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共同正犯 - 解答モード

現場共謀の成否 大判大正3年7月14日

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概要
共同正犯は、事前共謀の場合のみならず、現場共謀の場合も成立する。
判例
事案:数人が共同して他人に暴行を加えた事案において、現場共謀が共同正犯の要件である「共同して」に当たるかが問題となった。

判旨:「数人カ共同シテ他人ニ暴行ヲ加ヘタル場合ニ於テ其間ニ意思ノ連絡アルトキハ之ニ対シ刑法第60条ヲ適用シ各自ヲ正犯トシテ刑ヲ科スヘク其暴行カ共同者ノ予謀ニ出テタルト否トヲ区別スルコトナシ」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H22 司法 第5問 エ)
 甲は、人通りの少ない道路を通行中、知人の乙が見知らぬ丙を「金を出せ。」と言いながらロープで縛り上げ、丙を道路脇の草むらの中に連れ込むのを偶然目撃した。その後、甲は、草むらの中に入り、同所で、丙の所持金を奪って山分けすることを乙と合意した上で、乙が緩んでいたロープをきつく縛り直した後、丙の所持金をその上着のポケットから奪った。甲には、強盗罪の共同正犯が成立する。

(正答)

(解説)
判例(大判大3.7.14)は、本肢と同種の事案において、「数人カ共同シテ他人ニ暴行ヲ加ヘタル場合ニ於テ其間ニ意思ノ連絡アルトキハ之ニ対シ刑法第60条ヲ適用シ各自ヲ正犯トシテ刑ヲ科スヘク其暴行カ共同者ノ予謀ニ出テタルト否トヲ区別スルコトナシ」として、他の実行者と犯行の現場において初めて意思連絡をしても共謀は成立するとしている。この場合における共謀を、事前共謀という。
甲は、知人の乙が見知らぬ丙を「金を出せ。」と言いながらロープで縛り上げ、丙を道路脇の草むらの中に連れ込むのを偶然目撃したにすぎず、事前に共謀がないが、丙の所持金を奪って山分けすることを乙と合意したことで現場共謀が成立している。
したがって、甲に強盗罪の共同正犯が成立する。

該当する過去問がありません

共同正犯と意思連絡の要否 大判大正11年2月25日

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概要
共同正犯が成立するには犯行者相互間に意思の連絡があることを要する。
判例
事案:共同正犯の要件として、相互に意思連絡をすることが必要であるかが問題となった。

判旨:「刑法第六十條ニ二人以上共同シテ犯罪ヲ實行シタル者ハ皆正犯トスト規定シ行爲者各自カ犯罪要素ノ一部ヲ實行スルニ拘ラス其ノ實行部分ニ應シテ責任ヲ負擔スルコトナク各自犯罪全部ノ責任ヲ負フ所以ハ共同正犯カ單獨正犯ト異リ行爲者相互間ニ意思ノ連絡即共同犯行ノ認識アリテ互ニ他ノ一方ノ行爲ヲ利用シ全員協力シテ犯罪事實ヲ發現セシムルニ由ル然ルニ若シ行爲者間ニ意思ノ連絡ヲ缺カンカ縱令其ノ一人カ他ノ者ト共同犯行ノ意思ヲ以テ其ノ犯罪ニ參加シタリトスルモ全員ノ協力ニ因リテ犯罪事實ヲ實行シタルモノト謂フヲ得サルカ故ニ共同正犯ノ成立ヲ認ムルヲ得サルモノトス故ニ共同正犯トシテ問擬スルニハ判文中行爲者相互ノ間ニ意思ノ連絡アリタルコトヲ認ムルニ足ルヘキ事實理由ノ明示ナカルヘカラス然ルニ原判示ニ依レハ被告想市ニ對シ刑法第六十條適用シ脅迫住居侵入建造物損壞器物毀棄傷害罪ノ法條ニヨリ同被告ヲ處分シタルニ拘ラス其ノ事實理由ニハ單ニ被告想市ハ被告浮松等カ新藏方ヘ押寄セタルコトヲ聞知シ其ノ襲撃ニ參加シ右被告等ト共ニ新藏方住宅内ニ石煉瓦等ヲ投込ミ且拔刀ヲ振ツテ屋内ニ侵入シ之ヲ疊ニ突キ立テナカラ新藏等ニ對シ(以下中畧)脅迫シ前記被告等ノ犯行ニ加擔シタリトアルノミニシテ被告想市ト他ノ被告トノ間ニ叙上脅迫侵入建造物損壞器物毀棄及傷害ノ各犯行ヲ共同實行スヘキ意思連絡アリタルヤ否詳カナラス從テ被告想市ノ行爲カ共同正犯トシテ前記各罪ヲ構成スルヤ否之ヲ知ルニ由ナキヲ以テ原判決ハ此ノ點ニ於テ理由不備ノ不法アリ同判決中被告想市ニ關スル部分ハ破毀ヲ免レス」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H20 司法 第5問 イ)
甲と乙が、丙に対して同時に1発ずつけん銃を発射し、そのうち1発は丙の頭部をかすめたものの命中せず、もう1発が丙の頭部に命中し、それにより丙は死亡した。丙の頭部に命中した銃弾が甲乙いずれのけん銃から発射されたものであるかは判明しなかった。甲は、乙がけん銃を発射することを知り、乙と共同して丙を殺害する意思で自らもけん銃を発射したが、乙は、甲がけん銃を発射することも丙を殺害しようとしていることも知らないまま、自分1人で丙を殺害する意思をもってけん銃を発射した場合、甲には殺人罪の共同正犯が成立し、乙には殺人未遂罪の単独犯が成立する。

(正答)

(解説)
判例(大判大11.2.25)は、「若シ行爲者間ニ意思ノ連絡ヲ缺カンカ縱令其ノ1人カ他ノ者ト共同犯行ノ意思ヲ以テ其ノ犯罪ニ參加シタリトスルモ全員ノ協力ニ因リテ犯罪事實ヲ實行シタルモノト謂フヲ得サルカ故ニ共同正犯ノ成立ヲ認ムルヲ得サルモノトス」として、意思連絡を欠く片面的共同正犯を否定している。
乙は、甲がけん銃を発射することも丙を殺害しようとしていることも知らないから、相互の意思連絡があるとはいえず片面的共同正犯となる。
したがって、甲に殺人罪の共同正犯は成立しない。


全体の正答率 : 100%

(H22 司法 第5問 イ)
甲は、人通りの少ない道路を通行中、知人の乙が見知らぬ丙を「金を出せ。」と言いながらロープで縛り上げ、丙を道路脇の草むらの中に連れ込むのを偶然目撃した。甲が、乙が立ち去ったのを見届けてから草むらの中に入ったところ、丙が縛られたままでいたので、甲は、丙が身に付けていた腕時計を奪った。強盗罪の共同正犯が成立するか。

(正答)

(解説)
判例(大判大11.2.25)は、「若シ行爲者間ニ意思ノ連絡ヲ缺カンカ縱令其ノ1人カ他ノ者ト共同犯行ノ意思ヲ以テ其ノ犯罪ニ參加シタリトスルモ全員ノ協力ニ因リテ犯罪事實ヲ實行シタルモノト謂フヲ得サルカ故ニ共同正犯ノ成立ヲ認ムルヲ得サルモノトス」として、意思連絡を欠く片面的共同正犯を否定している。
甲は、乙との間で何ら意思の連絡もないから、行為者間に意思の連絡を欠いているといえる。
したがって、強盗罪の共同正犯は成立しない。


全体の正答率 : 0%

(H24 共通 第15問 4)
【事例】
 甲と乙は、V経営の食料品店で買った弁当を食べたら食中毒になった旨の嘘を言って因縁を付けてVを脅迫するとともに、同人に軽度の暴行を加え、これらの暴行・脅迫により同人を畏怖させて、損害賠償金の名目で50万円を支払わせ、これを分配することを計画した。乙は、計画に従い、同店に行き、Vに対し、「この店の弁当を食べたら食中毒になった。店の営業を続けたければ50万円払え。払わないと、この店の弁当で食中毒になったと書いたビラをばらまくぞ。」と語気鋭く申し向けた上、Vの額を手の平成で軽くたたいた。Vは、これをよけようとした際、バランスを崩して転倒し、全治約1週間を要する後頭部打撲の怪我を負った。
 Vは、乙が食中毒になったことは嘘であると気付いたが、乙の要求に応じないと、更に暴力を振るわれたり、店を中傷するビラをまかれるかもしれないと畏怖し、手持ちの現金30万円を乙に渡し、残りの20万円は翌日支払うことで乙を納得させた。
 乙は、同店を出て、甲と会い、前記経緯を説明した上、Vから受け取った30万円のうち15万円を分け前として甲に渡した。
 乙は、翌日、同店を訪れてVから残りの20万円を受け取ろうとしたが、通報を受けた警察官が同店近くにいたので、20万円の受取は断念した。
 乙は、甲に事前に相談することなく、腹いせに、「V経営の食料品店で買った弁当を食べた客が食中毒になった。」という虚偽の事実が書かれたビラを多数の者に配った。
 なお、甲は、乙がVに怪我を負わせることや前記ビラを配ることを予想していなかった。
【記述】
虚偽のビラを配ったことについて、甲には、信用毀損罪も業務妨害罪も成立しない。

(正答)

(解説)
判例(大判大11.2.25)は、「若シ行爲者間ニ意思ノ連絡ヲ缺カンカ縱令其ノ1人カ他ノ者ト共同犯行ノ意思ヲ以テ其ノ犯罪ニ參加シタリトスルモ全員ノ協力ニ因リテ犯罪事實ヲ實行シタルモノト謂フヲ得サルカ故ニ共同正犯ノ成立ヲ認ムルヲ得サルモノトス」として、意思連絡を欠く片面的共同正犯を否定している。
乙は、甲に事前に相談することなく、虚偽の事実が書かれたビラを多数の者に配っているから、行為者間に意思の連絡を欠いているといえる。
したがって、甲には、信用毀損罪も業務妨害罪も成立しない。


全体の正答率 : 100%

(H25 共通 第17問 4)
甲は、V宅に石を投げ付け窓ガラスを割り始めた。これをたまたま見た乙は、自分も窓ガラスを割りたいと思い、甲に気が付かれないよう、V宅に石を投げ付け、甲が割った窓ガラスとは別の窓ガラスを割った。甲と乙には器物損壊罪の共同正犯は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(大判大11.2.25)は、「若シ行爲者間ニ意思ノ連絡ヲ缺カンカ縱令其ノ1人カ他ノ者ト共同犯行ノ意思ヲ以テ其ノ犯罪ニ參加シタリトスルモ全員ノ協力ニ因リテ犯罪事實ヲ實行シタルモノト謂フヲ得サルカ故ニ共同正犯ノ成立ヲ認ムルヲ得サルモノトス」として、意思連絡を欠く片面的共同正犯を否定している。
甲は、乙との間で何ら意思の連絡もないから、行為者間に意思の連絡を欠いているといえる。
したがって、甲と乙には器物損壊罪の共同正犯は成立しない。


