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賄賂の罪(実行行為) - 解答モード
収賄罪(要求)の成否 大判昭和9年11月26日
概要
収賄罪(要求)は、被要求者が要求に応じる意思がないためその目的が達成されない場合であっても成立する。
判例
事案:被要求者が要求に応じない事案において、収賄罪の成否が問題となった。
判旨:「賄賂要求ノ罪ハ被要求者カ之ニ応スル意思ナキ為其ノ目的ヲ達スル能ハサル場合ニ於テモ成立スルモノトス」
判旨:「賄賂要求ノ罪ハ被要求者カ之ニ応スル意思ナキ為其ノ目的ヲ達スル能ハサル場合ニ於テモ成立スルモノトス」
過去問・解説
(H30 共通 第20問 エ)
乙は、土地の購入資金を調達するため、それまでにX市発注の公共工事の受注に際して、土木部長として便宜を図ってきた建築業を営むCに対して、乙所有の農地を時価より高い1000万円で買い取ってほしい旨を依頼した。Cがこの依頼を拒否した場合、収賄罪と贈賄罪は対向犯として必要的共犯の関係にあるので、乙に収賄罪(要求)は成立しない。
再選後の受託収賄罪の成否 最三小決昭和61年6月27日
概要
公務員の再選後に担当すべき職務に関し受託収賄罪が成立する。
判例
事案:市の発注する工事に関し入札参加者の指名および入札の執行を管理する職務権限を持つ市長が、任期満了の前に、再選された場合に具体的にその職務を執行することが予定されていた市庁舎の建設工事の入札等につき請託を受けて賄賂を収受したという事案において、受託収賄罪の成否が問題となった。
判旨:「被告人甲は、a市が発注する各種工事に関し、入札参加者の指名及び入札の執行を管理する職務権限をもつ同市市長と共謀を遂げ、近く施行される同市長選挙に立候補の決意を固めていた同市長において、再選された場合に具体的にその職務を執行することが予定されていた市庁舎の建設工事等につき、電気・管工事業者乙から入札参加者の指名、入札の執行等に便宜有利な取計いをされたい旨の請託を受けたうえ、その報酬として、同市長の職務に関し、現金3000万円の供与を受けたというのである。このように、市長が、任期満了の前に、現に市長としての一般的職務権限に属する事項に関し、再選された場合に担当すべき具体的職務の執行につき請託を受けて賄賂を収受したときは、受託収賄罪が成立すると解すべきであるから、被告人甲の本件所為について受託収賄罪の成立を認めた原判断は正当である。」
判旨:「被告人甲は、a市が発注する各種工事に関し、入札参加者の指名及び入札の執行を管理する職務権限をもつ同市市長と共謀を遂げ、近く施行される同市長選挙に立候補の決意を固めていた同市長において、再選された場合に具体的にその職務を執行することが予定されていた市庁舎の建設工事等につき、電気・管工事業者乙から入札参加者の指名、入札の執行等に便宜有利な取計いをされたい旨の請託を受けたうえ、その報酬として、同市長の職務に関し、現金3000万円の供与を受けたというのである。このように、市長が、任期満了の前に、現に市長としての一般的職務権限に属する事項に関し、再選された場合に担当すべき具体的職務の執行につき請託を受けて賄賂を収受したときは、受託収賄罪が成立すると解すべきであるから、被告人甲の本件所為について受託収賄罪の成立を認めた原判断は正当である。」
過去問・解説
(H21 司法 第5問 エ)
市長が、その任期満了前に、現に市長としての一般的職務権限に属する事項に関し、再選された後に担当すべき具体的職務について請託を受けて賄賂を収受した場合には、受託収賄罪(刑法第197条第1項後段)は成立せず、市長に再選されたときに限り、事前収賄罪(刑法第197条第2項)が成立する。
第三者供賄罪における第三者の意義 最二小決昭和29年8月20日
概要
197条の2の罪が成立するためには、公務員が其の職務に関する事項につき、依頼を受けてこれを承諾し、供与者が第三者に供与した利益がその公務員の職務行為に対する代償たる性質を有すれば足り、右第三者は個人たると地方公共団体その他の法人たるとを問わない。
判例
事案:警察署長の被告人は寄附金をするから寛大に扱われたいとの依頼を受けて、これを承諾し、寄附金名義で金員を供与させ、被疑事件を検察庁に送致しなかったという事案において、第三者収賄罪の成否が問題となった。
判旨:「刑法197条の2の罪が成立するためには公務員が其の職務に関する事項につき依頼を受けこれを承諾したことを必要とし第三者に供与した利益がその公務員の職務行為に対する代償たる性質を有することを要するものと解するを相当とし、右第三者のうちには地方公共団体その他の法人を含むことも当然でありこれを除外する理由はない。本件において確定された事実は第一審判決判示のとおりであってその要旨は被告人はa町警察の警察署長であり犯罪の検挙、捜査及び検挙した被疑事件を検察官に送致する職務等を有するものであるが、判示被疑事件につきa町又はa町外b村A組合に寄附金をするから寛大に扱われたいとの依頼を受けてこれを承諾し右町及び組合に寄附金名義で金員を供与させよって右被疑事件を検察庁に送致しなかったという趣旨であるから、贈賄者の供与した利益は賄賂性があり刑法197条の3、1項及び同法197条の2の罪が成立する…。」
