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刑法 殺人罪と傷害致死罪の共同正犯 最一小判昭和54年4月13日
概要
暴行・傷害を共謀した共犯者のうちの1人が殺人罪を犯した場合、殺意のなかった他の共犯者については、傷害致死罪の共同正犯が成立する。
判例
事案:暴行・傷害を共謀した共犯者のうちの1人が殺人罪を犯したという事案において、他の共犯者の罪責が問題となった。
判旨:「殺人罪と傷害致死罪とは、殺意の有無という主観的な面に差異があるだけで、その余の犯罪構成要件要素はいずれも同一であるから、暴行・傷害を共謀した被告人甲ら7名のうちの乙が前記福原派出所前でV巡査に対し未必の故意をもって殺人罪を犯した本件において、殺意のなかった被告人甲ら6名については、殺人罪の共同正犯と傷害致死罪の共同正犯の構成要件が重なり合う限度で軽い傷害致死罪の共同正犯が成立するものと解すべきである。」
判旨:「殺人罪と傷害致死罪とは、殺意の有無という主観的な面に差異があるだけで、その余の犯罪構成要件要素はいずれも同一であるから、暴行・傷害を共謀した被告人甲ら7名のうちの乙が前記福原派出所前でV巡査に対し未必の故意をもって殺人罪を犯した本件において、殺意のなかった被告人甲ら6名については、殺人罪の共同正犯と傷害致死罪の共同正犯の構成要件が重なり合う限度で軽い傷害致死罪の共同正犯が成立するものと解すべきである。」
過去問・解説
(H22 司法 第12問 1)
殺人の故意を有する者と傷害の故意を有する者との間では、共同正犯が成立する余地はない。
殺人の故意を有する者と傷害の故意を有する者との間では、共同正犯が成立する余地はない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭54.4.13)は、「殺人罪と傷害致死罪とは、殺意の有無という主観的な面に差異があるだけで、その余の犯罪構成要件要素はいずれも同一であるから…殺意のなかった被告人甲ら…については、殺人罪の共同正犯と傷害致死罪の共同正犯の構成要件が重なり合う限度で軽い傷害致死罪の共同正犯が成立する…。」としている。
したがって、殺人の故意を有する者と傷害の故意を有する者との間で構成要件が重なり合う限度で、共同正犯が成立する余地がある。
判例(最判昭54.4.13)は、「殺人罪と傷害致死罪とは、殺意の有無という主観的な面に差異があるだけで、その余の犯罪構成要件要素はいずれも同一であるから…殺意のなかった被告人甲ら…については、殺人罪の共同正犯と傷害致死罪の共同正犯の構成要件が重なり合う限度で軽い傷害致死罪の共同正犯が成立する…。」としている。
したがって、殺人の故意を有する者と傷害の故意を有する者との間で構成要件が重なり合う限度で、共同正犯が成立する余地がある。
(H22 司法 第12問 5)
窃盗の共謀に基づき実行行為を分担することとなった者が、財物を強取した後、実行行為を分担しなかった共犯者にその旨話し、同人がこれを了承して上記財物をもらい受けた。この場合、実行行為を分担しなかった共犯者にも強盗の共同正犯が成立し得る。
窃盗の共謀に基づき実行行為を分担することとなった者が、財物を強取した後、実行行為を分担しなかった共犯者にその旨話し、同人がこれを了承して上記財物をもらい受けた。この場合、実行行為を分担しなかった共犯者にも強盗の共同正犯が成立し得る。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭54.4.13)は、「殺人罪と傷害致死罪とは、殺意の有無という主観的な面に差異があるだけで、その余の犯罪構成要件要素はいずれも同一であるから…殺意のなかった被告人甲ら…については、殺人罪の共同正犯と傷害致死罪の共同正犯の構成要件が重なり合う限度で軽い傷害致死罪の共同正犯が成立する…。」としている。