全体の正答率 : 100%

(H26 司法 第7問 3)
Aは、BがVを殴打しようとしているときに、Bに気付かれずにVの足を押さえ付けたため、Bは、Vの顔面を殴打して顔面打撲の傷害を負わせることができた。この場合、Aには傷害罪の共同正犯が成立する。

(正答)

(解説)
判例(大判大11.2.25)は、「若シ行爲者間ニ意思ノ連絡ヲ缺カンカ縱令其ノ1人カ他ノ者ト共同犯行ノ意思ヲ以テ其ノ犯罪ニ參加シタリトスルモ全員ノ協力ニ因リテ犯罪事實ヲ實行シタルモノト謂フヲ得サルカ故ニ共同正犯ノ成立ヲ認ムルヲ得サルモノトス」として、意思連絡を欠く片面的共同正犯を否定している。
Aは、Bに気付かれずにVの足を押さえ付けており、ABの間で何ら意思の連絡もないから行為者間に意思の連絡を欠いているといえる。
したがって、Aには傷害罪の共同正犯は成立しない。


全体の正答率 : 100%

(R4 司法 第7問 1)
甲は、友人乙がV所有の自動車(以下「V車」という。)の車体をバットで叩いて損壊しているのを発見し、自分も加勢しようと考え、乙に気付かれないように物陰から石を投げ付け、V車の窓ガラスを割った。乙は、その直後に周囲を見回し、物陰にいた甲の姿を見て、甲がV車に石を投げ付けたと認識したが、それ以降は、甲及び乙のいずれも、V車の損壊行為を行わなかった。この場合、甲には、器物損壊罪の共同正犯が成立する。

(正答)

(解説)
判例(大判大11.2.25)は、「若シ行爲者間ニ意思ノ連絡ヲ缺カンカ縱令其ノ1人カ他ノ者ト共同犯行ノ意思ヲ以テ其ノ犯罪ニ參加シタリトスルモ全員ノ協力ニ因リテ犯罪事實ヲ實行シタルモノト謂フヲ得サルカ故ニ共同正犯ノ成立ヲ認ムルヲ得サルモノトス」として、意思連絡を欠く片面的共同正犯を否定している。
甲がV車の窓ガラスを割るまで、甲乙の間で何ら意思の連絡もないから、行為者間に意思の連絡を欠いているといえる。
また、乙は、その直後に周囲を見回し、物陰にいた甲の姿を見て、甲がV車に石を投げ付けたと認識したが、それ以降は、甲及び乙のいずれもV車の損壊行為を行わなかったから、共同実行の事実も欠ける。
したがって、甲に器物損壊罪の共同正犯は成立しない。

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黙示の意思連絡による共謀の成否 最三小判昭和23年11月30日

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概要
明示の意思の表示が無くても暗黙にでも意思の連絡があれば共謀があったといえる。
判例
事案:暴行により被害者が死亡した事案において、黙示の意思の連絡による共謀の成否が問題となった。

判旨:「明示の意思の表示が無くても暗黙にでも意思の連絡があれば共謀があったといい得るのである。」
過去問・解説

(H28 予備 第12問 5)
共謀が明示的に行われなければ、共謀共同正犯は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭23.11.30)は、「明示の意思の表示が無くても暗黙にでも意思の連絡があれば共謀があったといい得るのである。」として、黙示の意思連絡であっても共謀が成立するとしている。
したがって、共謀が明示的に行われなくても、共謀共同正犯は成立する。

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共同正犯と事前共謀の要否 最三小判昭和23年12月14日

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概要
共同正犯の成立について、行為者間に意思の連絡のあることは必要であるが行為者間において事前に打合せ等のあることは必ずしも必要ではない。すなわち、事前共謀に限らず、現場共謀でも構わない。
判例
事案:公務執行妨害の事案において、共同正犯の成立について、意思の連絡、事前打ち合わせが必要であるかが問題となった。

判旨:「共同正犯たるには、行為者双方の間に意思の聯絡のあることは必要であるが、行為者間において事前に打合せ等のあることは必ずしも必要ではなく、共同行為の認識があり、互に一方の行為を利用し全員協力して犯罪事実を実現せしむれば足るのである。原審の採用した証拠によれば、被告人等の間に判示の犯行について共同行為の意思聯絡のもとに、互に他の一方の行為を利用し、協力して両巡査の職務執行を妨害したものであることを認め得るのであるから、原審が挙示の証拠により被告人等は共謀して本犯行をなしたと認めたことは虚無の証拠によったものとは言い得ない。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H20 司法 第5問 ウ)
甲と乙が、丙に対して同時に1発ずつけん銃を発射し、そのうち1発は丙の頭部をかすめたものの命中せず、もう1発が丙の頭部に命中し、それにより丙は死亡した。丙の頭部に命中した銃弾が甲乙いずれのけん銃から発射されたものであるかは判明しなかった。甲と乙は、互いに何ら意思の連絡なく、それぞれ丙を殺害する意思をもってけん銃を発射した場合、甲乙にはそれぞれ殺人未遂罪の単独犯が成立する。

(正答)

(解説)
確かに、甲乙間に共謀が成立していれば、丙の頭部に命中した銃弾が甲乙いずれのけん銃から発射されたものであるかは判明しなかったとしても、一部実行全部責任の原則により、甲乙にはそれぞれ殺人既遂罪の共同正犯が成立する。そして、判例(最判昭23.12.14)は、「共同正犯たるには、行為者双方の間に意思の聯絡のあることは必要であるが、行為者間において事前に打合せ等のあることは必ずしも必要ではなく、共同行為の認識があり、互に一方の行為を利用し全員協力して犯罪事実を実現せしむれば足るのである。」として、共同正犯における共謀は、事前共謀でなく現場共謀でも構わない旨判示している。
しかし、甲と乙は、互いに何ら意思の連絡がないのだから、共謀の成立は認められない。そうである以上、丙の頭部に命中した銃弾が甲乙いずれのけん銃から発射されたものであるかは判明しなかったことから、甲と乙のいずれについても、実行行為と丙の死亡との間の因果関係を認めることはできない。したがって、甲乙にはそれぞれ殺人未遂罪の単独犯が成立するにとどまる。


全体の正答率 : 100%

(H24 共通 第2問 ア)
甲は、甲の所属する暴力団事務所にVを連行し、同事務所において3日間、Vを逃走できないように見張って監禁し、その後、同じ暴力団に所属する乙に対して「お前が俺に代わって見張れ。」と言った。乙は、これを了承し、4日目から前記事務所においてVを逃走できないように見張って監禁した。5日目に乙が居眠りをした隙に、Vは、前記事務所の窓から外に飛び降りて逃げ出したが、飛び降りた際、右足首を骨折した。監禁致傷罪の共同正犯が成立するか。

(正答)

(解説)
判例(最判昭23.12.14)は、「共同正犯たるには、行為者双方の間に意思の聯絡のあることは必要であるが、行為者間において事前に打合せ等のあることは必ずしも必要ではなく、共同行為の認識があり、互に一方の行為を利用し全員協力して犯罪事実を実現せしむれば足るのである。」として、共同正犯における共謀は、事前共謀でなく現場共謀でも構わない旨判示している。
本肢の事例では、甲は、甲の所属する暴力団事務所にVを連行し、同事務所において3日間、Vを逃走できないように見張って監禁し、その後、同じ暴力団に所属する乙に対して「お前が俺に代わって見張れ。」と言い、乙がこれを了承しているため、事前共謀は認められないが、現場共謀が認められる。そして、乙が、甲との現場共謀に基づき、4日目から前記事務所においてVを逃走できないように見張って監禁をし、5日目に乙が居眠りをした隙に、Vは、前記事務所の窓から外に飛び降りて逃げ出したが、飛び降りた際、右足首を骨折したのだから、甲には、監禁致傷罪(221条)の共同正犯が成立する。

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共謀共同正犯の成否 最大判昭和33年5月28日

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概要
①共謀共同正犯の成立について、2人以上の者が特定の犯罪を行うため、共同意思の下に一体となって互いに他人の行為を利用し、各自の意思を実行に移すことを内容とする謀議をなし、よって犯罪を実行した事実が存しなければならない。
②共謀共同正犯成立に必要な共謀に参加した事実が認められる以上、直接実行行為に関与しない者でも、他人の行為をいわば自己の手段として犯罪を行ったという意味において、共同正犯の刑責を負う。
③同一の犯罪について、順次共謀が行われた場合は、これらの者のすべての間に当該犯行の共謀が行われたものと解する。数人の間に共謀共同正犯が成立するためには、同一場所に会し、その数人の間に一個の共謀の成立することを必要としない。
判例
事案:V巡査に恨みを抱いていた被告人らは、Vに暴行を加えることにつき順次共謀し、そのうち一部の者がVを襲撃して死亡させた事案において、①いわゆる共謀共同正犯の成立要件、②実行行為に関与しない共謀者の刑責と憲法31条、③数人間の順次の共謀と共謀共同正犯の成否などが問題になった。

判旨:①「共謀共同正犯が成立するには、2人以上の者が、特定の犯罪を行うため、共同意思の下に一体となって互いに他人の行為を利用し、各自の意思を実行に移すことを内容とする謀議をなし、よって犯罪を実行した事実が認められなければならない。」
 ②「したがって右のような関係において共謀に参加した事実が認められる以上、直接実行行為に関与しない者でも、他人の行為をいわば自己の手段として犯罪を行ったという意味において、その間刑責の成立に差異を生ずると解すべき理由はない。さればこの関係において実行行為に直接関与したかどうか、その分担または役割のいかんは右共犯の刑責じたいの成立を左右するものではない…。」
 ③「数人の共謀共同正犯が成立するためには、その数人が同一場所に会し、かつその数人間に1個の共謀の成立することを必要とするものではなく、同一の犯罪について、甲と乙が共謀し、次で乙と丙が共謀するというようにして、数人の間に順次共謀が行われた場合は、これらの者のすべての間に当該犯行の共謀が行われたと解するを相当とする。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H28 予備 第12問 4)
順次共謀の形式では、共謀共同正犯は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭33.5.28)は、「数人の共謀共同正犯が成立するためには、その数人が同一場所に会し、かつその数人間に1個の共謀の成立することを必要とするものではなく、同一の犯罪について、…数人の間に順次共謀が行われた場合は、これらの者のすべての間に当該犯行の共謀が行われたと解するを相当とする。」としている。
したがって、順次共謀の形式であっても、共謀共同正犯は成立する。


全体の正答率 : 100%

(R5 司法 第3問 1)
【判旨】
共謀共同正犯が成立するには、2人以上の者が、特定の犯罪を行うため、共同意思の下に一体となって互いに他人の行為を利用し、各自の意思を実行に移すことを内容とする謀議をなし、よって犯罪を実行した事実が認められなければならない。したがって、このような関係において共謀に参加した事実が認められる以上、直接実行行為に関与しない者でも、他人の行為をいわば自己の手段として犯罪を行ったという意味において、その間刑責の成立に差異を生ずると解すべき理由はない。さればこの関係において実行行為に直接関与したかどうか、その分担又は役割のいかんは、共犯の刑責自体の成立を左右するものではないと解する。

【記述】
【判旨】を前提にすると、殺意を有する者と傷害の故意にとどまる者との間で共謀共同正犯が成立する余地はない。

(正答)

