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殺人の罪(実行行為) - 解答モード

偽装心中と殺人罪 最二小判昭和33年11月21日

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概要
自己に追死の意思がないにも関わらず被害者を殺害するため、これを欺罔し追死を誤信させて自殺させた行為は、通常の殺人罪に該当する。
判例
事案:被害者から心中を持ち掛けられたことを利用して、被害者を死亡させようと考え、自らは死ぬ気がないのに、被害者との心中を了承し、被害者を自殺させたという事案において、殺人罪の成否が問題となった。

判旨:「本件被害者は被告人の欺罔の結果被告人の追死を予期して死を決意したものであり、その決意は真意に添わない重大な瑕疵ある意思であることが明らかである。そしてこのように被告人に追死の意思がないに拘らず被害者を欺罔し被告人の追死を誤信させて自殺させた被告入の所為は通常の殺人罪に該当する…。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H21 司法 第4問 5)
甲は、乙に対し、同人が自殺すれば甲もその直後に後を追って自殺する旨うそをつき、乙は、その旨誤信して自殺することを決意し、甲から受け取った毒薬を服用して死亡した。この場合、乙に真実自殺する意思がある以上、甲には自殺教唆罪が成立するにとどまり、殺人罪の正犯とならない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭33.11.21)は、「被告人に追死の意思がないに拘らず被害者を欺罔し被告人の追死を誤信させて自殺させた被告入の所為は通常の殺人罪に該当する…。」としている。
乙に真実自殺する意思があったとしても、甲の追死を予期して死を決意したのであるから、その決意は真意に添わない重大な瑕疵ある意思であるといえ、甲はうそをついて乙が誤信し、自殺している。
したがって、甲は殺人罪の正犯となる。


全体の正答率 : 100%

(H27 司法 第6問 5)
甲は、Vから心中を持ち掛けられたことを利用して、Vを死亡させようと考え、自らは死ぬ気がないのに、Vとの心中を了承した。Vは、甲の真意を知っていれば死ぬことはなかったが、甲も一緒に死んでくれるものと誤信したまま、甲の目の前で、甲が用意した致死量の毒を飲んで中毒死した。甲には殺人罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭33.11.21)は、「被告人に追死の意思がないに拘らず被害者を欺罔し被告人の追死を誤信させて自殺させた被告入の所為は通常の殺人罪に該当する…。」としている。
Vに真実心中する意思があったとしても、甲の追死を予期して死を決意したのであるから、その決意は真意に添わない重大な瑕疵ある意思であるといえ、甲は、自らは死ぬ気がないのに、Vとの心中を了承させ、自死させている。
したがって、甲には殺人罪が成立する。


全体の正答率 : 100%

(R1 共通 第9問 3)
甲は、乙との不倫関係を清算しようと考え、真実は、乙と心中するつもりはないにもかかわらず、乙に対し、「あの世で一緒になろう。私も君の後を追って死ぬから。」と言って心中を持ちかけ、その旨誤信してこれを承諾した乙に毒薬を手渡したところ、乙がそれを飲んで死亡した。この場合、甲には、自殺関与罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭33.11.21)は、「被告人に追死の意思がないに拘らず被害者を欺罔し被告人の追死を誤信させて自殺させた被告入の所為は通常の殺人罪に該当する…。」としている。
乙に真実心中する意思があったとしても、甲の追死を予期して死を決意したのであるから、その決意は真意に添わない重大な瑕疵ある意思であるといえ、甲は、自らは死ぬ気がないのに、乙に心中を了承させ、自死させている。
したがって、甲には殺人罪が成立する。


全体の正答率 : 100%

(R2 共通 第1問 2)
甲は、追死する意思がないのにあるように装い、その旨誤信したXに心中を決意させた上で、毒物を渡し、それを飲み込ませて死亡させた。この場合、甲に、Xに対する殺人罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭33.11.21)は、「被告人に追死の意思がないに拘らず被害者を欺罔し被告人の追死を誤信させて自殺させた被告入の所為は通常の殺人罪に該当する…。」としている。
Xに真実心中する意思があったとしても、甲の追死を予期して死を決意したのであるから、その決意は真意に添わない重大な瑕疵ある意思であるといえ、甲は、自らは死ぬ気がないのに、Xに心中を了承させ、自死させている。
したがって、甲には殺人罪が成立する。

