録した電磁的記録によってしなければ、その効力を生じない。

(正答)  

(解説)
465条の2第3項は、「第446条第2項及び第3項の規定は、個人根保証契約における第1項に規定する極度額の定めについて準用する。」として、個人根保証契約における極度額の定めについて、要式性を要求している。そして、446条は、2項において「保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。」と規定した上で、3項において「保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。」と規定している。したがって、個人根保証契約は、極度額の定めを書面又はその内容を記録した電磁的記録によってしなければ、その効力を生じない。


(R5 司法 第19問 オ)
主たる債務の元本が確定したときは、保証人は、確定した元本に関し確定後に発生した利息について、その履行をする責任を負わない。

(正答)  

(解説)
465条の2第1項は、個人根保証契約の被担保債権として「主たる債務に関する利息」を挙げている。

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第465条の3

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条文
第465条の3(個人貸金等根保証契約の元本確定期日)
① 個人根保証契約であってその主たる債務の範囲に金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることによって負担する債務(以下「貸金等債務」という。)が含まれるもの(以下「個人貸金等根保証契約」という。)において主たる債務の元本の確定すべき期日(以下「元本確定期日」という。)の定めがある場合において、その元本確定期日がその個人貸金等根保証契約の締結の日から5年を経過する日より後の日と定められているときは、その元本確定期日の定めは、その効力を生じない。
② 個人貸金等根保証契約において元本確定期日の定めがない場合(前項の規定により元本確定期日の定めがその効力を生じない場合を含む。)には、その元本確定期日は、その個人貸金等根保証契約の締結の日から3年を経過する日とする。
③ 個人貸金等根保証契約における元本確定期日の変更をする場合において、変更後の元本確定期日がその変更をした日から5年を経過する日より後の日となるときは、その元本確定期日の変更は、その効力を生じない。ただし、元本確定期日の前2箇月以内に元本確定期日の変更をする場合において、変更後の元本確定期日が変更前の元本確定期日から5年以内の日となるときは、この限りでない。
④ 第446条第2項及び第3項の規定は、個人貸金等根保証契約における元本確定期日の定め及びその変更(その個人貸金等根保証契約の締結の日から3年以内の日を元本確定期日とする旨の定め及び元本確定期日より前の日を変更後の元本確定期日とする変更を除く。)について準用する。
過去問・解説

(H18 司法 第28問 4)
貸金債務を主たる債務とする根保証契約で個人が保証人のものについて、元本の確定期日を契約締結の日から4年を経過した日と定めた場合、元本確定期日は3年を経過した日とされる。

(正答)  

(解説)
465条の3第1項は、個人貸金等根保証契約の元本確定期日について、「その元本確定期日がその個人貸金等根保証契約の締結の日から5年を経過する日より後の日と定められているときは、その元本確定期日の定めは、その効力を生じない。」と規定している。


(H24 司法 第20問 イ)
個人貸金等根保証契約(一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とし、その債務の範囲に金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることにより負担する債務が含まれ、保証人が自然人である保証契約)の締結の日から3年を経過したときは、保証人は、主たる債務の元本の確定を請求することができる。

(正答)  

(解説)
465条の3第1項は、「個人貸金等根保証契約…元本確定期日…の定めがある場合において、その元本確定期日がその個人貸金等根保証契約の締結の日から5年を経過する日より後の日と定められているときは、その元本確定期日の定めは、その効力を生じない。」と規定しており、同条の3第2項は、「個人貸金等根保証契約において元本確定期日の定めがない場合(前項の規定により元本確定期日の定めがその効力を生じない場合を含む。)には、その元本確定期日は、その個人貸金等根保証契約の締結の日から3年を経過する日とする。」と規定している。すなわち、個人貸金等根保証契約においては、「元本確定期日がその個人貸金等根保証契約の締結の日から5年を経過する日」以前と定められているときは、その日が元本確定期日となり、元本確定期日の定めがない場合(前項の規定により元本確定期日の定めがその効力を生じない場合を含む。)」には、その個人貸金等根保証契約の締結の日から3年を経過する日が元本確定期日となる。このように、個人貸金等根保証契約においては、一定の期日の経過により元本が確定することになるから、保証人が元本の確定を請求することはできない。