(解説)
【判旨】は、「共謀共同正犯が成立するには、2人以上の者が、特定の犯罪を行うため、共同意思の下に一体となって互いに他人の行為を利用し、各自の意思を実行に移すことを内容とする謀議をなし、よって犯罪を実行した事実が認められなければならない。」としている。
【判旨】を前提とすると、必ずしも数人の者が特定の犯罪を行わなければならないわけではなく、構成要件が重なり合う部分に共謀共同正犯の成立を認めていないわけではないから、殺意を有する者と傷害の故意にとどまる者との間で共謀共同正犯が成立する余地がある。


全体の正答率 : 100%

(R5 司法 第3問 2)
【判旨】
共謀共同正犯が成立するには、2人以上の者が、特定の犯罪を行うため、共同意思の下に一体となって互いに他人の行為を利用し、各自の意思を実行に移すことを内容とする謀議をなし、よって犯罪を実行した事実が認められなければならない。したがって、このような関係において共謀に参加した事実が認められる以上、直接実行行為に関与しない者でも、他人の行為をいわば自己の手段として犯罪を行ったという意味において、その間刑責の成立に差異を生ずると解すべき理由はない。さればこの関係において実行行為に直接関与したかどうか、その分担又は役割のいかんは、共犯の刑責自体の成立を左右するものではないと解する。

【記述】
【判旨】は、共同正犯の成立には、実行行為の一部を分担することは必要ないとの立場に立っている。

(正答)

(解説)
【判旨】は、「直接実行行為に関与しない者でも、他人の行為をいわば自己の手段として犯罪を行ったという意味において、その間刑責の成立に差異を生ずると解すべき理由はない。」としている。
したがって、【判旨】は、共同正犯の成立には、実行行為の一部を分担することは必要ないとの立場に立っているといえる。


全体の正答率 : 100%

(R5 司法 第3問 3)
【判旨】
共謀共同正犯が成立するには、2人以上の者が、特定の犯罪を行うため、共同意思の下に一体となって互いに他人の行為を利用し、各自の意思を実行に移すことを内容とする謀議をなし、よって犯罪を実行した事実が認められなければならない。したがって、このような関係において共謀に参加した事実が認められる以上、直接実行行為に関与しない者でも、他人の行為をいわば自己の手段として犯罪を行ったという意味において、その間刑責の成立に差異を生ずると解すべき理由はない。さればこの関係において実行行為に直接関与したかどうか、その分担又は役割のいかんは、共犯の刑責自体の成立を左右するものではないと解する。

【記述】
【判旨】は、共謀共同正犯の成立には、単に関与者の内心における意思の合致があるだけでは十分でなく、客観的な謀議行為が必要であるとする考えと矛盾しない。

(正答)

(解説)
【判旨】は、「共謀共同正犯が成立するには、2人以上の者が、特定の犯罪を行うため、共同意思の下に一体となって互いに他人の行為を利用し、各自の意思を実行に移すことを内容とする謀議をなし、よって犯罪を実行した事実が認められなければならない。」と述べているにとどまり、客観的な謀議行為の要否には言及していない。
したがって、単に関与者の内心における意思の合致があるだけでは十分でなく、客観的な謀議行為が必要であると解する余地もあり、このような考えと矛盾しない。


全体の正答率 : 100%

(R5 司法 第3問 4)
【判旨】
共謀共同正犯が成立するには、2人以上の者が、特定の犯罪を行うため、共同意思の下に一体となって互いに他人の行為を利用し、各自の意思を実行に移すことを内容とする謀議をなし、よって犯罪を実行した事実が認められなければならない。したがって、このような関係において共謀に参加した事実が認められる以上、直接実行行為に関与しない者でも、他人の行為をいわば自己の手段として犯罪を行ったという意味において、その間刑責の成立に差異を生ずると解すべき理由はない。さればこの関係において実行行為に直接関与したかどうか、その分担又は役割のいかんは、共犯の刑責自体の成立を左右するものではないと解する。

【記述】
【判旨】に対しては、共同正犯を教唆及び幇助と区別することが困難になるとの批判がある。

(正答)

(解説)
【判旨】は、「このような関係において共謀に参加した事実が認められる以上、直接実行行為に関与しない者でも、他人の行為をいわば自己の手段として犯罪を行ったという意味において、その間刑責の成立に差異を生ずると解すべき理由はない。さればこの関係において実行行為に直接関与したかどうか、その分担又は役割のいかんは、共犯の刑責自体の成立を左右するものではない…。」としている。
共同正犯と教唆犯を、関与者が相互に因果的影響を及ぼし合っているかどうかで区別する見解からは、「実行行為に直接関与したかどうか、その分担又は役割のいかんは、共犯の刑責自体の成立を左右するものではない」とする立場に対して、共同正犯と教唆犯の区別を困難にするとの批判がある。
共同正犯と幇助犯を、実行行為への関与の程度・組織内の人間関係・犯行前後の徴表行為の遂行という客観的に重要な役割を担ったか否かで区別する見解からは、「実行行為に直接関与したかどうか、その分担又は役割のいかんは、共犯の刑責自体の成立を左右するものではない」とする立場に対して、共同正犯と幇助犯の区別を困難にするとの批判がある。


全体の正答率 : 100%

(R5 司法 第3問 5)
【判旨】
共謀共同正犯が成立するには、2人以上の者が、特定の犯罪を行うため、共同意思の下に一体となって互いに他人の行為を利用し、各自の意思を実行に移すことを内容とする謀議をなし、よって犯罪を実行した事実が認められなければならない。したがって、このような関係において共謀に参加した事実が認められる以上、直接実行行為に関与しない者でも、他人の行為をいわば自己の手段として犯罪を行ったという意味において、その間刑責の成立に差異を生ずると解すべき理由はない。さればこの関係において実行行為に直接関与したかどうか、その分担又は役割のいかんは、共犯の刑責自体の成立を左右するものではないと解する。

【記述】
【判旨】を前提にすると、共謀共同正犯の成立には、実行行為を行わない者が実行行為者に対して指揮命令をすることが必要である。

(正答)

(解説)
【判旨】は、「共謀共同正犯が成立するには、2人以上の者が、特定の犯罪を行うため、共同意思の下に一体となって互いに他人の行為を利用し、各自の意思を実行に移すことを内容とする謀議をなし、よって犯罪を実行した事実が認められなければならない。…さればこの関係において実行行為に直接関与したかどうか、その分担又は役割のいかんは、共犯の刑責自体の成立を左右するものではない…。」として、直接の関与が必ずしも必要ではないことを示している。
したがって、【判旨】を前提にすると、共謀共同正犯の成立には、実行行為を行わない者が実行行為者に対して指揮命令をすることが必ずしも必要であるとはいえない。

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謀議の程度 最一小判昭和43年3月21日

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概要
共同謀議が成立したとするためには、数人の間に一定の選挙に関し一定範囲の選挙人または選挙運動者に対し、投票または投票とりまとめを依頼し、その報酬とする趣旨で金銭を供与するという謀議の成立があれば足り、その供与の相手方となるべき具体的人物、配布金額、金員調達の手段等細部の点まで協議されることを必要とするものではない。
判例
事案:公職選挙法に定める金銭供与の罪の事案において、共同謀議といえるためにはどの程度の協議が必要であるかが問題となった。

判旨:「共謀共同正犯が成立するためには、2人以上の者が、特定の犯罪を行なうため、共同意思の下に一体となって互いに他の行為を利用し、各自の意思を実行に移すことを内容とする謀議をなし、よって犯罪の実行をしたことを要し、右内容の謀議が成立したというためには、単に他人が犯罪を行なうことを認識しているだけでは足らず、数人が互いに他の行為を利用して各自の犯意を実行する意思が存することを要するけれども、実行者の具体的行為の内容を逐一認識することを要せず、これを公職選挙法に定める金銭供与の罪についていえば、数人の間に一定の選挙に関し一定範囲の選挙人または選挙運動者に対し、投票または投票とりまとめを依頼し、その報酬とする趣旨で金銭を供与するという謀議が成立すれば足り、その供与の相手方となるべき具体的人物、配布金額、金員調達の手段等細部の点まで協議されることを必要とするものでないことは、当裁判所の判例とするところである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H28 予備 第12問 2)
共謀共同正犯が成立するためには、実行行為を行わない者が実行行為の具体的内容の詳細を認識していることが必要である。

(正答)

(解説)
判例(最判昭43.3.21)は、「謀議が成立したというためには、…実行者の具体的行為の内容を逐一認識することを要せず…。」としている。
したがって、共謀共同正犯が成立するために、実行行為を行わない者が実行行為の具体的内容の詳細を認識していることまでは不要である。


全体の正答率 : 50%

(H28 予備 第12問 3)
共謀共同正犯が成立するためには、数人相互の間に、実行行為者の犯行の認識だけでなく、共同犯行の認識があることが必要である。

(正答)

(解説)
判例(最判昭43.3.21)は、「共謀共同正犯が成立するためには、…単に他人が犯罪を行なうことを認識しているだけでは足らず、数人が互いに他の行為を利用して各自の犯意を実行する意思が存することを要する…。」としている。
したがって、共謀共同正犯が成立するためには、数人相互の間に、実行行為者の犯行の認識だけでなく、共同犯行の認識があることが必要である。

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実行行為者でない者の共謀の成否 最一小決昭和57年7月16日

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概要
大麻の密輸入を計画した乙からその実行担当者になって欲しい旨頼まれた甲が、大麻を入手したい欲求にかられ、執行猶予中の身であることを理由にこれを断ったものの、知人の丙に対し事情を明かして協力を求め、同人を自己の身代わりとして乙に引き合わせるとともに、密輸入した大麻の一部をもらい受ける約束のもとにその資金の一部を乙に提供したときは、甲は、これらの行為を通じ乙及び丙らと大麻密輸入の謀議を遂げたものといえる。
判例
事案:大麻密輸入の事案において、犯罪の実行行為者でない者に共謀が認められるかが問題となった。

判旨:「被告人甲は、タイ国からの大麻密輸入を計画した乙からその実行担当者になって欲しい旨頼まれるや、大麻を入手したい欲求にかられ、執行猶予中の身であることを理由にこれを断ったものの、知人の丙に対し事情を明かして協力を求め、同人を自己の身代りとして乙に引き合わせるとともに、密輸入した大麻の一部をもらい受ける約束のもとにその資金の一部(金20万円)を乙に提供したというのであるから、これらの行為を通じ被告人甲が右乙及び丙らと本件大麻密輸入の謀議を遂げたと認めた原判断は、正当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H28 予備 第12問 1)
共謀共同正犯が成立するためには、実行行為を行わない者が実行行為者に対して指揮命令をすることが必要である。

(正答)

(解説)
判例(最決昭57.7.16)は、「被告人甲は、タイ国からの大麻密輸入を計画した乙からその実行担当者になって欲しい旨頼まれるや、大麻を入手したい欲求にかられ、執行猶予中の身であることを理由にこれを断ったものの、知人の丙に対し事情を明かして協力を求め、同人を自己の身代りとして乙に引き合わせるとともに、密輸入した大麻の一部をもらい受ける約束のもとにその資金の一部(金20万円)を乙に提供したというのであるから、これらの行為を通じ被告人甲が右乙及び丙らと本件大麻密輸入の謀議を遂げたと認めた原判断は、正当である。」として、指揮命令をしていない者に対しても共同正犯の成立を認めている。
したがって、共謀共同正犯が成立するために、実行行為を行わない者が実行行為者に対して指揮命令をすることは必ずしも必要ではない。

