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短答判例
名誉毀損罪と侮辱罪の区別 大判大正15年7月5日
概要
具体的事実を摘示せず、他人の社会的地位を軽蔑する抽象的判断を公然と発表した場合には、名誉毀損罪ではなく侮辱罪が成立する。
判例
事案:新聞記者である被告人が、新聞紙上において、他社の新聞記者の見識や言動等について軽蔑的な文言を掲載した事案において、その文言が社会的地位を害する具体的事実の摘示に当たり名誉毀損罪が成立するか、抽象的判断の発表にとどまり侮辱罪が成立するかが問題となった。
判旨:「刑法第二百三十一條所定侮辱罪ハ事實ヲ摘示セスシテ他人ノ社會的地位ヲ輕蔑スル犯人自己ノ抽象的判斷ヲ公然發表スルニヨリテ成立スルモノナルニ反シ同法第二百三十條第一項所定ノ名譽毀損罪ハ他人ノ社會的地位ヲ害スルニ足ルヘキ具體的事實ヲ公然告知スルニ依リテ成立スルモノナレハ犯人ニ於テ如上具體的事實ヲ告知スルコトナク單ニ他人ノ社會的地位ヲ輕蔑スル抽象的言辭ヲ弄シタルニ過キサルトキハ侮辱罪ヲ構成スヘキモ名譽毀損罪ヲ構成スヘキモノニアラサルコト明カナリトス」
判旨:「刑法第二百三十一條所定侮辱罪ハ事實ヲ摘示セスシテ他人ノ社會的地位ヲ輕蔑スル犯人自己ノ抽象的判斷ヲ公然發表スルニヨリテ成立スルモノナルニ反シ同法第二百三十條第一項所定ノ名譽毀損罪ハ他人ノ社會的地位ヲ害スルニ足ルヘキ具體的事實ヲ公然告知スルニ依リテ成立スルモノナレハ犯人ニ於テ如上具體的事實ヲ告知スルコトナク單ニ他人ノ社會的地位ヲ輕蔑スル抽象的言辭ヲ弄シタルニ過キサルトキハ侮辱罪ヲ構成スヘキモ名譽毀損罪ヲ構成スヘキモノニアラサルコト明カナリトス」
過去問・解説
全体の正答率 : 33.3%
(R8 司法 第12問 1)
名誉毀損罪は、人の社会的評価を害するに足るべき具体的事実の摘示がなければ成立しないが、侮辱罪は、人の社会的評価を害するに足るべき具体的事実の摘示がなくても成立する。
(正答)〇
(解説)
判例(大判大15.7.5)は、侮辱罪は、事実を摘示せず、他人の社会的地位を軽蔑する行為者自身の抽象的判断を公然と発表することによって成立し、名誉毀損罪は、他人の社会的地位を害するに足りる具体的事実を公然と告知することによって成立する旨判示している。
したがって、名誉毀損罪は、人の社会的評価を害するに足るべき具体的事実の摘示がなければ成立しないが、侮辱罪は、人の社会的評価を害するに足るべき具体的事実の摘示がなくても成立する。