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偽証の罪 - 解答モード
記憶に反した証言と偽証罪 大判大正3年4月29日
概要
偽証罪は証言が真実でないことを要件とするものではないことをもって証言の内容である事実が真実に一致し、もしくは少なくともその真実でないことを認めることができない場合であっても、仮に証人が故意にその記憶に反した陳述をした場合には偽証罪を構成する。
判例
事案:証人が記憶に反した証言をしたが、内容が真実と合致していたという事案において、偽証罪の成否が問題となった。
判旨:「證言ノ内容タル事實カ眞實ニ一致シ若クハ少クトモ其不實ナルコトヲ認ムル能ハサル場合ト雖モ苟クモ證人カ故ラニ其記憶ニ反シタル陳述ヲ爲スニ於テハ僞證罪ヲ構成スヘキハ勿論ニシテ即チ僞證罪ハ證言ノ不實ナルコトヲ要件ト爲スモノニ非サルカ故ニ裁判所ハ一面僞證ノ犯罪事實ヲ認メ他面證言ノ内容カ不實ナラサルコトヲ認ムルモ二箇ノ認定ハ必スシモ相牴觸スルモノト謂フヲ得ス」
判旨:「證言ノ内容タル事實カ眞實ニ一致シ若クハ少クトモ其不實ナルコトヲ認ムル能ハサル場合ト雖モ苟クモ證人カ故ラニ其記憶ニ反シタル陳述ヲ爲スニ於テハ僞證罪ヲ構成スヘキハ勿論ニシテ即チ僞證罪ハ證言ノ不實ナルコトヲ要件ト爲スモノニ非サルカ故ニ裁判所ハ一面僞證ノ犯罪事實ヲ認メ他面證言ノ内容カ不實ナラサルコトヲ認ムルモ二箇ノ認定ハ必スシモ相牴觸スルモノト謂フヲ得ス」
過去問・解説
(R1 司法 第18問 4)
偽証罪は、証人が殊更記憶に反する陳述をした場合でも、陳述内容が真実であれば、成立しない。
(R5 予備 第12問 2)
証人が殊更記憶に反する陳述をした場合、その他の証拠からその陳述内容が真実と認められるのであれば、国の審判作用は害されないから、偽証罪は成立しない。
裁判の結果と偽証罪 大判大正12年12月11日
概要
法律により宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは当該陳述がその事件の裁判の結果に影響を及ぼすおそれがあると否とに関わらず偽証罪を構成する。
判例
事案:裁判の結果に影響ない虚偽の陳述があった事案において、偽証罪の成否が問題となった。
判旨:「法律ニ依リ宣誓シタル証人カ虚偽ノ陳述ヲ為ストキハ該陳述カ其ノ事件ノ裁判ノ結果ニ影響ヲ及ホス虞アルト否トニ論ナク偽証罪ヲ構成スルモノニシテ…」
判旨:「法律ニ依リ宣誓シタル証人カ虚偽ノ陳述ヲ為ストキハ該陳述カ其ノ事件ノ裁判ノ結果ニ影響ヲ及ホス虞アルト否トニ論ナク偽証罪ヲ構成スルモノニシテ…」
宣誓と偽証罪 最大判昭和27年11月5日
概要
証人が旧刑訴法188条1項により証言を拒むことができるのにこれを拒まなかった場合に、その証人が、宣誓の上虚偽の陳述をしても偽証罪は成立しない。
判例
事案:宣誓させないで尋問すべき証人に宣誓させた事案において、偽証罪の成否が問題となった。
判旨:「偽証罪を定めた刑法169条にいわゆる『法律ニ依リ宣誓シタル証人』とは、法律上宣誓せしめ得る証言事項につき宣誓したる証人と解するを相当とし、従って前記の如く法律上宣誓せしめ得ない証言事項につき宣誓したる証人を含まないものと解すべきである。また旧刑訴201条3項に『第1項ニ掲クル者宣誓ヲ為シタルトキト雖其ノ供述ハ証言タルノ効力ヲ妨ケラルルコトナシ』とある規定の趣旨は、宣誓せしめずして訊問しなければならないこの場合に、宣誓せしめて訊問したその証言の証拠能力の有無如何についての疑義を除いた趣旨の規定であって、かかる規定があるからといって右のような場合の宣誓をもって偽証罪を定めた刑法169条にいわゆる法律による宣誓の効力を有するものと解することはできないのである。