該当する過去問がありません

被害者の行為を利用した殺人 最一小決昭和59年3月27日

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概要
被害者を河川堤防上に連行し、未必の故意をもって、脅迫的言動を用いて同人を護岸際まで追いつめ、逃げ場を失った同人を川に転落するのやむなきに至らしめて溺死させた行為は、殺人罪が成立する。
判例
事案:被害者を河川堤防上に連行し、未必の故意をもって、脅迫的言動を用いて同人を護岸際まで追いつめ、逃げ場を失った同人を川に転落するのやむなきに至らしめて溺死させたという事案において、殺人罪の成否が問題となった。

判旨:「被告人は、外2名と共に、厳寒の深夜、かなり酩酊しかつ被告人らから暴行を受けて衰弱していた被害者を、都内荒川の河口近くの堤防上に連行し、同所において同人を川に転落させて死亡させるのもやむを得ない旨意思を相通じ、上衣、ズボンを無理矢理脱がせたうえ、同人を取り囲み、『この野郎、いつまでふざけてるんだ、飛び込める根性あるか。』などと脅しながら護岸際まで追いつめ、さらにたる木で殴りかかる態度を示すなどして、遂には逃げ場を失った同人を護岸上から約3メートル下の川に転落するのやむなきに至らしめ、そのうえ長さ約3、4メートルのたる木で水面を突いたり叩いたりし、もって同人を溺死させたというのであるから、右被告人の所為は殺人罪にあたるとした原判断は相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H27 司法 第6問 2)
甲は、真冬の深夜、河川堤防でVに激しい暴行を加えたところ、Vは走って逃げ出した。甲は、逃げるVを堤防際まで追い詰めれば、逃げ場を失ったVが堤防から下の川に飛び込んで溺死するかもしれないがそれでも構わないと考え、Vを堤防際まで追い詰めた。逃げ場を失ったVは、甲からの暴行を免れるため、堤防から約3メートル下の川に飛び込んで溺死した。甲には、殺人罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最決昭59.3.27)は、本肢と同種の事案において、「被告人は、…被害者を、都内荒川の河口近くの堤防上に連行し、同所において同人を川に転落させて死亡させるのもやむを得ない旨意思を相通じ、…脅しながら護岸際まで追いつめ、さらにたる木で殴りかかる態度を示すなどして、遂には逃げ場を失った同人を護岸上から約3メートル下の川に転落するのやむなきに至らしめ…同人を溺死させたというのであるから、右被告人の所為は殺人罪にあたる…。」としている。
Vは自分の意思によらず川に飛び込むことを強制され、甲は、V自身の行為を利用した間接正犯であるといえ、甲に殺人罪が成立する。


全体の正答率 : 100%

(R6 司法 第2問 ア)
甲は、真冬の深夜、甲から暴行を受けて衰弱したAを河川堤防上に連れて行き、未必の殺意をもって、Aを脅迫して護岸際まで追い詰め、さらに、Aに対して殴りかかる態度を示したため、逃げ場を失ったAが足を滑らせて堤防から3メートル下の川に転落して溺死した。この場合、甲に殺人罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最決昭59.3.27)は、本肢と同種の事案において、「被告人は、…被害者を、都内荒川の河口近くの堤防上に連行し、同所において同人を川に転落させて死亡させるのもやむを得ない旨意思を相通じ、…脅しながら護岸際まで追いつめ、さらにたる木で殴りかかる態度を示すなどして、遂には逃げ場を失った同人を護岸上から約3メートル下の川に転落するのやむなきに至らしめ…同人を溺死させたというのであるから、右被告人の所為は殺人罪にあたる…。」としている。
甲は、逃げ場を失ったAに対して、甲はさらに殴り掛かる態度を示しているため、川に転落して死亡する危険性が高い行為に及んでいるといえ、甲に殺人罪が成立する。

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自動車の転落事故を装い被害者を自殺させた行為 最三小決平成16年1月20日

