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刑法 背任罪における「本人に損害を加える目的」 最二小決昭和63年11月21日 - 解答モード

概要
特別背任罪における図利加害目的の存在を肯認するには、図利加害の意欲ないし積極的認容までを要するものではない。
判例
事案: 銀行の支店長であった被告人乙が、顧客であるAの資金状態が改善される見通しのないことが明らかとなった後も、その任務に違背し、被告人甲及びAを利し同銀行を害することを熟知しながら、あえて回収不能のおそれのある過振りを長期間連続的に行い、同銀行に財産上の損害を加えたという事案で、特別背任罪における図利加害目的が認められるかが問題となった。

判旨:「以下、所論にかんがみ、被告人乙の関係において、特別背任罪(昭和56年法律第74号による改正前の商法468条1項)におけるいわゆる図利加害目的につき、職権をもって検討する。
 …株式会社B銀行の銀座支店長であった被告人乙は、被告人甲の経営するA株式会社が同支店に開設していた当座預金口座に決済資金が不足した場合には、右不足分を同銀行において立替払いをするいわゆる過振りの便宜を図っていたが、Aの資金状態が改善される見通しのないことが明らかとなった後も、その任務に違背し、被告人甲及びAを利し同銀行を害することを熟知しながら、あえて回収不能のおそれのある過振りを長期間連続的に行い、同銀行に財産上の損害を加えたものであり、しかも、被告人乙が右任務違背行為に出たのは、同銀行の利益を図るためではなく、従前安易に行っていた過振りの実態が本店に発覚して自己の面目信用が失墜するのを防止するためであったというのである。
 ところで、特別背任罪における図利加害目的を肯定するためには、図利加害の点につき、必ずしも所論がいう意欲ないし積極的認容までは要しないものと解するのが相当であり、右事実関係のもとにおいては、被告人甲及びAを利し同銀行を害する図利加害目的の存在を認めることができるものというべきであるから、これと同旨に解される原判断は、正当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H22 司法 第9問 5)
「本人に損害を加える目的」があるというためには、加害の点につき意欲ないし積極的認容が必要である。

(正答)

(解説)
判例(最決昭63.11.21)は、「図利加害目的を肯定するためには、図利加害の点につき、必ずしも所論がいう意欲ないし積極的認容までは要しないものと解するのが相当であ…る。」としている。
したがって、「本人に損害を加える目的」があるというためには、加害の点につき意欲ないし積極的認容までは不要である。

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