(H28 共通 第21問 エ)
個人貸金等根保証契約において元本確定期日がその個人貸金等根保証契約の締結の日から6年を経過する日と定められている場合、その元本確定期日は、その個人貸金等根保証契約の締結の日から5年を経過する日となる。

(正答)  

(解説)
465条の3第1項は、「個人貸金等根保証契約…元本確定期日…の定めがある場合において、その元本確定期日がその個人貸金等根保証契約の締結の日から5年を経過する日より後の日と定められているときは、その元本確定期日の定めは、その効力を生じない。」と規定しており、同条の3第2項は、「個人貸金等根保証契約において元本確定期日の定めがない場合(前項の規定により元本確定期日の定めがその効力を生じない場合を含む。)には、その元本確定期日は、その個人貸金等根保証契約の締結の日から3年を経過する日とする。」と規定している。
したがって、個人貸金等根保証契約において元本確定期日がその個人貸金等根保証契約の締結の日から6年を経過する日と定められている場合、同条の3第1項の適用により「その元本確定期日の定めは、その効力を生じない」こととなり、同条の3第2項の適用により、「元本確定期日の定めがない場合(前項の規定により元本確定期日の定めがその効力を生じない場合を含む。)」として、「その元本確定期日は、その個人貸金等根保証契約の締結の日から3年を経過する日」となる。


(R1 共通 第17問 ウ)
個人貸金等根保証契約は、主たる債務の元本の確定すべき期日の定めがない場合、その効力を生じない。

(正答)  

(解説)
個人貸金等根保証契約は、極度額を定めなければ、その効力を生じない(465条の2第2項)。これに対し、465条の3第2項は、「個人貸金等根保証契約において元本確定期日の定めがない場合…には、その元本確定期日は、その個人貸金等根保証契約の締結の日から3年を経過する日とする。」と規定しているから、個人貸金等根保証契約は、元本確定期日の定めがなくても、その効力を生じる。

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第465条の4

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条文
第465条の4(個人根保証契約の元本の確定事由)
① 次に掲げる場合には、個人根保証契約における主たる債務の元本は、確定する。ただし、第1号に掲げる場合にあっては、強制執行又は担保権の実行の手続の開始があったときに限る。 
 一 債権者が、保証人の財産について、金銭の支払を目的とする債権についての強制執行又は担保権の実行を申し立てたとき。
 二 保証人が破産手続開始の決定を受けたとき。
 三 主たる債務者又は保証人が死亡したとき。
② 前項に規定する場合のほか、個人貸金等根保証契約における主たる債務の元本は、次に掲げる場合にも確定する。ただし、第1号に掲げる場合にあっては、強制執行又は担保権の実行の手続の開始があったときに限る。
 一 債権者が、主たる債務者の財産について、金銭の支払を目的とする債権についての強制執行又は担保権の実行を申し立てたとき。
 二 主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。
過去問・解説

(H18 司法 第28問 3)
債権者が、主たる債務者の財産について、金銭の支払を目的とする債権についての強制執行を申し立て、その手続の開始決定がされた場合、個人貸金等根保証契約における主たる債務の元本は、その申立ての時に確定する。

(正答)  

(解説)
465条の4第1項1号は、個人根保証契約の元本の確定事由として、「債権者が、保証人の財産について、金銭の支払を目的とする債権についての強制執行又は担保権の実行を申し立てたとき」を挙げている。


(H20 司法 第34問 2)
賃貸借契約に基づく賃借人の債務を保証した者の相続人は、相続開始後に生じた賃料債務について履行をする責任を負わない。

(正答)  

(解説)
465条の4第1項3号は、個人根保証契約の元本の確定事由として、「保証人が死亡したとき」を挙げている。したがって、賃貸借契約に基づく賃借人の債務を保証した者が死亡して、同人について相続が生じた場合には、その時点で元本が確定することになるから、相続人は、相続開始後に生じた賃料債務について履行をする責任を負わない。


