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虚偽告訴の罪 - 解答モード
法人と犯罪の主体 大判明治36年7月3日
概要
法人は犯罪の主体になる能力を有しないことを原則とし、法律の明文により特にその主体たる場合といえども財産刑その他法人の性質と相容れない刑罰に服従するにとどまり、主刑を課すべき犯罪の主体となることができないものとする。したがって、漁業組合の名のもとにした告訴が虚偽告訴に出た場合といえども法人である組合は主刑を課すべき虚偽告訴罪の主体として制裁を受けるものではない。
判例
事案:漁業組合の名のもとに虚偽告訴をした事案において、法人が犯罪の主体となるかが問題となった。
判旨:「法人ハ犯罪ノ主体タル能力ヲ有セサルヲ原則トシ法律ノ明文ニ依リ特ニ其主体タル場合ト雖モ財産刑其他法人ノ性質ト相容ルヘキ刑罰ニ服従スルニ止マリ体刑ヲ科スヘキ犯罪ノ主体タルコト能ハサルモノトス従テ漁業組合ノ名ヲ以テ為シタル告訴カ誣告ニ出テタル場合ト雖モ法人タル組合ハ体刑ヲ科スヘキ誣告罪ノ主体トシテ刑罰ノ制裁ヲ受クヘキモノニ非ス」
判旨:「法人ハ犯罪ノ主体タル能力ヲ有セサルヲ原則トシ法律ノ明文ニ依リ特ニ其主体タル場合ト雖モ財産刑其他法人ノ性質ト相容ルヘキ刑罰ニ服従スルニ止マリ体刑ヲ科スヘキ犯罪ノ主体タルコト能ハサルモノトス従テ漁業組合ノ名ヲ以テ為シタル告訴カ誣告ニ出テタル場合ト雖モ法人タル組合ハ体刑ヲ科スヘキ誣告罪ノ主体トシテ刑罰ノ制裁ヲ受クヘキモノニ非ス」
被告訴者の承諾と虚偽告訴罪 大判大正元年12月20日
概要
虚偽告訴罪は個人の権利を侵害すると同時に当該官憲の職務を誤らせる危険があるから処罰するものであって、被虚偽告訴者の承諾があっても本罪の構成に影響を及ぼすものではない。
判例
事案:被虚偽告訴者の承諾があったという事案において、虚偽告訴罪の成否が問題となった。
判旨:「誣告罪ハ一方所論ノ如ク個人ノ權利ヲ侵害スルト同時ニ他ノ一方ニ於テ公益上當該官憲ノ職務ヲ誤ラシムル危險アルカ爲メ處罰スルモノナルカ故ニ縱シ本案ハ所論ノ如ク被誣告者ニ於テ承諾アリタル事實ナリトスルモ本罪構成上何等影響ヲ來スヘキ理由ナキヲ以テ本論旨ハ理由ナシ」
判旨:「誣告罪ハ一方所論ノ如ク個人ノ權利ヲ侵害スルト同時ニ他ノ一方ニ於テ公益上當該官憲ノ職務ヲ誤ラシムル危險アルカ爲メ處罰スルモノナルカ故ニ縱シ本案ハ所論ノ如ク被誣告者ニ於テ承諾アリタル事實ナリトスルモ本罪構成上何等影響ヲ來スヘキ理由ナキヲ以テ本論旨ハ理由ナシ」
過去問・解説
(H21 司法 第3問 2)
甲は、乙の同意の下、乙が甲の自動車を盗んだ旨の虚偽の事実を警察官丙に申告し、乙の処罰を求めた。判例の立場に従って検討した場合、甲に刑法上の犯罪が成立するか。
(R1 共通 第9問 4)
甲は、知人乙から、「生活が苦しく刑務所に入りたいので、私から脅されたという事実をでっち上げて、私を告訴してほしい。」と依頼され、乙の承諾を得て、乙を脅迫罪で告訴した。この場合、甲には、虚偽告訴罪は成立しない。
(R4 司法 第5問 エ)
甲は、刑務所に服役したいと考えている乙と口裏を合わせ、乙の同意を得て、司法警察員に対し、乙に現金を窃取された旨の虚偽の被害届を提出した。この場合、乙の同意がある以上、甲に虚偽告訴罪は成立しない。
「虚偽の申告」の意義 最二小決昭和33年7月31日
概要
虚偽告訴罪の「虚偽の申告」とは、申告の内容をなすところの刑事、懲戒の処分の原因となる事実が、客観的真実に反することをいうと解するを相当とする。
判例
事案:刑事上の処分を受けさせる目的で虚偽告訴したという事案において、虚偽告訴罪における、「虚偽の申告」の意義が問題となった。
判旨:「刑法172条にいう虚偽の申告とは、申告の内容をなすところの刑事、懲戒の処分の原因となる事実が客観的真実に反することをいうと解するを相当とし、第一審判決の認定した事実によると、被告人がAをしてBに刑事上の処分を受けしめる目的で司法警察員に対し申告せしめた事実は虚偽であることが明白であるから、原判決には所論の違法は存しない。」
判旨:「刑法172条にいう虚偽の申告とは、申告の内容をなすところの刑事、懲戒の処分の原因となる事実が客観的真実に反することをいうと解するを相当とし、第一審判決の認定した事実によると、被告人がAをしてBに刑事上の処分を受けしめる目的で司法警察員に対し申告せしめた事実は虚偽であることが明白であるから、原判決には所論の違法は存しない。」