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実行行為
毛髪切断と傷害罪 大判明治45年6月20日
概要
判例
判旨:「刑法第204条ノ傷害罪ハ他人ノ身体ニ対スル暴行ニ因リ其生活機能ノ毀損ヲ惹起スルコトニ因リテ成立スルモノナレハ不法ニ人ノ毛髪鬚髯ヲ裁断シ若クハ剃去スル行為ハ之ヲ以テ直ニ健康状態ノ不良変更ヲ来シタルモノト云フヲ得ス従テ同条ノ所謂傷害罪ニ該当セス」
過去問・解説
(H20 司法 第14問 1)
甲は、丁寧に手入れがなされていたVの長髪を、同人が寝ている間に無断で切って短くした。甲には傷害罪が成立する。
(正答)✕
(解説)
判例(大判明45.6.20)は、本肢と同種の事案において、「不法ニ人ノ毛髪鬚髯ヲ裁断シ若クハ剃去スル行為ハ之ヲ以テ直ニ健康状態ノ不良変更ヲ来シタルモノト云フヲ得ス従テ同条ノ所謂傷害罪ニ該当セス」として、毛髪の裁断が傷害罪とならないことを示している。
したがって、甲には傷害罪は成立せず、暴行罪が成立するにとどまる。
(R4 共通 第20問 ウ)
乙が、はさみを使ってBの頭髪を切断した行為は、人の生理的機能を損なうものではないから、傷害罪は成立せず暴行罪が成立するにとどまる。
(正答)〇
(解説)
判例(大判明45.6.20)は、本肢と同種の事案において、「不法ニ人ノ毛髪鬚髯ヲ裁断シ若クハ剃去スル行為ハ之ヲ以テ直ニ健康状態ノ不良変更ヲ来シタルモノト云フヲ得ス従テ同条ノ所謂傷害罪ニ該当セス」として、毛髪の裁断が傷害罪とならないことを示している。
したがって、乙には傷害罪は成立せず、暴行罪が成立するにとどまる。
傷害罪の幇助と現場助勢罪 大判昭和2年3月28日
概要
判例
判旨:「刑法第206条ハ傷害ノ現場ニ於テ単ナル助勢行為ヲ為シタル者ヲ処罰スル規定ニシテ特定ノ正犯者ヲ幇助シテ其ノ傷害行為ヲ容易ナラシメタル場合ニ於テハ傷害罪ノ従犯ヲ以テ論スヘク同条ヲ適用スヘキモノニ非ス」
過去問・解説
(R1 共通 第4問 4)
傷害の実行行為者をその現場において精神的に鼓舞する行為が傷害罪の幇助に当たる場合、現場助勢罪が成立することはない。
(正答)〇
(解説)
判例(大判昭2.3.28)は、「刑法第206条ハ傷害ノ現場ニ於テ単ナル助勢行為ヲ為シタル者ヲ処罰スル規定ニシテ特定ノ正犯者ヲ幇助シテ其ノ傷害行為ヲ容易ナラシメタル場合ニ於テハ傷害罪ノ従犯ヲ以テ論スヘク同条ヲ適用スヘキモノニ非ス」として、幇助が成立する場合に現場助勢罪は成立しないことを示している。
したがって、傷害の現場において精神的に鼓舞する行為が傷害罪の幇助に当たる場合、現場助勢罪が成立することはない。
暴行の意義 最一小判昭和39年1月28日
概要
判例
判旨:「原判決が、判示のような事情のもとに、狭い4畳半の室内で被害者を脅かすために日本刀の抜き身を数回振り廻すが如きは、とりもなおさず同人に対する暴行というべきである旨判断したことは正当である…。」
過去問・解説
(R5 司法 第2問 ア)
相手方の眼前に抜き身の日本刀を突き付けたとしても、その刃が同人に接触しない限り、暴行罪が成立することはない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭39.1.28)は、本肢と同種の事案において、「日本刀の抜き身を数回振り廻すが如きは、とりもなおさず同人に対する暴行というべきである…。」として、有形力の行使にあたって必ずしも身体に接触することを要しないことを示している。
したがって、突きつけた日本刀の刃が被害者に接触しなくても、暴行罪が成立し得る。
精神的機能の障害の惹起が傷害罪に当たるか 最二小決平成24年7月24日
概要
判例
判旨:「被告人は、本件各被害者を不法に監禁し、その結果、各被害者について、監禁行為やその手段等として加えられた暴行、脅迫により、一時的な精神的苦痛やストレスを感じたという程度にとどまらず、いわゆる再体験症状、回避・精神麻痺症状及び過覚醒症状といった医学的な診断基準において求められている特徴的な精神症状が継続して発現していることなどから精神疾患の一種である外傷後ストレス障害(以下『PTSD』という。)の発症が認められたというのである。所論は、PTSDのような精神的障害は、刑法上の傷害の概念に含まれず、したがって、原判決が、各被害者についてPTSDの傷害を負わせたとして監禁致傷罪の成立を認めた第1審判決を是認した点は誤っている旨主張する。しかし、上記認定のような精神的機能の障害を惹起した場合も刑法にいう傷害に当たると解するのが相当である。したがって、本件各被害者に対する監禁致傷罪の成立を認めた原判断は正当である。」
過去問・解説
(R1 共通 第4問 1)
傷害罪は、他人の身体の生理的機能を毀損する犯罪であるから、精神疾患の一種である心的外傷後ストレス障害(いわゆるPTSD)を負わせるなど精神的機能の障害を惹起した場合、傷害罪が成立することはない。
(正答)✕
(解説)
判例(最決平24.7.24)は、「精神的機能の障害を惹起した場合も刑法にいう傷害に当たる…。」としている。
したがって、PTSDなどの精神的機能の障害を惹起した場合にも、傷害罪が成立する。