されば本件の場合a地方裁判所b支部において被告人が宣誓の上証言をしたとしても同被告人を刑法169条にいう『法律ニ依リ宣誓シタル証人』ということはできない。しからばこれを偽証罪に問擬し被告人を有罪とした原判決は偽証罪に関する法律の解釈を誤った違法があり、したがって所論後段の論旨は結局理由があることに帰着する…。」
判旨:「偽証罪を定めた刑法169条にいわゆる『法律ニ依リ宣誓シタル証人』とは、法律上宣誓せしめ得る証言事項につき宣誓したる証人と解するを相当とし、従って前記の如く法律上宣誓せしめ得ない証言事項につき宣誓したる証人を含まないものと解すべきである。また旧刑訴201条3項に『第1項ニ掲クル者宣誓ヲ為シタルトキト雖其ノ供述ハ証言タルノ効力ヲ妨ケラルルコトナシ』とある規定の趣旨は、宣誓せしめずして訊問しなければならないこの場合に、宣誓せしめて訊問したその証言の証拠能力の有無如何についての疑義を除いた趣旨の規定であって、かかる規定があるからといって右のような場合の宣誓をもって偽証罪を定めた刑法169条にいわゆる法律による宣誓の効力を有するものと解することはできないのである。されば本件の場合a地方裁判所b支部において被告人が宣誓の上証言をしたとしても同被告人を刑法169条にいう『法律ニ依リ宣誓シタル証人』ということはできない。しからばこれを偽証罪に問擬し被告人を有罪とした原判決は偽証罪に関する法律の解釈を誤った違法があり、したがって所論後段の論旨は結局理由があることに帰着する…。」
共犯者の偽証 大判明治44年2月21日
概要
共犯者が自身が被告人となっている刑事事件に証人として出廷し、宣誓した上で、自己の犯罪事実に関して虚偽の陳述をした場合には、偽証罪が成立する。
判例
共犯者が自身が被告人となっている刑事事件に証人として出廷し、宣誓した上で、自己の犯罪事実に関して虚偽の陳述をした場合において、偽証罪が成立するのかが問題となった。
判旨:「証人トシテ適法ニ宣誓シタル上虚偽ノ陳述ヲ為スニ於テハ縦令其証言事項ニシテ自己ノ犯罪事実ニ係ルコトアルモ偽証罪ノ成立ヲ妨ケス」として、共犯者であっても、証人として宣誓をした上で虚偽の陳述をしたのであれば、偽証罪が成立することを示している。」
判旨:「証人トシテ適法ニ宣誓シタル上虚偽ノ陳述ヲ為スニ於テハ縦令其証言事項ニシテ自己ノ犯罪事実ニ係ルコトアルモ偽証罪ノ成立ヲ妨ケス」として、共犯者であっても、証人として宣誓をした上で虚偽の陳述をしたのであれば、偽証罪が成立することを示している。」
黙秘権と証拠偽造罪 最二小決昭和28年10月19日
概要
①被告人自体に黙祕権があるからといって、他人に虚偽の陳述をするように教唆したときは、偽証教唆罪が成立する。
②証拠偽造罪の証拠の偽造とは、証拠自体の偽造を指称し、証人の偽証を包含しないと解すべきである。
③証人が刑訴146条の証言拒否権を有したとしても、宣誓の上虚偽の陳述をしたときは偽証罪が成立する。
②証拠偽造罪の証拠の偽造とは、証拠自体の偽造を指称し、証人の偽証を包含しないと解すべきである。
③証人が刑訴146条の証言拒否権を有したとしても、宣誓の上虚偽の陳述をしたときは偽証罪が成立する。
判例