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スワット事件 最一小決平成15年5月1日

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概要
暴力団組長である被告人が、自己のボディガードらのけん銃等の所持につき、直接指示を下さなくても、これを確定的に認識しながら認容し、ボディガードらと行動を共にしていたことなど判示の事情の下においては、被告人は前記所持の共謀共同正犯の罪責を負う。
判例
事案:検問にて、ボディガードらが拳銃所持していたとして銃刀法違反で現行犯逮捕された事案において、暴力団組長である被告人が自己のボディガードらのけん銃等の所持につき直接指示を下さなくても、共謀共同正犯の罪責を負うかが問題となった。

判旨:「被告人に共謀共同正犯が成立するかどうかが問題となるところ、…被告人は、スワットらに対してけん銃等を携行して警護するように直接指示を下さなくても、スワットらが自発的に被告人を警護するために本件けん銃等を所持していることを確定的に認識しながら、それを当然のこととして受け入れて認容していたものであり、そのことをスワットらも承知していた…。なお、弁護人らが主張するように、被告人が幹部組員に対してけん銃を持つなという指示をしていた事実が仮にあったとしても、前記認定事実に徴すれば、それは自らがけん銃等の不法所持の罪に問われることのないように、自分が乗っている車の中など至近距離の範囲内で持つことを禁じていたにすぎないものとしか認められない。また、…前記の事実関係によれば、被告人とスワットらとの間にけん銃等の所持につき黙示的に意思の連絡があったといえる。そして、スワットらは被告人の警護のために本件けん銃等を所持しながら終始被告人の近辺にいて被告人と行動を共にしていたものであり、彼らを指揮命令する権限を有する被告人の地位と彼らによって警護を受けるという被告人の立場を併せ考えれば、実質的には、正に被告人がスワットらに本件けん銃等を所持させていたと評し得るのである。したがって、被告人には本件けん銃等の所持について、…スワット5名等との間に共謀共同正犯が成立するとした第一審判決を維持した原判決の判断は、正当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H26 司法 第19問 1)
【事例】
 暴力団組長である被告人は、被告人を警護するスワットと呼ばれる複数のボディーガードを配下に持ち、被告人が車両で移動する際には、拳銃及びそれに適合する実包(以下「拳銃等」という。)を携帯したスワットが被告人車両の前後の車両に乗車するなどして、被告人を警護することを常としていた。被告人は、本件犯行時、車両で移動したが、その際、拳銃等を携帯したスワットらが被告人車両の前後の車両に乗車し、被告人車両と隊列を組んで移動するなどして、被告人の警護に当たった。
【判旨】
 被告人は、スワットらに対して拳銃等を携行して警護するように直接指示を下さなくても、スワットらが自発的に被告人を警護するために本件拳銃等を所持していることを確定的に認識しながら、それを当然のこととして受け入れて認容し、そのことをスワットらも承知しており、被告人とスワットらとの間に拳銃等の所持につき黙示的に意思の連絡があった。そして、スワットらは被告人の警護のために本件拳銃等を所持しながら終始被告人の近辺にいて被告人と行動を共にしていたものであり、彼らを指揮命令する権限を有する被告人の地位と彼らによって警護を受けるという被告人の立場を併せ考えれば、実質的には、正に被告人がスワットらに本件拳銃等を所持させていたと評し得る。よって、被告人には、本件拳銃等の所持について、スワットらとの間で、銃砲刀剣類所持等取締法違反の罪の共謀共同正犯が成立する。
【記述】
【判旨】の考え方によれば、共謀共同正犯が成立するためには、実行行為者とその背後者の間に明示の意思連絡が常に必要なわけではない。

(正答)

(解説)
【判旨】は、「被告人とスワットらとの間に拳銃等の所持につき黙示的に意思の連絡があった。」としている。
したがって、【判旨】の考え方によれば、共謀共同正犯が成立するためには、実行行為者とその背後者の間に明示の意思連絡が常に必要なわけではないといえる。


全体の正答率 : 100%

(H26 司法 第19問 2)
【事例】
 暴力団組長である被告人は、被告人を警護するスワットと呼ばれる複数のボディーガードを配下に持ち、被告人が車両で移動する際には、拳銃及びそれに適合する実包(以下「拳銃等」という。)を携帯したスワットが被告人車両の前後の車両に乗車するなどして、被告人を警護することを常としていた。被告人は、本件犯行時、車両で移動したが、その際、拳銃等を携帯したスワットらが被告人車両の前後の車両に乗車し、被告人車両と隊列を組んで移動するなどして、被告人の警護に当たった。
【判旨】
 被告人は、スワットらに対して拳銃等を携行して警護するように直接指示を下さなくても、スワットらが自発的に被告人を警護するために本件拳銃等を所持していることを確定的に認識しながら、それを当然のこととして受け入れて認容し、そのことをスワットらも承知しており、被告人とスワットらとの間に拳銃等の所持につき黙示的に意思の連絡があった。そして、スワットらは被告人の警護のために本件拳銃等を所持しながら終始被告人の近辺にいて被告人と行動を共にしていたものであり、彼らを指揮命令する権限を有する被告人の地位と彼らによって警護を受けるという被告人の立場を併せ考えれば、実質的には、正に被告人がスワットらに本件拳銃等を所持させていたと評し得る。よって、被告人には、本件拳銃等の所持について、スワットらとの間で、銃砲刀剣類所持等取締法違反の罪の共謀共同正犯が成立する。
【記述】
【判旨】の考え方によれば、およそ実行行為者とその背後者の間に意思連絡がある場合には、背後者について狭義の共犯が成立することはなく、共謀共同正犯が成立することとなる。

(正答)

(解説)
【判旨】は、「スワットらは被告人の警護のために本件拳銃等を所持しながら終始被告人の近辺にいて被告人と行動を共にしていたものであり、彼らを指揮命令する権限を有する被告人の地位と彼らによって警護を受けるという被告人の立場を併せ考えれば、実質的には、正に被告人がスワットらに本件拳銃等を所持させていたと評し得る。」として、意思連絡だけではなく、被告人の立場も考慮している。
したがって、およそ実行行為者とその背後者の間に意思連絡がある場合には、背後者について狭義の共犯が成立することはなく、共謀共同正犯が成立することとなるわけではない。


全体の正答率 : 100%

(H26 司法 第19問 3)
【事例】
 暴力団組長である被告人は、被告人を警護するスワットと呼ばれる複数のボディーガードを配下に持ち、被告人が車両で移動する際には、拳銃及びそれに適合する実包(以下「拳銃等」という。)を携帯したスワットが被告人車両の前後の車両に乗車するなどして、被告人を警護することを常としていた。被告人は、本件犯行時、車両で移動したが、その際、拳銃等を携帯したスワットらが被告人車両の前後の車両に乗車し、被告人車両と隊列を組んで移動するなどして、被告人の警護に当たった。
【判旨】
 被告人は、スワットらに対して拳銃等を携行して警護するように直接指示を下さなくても、スワットらが自発的に被告人を警護するために本件拳銃等を所持していることを確定的に認識しながら、それを当然のこととして受け入れて認容し、そのことをスワットらも承知しており、被告人とスワットらとの間に拳銃等の所持につき黙示的に意思の連絡があった。そして、スワットらは被告人の警護のために本件拳銃等を所持しながら終始被告人の近辺にいて被告人と行動を共にしていたものであり、彼らを指揮命令する権限を有する被告人の地位と彼らによって警護を受けるという被告人の立場を併せ考えれば、実質的には、正に被告人がスワットらに本件拳銃等を所持させていたと評し得る。よって、被告人には、本件拳銃等の所持について、スワットらとの間で、銃砲刀剣類所持等取締法違反の罪の共謀共同正犯が成立する。
【記述】
【判旨】の考え方によれば、共謀共同正犯が成立するためには、一般に、実行行為を行わない者に実行行為者に対する指揮命令権限が必要である。

(正答)

(解説)
【判旨】は、「彼らを指揮命令する権限を有する被告人の地位と彼らによって警護を受けるという被告人の立場を併せ考えれば、実質的には、正に被告人がスワットらに本件拳銃等を所持させていたと評し得る。」としている。
指揮命令権限は、実行行為を行っていない者に共同正犯が成立するか否かの考慮要素にすぎず、共謀共同正犯が成立するためには、一般に、実行行為を行わない者に実行行為者に対する指揮命令権限が必要であるとまではいえない。


全体の正答率 : 100%

(H26 司法 第19問 4)
【事例】
 暴力団組長である被告人は、被告人を警護するスワットと呼ばれる複数のボディーガードを配下に持ち、被告人が車両で移動する際には、拳銃及びそれに適合する実包(以下「拳銃等」という。)を携帯したスワットが被告人車両の前後の車両に乗車するなどして、被告人を警護することを常としていた。被告人は、本件犯行時、車両で移動したが、その際、拳銃等を携帯したスワットらが被告人車両の前後の車両に乗車し、被告人車両と隊列を組んで移動するなどして、被告人の警護に当たった。
【判旨】
 被告人は、スワットらに対して拳銃等を携行して警護するように直接指示を下さなくても、スワットらが自発的に被告人を警護するために本件拳銃等を所持していることを確定的に認識しながら、それを当然のこととして受け入れて認容し、そのことをスワットらも承知しており、被告人とスワットらとの間に拳銃等の所持につき黙示的に意思の連絡があった。そして、スワットらは被告人の警護のために本件拳銃等を所持しながら終始被告人の近辺にいて被告人と行動を共にしていたものであり、彼らを指揮命令する権限を有する被告人の地位と彼らによって警護を受けるという被告人の立場を併せ考えれば、実質的には、正に被告人がスワットらに本件拳銃等を所持させていたと評し得る。よって、被告人には、本件拳銃等の所持について、スワットらとの間で、銃砲刀剣類所持等取締法違反の罪の共謀共同正犯が成立する。
【記述】
【判旨】の考え方によれば、仮に【事例】において、現実には被告人がスワットらの拳銃等の所持を認識・認容していたのに、スワットらは、これらの所持に被告人が気付いていないと思っていた場合でも、被告人には共謀共同正犯が成立することとなる。

(正答)

(解説)
【判旨】は、「被告人とスワットらとの間に拳銃等の所持につき黙示的に意思の連絡があった。」として、黙示の意思連絡を前提として共謀共同正犯の成立を認めている。
黙示の意思連絡は、被告人が、スワットらが自発的に被告人を警護するために本件拳銃等を所持していることを確定的に認識しながら、それを当然のこととして受け入れて認容して、そのことをスワットらも承知していることを前提としている。
したがって、スワットらは、これらの所持に被告人が気付いていないと思っていた場合には、意思の連絡は認められないことになる。