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概要
自動車の転落事故を装い被害者を自殺させて保険金を取得する目的で、極度に畏怖して服従していた被害者に対し、被害者に命令して岸壁上から車ごと海中に転落させた行為は、被害者において、命令に応じて自殺する気持ちがなく、水没前に車内から脱出して死亡を免れた場合でも、殺人の実行行為が認められる。
判例
事案:自殺させて保険金を取得する目的で被害者に命令して岸壁上から自動車ごと海中に転落させたが水没前に車内から脱出して死亡を免れたという事案において、殺人未遂罪の成否が問題となった。

判旨:「被告人は、事故を装い被害者を自殺させて多額の保険金を取得する目的で、自殺させる方法を考案し、それに使用する車等を準備した上、被告人を極度に畏怖して服従していた被害者に対し、犯行前日に、漁港の現場で、暴行、脅迫を交えつつ、直ちに車ごと海中に転落して自殺することを執ように要求し、猶予を哀願する被害者に翌日に実行することを確約させるなどし、本件犯行当時、被害者をして、被告人の命令に応じて車ごと海中に飛び込む以外の行為を選択することができない精神状態に陥らせていたものということができる。
 被告人は、以上のような精神状態に陥っていた被害者に対して、本件当日、漁港の岸壁上から車ごと海中に転落するように命じ、被害者をして、自らを死亡させる現実的危険性の高い行為に及ばせたものであるから、被害者に命令して車ごと海に転落させた被告人の行為は、殺人罪の実行行為に当たるというべきである。
 また、…被害者には被告人の命令に応じて自殺する気持ちはなかったものであって、この点は被告人の予期したところに反していたが、被害者に対し死亡の現実的危険性の高い行為を強いたこと自体については、被告人において何ら認識に欠けるところはなかったのであるから、上記の点は、被告人につき殺人罪の故意を否定すべき事情にはならないというべきである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H21 司法 第4問 4)
甲は、乙に執拗に暴行・脅迫を加えた結果、同人を厳冬期に漁港の岸壁から自動車ごと海中に転落して自殺する以外の行為を選択することができない精神状態に陥らせた上、同人に上記態様で自殺するよう指示し、乙は、甲の指示に従って、自殺することを決意し、自ら上記態様で海中に転落して溺死した。この場合、甲は自ら殺人の実行行為を行ったとはいえないので、殺人罪の正犯とならない。

(正答)

(解説)
判例(最決平16.1.20)は、本肢と同種の事案において、「被告人は、以上のような精神状態に陥っていた被害者に対して、本件当日、漁港の岸壁上から車ごと海中に転落するように命じ、被害者をして、自らを死亡させる現実的危険性の高い行為に及ばせたものであるから、被害者に命令して車ごと海に転落させた被告人の行為は、殺人罪の実行行為に当たる…。」としている。
甲は、乙に執拗に暴行・脅迫を加えた結果、自動車ごと海中に転落して自殺する以外の行為を選択することができない精神状態に陥らせ、乙は、甲の指示に従って、自殺することを決意し、自ら上記態様で海中に転落して溺死しているから、甲は殺人罪の実行行為を行ったといえる。
したがって、甲は殺人罪の正犯となる。


全体の正答率 : 100%

(R2 共通 第1問 1)
甲は、Xに対し、暴行や脅迫を用いて、自殺するように執拗に要求し、要求に応じて崖から海に飛び込んで自殺するしかないとの精神状態に陥らせた上で、Xを崖から海に飛び込ませて死亡させた。この場合、甲に、Xに対する殺人罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最決平16.1.20)は、「被告人は、以上のような精神状態に陥っていた被害者に対して、本件当日、漁港の岸壁上から車ごと海中に転落するように命じ、被害者をして、自らを死亡させる現実的危険性の高い行為に及ばせたものであるから、被害者に命令して車ごと海に転落させた被告人の行為は、殺人罪の実行行為に当たる…。」としている。
甲は、Xに対し、暴行や脅迫を用いて、自殺するように執拗に要求し、要求に応じて崖から海に飛び込んで自殺するしかないとの精神状態に陥らせた上で、Xを崖から海に飛び込ませて死亡させているから、甲は殺人罪の実行行為を行ったといえる。
したがって、甲に、Xに対する殺人罪が成立する。