窃盗罪の共同正犯と強盗罪の共同正犯では、軽い窃盗罪の共同正犯の限度で構成要件が重なり合うといえるから、実行行為を分担しなかった共犯者には、窃盗罪の限度で共同正犯が成立する。
判例(最判昭54.4.13)は、「殺人罪と傷害致死罪とは、殺意の有無という主観的な面に差異があるだけで、その余の犯罪構成要件要素はいずれも同一であるから…殺意のなかった被告人甲ら…については、殺人罪の共同正犯と傷害致死罪の共同正犯の構成要件が重なり合う限度で軽い傷害致死罪の共同正犯が成立する…。」としている。
窃盗罪の共同正犯と強盗罪の共同正犯では、軽い窃盗罪の共同正犯の限度で構成要件が重なり合うといえるから、実行行為を分担しなかった共犯者には、窃盗罪の限度で共同正犯が成立する。
(H24 共通 第7問 5)
甲は、乙との間で、Aに暴行を加えることを共謀したところ、乙は、Aに対して暴行を加えている最中に興奮のあまり殺意を生じ、Aを殺害してしまった。甲には傷害罪の共同正犯が成立するにとどまる。
甲は、乙との間で、Aに暴行を加えることを共謀したところ、乙は、Aに対して暴行を加えている最中に興奮のあまり殺意を生じ、Aを殺害してしまった。甲には傷害罪の共同正犯が成立するにとどまる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭54.4.13)は、「殺人罪と傷害致死罪とは、殺意の有無という主観的な面に差異があるだけで、その余の犯罪構成要件要素はいずれも同一であるから…殺意のなかった被告人甲ら…については、殺人罪の共同正犯と傷害致死罪の共同正犯の構成要件が重なり合う限度で軽い傷害致死罪の共同正犯が成立する…。」としている。
甲乙間の共謀は、暴行についてのものであるところ、乙は、行為途中で殺意を生じてAを殺害している。
したがって、殺意のない甲には、殺人罪の共同正犯と傷害致死罪の共同正犯の構成要件が重なり合う限度、すなわち、軽い傷害致死罪の限度で共同正犯が成立することになる。
判例(最判昭54.4.13)は、「殺人罪と傷害致死罪とは、殺意の有無という主観的な面に差異があるだけで、その余の犯罪構成要件要素はいずれも同一であるから…殺意のなかった被告人甲ら…については、殺人罪の共同正犯と傷害致死罪の共同正犯の構成要件が重なり合う限度で軽い傷害致死罪の共同正犯が成立する…。」としている。
甲乙間の共謀は、暴行についてのものであるところ、乙は、行為途中で殺意を生じてAを殺害している。
したがって、殺意のない甲には、殺人罪の共同正犯と傷害致死罪の共同正犯の構成要件が重なり合う限度、すなわち、軽い傷害致死罪の限度で共同正犯が成立することになる。
(H25 共通 第17問 3)
甲と乙は、自分たちのことを日頃ばかにするVを懲らしめてやろうと思い、Vに傷害を負わせる旨共謀した。そして、甲と乙は、それぞれ、Vに対し、日頃の恨みを言いながら、その身体を殴り付けた。Vは、これに応答して甲らを罵った。すると、乙は、Vの発言に腹を立て、殺意をもって、隠し持っていたナイフでVを刺し殺した。乙に殺人罪が成立する場合、甲には、Vに対する殺意がなくても殺人罪の共同正犯が成立する。
