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民法 第120条
条文
第120条(取消権者)
① 行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者(他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為にあっては、当該他の制限行為能力者を含む。)又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。
② 錯誤、詐欺又は強迫によって取り消すことができる行為は、瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人に限り、取り消すことができる。
① 行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者(他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為にあっては、当該他の制限行為能力者を含む。)又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。
② 錯誤、詐欺又は強迫によって取り消すことができる行為は、瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人に限り、取り消すことができる。
過去問・解説
(H18 司法 第32問 2)
所有権に基づく土地明渡請求訴訟において、被告は、原告の所有権取得行為を原告の錯誤によって取り消す旨を主張立証すれば、請求棄却判決を得ることができる。
所有権に基づく土地明渡請求訴訟において、被告は、原告の所有権取得行為を原告の錯誤によって取り消す旨を主張立証すれば、請求棄却判決を得ることができる。
(正答) ✕
(解説)
120条2項は、錯誤を理由とする取消権者について、「瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人」と規定しており、被告は、そのいずれにも当たらないから、取消権者ではない。
したがって、所有権に基づく土地明渡請求訴訟において、被告は、原告の所有権取得行為を原告の錯誤によって取り消す旨を主張立証することで、請求棄却判決を得ることができない。なお、訴訟外で既に原告が取消権を行使している場合に、その効果を被告が援用することは許される。
120条2項は、錯誤を理由とする取消権者について、「瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人」と規定しており、被告は、そのいずれにも当たらないから、取消権者ではない。
したがって、所有権に基づく土地明渡請求訴訟において、被告は、原告の所有権取得行為を原告の錯誤によって取り消す旨を主張立証することで、請求棄却判決を得ることができない。なお、訴訟外で既に原告が取消権を行使している場合に、その効果を被告が援用することは許される。
(H20 司法 第5問 3)
重過失ある表意者が自ら錯誤を理由とする取り消しを主張し得ない以上、相手方又は第三者は、その取り消しを主張することができない。
重過失ある表意者が自ら錯誤を理由とする取り消しを主張し得ない以上、相手方又は第三者は、その取り消しを主張することができない。
(正答) 〇
(解説)
120条2項は、錯誤を理由とする取消権者について、「瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人」と規定しており、錯誤による意思表示の相手方及び第三者は、そのいずれにも当たらない。
120条2項は、錯誤を理由とする取消権者について、「瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人」と規定しており、錯誤による意思表示の相手方及び第三者は、そのいずれにも当たらない。
(H21 司法 第1問 4)
被保佐人が保佐人の同意を得ることを要する行為をその同意を得ないでした場合には、保佐人は、その行為を追認することはできるが、その行為を取り消すことはできない。
被保佐人が保佐人の同意を得ることを要する行為をその同意を得ないでした場合には、保佐人は、その行為を追認することはできるが、その行為を取り消すことはできない。
(正答) ✕
(解説)
13条4項は、「保佐人の同意を得なければならない行為であって、その同意…を得ないでしたものは、取り消すことができる。」と規定している。
そして、120条1項は、「行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者…は…取り消すことができる。」と規定している。
したがって、被保佐人が保佐人の同意を得ることを要する行為をその同意を得ないでした場合には、保佐人は、その行為を取り消すことができる。
13条4項は、「保佐人の同意を得なければならない行為であって、その同意…を得ないでしたものは、取り消すことができる。」と規定している。
そして、120条1項は、「行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者…は…取り消すことができる。」と規定している。
したがって、被保佐人が保佐人の同意を得ることを要する行為をその同意を得ないでした場合には、保佐人は、その行為を取り消すことができる。
(H22 司法 第33問 イ)
未成年であるAの母はBであり、父はCであるが、BがAの親権者であり、BとCは婚姻をしていない。Aが単独で第三者と法律行為をしたがCがこれを追認したときは、Bは、当該法律行為を取り消すことができない。
未成年であるAの母はBであり、父はCであるが、BがAの親権者であり、BとCは婚姻をしていない。Aが単独で第三者と法律行為をしたがCがこれを追認したときは、Bは、当該法律行為を取り消すことができない。
(正答) ✕
(解説)
122条は、「取り消すことができる行為は、第120条に規定する者が追認したときは、以後、取り消すことができない。」と規定している。
未成年であるAの「財産に関する法律行為」における法定代理人は、親権者であるBのみである(824条)から、親権を有しないCは、「制限行為能力者…の代理人」(120条1項)としてAの制限行為能力を理由とする取消権(5条2項)を行使できる者ではない。
したがって、Aが単独で第三者とした法律行為について、Cが追認したとしても、「第120条に規定する者が追認したとき」には当たらない。
