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正当防衛(急迫不正の侵害) - 解答モード

刑法36、37条の「急迫の侵害」と「現在の危難」の意義 最一小判昭和24年8月18日

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概要
①36条にいう「急迫」とは、法益の侵害が間近に押し迫ったことすなわち法益侵害の危險が緊迫したことを意味するのであって、被害の現在性を意味するものではない。
②37条にいう「現在の危難」についても、ほぼ①と同様である。
判例
事案:刑法36、37条における「急迫の侵害」と「現在の危難」の意義が問題となった。

判旨:「刑法36条にいわゆる急追の侵害における『急迫』とは、法益の侵害が間近に押し迫ったことすなわち法益侵害の危険が緊迫したことを意味するのであって、被害の現在性を意味するものではない。けだし、被害の緊迫した危険にある者は、加害者が現に被害を与えるに至るまで、正当防衛することを待たねばならぬ道理はないからである。また刑法37条にいわゆる『現在の危難』についても、ほぼこれと同様のことが言い得るわけである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H24 予備 第2問 1)
刑法第36条にいう「急迫」とは、法益が侵害される危険が切迫していることをいい、被害の現在性を意味するものではない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭24.8.18)は、「刑法第36条にいわゆる急迫の侵害における『急迫』とは、法益の侵害が間近に押し迫ったことすなわち法益侵害の危險が緊迫したことを意味するのであって、被害の現在性を意味するものではない。」としている。


全体の正答率 : 100%

(H29 司法 第5問 1)
正当防衛は、法益の侵害が現に存在している場合のほか、法益の侵害が間近に差し迫っている場合にも成立する余地があるが、緊急避難は、危難が間近に差し迫っている場合に成立する余地はない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭24.8.18)は、「刑法36条にいわゆる急追の侵害における『急迫』とは、法益の侵害が間近に押し迫ったことすなわち法益侵害の危険が緊迫したことを意味する…。」とした上で、「また刑法37条にいわゆる『現在の危難』についても、ほぼこれと同様のことが言い得るわけである。」としている。
したがって、緊急避難についても、危難が間近に差し迫っている場合に成立する余地がある。


全体の正答率 : 100%

(R5 司法 第12問 ウ)
緊急避難における現在の危難は、危難が現に存在している場合のみならず、間近に押し迫っている場合も含む。

(正答)

(解説)
判例(最判昭24.8.18)は、「刑法36条にいわゆる急追の侵害における『急迫』とは、法益の侵害が間近に押し迫ったことすなわち法益侵害の危険が緊迫したことを意味する…。」とした上で、「また刑法37条にいわゆる『現在の危難』についても、ほぼこれと同様のことが言い得るわけである。」としている。
したがって、緊急避難における現在の危難は、危難が現に存在している場合のみならず、間近に押し迫っている場合も含む。

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刑法36条にいう「急迫」の意義 最三小判昭和46年11月16日

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概要
①36条にいう「急迫」とは、法益の侵害が現に存在しているか、または間近に押し迫っていることを意味し、その侵害があらかじめ予期されていたものであるとしても、そのことからただちに急迫性を失うものと解すべきではない。
②36条の防衛行為は、防衛の意思をもってなされることが必要であるが、相手の加害行為に対し憤激または逆上して反撃を加えたからといって、ただちに防衛の意思を欠くものと解すべきではない。
判例
事案:被害者と被告人が言い争いとなり被害者に手拳で殴打されたことから、自己の身体を防衛するためその必要な程度を超え、殴りかかってきた被害者の左胸部を突き刺し、死亡させた事案において、急迫性の意義と正当防衛における防衛の意思の必要性が問題となった。