(H24 司法 第20問 エ)
個人貸金等根保証契約(一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とし、その債務の範囲に金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることにより負担する債務が含まれ、保証人が自然人である保証契約)における主たる債務の元本は、保証人に対し債権者が金銭債権についての強制執行を申し立てた場合には、これに基づき強制執行が開始されたときに限り、確定する。

(正答)  

(解説)
465条の4第1項1号は、個人根保証契約の元本の確定事由として、「債権者が、保証人の財産について、金銭の支払を目的とする債権についての強制執行又は担保権の実行を申し立てたとき」を挙げている。そして、「個人貸金等根保証契約」は「個人根保証契約」の一種である(465条の3第1項参照)から、465条の4第1項の適用を受ける。したがって、個人貸金等根保証契約における主たる債務の元本は、保証人に対し債権者が金銭債権についての強制執行を申し立てた場合には、これに基づき強制執行が開始されたときに限り、確定する。


(H24 司法 第20問 オ)
個人貸金等根保証契約(一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とし、その債務の範囲に金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることにより負担する債務が含まれ、保証人が自然人である保証契約)における主たる債務の元本は、主たる債務者が死亡した場合でも当然には確定しない。

(正答)  

(解説)
465条の4第1項3号は、個人根保証契約の元本の確定事由として、「主たる債務者…が死亡したとき」を挙げている。そして、「個人貸金等根保証契約」は「個人根保証契約」の一種である(465条の3第1項参照)から、465条の4第1項の適用を受ける。したがって、個人貸金等根保証契約における主たる債務の元本は、主たる債務者が死亡した場合には、当然に確定する。


(R4 司法 第33問 ア)
個人根保証契約における保証人の相続人は、主債務者と債権者が相続開始後に締結した契約に基づく主債務について履行する責任を負わない。

(正答)  

(解説)
465条の4第1項3号は、個人根保証契約の元本の確定事由として、「保証人が死亡したとき」を挙げている。個人根保証契約における保証人が死亡して、同人について相続が生じた場合には、その時点で元本が確定することになるから、相続人は、主債務者と債権者が相続開始後に締結した契約に基づく主債務について履行する責任を負わない。


(R5 司法 第19問 イ)
賃貸借契約に基づいて生ずる賃料債務を主たる債務とする個人根保証契約において、元本確定期日の定めがないときは、個人根保証契約の締結の日から法定の期間を経過すれば、主たる債務の元本は確定する。

(正答)  

(解説)
465条の4第1項は、各号において「個人根保証契約」における元本確定事由を定めているが、、元本確定期日の定めがない場合において個人根保証契約の締結の日から法定の期間を経過したことは、各号で挙げられている元本確定事由に当たらない。また、465条の3第2項は、「個人貸金等根保証契約において元本確定期日の定めがない場合…には、その元本確定期日は、その個人貸金等根保証契約の締結の日から3年を経過する日とする。」としているが、この規定は賃料債務を主たる債務とする個人根保証契約には適用されない。
したがって、賃貸借契約に基づいて生ずる賃料債務を主たる債務とする個人根保証契約において、元本確定期日の定めがないときは、個人根保証契約の締結の日から法定の期間を経過すれば主たる債務の元本は確定するとはいえない。


(R5 司法 第19問 ウ)
個人根保証契約の保証人が死亡したときは、主たる債務の元本は確定する。

(正答)  

