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刑法 窃盗罪の実行の着手 東京地判平成2年11月15日 - 解答モード
概要
駐車中のA所有の普通乗用自動車内から金員を窃取すべく、助手席側ドアの鍵穴に所携のドライバーを差し込んで開ける行為に窃盗罪の実行の着手が認められる。
判例
事案:駐車中のA所有の普通乗用自動車内から金員を窃取すべく、助手席側ドアの鍵穴に所携のドライバーを差し込んで開け車内にある金員を窃取しようとした事案において、窃盗罪の実行の着手が認められるかが問題となった。
判旨:「被告人は、昭和59年6月20日下館簡易裁判所で窃盗罪等により懲役1年6月(3年間執行猶予、昭和60年8月9日取消)に、昭和60年8月6日水戸地方裁判所下妻支部で窃盗罪等により懲役1年に、昭和63年12月23日古河簡易裁判所で窃盗罪等により懲役1年10月にそれぞれ処せられ、いずれの刑も左記犯行前10年内に執行を受けたものであるが、更に、常習として、平成2年9月29日午後9時43分ころ、東京都文京区《番地略》先路上において、同所に駐車中のA所有の普通乗用自動車内から金員を窃取すべく、助手席側ドアの鍵穴に所携のドライバーを差し込んで開け、車内にある金員を窃取しようとしたが、その場で警察官に発見されて逮捕されたため、その目的をとげなかったものである。」
判旨:「被告人は、昭和59年6月20日下館簡易裁判所で窃盗罪等により懲役1年6月(3年間執行猶予、昭和60年8月9日取消)に、昭和60年8月6日水戸地方裁判所下妻支部で窃盗罪等により懲役1年に、昭和63年12月23日古河簡易裁判所で窃盗罪等により懲役1年10月にそれぞれ処せられ、いずれの刑も左記犯行前10年内に執行を受けたものであるが、更に、常習として、平成2年9月29日午後9時43分ころ、東京都文京区《番地略》先路上において、同所に駐車中のA所有の普通乗用自動車内から金員を窃取すべく、助手席側ドアの鍵穴に所携のドライバーを差し込んで開け、車内にある金員を窃取しようとしたが、その場で警察官に発見されて逮捕されたため、その目的をとげなかったものである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%
(H22 司法 第3問 3)
甲は、乙所有の自動車を運転して盗み出すため、不正に入手した同自動車のスペアキーを使い、駐車場に駐車してある同自動車の運転席のドアを開けた。この場合、運転席に乗り込む前でも、窃盗罪の実行の着手が認められる。
(正答)〇
(解説)
裁判例(東京地判平2.11.15)は、本肢と同種の事案において、「被告人は、…常習として、…駐車中のA所有の普通乗用自動車内から金員を窃取すべく、助手席側ドアの鍵穴に所携のドライバーを差し込んで開け、車内にある金員を窃取しようとしたが、その場で警察官に発見されて逮捕されたため、その目的をとげなかったものである。」とした上で、ドライバーの差込行為の時点で実行の着手を認めている。
甲は、スペアキーを使い、自動車の運転席のドアを開けているところ、この時点で、上記裁判例のドライバー差込行為以上に結果発生の現実的危険が生じているといえる。
したがって、甲が運転席に乗り込む前でも、窃盗罪の実行の着手が認められる。