全体の正答率 : 100%

(R6 司法 第4問 イ)
甲は、自動車の転落事故を装いAを自殺させて保険金を得る目的で、極度に甲を畏怖していたAに対し、暴行・脅迫を加え、岸壁上から自動車ごと海中に転落して自殺することを執ように要求し、Aをして甲の命令に従う以外の行為を選択することができない精神状態に陥らせてA自ら岸壁上から自動車ごと海中に転落させたが、その後、Aが岸壁上に逃れて生き延びた。
この場合、A自らが死亡する現実的危険性の高い行為を選んだから、甲に殺人未遂罪が成立することはない。

(正答)

(解説)
判例(最決平16.1.20)は、本肢と同種の事案において、「被告人は、以上のような精神状態に陥っていた被害者に対して、本件当日、漁港の岸壁上から車ごと海中に転落するように命じ、被害者をして、自らを死亡させる現実的危険性の高い行為に及ばせたものであるから、被害者に命令して車ごと海に転落させた被告人の行為は、殺人罪の実行行為に当たる…。」としている。
したがって、A自らが死亡する現実的危険性の高い行為を選んだとしても、甲には殺人未遂罪が成立する。

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不作為による殺人罪(シャクティパッド治療事件) 最二小判平成17年7月4日

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概要
重篤な患者の親族から患者に対する「シャクティ治療」を依頼された者が、入院中の患者を病院から運び出させた上、未必的な殺意をもって、患者の生命を維持するために必要な医療措置を受けさせないまま放置して死亡させたなど判示の事実関係の下では、不作為による殺人罪が成立する。
判例
事案:重篤な患者の親族から患者に対する「シャクティ治療」を依頼された者が入院中の患者を病院から運び出させた上必要な医療措置を受けさせないまま放置して死亡させたという事案において、未必的殺意に基づく不作為による殺人罪の成否が問題となった。

判旨:「被告人は、自己の責めに帰すべき事由により患者の生命に具体的な危険を生じさせた上、患者が運び込まれたホテルにおいて、被告人を信奉する患者の親族から、重篤な患者に対する手当てを全面的にゆだねられた立場にあったものと認められる。その際、被告人は、患者の重篤な状態を認識し、これを自らが救命できるとする根拠はなかったのであるから、直ちに患者の生命を維持するために必要な医療措置を受けさせる義務を負っていたものというべきである。それにもかかわらず、未必的な殺意をもって、上記医療措置を受けさせないまま放置して患者を死亡させた被告人には、不作為による殺人罪が成立し、殺意のない患者の親族との間では保護責任者遺棄致死罪の限度で共同正犯となると解するのが相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H25 共通 第11問 1)
【事例】
 甲は、手の平成で患部をたたいてエネルギーを患者に通すことにより自己治癒力を高めるとの独自の治療を施す特別の能力を有すると称していたが、その能力を信奉していたAから、脳内出血を発症した親族Bの治療を頼まれ、意識障害があり継続的な点滴等の入院治療が必要な状態にあったBを入院中の病院から遠く離れた甲の寄宿先ホテルの部屋に連れてくるようAに指示した上、実際に連れてこられたBの様子を見て、そのままでは死亡する危険があることを認識しながら、上記独自の治療を施すにとどまり、点滴や痰の除去等Bの生命維持に必要な医療措置を受けさせないままBを約1日間放置した結果、Bを痰による気道閉塞に基づく窒息により死亡させた。
【判旨】
 甲は、自己の責めに帰すべき事由によりBの生命に具体的な危険を生じさせた上、Bが運び込まれたホテルにおいて、甲を信奉するAから、重篤な状態にあったBに対する手当てを全面的に委ねられた立場にあったものと認められる。その際、甲は、Bの重篤な状態を認識し、これを自らが救命できるとする根拠はなかったのであるから、直ちにBの生命を維持するために必要な医療措置を受けさせる義務を負っていたものというべきである。それにもかかわらず、未必的な殺意をもって、上記医療措置を受けさせないまま放置してBを死亡させた甲には、不作為による殺人罪が成立する。
【記述】
Aが甲に対してその特別の能力に基づく治療を行うことを真摯に求めていたという事情があれば、甲にはその治療を行うことについてのみ作為義務が認められるから、この判旨の立場からも殺人罪の成立は否定される。

(正答)