全体の正答率 : 100%

(H26 司法 第19問 5)
【事例】
 暴力団組長である被告人は、被告人を警護するスワットと呼ばれる複数のボディーガードを配下に持ち、被告人が車両で移動する際には、拳銃及びそれに適合する実包(以下「拳銃等」という。)を携帯したスワットが被告人車両の前後の車両に乗車するなどして、被告人を警護することを常としていた。被告人は、本件犯行時、車両で移動したが、その際、拳銃等を携帯したスワットらが被告人車両の前後の車両に乗車し、被告人車両と隊列を組んで移動するなどして、被告人の警護に当たった。
【判旨】
 被告人は、スワットらに対して拳銃等を携行して警護するように直接指示を下さなくても、スワットらが自発的に被告人を警護するために本件拳銃等を所持していることを確定的に認識しながら、それを当然のこととして受け入れて認容し、そのことをスワットらも承知しており、被告人とスワットらとの間に拳銃等の所持につき黙示的に意思の連絡があった。そして、スワットらは被告人の警護のために本件拳銃等を所持しながら終始被告人の近辺にいて被告人と行動を共にしていたものであり、彼らを指揮命令する権限を有する被告人の地位と彼らによって警護を受けるという被告人の立場を併せ考えれば、実質的には、正に被告人がスワットらに本件拳銃等を所持させていたと評し得る。よって、被告人には、本件拳銃等の所持について、スワットらとの間で、銃砲刀剣類所持等取締法違反の罪の共謀共同正犯が成立する。
【記述】
【判旨】では、被告人が犯行現場付近にいて犯行と密接な関係を保っていたことや被告人の組織内での地位が、被告人を共同正犯と評価する上での重要な事情として考慮されている。

(正答)

(解説)
【判旨】は、「スワットらは被告人の警護のために本件拳銃等を所持しながら終始被告人の近辺にいて被告人と行動を共にしていたものであり、彼らを指揮命令する権限を有する被告人の地位と彼らによって警護を受けるという被告人の立場を併せ考えれば、実質的には、正に被告人がスワットらに本件拳銃等を所持させていたと評し得る。」として、意思連絡だけではなく、被告人が犯行現場付近にいて犯行と密接な関係を保っていたことや被告人の組織内での地位も、被告人を共同正犯と評価する上での重要な事情として考慮されている。

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過失の共同正犯の成否 最二小判昭和28年1月23日

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概要
甲乙両名がその共同経営にかかる飲食店で、過失により法定の除外量以上の「メタノール」を含有する飲食物を客に販売した場合において、右両名が意思を連絡して右飲食物を販売したものと認められるときは、過失の共同正犯が成立する。
判例
事案:飲食店の共同経営者の被告人らが過失により「メタノール」を含有する飲食物を客に販売した事案において、過失の共同正犯がどのような場合に成立するかについて問題となった。

判旨:「被告人両名は、飲食店Aから仕入れた『ウイスキー』と称する液体には『メタノール』(メチルアルコール)を含有するかも判らないから、十分にこれを検査し、『メタノール』を含有しないことを確めた上で、客に販売すべきであったに拘らず、不注意にも何等の検査をせず、被告人両名は、『意思を連絡して』本件液体を販売した事実を認定したのである。
 即ち、原判決は、被告人両名の共同経営にかかる飲食店で、右のごとき出所の不確かな液体を客に販売するには『メタノール』を含有するか否かを十分に検査した上で、販売しなければならない義務のあることを判示し、被告人等はいずれも不注意にもこの義務を懈り、必要な検査もしないで、原判示液体は法定の除外量以上の『メタノール』を含有しないものと軽信してこれを客に販売した点において有毒飲食物等取締令4条1項後段にいわゆる『過失ニ因リ違反シタル』ものと認めたものであることは原判文上明らかである。しかして、原判決の確定したところによれば、右飲食店は、被告人両名の共同経営にかかるものであり、右の液体の販売についても、被告人等は、その意思を連絡して販売をしたというのであるから、此点において被告人両名の間に共犯関係の成立を認めるのを相当とするのであって原判決がこれに対し刑法60条を適用したのは正当であって、所論のような違法ありとすることはできない。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H25 司法 第15問 4)
複数の行為者につき、行為者共同の注意義務が観念でき、行為者がその共同の注意義務に違反し、共同の注意義務違反と発生した結果との間に因果関係が認められる場合には、過失犯の共同正犯が成立し得る。

(正答)

(解説)
判例(最判昭28.1.23)は、「右飲食店は、被告人両名の共同経営にかかるものであり、右の液体の販売についても、被告人等は、その意思を連絡して販売をしたというのであるから、此点において被告人両名の間に共犯関係の成立を認めるのを相当とする…。」として、共同の注意義務を観念した原判決の判断を支持している。
また、その後の判例(最決平28.7.12)は、「業務上過失致死傷罪の共同正犯が成立するためには,共同の業務上の注意義務に共同して違反したことが必要である…。」として、過失犯の共同正犯の成立のためには、共同の注意義務に違反したことが必要であるとしている。
したがって、行為者共同の注意義務が観念でき、行為者がその共同の注意義務に違反し、共同の注意義務違反と発生した結果との間に因果関係が認められる場合には、過失犯の共同正犯が成立し得る。


全体の正答率 : 100%

(H29 共通 第11問 ア)
【事例】
 土木作業員甲及び乙は、現場監督者丙の監督の下で、X川に架かる鉄橋の橋脚を特殊なA鋼材を用いて補強する工事に従事していたが、作業に手間取り、工期が迫ってきたことから、甲及び乙の2人で相談した上で、より短期間で作業を終えることができる強度の弱いB鋼材を用いた補強工事を共同して行った。その結果、工期内に工事を終えることはできたものの、その後発生した豪雨の際、A鋼材ではなくB鋼材を用いたことによる強度不足のために前記橋脚が崩落し、たまたま前記鉄橋上を走行していたV1運転のトラックがX川に転落し、V1が死亡した。なお、甲及び乙は同等の立場にあり、甲及び乙のいずれについても、B鋼材を工事に用いた場合に強度不足のために前記橋脚が崩落することを予見していなかったものの、その予見可能性があったものとする。
【記述】
甲及び乙には、強度の弱いB鋼材で補強工事を行うことの意思連絡はあるが、不注意の共同はあり得ないから、甲及び乙に業務上過失致死罪の共同正犯が成立する余地はない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭28.1.23)は、「右飲食店は、被告人両名の共同経営にかかるものであり、右の液体の販売についても、被告人等は、その意思を連絡して販売をしたというのであるから、此点において被告人両名の間に共犯関係の成立を認めるのを相当とする…。」として、共同の注意義務を観念した原判決の判断を支持している。
また、その後の判例(最決平28.7.12)は、「業務上過失致死傷罪の共同正犯が成立するためには,共同の業務上の注意義務に共同して違反したことが必要である…。」として、過失犯の共同正犯の成立のためには、共同の注意義務に違反したことが必要であるとしている。
甲と乙は、共同で工事をし、A鋼材を用いて補強するべき義務を負っていたが、短期間で作業を終えることができる強度の弱いB鋼材を用いた補強工事を共同して行ったから、共同の業務上の注意義務に共同して違反したといえる。
したがって、不注意の共同もあり得るため、甲及び乙に業務上過失致死罪の共同正犯が成立する余地がある。


全体の正答率 : 50%

(R3 共通 第1問 1)
共同正犯に関する刑法第60条は、意思の連絡を要件としているので、過失犯には適用されない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭28.1.23)は、「右飲食店は、被告人両名の共同経営にかかるものであり、右の液体の販売についても、被告人等は、その意思を連絡して販売をしたというのであるから、此点において被告人両名の間に共犯関係の成立を認めるのを相当とする…。」として、共同の注意義務を観念した原判決の判断を支持している。
また、その後の判例(最決平28.7.12)は、「業務上過失致死傷罪の共同正犯が成立するためには,共同の業務上の注意義務に共同して違反したことが必要である…。」として、過失犯の共同正犯の成立のためには、共同の注意義務に違反したことが必要であるとしている。
いずれの判例も、共同正犯に関する60条を過失犯にも適用できることを前提としている。

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指揮監督者相互の注意義務と過失の共同正犯(R6) 最三小決平成28年7月12日

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概要
業務上過失致死傷罪の共同正犯が成立するためには、共同の業務上の注意義務に共同して違反したことが必要である。
判例
事案:花火大会が実施された公園と最寄り駅とを結ぶ歩道橋で多数の参集者が折り重なって転倒して死傷者が出た事故が発生したという事案において、警備計画策定の第一次的責任者ないし現地警備本部の指揮官という立場にあった警察署地域官と、同署副署長ないし署警備本部の警備副本部長として同署署長を補佐する立場にあった被告人との間で業務上過失致死傷罪の共同正犯が成立するかが問題となった。

判旨:「業務上過失致死傷罪の共同正犯が成立するためには、共同の業務上の注意義務に共同して違反したことが必要であると解されるところ、以上のような明石警察署の職制及び職務執行状況等に照らせば、B地域官が本件警備計画の策定の第一次的責任者ないし現地警備本部の指揮官という立場にあったのに対し、被告人は、副署長ないし署警備本部の警備副本部長として、C署長が同警察署の組織全体を指揮監督するのを補佐する立場にあったもので、B地域官及び被告人がそれぞれ分担する役割は基本的に異なっていた。本件事故発生の防止のために要求され得る行為も、B地域官については,本件事故当日午後8時頃の時点では,配下警察官を指揮するとともに、C署長を介し又は自ら直接機動隊の出動を要請して、本件歩道橋内への流入規制等を実施すること、本件警備計画の策定段階では、自ら又は配下警察官を指揮して本件警備計画を適切に策定することであったのに対し、被告人については、各時点を通じて、基本的にはC署長に進言することなどにより、B地域官らに対する指揮監督が適切に行われるよう補佐することであったといえ、本件事故を回避するために両者が負うべき具体的注意義務が共同のものであったということはできない。被告人につき,B地域官との業務上過失致死傷罪の共同正犯が成立する余地はないというべきである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50%

(R6 司法 第5問 2)
甲及び乙は、危険な作業を共同して行う過程において、Aが負傷する事故を防止するための共同の業務上の注意義務に共同して違反し、Aに傷害を負わせた。甲と乙の間にAの傷害発生についての共謀がなかった以上、甲及び乙に業務上過失致傷罪の共同正犯は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最決平28.7.12)は、「業務上過失致死傷罪の共同正犯が成立するためには,共同の業務上の注意義務に共同して違反したことが必要であると解される…。」として、共謀がなくとも、共同の注意義務に共同して違反することをもって、業務上過失致傷罪の共同正犯が成立するとしている。
甲及び乙は、Aが負傷する事故を防止するための共同の業務上の注意義務に共同して違反し、Aに傷害を負わせている。
したがって、甲及び乙に業務上過失致傷罪の共同正犯が成立する。

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強盗罪の結果的加重の共同正犯の成否 最三小判昭和26年3月27日

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概要
強盗共犯の1人が強盗に着手した後逃走し追跡されているうち、巡査に発見され追い付かれて逮捕されようとした際逮捕を免れるため同巡査に切りつけ死に至らしめたときは、その強盗殺人の行為につき他の共犯も責任を負うべきである。
判例
事案:強盗の共犯のうちの1人が強盗の機会において逮捕を免れるために逮捕しようとした者を死亡させた事案において、他の者も責任を負うかが問題となった。

