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民法 第200条

条文
第200条(占有回収の訴え)
① 占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の返還及び損害の賠償を請求することができる。
② 占有回収の訴えは、占有を侵奪した者の特定承継人に対して提起することができない。ただし、その承継人が侵奪の事実を知っていたときは、この限りでない。
過去問・解説
(H24 共通 第10問 1)
Aは、Bから動産甲を買い受け、占有改定の方法で引渡しを受けたが、その後、Bは、動産甲をCに奪われてしまった。この場合、Aは、所有権に基づいてCに対して動産甲の返還を請求することができるのみでなく、Cに対して占有回収の訴えを起こすことができる。

(正答)  

(解説)
Aは、占有改定の方法(183条)により動産甲の引渡しを受けたのだから、動産甲の「占有者」に当たる。
したがって、Aは、Cにより動産甲の「占有を奪われた」として、Cに対して占有回収の訴え(200条1項)を起こすことができる。

(H26 司法 第10問 3)
A大学の図書館所蔵の書籍甲を、同大学教授Bが借り出し、図書館と同一の構内にある自己の研究室で利用していた。Bが研究室から自宅に甲を持ち帰る途中、電車内に甲を置き忘れたところ、Fがこれを拾得して現に所持している場合、Bは、Fに対し、占有回収の訴えにより甲の返還を求めることができる。

(正答)  

(解説)
占有回収の訴え(200条1項)は、「占有を奪われたとき」に限り認められるものである。ここでいう「占有を奪われたとき」とは、占有者がその意思に反して占有を奪われることを意味し、詐取や遺失はこれに当たらない(大判大11.11.28)。
他主占有者であるBは、電車内に甲を置き忘れただけであり、FがBの意思に反して甲を奪ったわけではないから、「占有を奪われたとき」には該当しない。
したがって、Bは、Fに対し、占有回収の訴え(200条1項)により甲の返還を求めることはできない。

(H26 予備 第5問 1)
Aが所有して占有する動産を奪ったBが、この動産をCに売って引き渡した場合について、Cが、Bによる占有侵奪の事実を知っていたときは、AはCに対して占有回収の訴えを提起することができる。

(正答)  

(解説)
200条2項は、本文において「占有回収の訴えは、占有を侵奪した者の特定承継人に対して提起することができない。」と規定する一方で、但書において「ただし、その承継人が侵奪の事実を知っていたときは、この限りでない。」と規定している。Cが、Bによる占有侵害の事実を知っていたときは、「その承継人が侵奪の事実を知っていたとき」に当たるから、AはCに対して占有回収の訴えを提起することができる。

(R2 司法 第9問 ア)
Aは自己の所有するコピー機をBに賃貸していたが、Bはコピー機の賃貸借契約が終了した後もコピー機を使用し続け、Aに返還しなかった。この場合、Aは、Bに対し、占有回収の訴えによりコピー機の返還を請求することができる。

(正答)  

(解説)
占有回収の訴え(200条1項)は、「占有を奪われたとき」に限り認められるものである。ここでいう「占有を奪われたとき」とは、占有者がその意思に反して占有を奪われることを意味し、詐取や遺失はこれに当たらない(大判大11.11.28)。
Aはコピー機をBに賃貸したところ、Bがコピー機の賃貸借契約が終了した後もコピー機をAに返還しなかっただけであり、BがAの意思に反してその占有を奪ったわけではないから、「占有を奪われたとき」に当たらない。
したがって、Aは、Bに対し、占有回収の訴え(200条1項)によりコピー機の返還を請求することができる。

(R5 司法 第10問 エ)
Aが所有し占有する動産甲を窃取したBが、その事実につき善意であるCに甲を売却し引き渡した場合、Aは、Cに対して、占有回収の訴えによって甲の返還を求めることができない。

(正答)  

(解説)
200条2項は、本文において「占有回収の訴えは、占有を侵奪した者の特定承継人に対して提起することができない。」と規定する一方で、但書において「ただし、その承継人が侵奪の事実を知っていたときは、この限りでない。」と規定している。Cは、Bによる「侵奪の事実」につき善意であるから、「その承継人が侵奪の事実を知っていたとき」には当たらない。
したがって、Aは、Cに対して、占有回収の訴え(200条1項)によって甲の返還を求めることができない。
総合メモ
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