(解説)
判例(最判平17.7.4)は、「甲を信奉するAから、重篤な状態にあったBに対する手当てを全面的に委ねられた立場にあったものと認められる。…直ちにBの生命を維持するために必要な医療措置を受けさせる義務を負っていたものというべきである。」としている。
したがって、その治療を行うことについてのみ作為義務が認められるのではない。


全体の正答率 : 0%

(H25 共通 第11問 2)
【事例】
 甲は、手の平成で患部をたたいてエネルギーを患者に通すことにより自己治癒力を高めるとの独自の治療を施す特別の能力を有すると称していたが、その能力を信奉していたAから、脳内出血を発症した親族Bの治療を頼まれ、意識障害があり継続的な点滴等の入院治療が必要な状態にあったBを入院中の病院から遠く離れた甲の寄宿先ホテルの部屋に連れてくるようAに指示した上、実際に連れてこられたBの様子を見て、そのままでは死亡する危険があることを認識しながら、上記独自の治療を施すにとどまり、点滴や痰の除去等Bの生命維持に必要な医療措置を受けさせないままBを約1日間放置した結果、Bを痰による気道閉塞に基づく窒息により死亡させた。
【判旨】
 甲は、自己の責めに帰すべき事由によりBの生命に具体的な危険を生じさせた上、Bが運び込まれたホテルにおいて、甲を信奉するAから、重篤な状態にあったBに対する手当てを全面的に委ねられた立場にあったものと認められる。その際、甲は、Bの重篤な状態を認識し、これを自らが救命できるとする根拠はなかったのであるから、直ちにBの生命を維持するために必要な医療措置を受けさせる義務を負っていたものというべきである。それにもかかわらず、未必的な殺意をもって、上記医療措置を受けさせないまま放置してBを死亡させた甲には、不作為による殺人罪が成立する。

判旨の立場によれば、この事例で甲に患者に対する未必的な殺意が認められなければ、重過失致死罪が成立するにとどまる。

(正答)

(解説)
判例(最判平17.7.4)は、「未必的な殺意をもって、上記医療措置を受けさせないまま放置してBを死亡させた甲には、不作為による殺人罪が成立する。」としているにとどまり、未必的な殺意が認められなかった場合については判断していない。
仮に未必的な殺意すら認められなければ、殺人罪は成立せず、保護責任者遺棄致死罪の成否が問題となりうる。


全体の正答率 : 100%

(H25 共通 第11問 3)
【事例】
 甲は、手の平成で患部をたたいてエネルギーを患者に通すことにより自己治癒力を高めるとの独自の治療を施す特別の能力を有すると称していたが、その能力を信奉していたAから、脳内出血を発症した親族Bの治療を頼まれ、意識障害があり継続的な点滴等の入院治療が必要な状態にあったBを入院中の病院から遠く離れた甲の寄宿先ホテルの部屋に連れてくるようAに指示した上、実際に連れてこられたBの様子を見て、そのままでは死亡する危険があることを認識しながら、上記独自の治療を施すにとどまり、点滴や痰の除去等Bの生命維持に必要な医療措置を受けさせないままBを約1日間放置した結果、Bを痰による気道閉塞に基づく窒息により死亡させた。
【判旨】
 甲は、自己の責めに帰すべき事由によりBの生命に具体的な危険を生じさせた上、Bが運び込まれたホテルにおいて、甲を信奉するAから、重篤な状態にあったBに対する手当てを全面的に委ねられた立場にあったものと認められる。その際、甲は、Bの重篤な状態を認識し、これを自らが救命できるとする根拠はなかったのであるから、直ちにBの生命を維持するために必要な医療措置を受けさせる義務を負っていたものというべきである。それにもかかわらず、未必的な殺意をもって、上記医療措置を受けさせないまま放置してBを死亡させた甲には、不作為による殺人罪が成立する。

判旨は、不作為犯が成立するためには、作為義務違反に加え、既発の状態を積極的に利用する意図が必要であると考えている。

(正答)

(解説)
判例(最判平17.7.4)は、「直ちにBの生命を維持するために必要な医療措置を受けさせる義務を負っていた…。」としているものの、既発の状態を積極的に利用する意図については言及していない。