よって、Bは、「制限行為能力者…の代理人」(120条1項)として、当該法律行為を取り消すことができる。
122条は、「取り消すことができる行為は、第120条に規定する者が追認したときは、以後、取り消すことができない。」と規定している。
未成年であるAの「財産に関する法律行為」における法定代理人は、親権者であるBのみである(824条)から、親権を有しないCは、「制限行為能力者…の代理人」(120条1項)としてAの制限行為能力を理由とする取消権(5条2項)を行使できる者ではない。
したがって、Aが単独で第三者とした法律行為について、Cが追認したとしても、「第120条に規定する者が追認したとき」には当たらない。
よって、Bは、「制限行為能力者…の代理人」(120条1項)として、当該法律行為を取り消すことができる。
(H23 共通 第19問 4)
未成年者が負っている貸金債務を連帯保証した保証人は、債権者との連帯保証契約の時に未成年者であることを知らなかった場合であっても、未成年者のした貸金契約を保証人としての資格で取り消すことはできない。
未成年者が負っている貸金債務を連帯保証した保証人は、債権者との連帯保証契約の時に未成年者であることを知らなかった場合であっても、未成年者のした貸金契約を保証人としての資格で取り消すことはできない。
(正答) 〇
(解説)
120条1項は、制限行為能力を理由とする取消権者について、「制限行為能力者…又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者」と規定しており、保証人はいずれにも当たらない。
120条1項は、制限行為能力を理由とする取消権者について、「制限行為能力者…又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者」と規定しており、保証人はいずれにも当たらない。
(H24 司法 第2問 1)
制限行為能力者のした契約について、制限行為能力者及びその法定代理人が取消権を有するときは、契約の相手方も取消権を有する。
制限行為能力者のした契約について、制限行為能力者及びその法定代理人が取消権を有するときは、契約の相手方も取消権を有する。
(正答) ✕
(解説)
120条1項は、制限行為能力を理由とする取消権者について、「制限行為能力者…又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者」と規定しており、行為の相手方はいずれにも当たらない。
120条1項は、制限行為能力を理由とする取消権者について、「制限行為能力者…又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者」と規定しており、行為の相手方はいずれにも当たらない。
(H24 司法 第2問 3)
未成年者は、その契約を取り消すことができることを知って契約を締結したときでも、その契約を取り消すことができる。
未成年者は、その契約を取り消すことができることを知って契約を締結したときでも、その契約を取り消すことができる。
(正答) 〇
(解説)
未成年者は、その法定代理人の同意を得ないで契約を締結した場合には、その契約を取り消すことができることを知って契約を締結したときでも、「制限行為能力者」(120条1項)として、5条2項に基づき取消権を行使して、その契約を取り消すことができる。
なお、5条2項に基づく取消権の成否において、未成年者がその契約を取り消すことができることを知っていたか否かは問われない。
未成年者は、その法定代理人の同意を得ないで契約を締結した場合には、その契約を取り消すことができることを知って契約を締結したときでも、「制限行為能力者」(120条1項)として、5条2項に基づき取消権を行使して、その契約を取り消すことができる。
なお、5条2項に基づく取消権の成否において、未成年者がその契約を取り消すことができることを知っていたか否かは問われない。
(H25 司法 第5問 ウ)
Aの所有する土地をBが錯誤により購入し、Bが当該土地を占有するCに対して所有権に基づき明渡しを求めた場合、Bにおいて錯誤による意思表示の取消しを主張する意思がないときは、Cは、当該土地の売買契約の取消しを主張して、その明渡しを拒むことはできない。
Aの所有する土地をBが錯誤により購入し、Bが当該土地を占有するCに対して所有権に基づき明渡しを求めた場合、Bにおいて錯誤による意思表示の取消しを主張する意思がないときは、Cは、当該土地の売買契約の取消しを主張して、その明渡しを拒むことはできない。
(正答) 〇
(解説)
Cは、「瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人」(120条2項)のいずれにも当たらないから、Bの錯誤を理由としてAB間の売買契約の取消しを主張することはできない。
Cは、「瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人」(120条2項)のいずれにも当たらないから、Bの錯誤を理由としてAB間の売買契約の取消しを主張することはできない。
(H27 共通 第2問 4)
AのBに対する甲土地の売買契約の意思表示について錯誤に基づく取消しの要件を満たす場合でも、Aに自らの錯誤を理由としてその意思表示の取消しを主張する意思がないときには、Bは、Aの意思表示の取消しを主張することはできない。
AのBに対する甲土地の売買契約の意思表示について錯誤に基づく取消しの要件を満たす場合でも、Aに自らの錯誤を理由としてその意思表示の取消しを主張する意思がないときには、Bは、Aの意思表示の取消しを主張することはできない。
(正答) 〇
(解説)
錯誤の意思表示の相手方であるBは、「瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人」(120条2項)のいずれにも当たらないから、Aの錯誤を理由としてAの意思表示の取消しを主張することはできない。
錯誤の意思表示の相手方であるBは、「瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人」(120条2項)のいずれにも当たらないから、Aの錯誤を理由としてAの意思表示の取消しを主張することはできない。
(H28 司法 第1問 エ)
未成年者は、法定代理人の同意を得ずにした法律行為を単独で取り消すことができる。