判旨:①「刑法36条にいう『急迫』とは、法益の侵害が現に存在しているか、または間近に押し迫っていることを意味し、その侵害があらかじめ予期されていたものであるとしても、そのことからただちに急迫性を失うものと解すべきではない。」
 ②「刑法36条の防衛行為は、防衛の意思をもってなされることが必要であるが、相手の加害行為に対し憤激または逆上して反撃を加えたからといって、ただちに防衛の意思を欠くものと解すべきではない。…かねてから被告人がVに対し憎悪の念をもち攻撃を受けたのに乗じ積極的な加害行為に出たなどの特別な事情が認められないかぎり、被告人の反撃行為は防衛の意思をもってなされたものと認めるのが相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H23 予備 第1問 1)
甲は、乙が甲所有の自動車を盗むのを目撃し、これを追跡したものの見失い、その翌日、窃取された場所から約2キロメートル離れた路上で、乙がその自動車から降りて立ち去ったのを認めた。甲は、乙がすぐに戻って来る様子であったので、直ちにその自動車を運転し、自宅に戻った。この場合、甲には正当防衛が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭46.11.16)は、「刑法36条にいう『急迫』とは、法益の侵害が現に存在しているか、または間近に押し迫っていることを意味し、その侵害があらかじめ予期されていたものであるとしても、そのことからただちに急迫性を失うものと解すべきではない。」としている。
窃盗は状態犯であり、盗んだ時点で犯罪が成立し、同時に終了するところ、甲は、翌日、窃取された場所から約2キロメートル離れた路上で発見したにすぎず、自転車を取り返した段階では既に窃取行為は終了しているから、法益の侵害が現に存在しているか、または間近に押し迫っているとはいえず、急迫性の要件を満たさない。
したがって、甲には正当防衛が成立しない。


全体の正答率 : 100%

(H23 予備 第1問 3)
甲は、乙ら数名の男によって監禁されたが、監禁されて2週間後、たまたま見張りが乙1人になったので、監禁場所から脱出するため、乙の顔面を1回殴打して乙がひるんだ隙にそこから逃げた。この場合、甲には正当防衛が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭46.11.16)は、「刑法36条にいう『急迫』とは、法益の侵害が現に存在しているか、または間近に押し迫っていることを意味し、その侵害があらかじめ予期されていたものであるとしても、そのことからただちに急迫性を失うものと解すべきではない。」としている。
監禁罪は、継続犯であるから、監禁行為が継続している間は、急迫不正の侵害が継続しているといえるところ、たまたま見張りが乙1人になった時点においても、法益の侵害が現に存在しているといえる。
また、甲は乙の顔面を1回殴打したに過ぎないから防衛行為の相当性も認められ、「やむを得ずにした行為」に当たる。
したがって、甲には正当防衛が成立する。


全体の正答率 : 100%

(H25 共通 第13問 2)
憎悪や怒りの念を抱いて侵害者に対する反撃行為に及んだ場合には、防衛の意思を欠く結果、防衛のための行為と認められることはない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭46.11.16)は、「刑法36条の防衛行為は、防衛の意思をもってなされることが必要であるが、相手の加害行為に対し憤激または逆上して反撃を加えたからといって、ただちに防衛の意思を欠くものと解すべきではない。」としている。
したがって、憎悪や怒りの念を抱いて侵害者に対する反撃行為に及んだ場合でも、防衛の意思が認められることがある。


全体の正答率 : 100%

(R3 司法 第17問 1)
刑法第36条第1項における「急迫」というには、法益の侵害が現に存在していることを要する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭46.11.16)は、「刑法36条にいう『急迫』とは、法益の侵害が現に存在しているか、または間近に押し迫っていることを意味し、その侵害があらかじめ予期されていたものであるとしても、そのことからただちに急迫性を失うものと解すべきではない。」としている。
したがって、刑法第36条第1項における「急迫」という要件は、現に存在しなくても、間近に迫っていても認められる。


全体の正答率 : 100%

(R5 司法 第18問 5)
急迫不正の侵害に対して憤激又は逆上して反撃を加えた場合でも、正当防衛は成立し得る。

(正答)