全体の正答率 : 0%

(H25 共通 第11問 4)
【事例】
 甲は、手の平成で患部をたたいてエネルギーを患者に通すことにより自己治癒力を高めるとの独自の治療を施す特別の能力を有すると称していたが、その能力を信奉していたAから、脳内出血を発症した親族Bの治療を頼まれ、意識障害があり継続的な点滴等の入院治療が必要な状態にあったBを入院中の病院から遠く離れた甲の寄宿先ホテルの部屋に連れてくるようAに指示した上、実際に連れてこられたBの様子を見て、そのままでは死亡する危険があることを認識しながら、上記独自の治療を施すにとどまり、点滴や痰の除去等Bの生命維持に必要な医療措置を受けさせないままBを約1日間放置した結果、Bを痰による気道閉塞に基づく窒息により死亡させた。
【判旨】
 甲は、自己の責めに帰すべき事由によりBの生命に具体的な危険を生じさせた上、Bが運び込まれたホテルにおいて、甲を信奉するAから、重篤な状態にあったBに対する手当てを全面的に委ねられた立場にあったものと認められる。その際、甲は、Bの重篤な状態を認識し、これを自らが救命できるとする根拠はなかったのであるから、直ちにBの生命を維持するために必要な医療措置を受けさせる義務を負っていたものというべきである。それにもかかわらず、未必的な殺意をもって、上記医療措置を受けさせないまま放置してBを死亡させた甲には、不作為による殺人罪が成立する。

判旨は、Aが甲の指示を受けてBを病院から搬出した時点で、甲に殺人罪の実行の着手を認めたものと解される。

(正答)

(解説)
判例(最判平17.7.4)は、「甲は、…Bが運び込まれたホテルにおいて、甲を信奉するAから、重篤な状態にあったBに対する手当てを全面的に委ねられた立場にあったものと認められる。その際、甲は、Bの重篤な状態を認識し、これを自らが救命できるとする根拠はなかったのであるから、直ちにBの生命を維持するために必要な医療措置を受けさせる義務を負っていたものというべきである。」としている。
したがって、Bがホテルに運び込まれた時点で作為義務が認められ、実行の着手を認めている。


全体の正答率 : 100%

(H25 共通 第11問 5)
【事例】
 甲は、手の平成で患部をたたいてエネルギーを患者に通すことにより自己治癒力を高めるとの独自の治療を施す特別の能力を有すると称していたが、その能力を信奉していたAから、脳内出血を発症した親族Bの治療を頼まれ、意識障害があり継続的な点滴等の入院治療が必要な状態にあったBを入院中の病院から遠く離れた甲の寄宿先ホテルの部屋に連れてくるようAに指示した上、実際に連れてこられたBの様子を見て、そのままでは死亡する危険があることを認識しながら、上記独自の治療を施すにとどまり、点滴や痰の除去等Bの生命維持に必要な医療措置を受けさせないままBを約1日間放置した結果、Bを痰による気道閉塞に基づく窒息により死亡させた。
【判旨】
 甲は、自己の責めに帰すべき事由によりBの生命に具体的な危険を生じさせた上、Bが運び込まれたホテルにおいて、甲を信奉するAから、重篤な状態にあったBに対する手当てを全面的に委ねられた立場にあったものと認められる。その際、甲は、Bの重篤な状態を認識し、これを自らが救命できるとする根拠はなかったのであるから、直ちにBの生命を維持するために必要な医療措置を受けさせる義務を負っていたものというべきである。それにもかかわらず、未必的な殺意をもって、上記医療措置を受けさせないまま放置してBを死亡させた甲には、不作為による殺人罪が成立する。

判旨は、先行行為についての甲の帰責性と甲による引受行為の存在を根拠に、甲のBに対する殺人罪の作為義務を認めたものと解される。

(正答)

(解説)
判例(最判平17.7.4)は、「甲は、自己の責めに帰すべき事由によりBの生命に具体的な危険を生じさせた…。」として、先行行為についての甲の帰責性を認めた上で、「Bが運び込まれたホテルにおいて、甲を信奉するAから、重篤な状態にあったBに対する手当てを全面的に委ねられた立場にあったものと認められる。」として、甲による引受行為の存在を根拠に、甲のBに対する殺人罪の作為義務を認めている。