甲と乙は、自分たちのことを日頃ばかにするVを懲らしめてやろうと思い、Vに傷害を負わせる旨共謀した。そして、甲と乙は、それぞれ、Vに対し、日頃の恨みを言いながら、その身体を殴り付けた。Vは、これに応答して甲らを罵った。すると、乙は、Vの発言に腹を立て、殺意をもって、隠し持っていたナイフでVを刺し殺した。乙に殺人罪が成立する場合、甲には、Vに対する殺意がなくても殺人罪の共同正犯が成立する。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭54.4.13)は、「殺人罪と傷害致死罪とは、殺意の有無という主観的な面に差異があるだけで、その余の犯罪構成要件要素はいずれも同一であるから…殺意のなかった被告人甲ら…については、殺人罪の共同正犯と傷害致死罪の共同正犯の構成要件が重なり合う限度で軽い傷害致死罪の共同正犯が成立する…。」としている。
甲乙間の共謀は、傷害についてのものであるところ、乙は、行為途中で殺意を生じて、殺意をもってナイフでVを殺害している。
したがって、殺意のない甲には、殺人罪の共同正犯と傷害致死罪の共同正犯の構成要件が重なり合う限度、すなわち、軽い傷害致死罪の限度で共同正犯が成立することになる。
判例(最判昭54.4.13)は、「殺人罪と傷害致死罪とは、殺意の有無という主観的な面に差異があるだけで、その余の犯罪構成要件要素はいずれも同一であるから…殺意のなかった被告人甲ら…については、殺人罪の共同正犯と傷害致死罪の共同正犯の構成要件が重なり合う限度で軽い傷害致死罪の共同正犯が成立する…。」としている。
甲乙間の共謀は、傷害についてのものであるところ、乙は、行為途中で殺意を生じて、殺意をもってナイフでVを殺害している。
したがって、殺意のない甲には、殺人罪の共同正犯と傷害致死罪の共同正犯の構成要件が重なり合う限度、すなわち、軽い傷害致死罪の限度で共同正犯が成立することになる。
(H29 司法 第15問 2)
甲が乙に対し、Aをナイフで脅してAから金品を強取するように教唆したところ、乙は、その旨決意し、Aをナイフで脅したが、その最中に殺意を抱き、Aの腹部をナイフで刺してAに傷害を負わせ、Aから金品を強取したものの、Aを殺害するには至らなかった。甲には強盗罪の教唆犯が成立するにとどまる。
甲が乙に対し、Aをナイフで脅してAから金品を強取するように教唆したところ、乙は、その旨決意し、Aをナイフで脅したが、その最中に殺意を抱き、Aの腹部をナイフで刺してAに傷害を負わせ、Aから金品を強取したものの、Aを殺害するには至らなかった。甲には強盗罪の教唆犯が成立するにとどまる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭54.4.13)は、「殺人罪と傷害致死罪とは、殺意の有無という主観的な面に差異があるだけで、その余の犯罪構成要件要素はいずれも同一であるから…殺意のなかった被告人甲ら…については、殺人罪の共同正犯と傷害致死罪の共同正犯の構成要件が重なり合う限度で軽い傷害致死罪の共同正犯が成立する…。」としている。
当初、甲は乙に対し、強盗を教唆したにとどまるものの、強盗を決意した乙は殺意をもってナイフでAに傷害を負わせ金品を強取している。
したがって、強盗の故意しかない甲には、強盗殺人未遂罪の共同正犯と強盗致傷罪の共同正犯の構成要件が重なり合う限度、すなわち、軽い強盗致傷罪の限度で教唆犯が成立することになる。
判例(最判昭54.4.13)は、「殺人罪と傷害致死罪とは、殺意の有無という主観的な面に差異があるだけで、その余の犯罪構成要件要素はいずれも同一であるから…殺意のなかった被告人甲ら…については、殺人罪の共同正犯と傷害致死罪の共同正犯の構成要件が重なり合う限度で軽い傷害致死罪の共同正犯が成立する…。」としている。
当初、甲は乙に対し、強盗を教唆したにとどまるものの、強盗を決意した乙は殺意をもってナイフでAに傷害を負わせ金品を強取している。
したがって、強盗の故意しかない甲には、強盗殺人未遂罪の共同正犯と強盗致傷罪の共同正犯の構成要件が重なり合う限度、すなわち、軽い強盗致傷罪の限度で教唆犯が成立することになる。
