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放火及び失火の罪(実行行為) - 解答モード

「放火」とは目的物に直接点火する場合に限られるか 大判大正3年10月2日

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概要
放火の手段が家屋に点火できることが物理上明白である以上は未だ家屋の一部に点火していなくても108条の犯罪の着手があるものとし、「放火」には媒介物を介して目的物に点火する場合には、媒介物に点火することも含まれる。
判例
事案:放火で客体に直接点火しなかった事案において、「放火」とは目的物に直接点火する場合に限られるかが問題となった。

判旨:「放火ノ手段カ家屋ニ伝火シ得ヘキモノナルコト物理上明白ナル以上ハ未タ家屋ノ一部ニ伝火セサルモ刑法第108条ニ於ケル犯罪ノ著手アリタルモノトス」
過去問・解説

(H25 司法 第14問 ア)
「放火」とは、目的物の焼損を惹起させる行為をいい、媒介物を介して目的物に点火する場合には、媒介物に点火することも含まれる。

(正答)

(解説)
判例(大判大3.10.2)は、「放火ノ手段カ家屋ニ伝火シ得ヘキモノナルコト物理上明白ナル以上ハ未タ家屋ノ一部ニ伝火セサルモ刑法第108条ニ於ケル犯罪ノ著手アリタルモノトス」として、目的物に直接点火する行為だけでなく、媒介物に点火することも放火に含まれることを示している。

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間接的な放火と現住建造物等放火罪 大判大正3年10月13日

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概要
被告が間接に導火材料の燃焼作用を借りてその目的としている他人の住宅を焼損できることを誤認し、当該材料に点火してその燃焼作用の継続できる状態においた以上は未だ当該住宅に延焼させていないときといえども現住建造物等放火未遂罪を構成することを妨げない。
判例
事案:間接的に導火材料の燃焼作用を借りてその目的としている他人の住宅を焼損しようとした事案において、現住建造物等放火罪の「放火」に当たるかが問題となった。

判旨:「被告カ間接ニ導火材料ノ燃焼作用ヲ藉リテ其目的トセル他人ノ住宅ヲ燃焼シ得ヘキコトヲ認識シ該材料ニ点火シテ其燃焼作用ヲ継続シ得ヘキ状態ニ措キタル以上ハ未タ該住宅ニ延焼セサルトキト雖モ放火罪(刑法第108条)ノ未遂犯ヲ構成スルニ妨ナシ」
過去問・解説

(R1 共通 第8問 2)
「放火」とは、目的物の焼損を惹起させる行為をいい、目的物への直接的な点火行為に限られず、媒介物への点火行為であっても、その燃焼作用が継続して目的物に延焼し得るものである場合、「放火」に当たる。

(正答)

(解説)
判例(大判大3.10.13)は、「被告カ間接ニ導火材料ノ燃焼作用ヲ藉リテ其目的トセル他人ノ住宅ヲ燃焼シ得ヘキコトヲ認識シ該材料ニ点火シテ其燃焼作用ヲ継続シ得ヘキ状態ニ措キタル以上ハ未タ該住宅ニ延焼セサルトキト雖モ放火罪(刑法第108条)ノ未遂犯ヲ構成スルニ妨ナシ」として、媒介物への点火行為であっても、その燃焼作用が継続して目的物に延焼し得るものである場合、「放火」に当たることを示している。
したがって、「放火」は、目的物への直接的な点火行為に限られず、媒介物への点火行為であっても、その燃焼作用が継続して目的物に延焼し得るものである場合、「放火」に当たる。

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不作為の放火罪の成否 最三小判昭和33年9月9日

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概要
自己の過失により炭火が机に引火し、燃焼し始めているのを仮睡から醒めて発見した者が、そのまま放置すれば右事務所を焼損するに至ることを認識しながら、右結果の発生を認容して何らの措置をすることなくその場から逃げ去ったときは、不作為による放火の責任を負うべきである。
判例
事案:自己の過失により炭火が机に引火し、燃焼し始めているのを仮睡から醒めて発見した者が、そのまま放置すれば右事務所を焼損するに至ることを認識しながら、右結果の発生を認容して何らの措置をすることなくその場から逃げ去った事案において、放火罪の成否が問題となった。

判旨:「被告人は自己の過失により右原符、木机等の物件が焼燬されつつあるのを現場において目撃しながら、その既発の火力により右建物が焼燬せられるべきことを認容する意思をもってあえて被告人の義務である必要かつ容易な消火措置をとらない不作為により建物についての放火行為をなし、よってこれを焼燬したものであるということができる。されば結局これと同趣旨により右所為を刑法108条の放火罪に当たるとした原判示は相当であり、引用の大審院判例の趣旨も本判決の趣旨と相容れないものではなく、原判決には右判例に違反するところはない。」
過去問・解説

(H27 司法 第1問 オ)
不作為による放火罪が成立するためには、既発の火力を利用する意思は必ずしも必要ではない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭33.9.9)は、「被告人は自己の過失により右原符、木机等の物件が焼燬されつつあるのを現場において目撃しながら、その既発の火力により右建物が焼燬せられるべきことを認容する意思をもってあえて被告人の義務である必要かつ容易な消火措置をとらない不作為により建物についての放火行為をなし、よってこれを焼燬したものであるということができる。」として、既発の火力によって建物が焼損することを認容していることをもって不作為による放火罪の成立を肯定している。
したがって、不作為による放火罪が成立するためには、既発の火力を利用する意思は必ずしも必要ではない。