判旨:「相被告人乙は被告人甲と共謀の上原判示の如く強盗に着手した後、家人に騒がれて逃走し、なお泥棒、泥棒と連呼追跡されて逃走中、警視庁巡査に発見され追付かれて将に逮捕されようとした際、逮捕を免れるため同巡査に数回切りつけ遂に死に至らしめたものである。されば右乙の傷害致死行為は強盗の機会において為されたものといわなければならないのであって、強盗について共謀した共犯者等はその1人が強盗の機会において為した行為については他の共犯者も責任を負うベきものであること当裁判所の判例とする処である…。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H20 司法 第5問 オ)
【事例】甲と乙が、丙に対して同時に1発ずつけん銃を発射し、そのうち1発は丙の頭部をかすめたものの命中せず、もう1発が丙の頭部に命中し、それにより丙は死亡した。丙の頭部に命中した銃弾が甲乙いずれのけん銃から発射されたものであるかは判明しなかった。
【記述】甲と乙が、共同して丙に傷害を負わせる意思をもってけん銃を発射した場合、甲及び乙には傷害致死罪の共同正犯が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭26.3.27)は、「強盗について共謀した共犯者等はその1人が強盗の機会において為した行為については他の共犯者も責任を負うベきものである…。」として、基本となる犯罪について共同正犯が成立するならば、結果的加重犯における加重部分にも共同正犯が成立し、罪責を負うことを示している。
甲と乙は、共同して丙に傷害を負わせる意思をもってけん銃を発射しているが、加重結果である丙死亡の結果についても、共同正犯が成立する。
したがって、甲及び乙には傷害致死罪の共同正犯が成立する。


全体の正答率 : 100%

(H24 共通 第15問 1)
【事例】
 甲と乙は、V経営の食料品店で買った弁当を食べたら食中毒になった旨の嘘を言って因縁を付けてVを脅迫するとともに、同人に軽度の暴行を加え、これらの暴行・脅迫により同人を畏怖させて、損害賠償金の名目で50万円を支払わせ、これを分配することを計画した。乙は、計画に従い、同店に行き、Vに対し、「この店の弁当を食べたら食中毒になった。店の営業を続けたければ50万円払え。払わないと、この店の弁当で食中毒になったと書いたビラをばらまくぞ。」と語気鋭く申し向けた上、Vの額を手の平成で軽くたたいた。Vは、これをよけようとした際、バランスを崩して転倒し、全治約1週間を要する後頭部打撲の怪我を負った。
 Vは、乙が食中毒になったことは嘘であると気付いたが、乙の要求に応じないと、更に暴力を振るわれたり、店を中傷するビラをまかれるかもしれないと畏怖し、手持ちの現金30万円を乙に渡し、残りの20万円は翌日支払うことで乙を納得させた。
 乙は、同店を出て、甲と会い、前記経緯を説明した上、Vから受け取った30万円のうち15万円を分け前として甲に渡した。
 乙は、翌日、同店を訪れてVから残りの20万円を受け取ろうとしたが、通報を受けた警察官が同店近くにいたので、20万円の受取は断念した。
 乙は、甲に事前に相談することなく、腹いせに、「V経営の食料品店で買った弁当を食べた客が食中毒になった。」という虚偽の事実が書かれたビラを多数の者に配った。
 なお、甲は、乙がVに怪我を負わせることや前記ビラを配ることを予想していなかった。
【記述】
Vに怪我を負わせたことについて、甲には、傷害罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭26.3.27)は、「強盗について共謀した共犯者等はその1人が強盗の機会において為した行為については他の共犯者も責任を負うベきものである…。」として、基本となる犯罪について共同正犯が成立するならば、結果的加重犯における加重部分にも共同正犯が成立し、罪責を負うことを示している。
甲は、乙がVに怪我を負わせることを予想していなかったものの、同人に軽度の暴行を加えることを共謀していたから、Vの怪我という傷害結果についても責任を負う。
したがって、Vに怪我を負わせたことについて、甲には、傷害罪の共同正犯が成立する。


全体の正答率 : 100%

(H28 司法 第19問 4)
甲と乙は、A方に強盗に入ることを計画し、それぞれ包丁を持ってA方に侵入し、Aを包丁で脅した上、室内を物色していたところ、家人B、Cに犯行を目撃され、甲はBに捕まったが、乙は逮捕を免れるためCの腕を包丁で切り付けて傷害を負わせた。甲には、住居侵入罪のほか強盗致傷罪の共同正犯が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭26.3.27)は、「強盗について共謀した共犯者等はその1人が強盗の機会において為した行為については他の共犯者も責任を負うベきものである…。」として、基本となる犯罪について共同正犯が成立するならば、結果的加重犯における加重部分にも共同正犯が成立し、罪責を負うことを示している。
甲と乙は、住居侵入と強盗の共謀をなし、甲はBに捕まったが、乙が逮捕を免れるためCの腕を包丁で切り付けて傷害を負わせているところ、甲にも基本犯たる強盗の共謀が成立している以上、その加重結果であるCの傷害結果についても責任を負う。
したがって、甲には、住居侵入罪のほか、強盗致傷罪の共同正犯が成立する。


全体の正答率 : 100%

(R2 共通 第5問 イ)
甲及び乙がAに対する強盗を共謀したが、その強盗の機会に、甲が過失によってAに傷害を負わせた場合、甲及び乙に強盗致傷罪の共同正犯が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭26.3.27)は、「強盗について共謀した共犯者等はその1人が強盗の機会において為した行為については他の共犯者も責任を負うベきものである…。」として、基本となる犯罪について共同正犯が成立するならば、結果的加重犯における加重部分にも共同正犯が成立し、罪責を負うことを示している。
甲及び乙は、Aに対する強盗の共謀をなし、その強盗の機会に、甲が過失によってAに傷害を負わせているところ、乙にも基本犯たる強盗の共謀が成立している以上、その加重結果であるAの傷害結果についても責任を負う。
したがって、甲及び乙に、強盗致傷罪の共同正犯が成立する。

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殺人予備罪の共同正犯 最一小決昭和37年11月8日

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概要
殺人の目的を有する者から、これに使用する毒物の入手を依頼され、その使途を認識しながら、当該毒物を入手して依頼者に手渡した者は、当該毒物による殺人が予備に終わった場合に、殺人予備罪の共同正犯としての責任を負うものと解すべきである。
判例
事案:殺人の目的を有する者から、これに使用する毒物(青酸カリ)の入手を依頼され、その使途を認識しながら、右毒物を入手して依頼者に渡したという事案において、毒物を手渡した者に殺人予備罪の共同正犯が成立するかが問題となった。

判旨:「殺人の目的を有する者から、これに使用する毒物の入手を依頼され、その使途を認識しながら、右毒物を入手して依頼者に手交した者は、右毒物による殺人が予備に終った場合に、殺人予備罪の共同正犯としての責任を負うものと解すべきである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H24 共通 第2問 エ)
甲は、知人乙から、交際相手であるVを殺害したいので青酸カリを入手してほしいと依頼され、自らもVに恨みを抱いていたことから、青酸カリを準備して乙に交付した。乙は、甲から青酸カリを受領した後、実行行為に出る前にV殺害を思いとどまり、警察署に出頭した。甲に殺人予備罪の共同正犯が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最決昭37.11.8)は、「殺人の目的を有する者から、これに使用する毒物の入手を依頼され、その使途を認識しながら、右毒物を入手して依頼者に手交した者は、右毒物による殺人が予備に終った場合に、殺人予備罪の共同正犯としての責任を負う…。」としている。
甲は、知人乙から、Vを殺害するために青酸カリを入手を依頼され、自らもVに恨みを抱いていたことから、青酸カリを準備して乙に交付している。
したがって、甲に殺人予備罪の共同正犯が成立する。


全体の正答率 : 0%

(H28 司法 第19問 3)
甲は、乙からAの殺害計画を打ち明けられ毒薬の入手を依頼されたことから、毒薬を購入して乙に渡したが、乙は、毒薬での殺害計画を変更し、Aを包丁で刺して殺害した。甲には、殺人予備罪の共同正犯が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最決昭37.11.8)は、「殺人の目的を有する者から、これに使用する毒物の入手を依頼され、その使途を認識しながら、右毒物を入手して依頼者に手交した者は、右毒物による殺人が予備に終った場合に、殺人予備罪の共同正犯としての責任を負う…。」としている。
甲は、乙からAの殺害計画を聞き毒薬の入手を依頼され、毒薬を購入して乙に渡しているから、甲には、殺人予備罪の共同正犯が成立する。


全体の正答率 : 0%

(R6 司法 第5問 3)
甲は、乙からAを殺害するための毒物の入手を頼まれ、入手した毒物を乙に渡したが、結局、 乙は、これを用いず、Aに睡眠薬を服用させた上でAを絞殺した。甲が乙に渡した毒物が利用されていないので、甲に殺人予備罪の共同正犯は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最決昭37.11.8)は、「殺人の目的を有する者から、これに使用する毒物の入手を依頼され、その使途を認識しながら、右毒物を入手して依頼者に手交した者は、右毒物による殺人が予備に終った場合に、殺人予備罪の共同正犯としての責任を負う…。」としている。
甲は、乙からAを殺害するための毒物の入手を頼まれ、入手した毒物を乙に渡しているから、甲には、殺人予備罪の共同正犯が成立する。

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殺人罪と傷害致死罪の共同正犯 最一小判昭和54年4月13日

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概要
暴行・傷害を共謀した共犯者のうちの1人が殺人罪を犯した場合、殺意のなかった他の共犯者については、傷害致死罪の共同正犯が成立する。
判例
事案:暴行・傷害を共謀した共犯者のうちの1人が殺人罪を犯したという事案において、他の共犯者の罪責が問題となった。

判旨:「殺人罪と傷害致死罪とは、殺意の有無という主観的な面に差異があるだけで、その余の犯罪構成要件要素はいずれも同一であるから、暴行・傷害を共謀した被告人甲ら7名のうちの乙が前記福原派出所前でV巡査に対し未必の故意をもって殺人罪を犯した本件において、殺意のなかった被告人甲ら6名については、殺人罪の共同正犯と傷害致死罪の共同正犯の構成要件が重なり合う限度で軽い傷害致死罪の共同正犯が成立するものと解すべきである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H22 司法 第12問 1)
殺人の故意を有する者と傷害の故意を有する者との間では、共同正犯が成立する余地はない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭54.4.13)は、「殺人罪と傷害致死罪とは、殺意の有無という主観的な面に差異があるだけで、その余の犯罪構成要件要素はいずれも同一であるから…殺意のなかった被告人甲ら…については、殺人罪の共同正犯と傷害致死罪の共同正犯の構成要件が重なり合う限度で軽い傷害致死罪の共同正犯が成立する…。」としている。
したがって、殺人の故意を有する者と傷害の故意を有する者との間で構成要件が重なり合う限度で、共同正犯が成立する余地がある。


全体の正答率 : 0%

(H22 司法 第12問 5)
窃盗の共謀に基づき実行行為を分担することとなった者が、財物を強取した後、実行行為を分担しなかった共犯者にその旨話し、同人がこれを了承して上記財物をもらい受けた。この場合、実行行為を分担しなかった共犯者にも強盗の共同正犯が成立し得る。