判旨:「刑法197条の2の罪が成立するためには公務員が其の職務に関する事項につき依頼を受けこれを承諾したことを必要とし第三者に供与した利益がその公務員の職務行為に対する代償たる性質を有することを要するものと解するを相当とし、右第三者のうちには地方公共団体その他の法人を含むことも当然でありこれを除外する理由はない。本件において確定された事実は第一審判決判示のとおりであってその要旨は被告人はa町警察の警察署長であり犯罪の検挙、捜査及び検挙した被疑事件を検察官に送致する職務等を有するものであるが、判示被疑事件につきa町又はa町外b村A組合に寄附金をするから寛大に扱われたいとの依頼を受けてこれを承諾し右町及び組合に寄附金名義で金員を供与させよって右被疑事件を検察庁に送致しなかったという趣旨であるから、贈賄者の供与した利益は賄賂性があり刑法197条の3、1項及び同法197条の2の罪が成立する…。」
過去問・解説
(H24 司法 第12問 3)
第三者供賄罪において、賄賂の供与を受ける第三者は、自然人に限られない。
あっせん収賄罪の「あっせん」の意義 最二小決昭和43年10月15日
概要
197条の4の斡旋収賄罪が成立するためには、その要件として、公務員が積極的にその地位を利用して斡旋することは必要でないが、少なくとも公務員としての立場で斡旋することを必要とし、単なる私人としての行為は右の罪を構成しないものと解するのが相当である。
判例
事案:私的な友人関係を利用しただけで、自己の公務員たる地位を利用してあっせんしたものではなかった事案において、あっせん収賄罪の成否が問題となった。
判旨:「刑法197条の4の斡旋収賄罪が成立するためには、その要件として、公務員が積極的にその地位を利用して斡旋することは必要でないが、少なくとも公務員としての立場で斡旋することを必要とし、単なる私人としての行為は右の罪を構成しないものと解するのが相当である。」
判旨:「刑法197条の4の斡旋収賄罪が成立するためには、その要件として、公務員が積極的にその地位を利用して斡旋することは必要でないが、少なくとも公務員としての立場で斡旋することを必要とし、単なる私人としての行為は右の罪を構成しないものと解するのが相当である。」
あっせん収賄罪の成否 最二小決平成15年1月14日
概要
公務員が、請託を受けて、公正取引委員会が私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律違反の疑いで調査中の審査委事件について、同委員会の委員長に対し、これを告発しないように働き掛けることは、197条の4にいう「職務上不正な行為をさせるよう」あっせんすることに当たる。
判例
事案:公務員が請託を受けて公正取引委員会の委員長に対し同委員会が調査中の審査事件を告発しないよう働き掛けた事案において、あっせん収賄罪の成否が問題となった。
判旨:「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律73条1項は、公正取引委員会は、同法違反の犯罪があると思料するときは検事総長に告発しなければならないと定め、同法96条1項は、同法89条から91条までの罪は、同委員会の告発を待って、これを論ずると定めているところ、公務員が、請託を受けて、公正取引委員会が同法違反の疑いをもって調査中の審査事件について、同委員会の委員長に対し、これを告発しないように働き掛けることは、同委員会の裁量判断に不当な影響を及ぼし、適正に行使されるべき同委員会の告発及び調査に関する権限の行使をゆがめようとするものであるから、平成7年法律第91号による改正前の刑法197条の4にいう『職務上相当ノ行為ヲ為サザラシム可ク』あっせんすることに当たると解すべきである。」
判旨:「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律73条1項は、公正取引委員会は、同法違反の犯罪があると思料するときは検事総長に告発しなければならないと定め、同法96条1項は、同法89条から91条までの罪は、同委員会の告発を待って、これを論ずると定めているところ、公務員が、請託を受けて、公正取引委員会が同法違反の疑いをもって調査中の審査事件について、同委員会の委員長に対し、これを告発しないように働き掛けることは、同委員会の裁量判断に不当な影響を及ぼし、適正に行使されるべき同委員会の告発及び調査に関する権限の行使をゆがめようとするものであるから、平成7年法律第91号による改正前の刑法197条の4にいう『職務上相当ノ行為ヲ為サザラシム可ク』あっせんすることに当たると解すべきである。」
過去問・解説
(H19 司法 第9問 1)
公務員が賄賂を受け取って、他の公務員の職務について働き掛けを行った場合、違法な行為の働き掛けがあったときにのみあっせん収賄罪が成立し、他の公務員の裁量判断に不当な影響を及ぼす程度では同罪は成立しない。