現在お使いのブラウザのバージョンでは、本サービスの機能をご利用いただけない可能性があります
バージョンアップを試すか、Google ChromeやMozilla Firefoxなどの最新ブラウザをお試しください
過失傷害の罪(因果関係) - 解答モード
他人の行為が介在した場合における因果関係 最三小判昭和42年10月24日
概要
判例
判旨:「同乗者が進行中の自動車の屋根の上から被害者をさかさまに引きずり降ろし、アスファルト舖装道路上に転落させるというがごときことは、経験上、普通、予想しえられるところではなく、ことに、本件においては、被害者の死因となった頭部の傷害が最初の被告人の自動車との衝突の際に生じたものか、同乗者が被害者を自動車の屋根から引きずり降ろし路上に転落させた際に生じたものか確定しがたいというのであって、このような場合に被告人の前記過失行為から被害者の前記死の結果の発生することが、われわれの経験則上当然予想しえられるところであるとは到底いえない。したがって、原判決が右のような判断のもとに被告人の業務上過失致死の罪責を肯定したのは、刑法上の因果関係の判断をあやまった結果、法令の適用をあやまったものというべきである。」
過去問・解説
(H19 司法 第12問 5)
甲が自動車を運転中、自転車に乗ったVを跳ね飛ばして自動車の屋根に跳ね上げ意識を喪失させたが、Vに気付かないまま自動車の運転を続けるうち、自動車の同乗者がVに気付き、走行中の自動車の屋根からVを引きずり降ろして路上に転倒させた。その結果、Vは頭部に傷害を負って死亡したが、Vの死因である傷害が自動車との衝突の際に生じたものか、路上へ転落した際に生じたものかは不明であった。この場合、同乗者の行為は経験上普通に予想できるところではないから、甲の行為とVの死亡の結果との間に因果関係を肯定することはできない。
(H29 予備 第1問 3)
甲は、自動車を運転中、過って同車をVに衝突させてVを同車の屋根に跳ね上げ、その意識を喪失させたが、Vに気付かないまま同車の運転を続けるうち、同車の助手席に同乗していた乙がVに気付き、走行中の同車の屋根からVを引きずり降ろして路上に転落させた。Vは、頭部打撲傷に基づくくも膜下出血により死亡したところ、同傷害は、自動車と衝突した際に生じたものか、路上に転落した際に生じたものかは不明であった。この場合、甲の衝突行為とVの死亡との間には、因果関係がある。
(R3 予備 第11問 オ)
甲は、自動車を運転中、路上で過失により通行人Vに同車を衝突させてVを同車の屋根に跳ね上げ、意識を喪失したVに気付かないまま、同車の運転を続けていたところ、同乗者がVに気付き、走行中の同車の屋根からVを引きずり降ろして路上に転落させ、Vは、頭部打撲に基づく脳くも膜下出血により死亡したが、これが同車との衝突の際に生じたものか、路上に転落した際に生じたものかは不明であった。この場合、甲の上記衝突行為とVの死亡との間に、因果関係はない。
被害者側の落度が介在した場合における因果関係 最一小判昭和63年5月11日
概要
判例
判旨:「被告人は、県知事の免許を受けて柔道整復業を営む一方、風邪等の症状を訴える患者に対しては、医師の資格がないにもかかわらず反復継続して治療としての施術等を行っていたものであるが、本件被害者から風邪ぎみであるとして診察治療を依頼されるや、これを承諾し、熱が上がれば体温により雑菌を殺す効果があって風邪は治るとの誤った考えから、熱を上げること、水分や食事を控えること、閉め切った部屋で布団をしっかり掛け汗を出すことなどを指示し、その後被害者の病状が次第に悪化しても、格別医師の診察治療を受けるよう勧めもしないまま、再三往診するなどして引き続き前同様の指示を繰り返していたところ、被害者は、これに忠実に従ったためその病状が悪化の一途をたどり、当初37度前後だった体温が5日目には42度にも昇ってけいれんを起こすなどし、その時点で初めて医師の手当てを受けたものの、既に脱水症状に陥って危篤状態にあり、まもなく気管支肺炎に起因する心不全により死亡するに至ったというのである。右事実関係のもとにおいては、被告人の行為は、それ自体が被害者の病状を悪化させ、ひいては死亡の結果をも引き起こしかねない危険性を有していたものであるから、医師の診察治療を受けることなく被告人だけに依存した被害者側にも落度があったことは否定できないとしても、被告人の行為と被害者の死亡との間には因果関係があるというべきであり、これと同旨の見解のもとに、被告人につき業務上過失致死罪の成立を肯定した原判断は、正当である。」
過去問・解説
(R3 予備 第11問 エ)
甲は、医師資格のない柔道整復師であるところ、自己に全幅の信頼を寄せるVから、風邪の治療について相談を持ち掛けられた際に、Vに対し、食事や水分補給を控える一方、発汗を促すという医学的に明らかに誤った治療法を繰り返して指示し、これに忠実に従ったVが症状を悪化させ、脱水症状に陥り、死亡した。この場合、甲の上記指示行為とVの死亡との間に、因果関係はない。
交通事故により生じた死傷との因果関係 最三小判平成16年10月19日
概要
判例
判旨:「Aに文句を言い謝罪させるため、夜明け前の暗い高速道路の第3通行帯上に自車及びA車を停止させたという被告人の本件過失行為は、それ自体において後続車の追突等による人身事故につながる重大な危険性を有していたというべきである。そして、本件事故は、被告人の上記過失行為の後、Aが、自らエンジンキーをズボンのポケットに入れたことを失念し周囲を捜すなどして、被告人車が本件現場を走り去ってから7、8分後まで、危険な本件現場に自車を停止させ続けたことなど、少なからぬ他人の行動等が介在して発生したものであるが、それらは被告人の上記過失行為及びこれと密接に関連してされた一連の暴行等に誘発されたものであったといえる。そうすると、被告人の過失行為と被害者らの死傷との間には因果関係があるというべきである…。」
過去問・解説
(H23 司法 第2問 ア)
甲の行為とVの死亡との間に因果関係が認められるか。
甲は、深夜、高速道路上で自動車(甲車)を運転中、大型トレーラー(乙車)を運転中の乙とトラブルになり、乙車の進路を妨害した上、追越車線上に乙車を停止させた。甲は、甲車から降り、乙を降車させた上、路上で乙に暴行を加えた後、甲車を運転して立ち去った。乙は、甲が立ち去った後、甲に奪われないためにズボンのポケットにエンジンキーを入れていたのを失念し、乙車を追越車線上に停車させたまま、エンジンキーを探していた。甲が立ち去ってから約5分後、後方から自動車を運転してきたVは、乙車を発見するのが遅れて自車を追突させ、Vはそれにより死亡した。