(正答)

(解説)
判例(最判昭54.4.13)は、「殺人罪と傷害致死罪とは、殺意の有無という主観的な面に差異があるだけで、その余の犯罪構成要件要素はいずれも同一であるから…殺意のなかった被告人甲ら…については、殺人罪の共同正犯と傷害致死罪の共同正犯の構成要件が重なり合う限度で軽い傷害致死罪の共同正犯が成立する…。」としている。
窃盗罪の共同正犯と強盗罪の共同正犯では、軽い窃盗罪の共同正犯の限度で構成要件が重なり合うといえるから、実行行為を分担しなかった共犯者には、窃盗罪の限度で共同正犯が成立する。


全体の正答率 : 0%

(H24 共通 第7問 5)
甲は、乙との間で、Aに暴行を加えることを共謀したところ、乙は、Aに対して暴行を加えている最中に興奮のあまり殺意を生じ、Aを殺害してしまった。甲には傷害罪の共同正犯が成立するにとどまる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭54.4.13)は、「殺人罪と傷害致死罪とは、殺意の有無という主観的な面に差異があるだけで、その余の犯罪構成要件要素はいずれも同一であるから…殺意のなかった被告人甲ら…については、殺人罪の共同正犯と傷害致死罪の共同正犯の構成要件が重なり合う限度で軽い傷害致死罪の共同正犯が成立する…。」としている。
甲乙間の共謀は、暴行についてのものであるところ、乙は、行為途中で殺意を生じてAを殺害している。
したがって、殺意のない甲には、殺人罪の共同正犯と傷害致死罪の共同正犯の構成要件が重なり合う限度、すなわち、軽い傷害致死罪の限度で共同正犯が成立することになる。


全体の正答率 : 100%

(H25 共通 第17問 3)
甲と乙は、自分たちのことを日頃ばかにするVを懲らしめてやろうと思い、Vに傷害を負わせる旨共謀した。そして、甲と乙は、それぞれ、Vに対し、日頃の恨みを言いながら、その身体を殴り付けた。Vは、これに応答して甲らを罵った。すると、乙は、Vの発言に腹を立て、殺意をもって、隠し持っていたナイフでVを刺し殺した。乙に殺人罪が成立する場合、甲には、Vに対する殺意がなくても殺人罪の共同正犯が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭54.4.13)は、「殺人罪と傷害致死罪とは、殺意の有無という主観的な面に差異があるだけで、その余の犯罪構成要件要素はいずれも同一であるから…殺意のなかった被告人甲ら…については、殺人罪の共同正犯と傷害致死罪の共同正犯の構成要件が重なり合う限度で軽い傷害致死罪の共同正犯が成立する…。」としている。
甲乙間の共謀は、傷害についてのものであるところ、乙は、行為途中で殺意を生じて、殺意をもってナイフでVを殺害している。
したがって、殺意のない甲には、殺人罪の共同正犯と傷害致死罪の共同正犯の構成要件が重なり合う限度、すなわち、軽い傷害致死罪の限度で共同正犯が成立することになる。


全体の正答率 : 0%

(H29 司法 第15問 2)
甲が乙に対し、Aをナイフで脅してAから金品を強取するように教唆したところ、乙は、その旨決意し、Aをナイフで脅したが、その最中に殺意を抱き、Aの腹部をナイフで刺してAに傷害を負わせ、Aから金品を強取したものの、Aを殺害するには至らなかった。甲には強盗罪の教唆犯が成立するにとどまる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭54.4.13)は、「殺人罪と傷害致死罪とは、殺意の有無という主観的な面に差異があるだけで、その余の犯罪構成要件要素はいずれも同一であるから…殺意のなかった被告人甲ら…については、殺人罪の共同正犯と傷害致死罪の共同正犯の構成要件が重なり合う限度で軽い傷害致死罪の共同正犯が成立する…。」としている。
当初、甲は乙に対し、強盗を教唆したにとどまるものの、強盗を決意した乙は殺意をもってナイフでAに傷害を負わせ金品を強取している。
したがって、強盗の故意しかない甲には、強盗殺人未遂罪の共同正犯と強盗致傷罪の共同正犯の構成要件が重なり合う限度、すなわち、軽い強盗致傷罪の限度で教唆犯が成立することになる。


全体の正答率 : 100%

(R1 司法 第11問 2)
甲と乙は、丙に暴行を加えて傷害を負わせることを共謀したところ、乙において、丙に暴行を加えている最中に興奮して殺意を生じ、丙を殺害した。この場合、甲には、傷害罪の共同正犯が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭54.4.13)は、「殺人罪と傷害致死罪とは、殺意の有無という主観的な面に差異があるだけで、その余の犯罪構成要件要素はいずれも同一であるから…殺意のなかった被告人甲ら…については、殺人罪の共同正犯と傷害致死罪の共同正犯の構成要件が重なり合う限度で軽い傷害致死罪の共同正犯が成立する…。」としている。
当初は傷害の共謀にとどまるものの、乙は殺意をもって丙を殺害している。
したがって、殺意のない甲には、殺人罪の共同正犯と傷害致死罪の共同正犯の構成要件が重なり合う限度、すなわち、軽い傷害致死罪の限度で共同正犯が成立することになる。


全体の正答率 : 100%

(R2 共通 第5問 ア)
甲及び乙がAに対する暴行を共謀したが、Aの態度に激高した甲が殺意をもってAを殺害した場合、甲及び乙に殺人罪の共同正犯が成立するが、乙は傷害致死罪の刑で処断される。

(正答)

(解説)
判例(最判昭54.4.13)は、「殺人罪と傷害致死罪とは、殺意の有無という主観的な面に差異があるだけで、その余の犯罪構成要件要素はいずれも同一であるから…殺意のなかった被告人甲ら…については、殺人罪の共同正犯と傷害致死罪の共同正犯の構成要件が重なり合う限度で軽い傷害致死罪の共同正犯が成立する…。」としている。
当初は暴行の共謀にとどまるものの、甲は殺意をもってAを殺害している。
したがって、殺意のない乙には、殺人罪の共同正犯は成立せず、殺人罪の共同正犯と傷害致死罪の共同正犯の構成要件が重なり合う限度、すなわち、軽い傷害致死罪の限度で共同正犯が成立して、乙は傷害致死罪の刑で処断される。

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インターネットのサイト管理者が、わいせつ画像データを、サーバに記憶、蔵置させて視聴者が閲覧可能な状態に設定し、又は、映像配信システムを利用して視聴者に配信して閲覧させた場合におけるわいせつ電磁的記録記録媒体陳列罪及び公然わいせつ罪の各共同正犯の成否(R6) 最判令和3年2月1日

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概要
インターネット上の動画の投稿サイト及び配信サイトを管理・運営していた被告人両名に、わいせつな動画を自ら投稿していなくとも、上記各サイト上におけるわいせつ電磁的記録記録媒体陳列罪及び公然わいせつ罪の各共同正犯が成立する。
判例
事案:インターネットのサイトに投稿されたわいせつ画像データを、サーバに記憶、蔵置させて視聴者が閲覧可能な状態を設定し、又は、映像配信システムを利用して視聴者に配信して閲覧させたという事案において、同サイトの管理者らに投稿者との共謀によるわいせつ電磁的記録記録媒体陳列罪や公然わいせつ罪の成否が問題となった。

判旨:「被告人両名及びZ(サイト運営の統括管理者)は、本件各サイトに無修正わいせつ動画が投稿・配信される蓋然性があることを認識した上で、投稿・配信された動画が無修正わいせつ動画であったとしても、これを利用して利益を上げる目的で、本件各サイトにおいて不特定多数の利用者の閲覧又は観覧に供するという意図を有しており、前記のような本件各サイトの仕組みや内容,運営状況等を通じて動画の投稿・配信を勧誘することにより、被告人両名及びZの上記意図は本件各投稿者らに示されていたといえる。他方、本件各投稿者らは、上記の働きかけを受け、不特定多数の利用者の閲覧又は観覧に供するという意図に基づき、本件各サイトのシステムに従って前記投稿又は配信を行ったものであり、本件各投稿者らの上記意図も、本件各サイトの管理・運営を行う被告人両名及びZに対し表明されていたということができる。そうすると、被告人両名及びZと本件各投稿者らの間には、無修正わいせつ動画を投稿・配信することについて、黙示の意思連絡があったと評価することができる。
 そして,本件わいせつ電磁的記録記録媒体陳列罪及び公然わいせつ罪は、本件各投稿者らが無修正わいせつ動画を本件各サイトに投稿又は配信することによって初めて成立するものであり、他方、本件各投稿者らも、被告人両名及びZによる上記勧誘及び本件各サイトの管理・運営行為がなければ、無修正わいせつ動画を不特定多数の者が認識できる状態に置くことがなかったことは明らかである。加えて、被告人両名及びZは、本件公然わいせつの各犯行については、より多くの視聴料を獲得することについて、C、D及びEらとその意図を共有していたことも認められる。
 以上の事情によれば、被告人両名について、Z及び本件各投稿者らとの共謀を認め、わいせつ電磁的記録記録媒体陳列罪及び公然わいせつ罪の各共同正犯が成立するとした原判断は正当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(R6 司法 第13問 4)
動画配信サイトを運営していた甲は、同サイト上でわいせつな動画を不特定多数の者に閲覧させて利益を得ようと考え、わいせつな動画の投稿者を広く勧誘し、その勧誘を受けた乙が同サイトにわいせつな動画を投稿して不特定多数の者が認識できる状態にした。この場合、上記サイトを運営していた甲は、わいせつな動画を自ら投稿しておらず、甲にわいせつ電磁的記録記録媒体陳列罪の共同正犯が成立することはない。

(正答)

(解説)
判例(最判令3.2.1)は、本肢と同種の事案において、「被告人両名及びZと本件各投稿者らの間には、無修正わいせつ動画を投稿・配信することについて、黙示の意思連絡があったと評価することができる。」として、管理者らに投稿者とのわいせつ電磁的記録記録媒体陳列罪及び公然わいせつ罪の共同正犯が成立するとしている。
したがって、甲は、わいせつな動画を自ら投稿していないものの、甲にはわいせつ電磁的記録記録媒体陳列罪の共同正犯が成立する。

該当する過去問がありません

傷害罪の承継的共同正犯の成否 最二小決平成24年11月6日

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概要
他の者が被害者に暴行を加えて傷害を負わせた後に、被告人が共謀加担した上、更に暴行を加えて被害者の傷害を相当程度重篤化させた場合、被告人は、被告人の共謀及びそれに基づく行為と因果関係を有しない共謀加担前に既に生じていた傷害結果については、傷害罪の共同正犯としての責任を負うことはなく、共謀加担後の傷害を引き起こすに足りる暴行によって傷害の発生に寄与したことについてのみ、傷害罪の共同正犯としての責任を負う。
判例
事案:乙は、甲の暴行により傷害を負ったVが抵抗困難な状態に陥っていたことから、甲と現場共謀の上、かかる状況を積極的に利用することで、Vに対して制裁目的で暴行を加えたという事案において、共謀加担後の暴行が共謀加担前に他の者が既に生じさせていた傷害を相当程度重篤化させた場合の傷害罪の共同正犯の成立範囲が問題となった。