(R1 司法 第11問 2)
甲と乙は、丙に暴行を加えて傷害を負わせることを共謀したところ、乙において、丙に暴行を加えている最中に興奮して殺意を生じ、丙を殺害した。この場合、甲には、傷害罪の共同正犯が成立する。
甲と乙は、丙に暴行を加えて傷害を負わせることを共謀したところ、乙において、丙に暴行を加えている最中に興奮して殺意を生じ、丙を殺害した。この場合、甲には、傷害罪の共同正犯が成立する。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭54.4.13)は、「殺人罪と傷害致死罪とは、殺意の有無という主観的な面に差異があるだけで、その余の犯罪構成要件要素はいずれも同一であるから…殺意のなかった被告人甲ら…については、殺人罪の共同正犯と傷害致死罪の共同正犯の構成要件が重なり合う限度で軽い傷害致死罪の共同正犯が成立する…。」としている。
当初は傷害の共謀にとどまるものの、乙は殺意をもって丙を殺害している。
したがって、殺意のない甲には、殺人罪の共同正犯と傷害致死罪の共同正犯の構成要件が重なり合う限度、すなわち、軽い傷害致死罪の限度で共同正犯が成立することになる。
判例(最判昭54.4.13)は、「殺人罪と傷害致死罪とは、殺意の有無という主観的な面に差異があるだけで、その余の犯罪構成要件要素はいずれも同一であるから…殺意のなかった被告人甲ら…については、殺人罪の共同正犯と傷害致死罪の共同正犯の構成要件が重なり合う限度で軽い傷害致死罪の共同正犯が成立する…。」としている。
当初は傷害の共謀にとどまるものの、乙は殺意をもって丙を殺害している。
したがって、殺意のない甲には、殺人罪の共同正犯と傷害致死罪の共同正犯の構成要件が重なり合う限度、すなわち、軽い傷害致死罪の限度で共同正犯が成立することになる。
(R2 共通 第5問 ア)
甲及び乙がAに対する暴行を共謀したが、Aの態度に激高した甲が殺意をもってAを殺害した場合、甲及び乙に殺人罪の共同正犯が成立するが、乙は傷害致死罪の刑で処断される。
甲及び乙がAに対する暴行を共謀したが、Aの態度に激高した甲が殺意をもってAを殺害した場合、甲及び乙に殺人罪の共同正犯が成立するが、乙は傷害致死罪の刑で処断される。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭54.4.13)は、「殺人罪と傷害致死罪とは、殺意の有無という主観的な面に差異があるだけで、その余の犯罪構成要件要素はいずれも同一であるから…殺意のなかった被告人甲ら…については、殺人罪の共同正犯と傷害致死罪の共同正犯の構成要件が重なり合う限度で軽い傷害致死罪の共同正犯が成立する…。」としている。
当初は暴行の共謀にとどまるものの、甲は殺意をもってAを殺害している。
したがって、殺意のない乙には、殺人罪の共同正犯は成立せず、殺人罪の共同正犯と傷害致死罪の共同正犯の構成要件が重なり合う限度、すなわち、軽い傷害致死罪の限度で共同正犯が成立して、乙は傷害致死罪の刑で処断される。
判例(最判昭54.4.13)は、「殺人罪と傷害致死罪とは、殺意の有無という主観的な面に差異があるだけで、その余の犯罪構成要件要素はいずれも同一であるから…殺意のなかった被告人甲ら…については、殺人罪の共同正犯と傷害致死罪の共同正犯の構成要件が重なり合う限度で軽い傷害致死罪の共同正犯が成立する…。」としている。
当初は暴行の共謀にとどまるものの、甲は殺意をもってAを殺害している。
したがって、殺意のない乙には、殺人罪の共同正犯は成立せず、殺人罪の共同正犯と傷害致死罪の共同正犯の構成要件が重なり合う限度、すなわち、軽い傷害致死罪の限度で共同正犯が成立して、乙は傷害致死罪の刑で処断される。