未成年者は、法定代理人の同意を得ずにした法律行為を単独で取り消すことができる。
(正答) 〇
(解説)
未成年者は、5条1項但書に該当する場合を除き、「制限行為能力」(120条1項)として、5条2項に基づく取消権を行使して、法定代理人の同意を得ずにした法律行為を単独で取り消すことができる。
未成年者は、5条1項但書に該当する場合を除き、「制限行為能力」(120条1項)として、5条2項に基づく取消権を行使して、法定代理人の同意を得ずにした法律行為を単独で取り消すことができる。
(R2 共通 第3問 イ)
AのBに対する意思表示がAの錯誤を理由として取り消すことができるものである場合、Bも、Aの錯誤を理由としてAの意思表示を取り消すことができる。
AのBに対する意思表示がAの錯誤を理由として取り消すことができるものである場合、Bも、Aの錯誤を理由としてAの意思表示を取り消すことができる。
(正答) ✕
(解説)
錯誤の意思表示の相手方であるBは、「瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人」(120条2項)のいずれにも当たらないから、Aの錯誤を理由としてAの意思表示を取り消すことはできない。
錯誤の意思表示の相手方であるBは、「瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人」(120条2項)のいずれにも当たらないから、Aの錯誤を理由としてAの意思表示を取り消すことはできない。
(R2 司法 第36問 ア)
錯誤によって取り消すことができる行為は、錯誤による意思表示をした者の契約上の地位の承継人も、取り消すことができる。
錯誤によって取り消すことができる行為は、錯誤による意思表示をした者の契約上の地位の承継人も、取り消すことができる。
(正答) 〇
(解説)
錯誤を理由とする取消権者には、「瑕疵ある意思表示をした者…の…承継人」も含まれる(120条2項)。
錯誤を理由とする取消権者には、「瑕疵ある意思表示をした者…の…承継人」も含まれる(120条2項)。
(R4 共通 第1問 ウ)
親権者の同意を得ずに契約を締結した未成年者は、成年に達するまでは、親権者の同意を得なければ、自らその契約を取り消すことができない。
親権者の同意を得ずに契約を締結した未成年者は、成年に達するまでは、親権者の同意を得なければ、自らその契約を取り消すことができない。
(正答) ✕
(解説)
未成年者は、5条1項但書に該当する場合を除き、「制限行為能力」(120条1項)として、5条2項に基づく取消権を行使して、法定代理人である親権者の同意を得ずに締結した契約を単独で取り消すことができ、成人に達することは不要である。
これに対し、未成年者は、成人に達するまでは、「取消しの原因となっていた状況が消滅し」たとはいえないから、単独で追認をすることができない(124条1項)。
未成年者は、5条1項但書に該当する場合を除き、「制限行為能力」(120条1項)として、5条2項に基づく取消権を行使して、法定代理人である親権者の同意を得ずに締結した契約を単独で取り消すことができ、成人に達することは不要である。
これに対し、未成年者は、成人に達するまでは、「取消しの原因となっていた状況が消滅し」たとはいえないから、単独で追認をすることができない(124条1項)。
(R4 司法 第2問 ア)
成年被後見人が土地の贈与を受けた場合、その後見人は、その贈与を取り消すことができない。
成年被後見人が土地の贈与を受けた場合、その後見人は、その贈与を取り消すことができない。
(正答) ✕
(解説)
9条は、本文において「成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。」と規定する一方で、但書において「ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。」と規定している。そして、土地の贈与は、「日用品の購入その他日常生活に関する行為」には当たらないから、9条但書の適用はない。
また、成年被後見人の法律行為の取消しついて規定している9条には、未成年者の法律行為の取消しについて規定している5条と異なり、「ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。」(5条1項但書)という例外は設けられていない。そのため、成年被後見人を受贈者とする贈与について、「単に権利を得…る法律行為」であることを理由として取消権を否定することもできない。
したがって、成年後見人は、「制限行為能力者…の代理人」(120条1項)として、土地の贈与を取り消すことができる。
9条は、本文において「成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。」と規定する一方で、但書において「ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。」と規定している。そして、土地の贈与は、「日用品の購入その他日常生活に関する行為」には当たらないから、9条但書の適用はない。
また、成年被後見人の法律行為の取消しついて規定している9条には、未成年者の法律行為の取消しについて規定している5条と異なり、「ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。」(5条1項但書)という例外は設けられていない。そのため、成年被後見人を受贈者とする贈与について、「単に権利を得…る法律行為」であることを理由として取消権を否定することもできない。
したがって、成年後見人は、「制限行為能力者…の代理人」(120条1項)として、土地の贈与を取り消すことができる。
(R4 共通 第4問 ア)
取り消すことができる法律行為に基づく債務を保証した者は、その法律行為を取り消すことができない。
取り消すことができる法律行為に基づく債務を保証した者は、その法律行為を取り消すことができない。
(正答) 〇
(解説)
120条1項は、制限行為能力を理由とする取消権者について、「制限行為能力者…又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者」と規定しており、保証人はいずれにも当たらない。
120条1項は、制限行為能力を理由とする取消権者について、「制限行為能力者…又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者」と規定しており、保証人はいずれにも当たらない。