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共犯と身分 - 解答モード

65条の「身分」の意義 最二小判昭和27年9月19日

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概要
65条にいわゆる身分は、男女の性別、内外人の別、親族の関係、公務員たるの資格のような関係のみに限らず、総て一定の犯罪行為に関する犯人の人的関係である特殊の地位又は状態を指称するものであって、252条においては、横領罪の目的物に対する犯人の関係が占有という特殊の状態にあることが65条にいわゆる身分に該るものと云わなければならない。
判例
事案:使途を定めて寄託された金員について、その委託の趣旨に反してこれを料理代の支払に充てたという事案において、①65条のいわゆる「身分」の意義、②横領の目的物を犯人が占有する状態はいわゆる「身分」にあたるかなどが問題になった。

判旨:「刑法65条にいわゆる身分は、男女の性別内外国人の別、親族の関係、公務員たるの資格のような関係のみに限らず、総て一定の犯罪行為に関する犯人の人的関係である特殊の地位又は状態を指称するものであって、刑法252条においては、横領罪の目的物に対する犯人の関係が占有という特殊の状態にあること、即ち犯人が物の占有者である特殊の地位にあることが犯罪の条件をなすものであって、刑法65条にいわゆる身分に該るものと云わなければならない。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50%

(H22 司法 第12問 4)
刑法第65条にいう「身分」は、犯人の一身的な継続的属性に限られる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭27.9.19)は、「刑法65条にいわゆる身分は、男女の性別内外国人の別、親族の関係、公務員たるの資格のような関係のみに限らず、総て一定の犯罪行為に関する犯人の人的関係である特殊の地位又は状態を指称するもの…。」としている。
したがって、刑法第65条にいう「身分」は、犯人の一身的な継続的属性に限られない。


全体の正答率 : 100%

(R1 共通 第19問 1)
刑法第65条の身分には一時的な心理状態は含まれないので、目的犯に当たる犯罪行為を、当該目的を有する者と有しない者が共同して行った場合、同条の適用の余地はない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭27.9.19)は、「刑法65条にいわゆる身分は、男女の性別内外国人の別、親族の関係、公務員たるの資格のような関係のみに限らず、総て一定の犯罪行為に関する犯人の人的関係である特殊の地位又は状態を指称するもの…。」としている。
したがって、一時的な心理状態も、一定の犯罪行為に関する犯人の人的関係である特殊の地位又は状態として刑法第65条の身分に含まれ、目的犯に当たる犯罪行為を、当該目的を有する者と有しない者が共同して行った場合に同条が適用される余地がある。

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65条1項と2項の関係 最一小判昭和31年5月24日

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概要
200条の罪は、犯人の身分により構成すべき犯罪ではなく、単に卑属親たる身分があるがため、特にその刑を加重するに過ぎないものである。
判例
事案:尊属殺人の事案において、200条の罪は犯人の身分により構成すべき犯罪かが問題となった。

判旨:「刑法200条の罪は犯人の身分により特に構成すべき犯罪ではなく単に卑属親たる身分あるがため特にその刑を加重するに過ぎないものであるから直系卑属でない共犯者に対しては刑法65条2項によって処断すべきものと解するを相当とする。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H27 司法 第13問 ①)
教授Xと学生Yは、事後強盗罪の共犯に関する事例について後記【会話】のとおり検討している。【会話】中の( )内から適切な語句を選びなさい。
【会話】
教授X.窃盗犯人甲は、自己を逮捕しようと追い掛けてきた被害者Vに対し、逮捕を免れる目的で、Vの反抗を抑圧する程度の暴行を加えました。甲にはどのような犯罪が成立しますか。
学生Y.甲には事後強盗罪が成立します。
教授X.それでは、甲がVから追い掛けられている時に、甲の知人乙が、偶然通り掛かり、その状況から甲がVの物を盗んだのだと認識し、甲と意思を通じて、甲の逮捕を免れさせる目的で、Vに対し、Vの反抗を抑圧する程度の暴行を加えた場合、乙の共犯としての罪責はどうなりますか。
学生Y.事後強盗罪を真正身分犯と考え、刑法第65条についての判例の立場に立てば、乙には(a.刑法第65条第1項により事後強盗罪・b.刑法第65条第2項により暴行罪)が成立します。