(解説)
465条の4第1項3号は、個人根保証契約の元本の確定事由として、「保証人が死亡したとき」を挙げている。

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第465条の6

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条文
第465条の6(公正証書の作成と保証の効力)
① 事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約又は主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約は、その契約の締結に先立ち、その締結の日前1箇月以内に作成された公正証書で保証人になろうとする者が保証債務を履行する意思を表示していなければ、その効力を生じない。  
② 前項の公正証書を作成するには、次に掲げる方式に従わなければならない。  
 一 保証人になろうとする者が、次のイ又はロに掲げる契約の区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める事項を公証人に口授すること。 
  イ 主たる債務の債権者及び債務者、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものの定めの有無及びその内容並びに主たる債務者がその債務を履行しないときには、その債務の全額について履行する意思(保証人になろうとする者が主たる債務者と連帯して債務を負担しようとするものである場合には、債権者が主たる債務者に対して催告をしたかどうか、主たる債務者がその債務を履行することができるかどうか、又は他に保証人があるかどうかにかかわらず、その全額について履行する意思)を有していること。
  ロ 主たる債務の債権者及び債務者、主たる債務の範囲、根保証契約における極度額、元本確定期日の定めの有無及びその内容並びに主たる債務者がその債務を履行しないときには、極度額の限度において元本確定期日又は第465条の4第1項各号若しくは第2項各号に掲げる事由その他の元本を確定すべき事由が生ずる時までに生ずべき主たる債務の元本及び主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものの全額について履行する意思(保証人になろうとする者が主たる債務者と連帯して債務を負担しようとするものである場合には、債権者が主たる債務者に対して催告をしたかどうか、主たる債務者がその債務を履行することができるかどうか、又は他に保証人があるかどうかにかかわらず、その全額について履行する意思)を有していること。
 二 公証人が、保証人になろうとする者の口述を筆記し、これを保証人になろうとする者に読み聞かせ、又は閲覧させること。
 三 保証人になろうとする者が、筆記の正確なことを承認した後、署名し、印を押すこと。ただし、保証人になろうとする者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
 四 公証人が、その証書は前3号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。
③ 前2項の規定は、保証人になろうとする者が法人である場合には、適用しない。  
過去問・解説

(R3 司法 第19問 イ)
個人であるAがBのCに対する債務を保証する場合において、Bの債務がBの事業のために負担した貸金債務であるとき、AC間の保証契約は、Aが保証債務を履行する意思を保証契約の締結後速やかに公正証書で表示することにより、その効力を生ずる。

(正答)  

(解説)
465条の6第1項は、「事業に係る」債務についての個人保証に関する特則として、「事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約又は主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約は、その契約の締結に先立ち、その締結の日前1か月以内に作成された公正証書で保証人になろうとする者が保証債務を履行する意思を表示していなければ、その効力を生じない。」として、通常の保証契約に比べて要式性・手続を厳格化している。

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第465条の10

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条文
第465条の10(契約締結時の情報の提供義務)
① 主たる債務者は、事業のために負担する債務を主たる債務とする保証又は主たる債務の範囲に事業のために負担する債務が含まれる根保証の委託をするときは、委託を受ける者に対し、次に掲げる事項に関する情報を提供しなければならない。 
 一 財産及び収支の状況
 二 主たる債務以外に負担している債務の有無並びにその額及び履行状況
 三 主たる債務の担保として他に提供し、又は提供しようとするものがあるときは、その旨及びその内容
② 主たる債務者が前項各号に掲げる事項に関して情報を提供せず、又は事実と異なる情報を提供したために委託を受けた者がその事項について誤認をし、それによって保証契約の申込み又はその承諾の意思表示をした場合において、主たる債務者がその事項に関して情報を提供せず又は事実と異なる情報を提供したことを債権者が知り又は知ることができたときは、保証人は、保証契約を取り消すことができる。 
③ 前2項の規定は、保証をする者が法人である場合には、適用しない。 
過去問・解説

(R3 司法 第19問 ア)
個人であるAがBのCに対する債務を保証する場合において、Aが、Bの委託を受けて、Bの事業に係る債務を保証しようとするとき、Bは、保証契約の締結に当たり、Aに対し、Bの財産及び収支の状況について情報を提供しなければならない。

(正答)  

(解説)
465条の10第1項は、「事業に係る」債務についての個人保証に関する特則として、契約締結時の情報の提供義務を定めており、提供するべき情報の1つとして、「主たる債務者」の「財産及び収支の状況」が挙げられている(同条1項1号)。

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