事案: 偽証教唆の事案において、①被告人自体に黙祕権がある場合、他人に虚偽の陳述をするように教唆したときの偽証教唆罪の成否、②証拠偽造罪の証拠の偽造とは証人の偽証を包含するか、③証人が刑訴第146条の証言拒否権を有したとして、宣誓の上虚偽の陳述をしたときの偽証罪の成否が問題となった。
判旨:「被告人には黙秘権が認められており自己の被告事件について他人を教唆して偽証させた場合は理論上自己の被告事件に関する証憑湮滅行為に外ならないから刑法104条の趣旨により偽証教唆罪に問擬すべきではないというに帰する。しかし被告人自身に黙秘権があるからといって、他人に虚偽の陳述をするよう教唆したときは偽証教唆の責を免れないことは既には当裁判所の判例とするところであり(昭和26年(あ)第262号、同27年2月14日第一小法廷決定参照)、今これを変更する必要を認めない。また刑法104条の証憑の偽造というのは証拠自体の偽造を指称し証人の偽証を包含しないと解すべきであるから、自己の被告事件について他人を教唆して偽証させた場合に右規定の趣旨から当然に偽証教唆の責を免れるものと解することはできない。
…第1審判決挙示の証拠により証人Aは宣誓の上虚偽の陳述をしたものであることが明らかであり真実の事実が如何なるものであるかはこれを判示する必要はない。また何人も自己が刑事訴追を受け又は有罪判決を受ける虞のある証言を拒むことができることは刑訴146条の規定するところであるが証人がこの証言拒絶権を抛棄し他の刑事事件につき証言するときは必ず宣誓させた上で、これを尋問しなければならないのである。それゆえかかる証人が虚偽の陳述をすれば刑法169条の偽証罪が成立するのである。されば本件につき証人Aが所論の如く証言拒絶権があるとしても同証人は拒絶権を抛棄し宣誓の上虚偽の証言をしたものであるから偽証罪の成立したものというべく被告人が右証人を教唆して偽証させたときは偽証教唆の責を免れないものと解すべきである。」
判旨:「被告人には黙秘権が認められており自己の被告事件について他人を教唆して偽証させた場合は理論上自己の被告事件に関する証憑湮滅行為に外ならないから刑法104条の趣旨により偽証教唆罪に問擬すべきではないというに帰する。しかし被告人自身に黙秘権があるからといって、他人に虚偽の陳述をするよう教唆したときは偽証教唆の責を免れないことは既には当裁判所の判例とするところであり(昭和26年(あ)第262号、同27年2月14日第一小法廷決定参照)、今これを変更する必要を認めない。また刑法104条の証憑の偽造というのは証拠自体の偽造を指称し証人の偽証を包含しないと解すべきであるから、自己の被告事件について他人を教唆して偽証させた場合に右規定の趣旨から当然に偽証教唆の責を免れるものと解することはできない。
…第1審判決挙示の証拠により証人Aは宣誓の上虚偽の陳述をしたものであることが明らかであり真実の事実が如何なるものであるかはこれを判示する必要はない。また何人も自己が刑事訴追を受け又は有罪判決を受ける虞のある証言を拒むことができることは刑訴146条の規定するところであるが証人がこの証言拒絶権を抛棄し他の刑事事件につき証言するときは必ず宣誓させた上で、これを尋問しなければならないのである。それゆえかかる証人が虚偽の陳述をすれば刑法169条の偽証罪が成立するのである。されば本件につき証人Aが所論の如く証言拒絶権があるとしても同証人は拒絶権を抛棄し宣誓の上虚偽の証言をしたものであるから偽証罪の成立したものというべく被告人が右証人を教唆して偽証させたときは偽証教唆の責を免れないものと解すべきである。」