(正答)a

(解説)
判例(最判昭31.5.24)は、「刑法200条の罪は犯人の身分により特に構成すべき犯罪ではなく単に卑属親たる身分あるがため特にその刑を加重するに過ぎないものであるから直系卑属でない共犯者に対しては刑法65条2項によって処断すべき…。」としている。
したがって、事後強盗罪を真正身分犯と考え、65条について判例の立場に立てば、1項が適用され、身分のない乙も事後強盗罪の共犯となる。

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不真正身分犯において身分者が非身分者に加担した場合 大判大正3年5月18日

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概要
①186条1項は185条の通常賭博罪の加重規定であり、その加重は犯人の身分による加重である。
②65条2項の規定は実行正犯のみならず教唆者及び従犯にも適用がある。
判例
事案:賭博の事案において、①186条1項は185条の単純賭博罪の加重規定であり、その加重は犯人の身分による加重であるか、②65条2項の規定は実行正犯のみならず教唆者及び従犯にも適用があるかが問題となった。

要旨:刑法第百八十六条第一項ハ同法第百八十五条通常賭博罪ノ加重規定ニシテ其加重ハ犯人ノ身分ニ因ル加重ナリト解スヘキモノトス
 刑法第六十五条第二項ノ規定ハ実行正犯ノミナラス教唆者及ヒ従犯ニモ其適用アルモノトス
(※原文を確認できないため、要旨のみを掲載)
過去問・解説
全体の正答率 : 50%

(R1 共通 第19問 2)
刑法第65条第2項は加減的身分のない者が当該身分のある者に加功した場合について規定するものであるので、賭博の常習性を有する者が有しない者に賭博を教唆した場合、同項の適用の余地はない。

(正答)

(解説)
判例(大判大3.5.18)は、常習賭博罪が単純賭博罪の加重規定であることを示した上で、65条2項が従犯にも適用されることを示している。
したがって、賭博の常習性を有する者が有しない者に賭博を教唆した場合にも、65条2項が適用される。

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横領罪の成否 最三小判昭和31年6月26日

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概要
不動産のいわゆる二重譲渡において、譲受人は二重譲渡であることにつき悪意であっても、代物弁済という民法上の原因によって本件不動産所有権を適法に取得したのだから、不動産の引渡人と横領罪の共犯とならない。
判例
事案:不動産のいわゆる二重譲渡の事案において、二重譲渡であることにつき悪意の譲受人は、引渡人と横領の共同正犯となるかが問題となった。

判旨:「被告人甲は、被告人乙に対する元金28000円の債権に基きその代物弁済として昭和24年2月5日本件不動産の所有権移転登記を受けその所有権を取得したというのであるから代物弁済という民法上の原因によって本件不動産所有権を適法に取得したのであって、被告人乙の横領行為とは法律上別個独立の関係である。されば本件においてたとい被告人甲が『前記の事実を良く知りながら』右所有権の移転登記を受けたとしても、これをもって直ちに横領の共犯と認めることはできないのである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 0%

(H18 司法 第5問 エ)
Aは、自己の所有する不動産を乙に売却して代金を受領した後、所有権移転登記をするまでの間に、その不動産を更に甲に売却しようとしたところ、甲は、Aがその不動産を既に乙に売却済みかもしれないとの未必的な認識を有しながら、この点を確認しないまま、Aからその不動産を購入して登記を完了した。甲に横領罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭31.6.26)は、本肢と同種の事案において、「被告人甲は、被告人乙に対する…債権に基きその代物弁済として…本件不動産の所有権移転登記を受けその所有権を取得したというのであるから代物弁済という民法上の原因によって本件不動産所有権を適法に取得したのであって、被告人乙の横領行為とは法律上別個独立の関係である。…被告人甲が『前記の事実を良く知りながら』右所有権の移転登記を受けたとしても、これをもって直ちに横領の共犯と認めることはできない…。」として、単純悪意者に対する横領罪の共同正犯の成立を否定している。
甲は、Aがその不動産を既に乙に売却済みかもしれないとの未必的な認識を有しているにすぎない単純悪意者であり、売買という民法上の原因によって本件不動産所有権を適法に取得し、対抗要件を具備したといえる。
したがって、甲に横領罪は成立しない。


