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民法 第557条

条文
第557条(手付)
① 買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。
② 第545条第4項の規定は、前項の場合には、適用しない。
過去問・解説
(H19 司法 第24問 1)
Aは、その所有する甲土地をBに売却する契約(以下「本契約」という。)を結び、BはAに手付を交付した。Aが解除する場合、Aが手付の倍額をBに提供しなくても、本契約を手付により解除する旨の通知がBに到達した時、解除の効果が発生する。

(正答)  

(解説)
557条1項本文は、「買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。」と規定している。
したがって、売主Aは、Bに対して手付の「倍額を現実に提供」しなければ、解約手付により売買契約を解除することができない。

(H19 司法 第24問 3)
Aは、その所有する甲土地をBに売却する契約(以下「本契約」という。)を結び、BはAに手付を交付した。Bが手付のほか内金をAに支払った後に、Bが本契約を手付により解除する場合、Bは、Aに対し内金の返還を請求することはできない。

(正答)  

(解説)
557条1項は、本文において「買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。」と規定する一方で、但書において「ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。」と規定する。
買主Bは、手付のほかに内金をAに支払うことで、売買契約に基づく代金支払債務の履行に着手しているが、手付解除権の消滅原因となる「相手方が契約の履行に着手した」とは、売主が売買契約の履行に着手したことを意味する。したがって、売主Aが売買契約の履行に着手していない以上、「相手方が契約の履行に着手したとき」に当たらないから、Bは、本契約を手付により解除して(557条1項本文)、Aに対し内金の返還を請求する(545条1項本文)ことができる。

(H20 司法 第21問 ウ)
売主Xと買主Yとの間の売買契約において手付が交付された場合において、Yが手付を放棄して契約を解除した場合、X及びYに損害賠償義務は生じない。

(正答)  

(解説)
545条4項は、「解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない。」と規定しているところ、557条2項は、「第545条第4項の規定は、前項の場合には、適用しない。」として、手付解除の場合について、545条4項の適用を排除している。したがって、手付解除をした場合、当事者の一方又は双方に債務不履行があったとしても、債務不履行に基づく損害賠償請求権(415条)は発生しない。

(H26 共通 第23問 エ)
買主が売主に手付を交付した場合、売主が手付の倍額を償還して契約を解除するためには、口頭により手付の倍額を償還する旨を告げ、その受領を催告すれば足りる。

(正答)  

(解説)
557条1項本文は、売主による手付解除について、「手付…の倍額を現実に提供」することを必要としている。

(H28 司法 第24問 ア)
解約手付の授受された売買契約の買主は、自ら履行に着手した場合でも、売主が履行に着手するまでは、手付を放棄して売買契約の解除をすることができる。

(正答)  

(解説)
557条1項は、本文において「買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。」と規定する一方で、但書において「ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。」と規定する。そして、手付解除権の消滅原因となる「相手方が契約の履行に着手した」とは、売主が売買契約の履行に着手したことを意味する。
本肢の事例では、買主が自ら履行に着手しているにとどまるから、売主が履行に着手するまでは、「相手方が契約の履行に着手したとき」に当たらないため、手付を放棄して売買契約の解除をすることができる。

(R4 司法 第24問 イ)
買主は、売主が契約の履行に着手していても、自ら履行に着手するまでは、解約手付による解除をすることができる。

(正答)  

(解説)
557条1項は、本文において「買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。」と規定する一方で、但書において「ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。」と規定する。そして、手付解除権の消滅原因となる「相手方が契約の履行に着手した」とは、売主が売買契約の履行に着手したことを意味する。
したがって、買主は、自ら履行に着手していなくても、売主が契約の履行に着手している以上、「相手方が契約の履行に着手したとき」に当たるから、解約手付による解除をすることができない。

(R4 司法 第24問 ウ)
買主は、自ら契約の履行に着手していても、売主が履行に着手するまでは、解約手付による解除をすることができる。

(正答)  

(解説)
557条1項は、本文において「買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。」と規定する一方で、但書において「ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。」と規定する。そして、手付解除権の消滅原因となる「相手方が契約の履行に着手した」とは、売主が売買契約の履行に着手したことを意味する。
買主は、自ら契約の履行に着手していても、売主が履行に着手するまでは、「相手方が契約の履行に着手したとき」に当たらないから、解約手付による解除をすることができる。

(R4 司法 第24問 エ)
売主は、買主に対し、手付金の倍額を償還する旨を口頭で告げて、解約手付による解除をすることができる。

(正答)  

(解説)
557条1項本文は、売主による手付解除について、「手付…の倍額を現実に提供」することを必要としている。

(R4 司法 第24問 オ)
買主が解約手付による解除をした場合、売主に手付金の額を超える損害が生じたとしても、買主は損害賠償義務を負わない。

(正答)  

(解説)
545条4項は、「解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない。」と規定しているところ、557条2項は、「第545条第4項の規定は、前項の場合には、適用しない。」として、手付解除の場合について、545条4項の適用を排除している。したがって、手付解除をした場合、当事者の一方又は双方に債務不履行があったとしても、債務不履行に基づく損害賠償請求権(415条)は発生しない。
総合メモ
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