(R3 司法 第9問 ア)
甲は、勤務先の事務室で、1人で残業をしていたところ、使用中の電気ストーブから周囲の可燃物に誤って引火させた。甲は、その時点での消火作業は容易であったにもかかわらず、同室を含む勤務先建物が焼損することを認容して、消火作業をすることなく、同室から立ち去り、その結果、同建物が全焼した。その行為当時、同建物の他の部屋では甲の同僚が仮眠中であり、甲もそのことを認識していた。この場合、甲に既発の火力を利用する意思がなければ、現住建造物等放火罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭33.9.9)は、「被告人は自己の過失により右原符、木机等の物件が焼燬されつつあるのを現場において目撃しながら、その既発の火力により右建物が焼燬せられるべきことを認容する意思をもってあえて被告人の義務である必要かつ容易な消火措置をとらない不作為により建物についての放火行為をなし、よってこれを焼燬したものであるということができる。」として、既発の火力によって建物が焼損することを認容していることをもって不作為による放火罪の成立を肯定している。
甲は、自らの過失により、可燃物に引火させ、甲は、その時点での消火作業は容易であったにもかかわらず、同室を含む勤務先建物が焼損することを認容して、消火作業をすることなく立ち去り、その結果、同建物が全焼している。
また、甲は、その行為当時、同建物の他の部屋では甲の同僚が仮眠中であることを認識していた。
したがって、甲に現住建造物等放火罪が成立する。

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殺害後の放火行為と非現住建造物放火罪 大判大正6年4月13日

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概要
人を殺害した後、その形跡を隠蔽する為にその死体の横たわっている家屋に放火し、これを焼損する行為は当該家屋に他に住居する者がなく、また人の現在する事実がない以上は非現住建造物放火罪に該当する。
判例
事案:人を殺害した後、その形跡を隠蔽する為にその死体の横たわっている家屋に放火し、これを焼損した事案で、非現住建造物放火罪の成否が問題となった。

判旨:「人ヲ殺害シタル後其犯跡ヲ蔽ハンカ為メニ其死屍ノ横ハレル家屋ニ放火シ之ヲ焼燬シタル行為ハ該家屋ニ他ニ住居スルモノナク又人ノ現在セル事実ナキ以上ハ刑法第109条ニ該当スヘキモノトス」
過去問・解説

(H18 司法 第19問 イ)
甲は、家屋の居住者全員を殺害した後、証拠を隠滅するためにその家屋を焼失させようと考え、室内の布団に放火したが、布団を焼損した時点で、隣家の住民に消し止められた。甲に非現住建造物等放火未遂罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(大判大6.4.13)は、「人ヲ殺害シタル後其犯跡ヲ蔽ハンカ為メニ其死屍ノ横ハレル家屋ニ放火シ之ヲ焼燬シタル行為ハ該家屋ニ他ニ住居スルモノナク又人ノ現在セル事実ナキ以上ハ刑法第109条ニ該当スヘキモノトス」として、居住者全員を殺害した後の住居は、非現住建造物となることを示している。
また、判例(最判昭25.12.14)は、「建具その他家屋の従物が建造物たる家屋の一部を構成するものと認めるには、該物件が家屋の一部に建付けられているだけでは足りず更らにこれを毀損しなければ取り外すことができない状態にあることを必要とする…。」としている。
甲が放火した布団は、毀損しなければ取り外せないとはいえないことから、建造物の一部には当たらず、建造物への放火は未遂にとどまる。
したがって、甲に非現住建造物等放火未遂罪が成立する。


(H21 司法 第11問 1)
甲は、乙が1人で住居に使用する乙所有の家屋の中で同人を殺害した後、だれもいない同家屋に放火してこれを焼損した。この場合、乙が死亡した後でも人が同家屋を訪問する可能性があり、「現に人が住居に使用」する建造物といえるのであるから、現住建造物等放火罪の既遂罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(大判大6.4.13)は、「人ヲ殺害シタル後其犯跡ヲ蔽ハンカ為メニ其死屍ノ横ハレル家屋ニ放火シ之ヲ焼燬シタル行為ハ該家屋ニ他ニ住居スルモノナク又人ノ現在セル事実ナキ以上ハ刑法第109条ニ該当スヘキモノトス」として、居住者全員を殺害した後の住居は、非現住建造物となることを示している。
乙は1人で乙宅を住居として使用していたのであって、他の者による現住性も認められない。
したがって、甲に非現住建造物等放火罪が成立する。


(H24 共通 第17問 5)
甲は、妻所有の一戸建て木造家屋に妻と二人で暮らしていたところ、ある日、同家屋内において、口論の末に激高して妻を殺害し、その直後に犯跡を隠すため、同家屋に火をつけて全焼させたが、周囲の住宅には燃え移らなかった。甲には現住建造物等放火既遂罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(大判大6.4.13)は、「人ヲ殺害シタル後其犯跡ヲ蔽ハンカ為メニ其死屍ノ横ハレル家屋ニ放火シ之ヲ焼燬シタル行為ハ該家屋ニ他ニ住居スルモノナク又人ノ現在セル事実ナキ以上ハ刑法第109条ニ該当スヘキモノトス」として、居住者全員を殺害した後の住居は、非現住建造物となることを示している。
また、別の判例(最判昭32.6.21)は、「刑法108条にいう『人』とは、犯人以外の者を指称する…。」としている。
甲は、妻を殺害してから木造家屋を放火しているから、非現住建造物が客体となる。
したがって、甲に非現住建造物等放火罪が成立する。

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