全体の正答率 : 100%

(H30 共通 第20問 オ)
甲は、別居している実弟Aとの間で、自己が所有するX市内の土地(以下「本件土地」という。)を代金3000万円で売却する売買契約を締結し、Aから代金全額の支払を受けたものの、本件土地の所有権移転登記は未了のままであった。
 そこで、甲は、自己が経営する会社の資金繰りのため、自らが保管していた本件土地の登記済証を利用し、事情を知らないBに対して、本件土地に抵当権を設定するので、それを担保に1000万円を融資してほしい旨申し入れたところ、Bは、これを了承した。数日後、甲は、Bから1000万円の融資を受けた上、Aに無断で本件土地の抵当権設定登記を完了した。
 X市の土木部長である乙は、本件土地を乙個人として購入したいと考え、甲に対して、その旨を申し入れた。甲は、乙に対して、本件土地は既にAに売却済みであるが、登記名義は自分に残っているので、代金2000万円で売却してもよい旨を伝えたところ、乙は、これを了承した。そして、乙は、Y市内に時価700万円の農地(以下「本件農地」という。)を所有していたことから、本件土地の購入資金を調達するため、それまでにX市発注の公共工事の受注に際して、土木部長として便宜を図ってきた建築業を営むCに対して、本件農地を時価で買い取ってほしい旨を依頼した。Cは、本件農地にはそれまで買手が全く見付からず、乙が苦労していることを知りながら、かねてX市発注の公共工事の受注に際して乙が有利な取り計らいをしてくれたことに対する謝礼の趣旨に加え、時価であれば損をすることもないと考えて、乙の依頼を了承した。そして、Cは、乙と本件農地の売買契約を締結した上で、乙に現金700万円を手渡した。
 その後、甲は、Aに無断で乙と本件土地の売買契約を締結し、乙から代金全額の支払を受けた上、本件土地の所有権が売買により乙に移転した旨の登記を完了した。
 乙は、甲から本件土地が既にAに売却済みであることを知らされながら、Aに無断で本件土地を購入し、所有権移転登記を完了したのであるから、乙に横領罪の共同正犯が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭31.6.26)は、本肢と同種の事案において、「被告人甲は、被告人乙に対する…債権に基きその代物弁済として…本件不動産の所有権移転登記を受けその所有権を取得したというのであるから代物弁済という民法上の原因によって本件不動産所有権を適法に取得したのであって、被告人乙の横領行為とは法律上別個独立の関係である。…被告人甲が『前記の事実を良く知りながら』右所有権の移転登記を受けたとしても、これをもって直ちに横領の共犯と認めることはできない…。」として、単純悪意者に対する横領罪の共同正犯の成立を否定している。
乙は、甲から本件土地が既にAに売却済みであることを知らされながら、Aに無断で本件土地を購入しているものの単純悪意者にすぎず、売買という民法上の原因によって本件不動産所有権を適法に取得し対抗要件を具備したといえる。
したがって、乙に横領罪の共同正犯は成立しない。

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業務上横領罪に加功した非占有者 最三小判昭和32年11月19日

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概要
村長、助役が収入役と共謀の上、収入役の保管にかかる寄附金を横領したときは、65条1項により253条に該当する共犯となるが、村長、助役は業務上物の占有者たる身分がないから、252条1項の刑を科すべきものである。
判例
事案:村長、助役が収入役と共謀の上、収入役の保管にかかる寄附金を横領した事案において、身分的共犯の成立と科刑の関係が問題となった。

判旨:「被告人両名はかかる業務に従事していたことは認められないから、刑法65条1項により同法253条に該当する業務上横領罪の共同正犯として論ずべきものである。しかし、同法253条は横領罪の犯人が業務上物を占有する場合において、とくに重い刑を科することを規定したものであるから、業務上物の占有者たる身分のない被告人両名に対しては同法65条2項により同法252条1項の通常の横領罪の刑を科すべきものである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 0%