(解説)
判例(最判昭46.11.16)は、「刑法36条の防衛行為は、防衛の意思をもってなされることが必要であるが、相手の加害行為に対し憤激または逆上して反撃を加えたからといって、ただちに防衛の意思を欠くものと解すべきではない。」としている。
したがって、急迫不正の侵害に対して憤激又は逆上して反撃を加えた場合でも、正当防衛は成立し得る。

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36条における侵害の急迫性 最一小決昭和52年7月21日

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概要
36条における侵害の急迫性は、当然又はほとんど確実に侵害が予期されただけで失われるものではないが、その機会を利用し積極的に相手に対して加害行為をする意思で侵害に臨んだときは失われることになる。
判例
事案:相手の攻撃を当然に予想しながら、単なる防衛の意図ではなく、積極的攻撃、闘争、加害の意図をもって臨んだという事案において、36条の「急迫性」が認められるかが問題となった。

判旨:「刑法36条が正当防衛について侵害の急迫性を要件としているのは、予期された侵害を避けるべき義務を課する趣旨ではないから、当然又はほとんど確実に侵害が予期されたとしても、そのことからただちに侵害の急迫性が失われるわけではないと解するのが相当である。しかし、同条が侵害の急迫性を要件としている趣旨から考えて、単に予期された侵害を避けなかったというにとどまらず、その機会を利用し積極的に相手に対して加害行為をする意思で侵害に臨んだときは、もはや侵害の急迫性の要件を充たさないものと解するのが相当である。そうして、原判決によると、被告人は、相手の攻撃を当然に予想しながら、単なる防衛の意図ではなく、積極的攻撃、闘争、加害の意図をもって臨んだというのであるから、これを前提とする限り、侵害の急迫性の要件を充たさないものというべきであって、その旨の原判断は、結論において正当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H20 司法 第3問 イ)
正当防衛は、急迫の侵害に対して成立するから、反撃行為を行った者が侵害を予期していた場合には正当防衛は成立し得ない。

(正答)

(解説)
判例(最決昭52.7.21)は、「侵害の急迫性を要件としている趣旨から考えて、単に予期された侵害を避けなかったというにとどまらず、その機会を利用し積極的に相手に対して加害行為をする意思で侵害に臨んだときは、もはや侵害の急迫性の要件を充たさないものと解するのが相当である。」としており、単に侵害を予期していた程度では急迫性が失われることにはならないといえる。
したがって、反撃行為を行った者が侵害を予期していた場合にも、正当防衛は成立し得る。


全体の正答率 : 100%

(H22 司法 第4問 2)
相手方による侵害を予期していた者が、それを避けずにその侵害に臨み、予期された侵害に対し反撃した場合、正当防衛が成立する余地はない。

(正答)

(解説)
判例(最決昭52.7.21)は、「侵害の急迫性を要件としている趣旨から考えて、単に予期された侵害を避けなかったというにとどまらず、その機会を利用し積極的に相手に対して加害行為をする意思で侵害に臨んだときは、もはや侵害の急迫性の要件を充たさないものと解するのが相当である。」としており、単に侵害を予期していた程度では急迫性が失われることにはならないといえる。
したがって、相手方による侵害を予期していた者が、それを避けずにその侵害に臨み、予期された侵害に対し反撃した場合にも、正当防衛の成立が認められることがある。


全体の正答率 : 100%

(H25 共通 第13問 1)
正当防衛について侵害の急迫性を要件としているのは、予期された侵害を避けるべき義務を課する趣旨ではないが、単に予期された侵害を避けなかったというにとどまらず、その機会を利用し積極的に相手に対して加害行為をする意思で侵害に臨んだときは、侵害の急迫性の要件を欠く結果、そのような侵害に対する反撃行為に正当防衛が認められることはない。

(正答)

(解説)
判例(最決昭52.7.21)は、「侵害の急迫性を要件としている趣旨から考えて、単に予期された侵害を避けなかったというにとどまらず、その機会を利用し積極的に相手に対して加害行為をする意思で侵害に臨んだときは、もはや侵害の急迫性の要件を充たさないものと解するのが相当である。」としている。