全体の正答率 : 100%

(H27 司法 第1問 ア)
不真正不作為犯の作為義務は、法律上の規定に基づかなければならない。

(正答)

(解説)
判例(最判平17.7.4)は、「被告人は、自己の責めに帰すべき事由により患者の生命に具体的な危険を生じさせた上、患者が運び込まれたホテルにおいて、被告人を信奉する患者の親族から、重篤な患者に対する手当てを全面的にゆだねられた立場にあったものと認められる。その際、被告人は、患者の重篤な状態を認識し、これを自らが救命できるとする根拠はなかったのであるから、直ちに患者の生命を維持するために必要な医療措置を受けさせる義務を負っていたものというべきである。」として、作為義務を認めている。
したがって、先行行為についての帰責性や、引受行為の存在といった法律上の規定以外でも作為義務を肯定できる。


全体の正答率 : 100%

(R1 共通 第1問 ア)
不作為犯は、結果発生を防止しなければならない義務が法律上の規定に基づくものでない場合であっても、成立する余地がある。

(正答)

(解説)
判例(最判平17.7.4)は、「被告人は、自己の責めに帰すべき事由により患者の生命に具体的な危険を生じさせた上、患者が運び込まれたホテルにおいて、被告人を信奉する患者の親族から、重篤な患者に対する手当てを全面的にゆだねられた立場にあったものと認められる。その際、被告人は、患者の重篤な状態を認識し、これを自らが救命できるとする根拠はなかったのであるから、直ちに患者の生命を維持するために必要な医療措置を受けさせる義務を負っていたものというべきである。」として、作為義務を認めている。
したがって、先行行為についての帰責性や、引受行為の存在といった法律上の規定以外でも作為義務を肯定できる。


全体の正答率 : 100%

(R1 共通 第1問 ウ)
不真正不作為犯の故意は、結果の発生を意欲していなくても、認められる余地がある。

(正答)

(解説)
判例(最判平17.7.4)は、「未必的な殺意をもって、上記医療措置を受けさせないまま放置して患者を死亡させた被告人には、不作為による殺人罪が成立し、殺意のない患者の親族との間では保護責任者遺棄致死罪の限度で共同正犯となると解するのが相当である。」として、結果発生の故意が未必的なものであっても足りるとしている。
したがって、不真正不作為犯の故意は、結果の発生を意欲していなくても、認められる余地がある。


全体の正答率 : 100%

(R5 司法 第9問 3)
結果犯における不真正不作為犯の故意について、結果の発生を積極的に意欲することは不要である。

(正答)

(解説)
判例(最判平17.7.4)は、「未必的な殺意をもって、上記医療措置を受けさせないまま放置して患者を死亡させた被告人には、不作為による殺人罪が成立し、殺意のない患者の親族との間では保護責任者遺棄致死罪の限度で共同正犯となると解するのが相当である。」として、結果発生の故意が未必的なものであっても足りるとしている。
したがって、不真正不作為犯の故意は、結果の発生を意欲していなくても、認められる余地がある。


全体の正答率 : 100%

(R5 司法 第9問 4)
不作為による殺人罪が成立するためには、行為者と生命の危機に瀕した者との間に親族関係や契約関係が必要であるから、行為者が、そのような関係にない重篤な患者に対する医師の治療を打ち切らせて同患者を1人暮らしの自宅に引き取った上、その生命を維持するために必要な医療措置を受けさせずに同患者を死亡させたとしても、殺人罪は成立し得ない。

(正答)

(解説)
判例(最判平17.7.4)は、本肢と同種の事案において、「被告人は、自己の責めに帰すべき事由により患者の生命に具体的な危険を生じさせた上、患者が運び込まれたホテルにおいて、被告人を信奉する患者の親族から、重篤な患者に対する手当てを全面的にゆだねられた立場にあったものと認められる。その際、被告人は、患者の重篤な状態を認識し、これを自らが救命できるとする根拠はなかったのであるから、直ちに患者の生命を維持するために必要な医療措置を受けさせる義務を負っていたものというべきである。」として、殺人罪の成立を肯定している。
したがって、本肢のような場合、その生命を維持するために必要な医療措置を受けさせずに同患者を死亡させたのであれば、殺人罪が成立する。

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