(H23 共通 第16問 ③)
業務上の占有者による横領行為に非占有者が加功した場合の罪責について、教授及び学生が次の【会話】のとおり議論している。【会話】中の( )内に後記アからキまでの【発言】から適切な語句を入れなさい。
【会話】
教授.保険会社の保険料集金担当従業員である甲が、同社の従業員ではない知人乙と共謀の上、集金した保険料を横領した事例のように、業務上の占有者に非占有者が加功した場合のそれぞれの罪責について、共犯と身分の観点から、どのようなことが問題になりますか。
学生.業務上横領罪の成否に関して、同罪は、単純横領罪との関係では業務者という身分があることによって刑が加重・減軽される加減的身分犯であり、他方、非占有者との関係では占有の受託者という身分があることによって犯罪行為になる構成的身分犯となりますから、特に乙に対して、何罪が成立するのかが問題になります。
教授.判例ではこの事例はどのような結論になりますか。
学生.判例は、(③)としています。
教授.判例の立場に対しては、どのような批判がなされていますか。
学生.非身分者について罪名と科刑の分離を認めるのは妥当でないという批判がなされています。
【発言】
オ.刑法第65条第1項により甲には業務上横領罪が、同条第2項により乙には単純横領罪がそれぞれ成立し、甲及び乙は単純横領罪の範囲で共犯となる
カ.刑法第65条第1項により甲及び乙は業務上横領罪の共犯となり、同条第2項により乙に対しては単純横領罪の刑を科す
キ.刑法第65条第1項により甲及び乙は単純横領罪の共犯となり、更に同条第2項により甲については業務上横領罪が成立する

(正答)カ

(解説)
判例(最判昭32.11.19)は、「被告人両名はかかる業務に従事していたことは認められないから、刑法65条1項により同法253条に該当する業務上横領罪の共同正犯として論ずべきものである。…業務上物の占有者たる身分のない被告人両名に対しては同法65条2項により同法252条1項の通常の横領罪の刑を科すべきものである。」としている。
したがって、判例の65条1項により甲及び乙は業務上横領罪の共犯となり、2項により業務上物の占有者たる身分のない乙に対しては単純横領罪の刑を科すとするのが判例の立場である。


全体の正答率 : 100%

(R1 共通 第19問 3)
非占有者が業務上の占有者による横領行為に加功した場合、当該非占有者には、刑法第65条第1項の適用により業務上横領罪の共犯が成立し、同条第2項の適用により単純横領罪の刑が科される。

(正答)

(解説)
判例(最判昭32.11.19)は、「被告人両名はかかる業務に従事していたことは認められないから、刑法65条1項により同法253条に該当する業務上横領罪の共同正犯として論ずべきものである。…業務上物の占有者たる身分のない被告人両名に対しては同法65条2項により同法252条1項の通常の横領罪の刑を科すべきものである。」としている。
したがって、非占有者が業務上の占有者による横領行為に加功した場合、当該非占有者には、刑法第65条第1項の適用により業務上横領罪の共犯が成立し、同条第2項の適用により単純横領罪の刑が科される。

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公文書作成罪と身分犯 大判明治44年4月27日

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概要
公務員と共謀してその公務員の職務に関し虚偽の文書を作成するにあたっては公務員ではない者もまた虚偽公文書作成罪の正犯である。
判例
事案:身分を持たない者が公務員と共謀してその公務員の職務に関し虚偽の文書を作成した事案において、その罪責が問題となった。

判旨:「助役ハ村長ノ補助機関ニ過キサレハ村長自ラ其資格ヲ冒用シテ虚偽ノ文書ヲ作成スルニ当リ助役之ニ加工スルモ其助役ハ自己ノ職務ニ関シ虚偽ノ文書ヲ作成シタルモノト云フヲ得ス
 公務員ト共謀シテ其公務員ノ職務ニ関シ虚偽ノ文書ヲ作成スルニ於テハ公務員ニ非サル者モ亦刑法第156条ニ於ケル犯罪ノ正犯タルヲ免レス」
過去問・解説
全体の正答率 : 0%

(H25 共通 第6問 2)
甲は、自己の所有する土地の登記記録を改ざんしようと考え、法務局の担当登記官である乙にその情を打ち明けて記録の改ざんを依頼し、乙に登記簿の磁気ディスクに内容虚偽の記録をしてもらった。甲には電磁的公正証書原本不実記録罪、同供用罪の共同正犯が成立する。

(正答)

(解説)
判例(大判明44.4.27)は、公務員と共謀してその公務員の職務に関し虚偽の文書を作成するにおいては刑法65条1項の規程により公務員でない者もまた公務員の職務に関し虚偽の文書を作った罪の正犯であることを免れない旨、示している。
公務員の身分をもたない甲は、法務局の担当登記官である乙と共謀し、登記簿の磁気ディスクに内容虚偽の記録することで虚偽公文書を作成しているから、65条1項の適用により、虚偽公文書作成罪の共同正犯が成立する。

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