判旨:「甲は、共謀加担前に乙が既に生じさせていた傷害結果については、甲の共謀及びそれに基づく行為がこれと因果関係を有することはないから、傷害罪の共同正犯として責任を負うことはな…い…。…原判決…の認定は、甲において、Vが乙の暴行を受けて負傷し、逃亡や抵抗が困難になっている状態を利用して更に暴行に及んだ趣旨を言うものと解されるが、そのような事実があったとしても、それは、甲が共謀加担後に更に暴行を行った動機ないし契機にすぎず、共謀加担前の傷害結果について刑事責任を問い得る理由とは言えないものであって、傷害罪の共同正犯の成立範囲に関する上記判断を左右するものではない。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50%

(H28 司法 第19問 2)
乙は、路上で、Aの頭部を殴って転倒させ、Aに脳挫傷の傷害を負わせたが、その直後に駆けつけた甲は、Aが乙の暴行によって倒れて苦しんでいることを知り、Aの抵抗が困難になっている状態を利用してAに暴行を加えようと考え、乙と意思を通じ、代わる代わるAの腹部を蹴り、腹部に打撲傷の傷害を負わせた。甲には、脳挫傷の傷害についても乙との傷害罪の共同正犯が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最決平24.11.6)は、「甲は、共謀加担前に乙が既に生じさせていた傷害結果については、甲の共謀及びそれに基づく行為がこれと因果関係を有することはないから、傷害罪の共同正犯として責任を負うことはな…い…。」としている。
甲は、代わる代わるAの腹部を蹴り、腹部に打撲傷の傷害を負わせた結果についてのみ責任を負い、加担前に乙が単独でAに脳挫傷の傷害を負わせた結果については加担後の実行行為との因果関係を認めることはできず、傷害罪の共同正犯は成立しない。

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着手後の共犯関係からの離脱 最二小判昭和24年12月17日

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概要
共犯者の中1人が自己の意思に因り犯行を中止しても、他の者の犯行を阻止せず放任し、その者が犯行を遂げた場合は、前者に対し中止未遂の規定を適用することはできない。
判例
事案:共犯者の中1人は自己の意思に因り犯行を中止し、他の者が犯行の目的を遂げた事案において、中止未遂の規定の適用の有無が問題になった。

判旨:「被告人甲がAの妻の差し出した現金900円を受取ることを断念して同人方を立ち去った事情が所論の通りであるとしても、被告人甲において、その共謀者たる一審相被告人乙が判示のごとく右金員を強取することを阻止せず放任した以上、所論のように、被告人甲のみを中止犯として論ずることはできないのであつて、被告人甲としても右乙によって遂行せられた本件強盗既遂の罪責を免れることを得ないのである。してみればこれと同一の見解に立って、原審弁護人の中止犯の主張を排斥し被告人甲に対し本件強盗罪の責任を認めた原判決は相当であって所論の違法はない。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H22 司法 第10問 2)
犯罪を共同して実行する旨の共謀が成立した後に、共犯関係からの離脱が認められる場合、離脱者には、常に中止犯が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭24.12.17)は、本肢と同種の事案において、「被告人甲がAの妻の差し出した現金900円を受取ることを断念して同人方を立ち去った事情が所論の通りであるとしても、被告人甲において、その共謀者たる一審相被告人乙が判示のごとく右金員を強取することを阻止せず放任した以上、所論のように、被告人甲のみを中止犯として論ずることはできない…。」として、中止犯の成立を認めていない。
したがって、犯罪を共同して実行する旨の共謀が成立した後に、共犯関係からの離脱が認められる場合であっても、離脱者に中止犯が成立しない場合がある。


全体の正答率 : 100%

(R4 司法 第7問 4)
甲と乙は、Vに対する強盗を共謀し、甲がVに包丁を示して、「金を出せ。」と要求したが、甲は、Vに憐憫の情を抱き、Vに「金は要らない。」と言うとともに、乙にも「お前も強盗なんかやめておけ。」と言ってその場を立ち去った。その後もVは甲の脅迫によって反抗抑圧され続けており、乙は、その状態を利用してVから現金を強取した。この場合、甲には、中止犯が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭24.12.17)は、本肢と同種の事案において、「被告人甲がAの妻の差し出した現金900円を受取ることを断念して同人方を立ち去った事情が所論の通りであるとしても、被告人甲において、その共謀者たる一審相被告人乙が判示のごとく右金員を強取することを阻止せず放任した以上、所論のように、被告人甲のみを中止犯として論ずることはできない…。」として、中止犯の成立を認めていない。
甲は、Vに憐憫の情を抱き、Vに「金は要らない。」と言うとともにその場を立ち去っているものの、乙に「お前も強盗なんかやめておけ。」と言ったにすぎない。
そして、乙は、甲の脅迫によるVに対する反抗抑圧の影響が拭いきれず、その状態を利用してVから現金を強取しているから、犯行を阻止せず放任したのと同視できるといえる。
したがって、甲には、中止犯が成立しない。

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着手前の共犯関係からの離脱 最三小決平成21年6月30日

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概要
共犯者数名と住居に侵入して強盗に及ぶことを共謀した被告人が、共犯者の一部が住居に侵入した後強盗に着手する前に、見張り役の共犯者において住居内に侵入していた共犯者に電話で「犯行をやめた方がよい、先に帰る」などと一方的に伝えただけで、被告人において格別それ以後の犯行を防止する措置を講ずることなく、待機していた現場から上記見張り役らと共に離脱したなどの本件事実関係の下では、当初の共謀関係が解消したとはいえない。
判例
事案:住居侵入、強盗の共謀を遂げた共犯者のうち、一部が被害者方の窓から侵入し、他の共犯者らのための侵入口を確保した後に、見張り役の共犯者は、屋内にいる共犯者が強盗に着手する前の段階において、既に、住居内に侵入していた共犯者に対し電話で「先に帰る」などと一方的に伝えただけで、各別それ以降の犯行を防止する措置を講ずることなく待機していた場所から離脱したという事案において、共犯者が住居に侵入した後、強盗に着手する前に現場から離脱した場合における共謀関係の解消の可否が問題となった。

判旨:「被告人は、共犯者数名と住居に侵入して強盗に及ぶことを共謀したところ、共犯者の一部が家人の在宅する住居に侵入した後、見張り役の共犯者が既に住居内に侵入していた共犯者に電話で『犯行をやめた方がよい、先に帰る』などと一方的に伝えただけで、被告人において各別それ以降の犯行を防止する措置を講ずることなく待機していた場所から見張り役らと共に離脱したにすぎず、残された共犯者らがそのまま強盗に及んだものと認められる。そうすると、被告人が離脱したのは強盗行為に着手する前であり、たとえ被告人も見張り役の上記電話内容を認識したうえで離脱し、残された共犯者らが被告人の離脱をその後知るに至ったという事情があったとしても、当初の共謀関係が解消したということはできず、その後の共犯者らの強盗も当初の共謀に基いて行われたものと認めるのが相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H24 共通 第2問 オ)
甲は、乙から、乙がV方に強盗に入る際に外で見張りをしてほしいと頼まれ、利益を折半する約束でこれを承諾し、乙と共にV方に赴いた。甲がV方の外で見張りをしている間に、乙はV方に侵入した。その後、甲は、不安になり、携帯電話で乙に「やっぱり嫌だ。俺は逃げる。」と告げた上、その場から逃走した。乙は、甲の逃走を認識した後、V方内にいたVを発見し、同人に包丁を突き付けてその反抗を抑圧した上、現金を強取した。甲に強盗罪の共同正犯が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最決平21.6.30)は、本肢と同種の事案において、「被告人が離脱したのは強盗行為に着手する前であり、たとえ被告人も見張り役の上記電話内容を認識したうえで離脱し、残された共犯者らが被告人の離脱をその後知るに至ったという事情があったとしても、当初の共謀関係が解消したということはできず、その後の共犯者らの強盗も当初の共謀に基いて行われたものと認めるのが相当である。」としている。
甲は、乙がV方に侵入した後に、一方的に携帯電話で乙に「やっぱり嫌だ。俺は逃げる。」と告げた上、その場から逃走したにすぎず、以降の犯行を防止する措置を一切講じていないから、その後の乙の強盗も当初の共謀に基いて行われたものと認めることができる。
したがって、甲に強盗罪の共同正犯が成立する。


全体の正答率 : 100%

(R4 司法 第7問 3)
甲と乙は、Vに対する強盗を共謀し、乙が先にV方に入り、甲のための侵入口を確保したが、現場付近に人が集まってきたことに気付いた甲は、乙に電話をかけ、「もう犯行をやめた方がよい。先に帰る。」と一方的に告げて、その場から立ち去った。その後、乙は、Vから現金を強取し、その際、Vに傷害を負わせた。この場合、甲には、住居侵入罪及び強盗致傷罪の共同正犯が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最決平21.6.30)は、本肢と同種の事案において、「被告人が離脱したのは強盗行為に着手する前であり、たとえ被告人も見張り役の上記電話内容を認識したうえで離脱し、残された共犯者らが被告人の離脱をその後知るに至ったという事情があったとしても、当初の共謀関係が解消したということはできず、その後の共犯者らの強盗も当初の共謀に基いて行われたものと認めるのが相当である。」としている。
乙が先にV方に侵入した後に、甲は一方的に携帯電話で乙に「もう犯行をやめた方がよい。先に帰る。」と告げた上、その場から立ち去ったにすぎず、以降の犯行を防止する措置を一切講じていないから、その後の乙の強盗も当初の共謀に基づいて行われたものと認めることができる。
したがって、甲に住居侵入罪及び強盗致傷罪の共同正犯が成立する。


全体の正答率 : 100%

(R6 司法 第5問 1)
甲及び乙は、強盗を共謀し、甲がA方の外で見張りをしている間に乙がA方に侵入したが、犯行の発覚を恐れた甲が、乙に対して電話で「人が集まっているから、早く止めた方がいい。俺は先に帰る。」と告げてその場から逃走した。乙は、甲の逃走を認識したが、A方内においてAに暴行を加えて現金を強取した。乙が強盗行為に着手する前に甲の逃走を認識した以上、甲及び乙に強盗罪の共同正犯は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最決平21.6.30)は、本肢と同種の事案において、「被告人が離脱したのは強盗行為に着手する前であり、たとえ被告人も見張り役の上記電話内容を認識したうえで離脱し、残された共犯者らが被告人の離脱をその後知るに至ったという事情があったとしても、当初の共謀関係が解消したということはできず、その後の共犯者らの強盗も当初の共謀に基いて行われたものと認めるのが相当である。」としている。
甲は、乙が先にA方に侵入した後に、一方的に携帯電話で乙に「人が集まっているから、早く止めた方がいい。俺は先に帰る。」と告げた上、その場から逃走したにすぎず、以降の犯行を防止する措置を一切講じていないから、その後の乙の強盗も当初の共謀に基づいて行われたものと認めることができる。
したがって、甲及び乙に、強盗罪の共同正犯が成立する。

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