全体の正答率 : 100%

(R1 共通 第15問 1)
当然又はほとんど確実に侵害が予期された場合において、単に予期された侵害を避けなかったにとどまらず、その機会を利用して積極的に相手方に対し加害行為をする意思で暴行に及んだときは、その暴行行為については、正当防衛が成立する余地はない。

(正答)

(解説)
判例(最決昭52.7.21)は、「侵害の急迫性を要件としている趣旨から考えて、単に予期された侵害を避けなかったというにとどまらず、その機会を利用し積極的に相手に対して加害行為をする意思で侵害に臨んだときは、もはや侵害の急迫性の要件を充たさないものと解するのが相当である。」としている。
したがって、当該暴行行為について、正当防衛が成立する余地はない。

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侵害の急迫性 最決平成29年4月26日

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概要
刑法36条は、急迫不正の侵害という緊急状況の下で公的機関による法的保護を求めることが期待できないときに、侵害を排除するための私人による対抗行為を例外的に許容したものである。したがって、行為者が侵害を予期した上で対抗行為に及んだ場合、侵害の急迫性の要件については、侵害を予期していたことから、直ちにこれが失われると解すべきではなく、対抗行為に先行する事情を含めた行為全般の状況に照らして検討すべきである。
判例
事案:侵害を予期した上で対抗行為に及んだという事案において、36条の急迫性の判断方法が問題となった。

判旨:「刑法36条は、急迫不正の侵害という緊急状況の下で公的機関による法的保護を求めることが期待できないときに、侵害を排除するための私人による対抗行為を例外的に許容したものである。したがって、行為者が侵害を予期した上で対抗行為に及んだ場合、侵害の急迫性の要件については、侵害を予期していたことから、直ちにこれが失われると解すべきではなく、対抗行為に先行する事情を含めた行為全般の状況に照らして検討すべきである。具体的には、事案に応じ、行為者と相手方との従前の関係、予期された侵害の内容、侵害の予期の程度、侵害回避の容易性、侵害場所に出向く必要性、侵害場所にとどまる相当性、対抗行為の準備の状況(特に、凶器の準備の有無や準備した凶器の性状等)、実際の侵害行為の内容と予期された侵害との異同、行為者が侵害に臨んだ状況及びその際の意思内容等を考慮し、行為者がその機会を利用し積極的に相手方に対して加害行為をする意思で侵害に臨んだときなど、前記のような刑法36条の趣旨に照らし許容されるものとはいえない場合には、侵害の急迫性の要件を充たさないものというべきである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(R3 共通 第20問 エ)
甲が果物ナイフで乙の腹部を突き刺した行為については、乙から襲撃を受けることを予期し、凶器ともいえるナイフを準備している以上、その予期の程度にかかわらず、侵害の急迫性を欠くものといえ、正当防衛又は過剰防衛は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最決平29.4.26)は、「侵害の急迫性の要件については、対抗行為に先行する事情を含めた行為全般の状況に照らして検討すべきであり、事案に応じ、行為者と相手方との従前の関係、予期された侵害の内容、侵害の予期の程度、侵害回避の容易性、侵害場所に出向く必要性、侵害場所にとどまる相当性、対抗行為の準備の状況(特に、凶器の準備の有無や準備した凶器の性状等)、実際の侵害行為の内容と予期された侵害との異同、行為者が侵害に臨んだ状況及びその際の意思内容等を考慮し、緊急状況の下で公的機関による法的保護を求めることが期待できないときに私人による対抗行為を許容した刑法36条の趣旨に照らし許容されるものとはいえない場合には、侵害の急迫性の要件を充たさない。」としており、単に侵害行為をを予期していたことのみをもって正当防衛の成立が認められなくなるわけではない。
したがって、甲については、「対抗行為に先行する事情を含めた行為全般の状況」によっては、侵害の急迫性が認められ、正当防衛又は過剰防衛が成立し得る。

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