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名誉に対する罪(実行行為) - 解答モード
名誉毀損罪における公然性 大判昭和3年12月13日
概要
判例
判旨:「人ノ名誉ヲ毀損スヘキ事実ヲ記載シタル文書ヲ郵便ニ依リ多数ノ人ニ配付シタルトキハ現ニ配付ヲ受ケタル者カ特定セルモ刑法第230条ニ所謂公然タルヲ妨ケス」
過去問・解説
(H24 司法 第8問 3)
甲は、以前交際していたV女が別の男性と婚約したことを知り、腹いせに、V女の両親に宛てて、「V女には他にも数人男がいる。V女の好色は目に余る。」などと嘘の事実を記載した手紙を匿名で郵送した。甲には名誉毀損罪は成立しない。
名誉毀損罪における公然性 大判昭和6年6月19日
概要
判例
判旨:「多数人ノ面前ニ於テ人ノ名誉ヲ毀損スヘキ事実ヲ摘示シタル場合ハ其ノ多数人カ特定セルトキト雖刑法第230条ノ罪ヲ構成ス」
過去問・解説
(H29 共通 第18問 2)
事実の摘示が「公然」といえるためには、摘示内容を不特定かつ多数人が認識し得る状態にあったことが必要であるから、不特定ではあるが、少数人しか認識し得ない状態にとどまる場合には、名誉毀損罪は成立しない。
名誉毀損罪における「毀損」の成立 大判昭和13年2月28日
概要
判例
判旨:「名誉毀損罪ノ既遂ハ公然人ノ社会的地位ヲ貶スニ足ルヘキ具体的事実ヲ摘示シ名誉低下ノ危険状態ヲ発生セシムルヲ以テ足リ被害者ノ社会的地位ノ損傷セラレタルコトハ之ヲ必要トセス」
過去問・解説
(H21 司法 第13問 3)
名誉毀損罪が成立するためには、人の名誉を毀損する必要があるが、人の社会的評価を低下させるような事実を摘示したとしても、その人の名誉が現実に侵害されなかった場合には、人の名誉を毀損したとはいえないから、名誉毀損罪が成立する余地はない。
(H29 共通 第18問 5)
人の名誉を侵害するに足りる事実を公然と摘示したとしても、現実に人の名誉が侵害されていない場合には、名誉毀損罪は成立しない。
(R3 共通 第12問 ウ)
人の社会的評価を害するに足りる事実を公然と摘示したとしても、その人の社会的評価が現実に害されていない場合、刑法第230条第1項にいう「人の名誉を毀損した」とはいえないため、名誉毀損罪は成立しない。
侮辱罪の成否 最一小決昭和34年2月19日
概要
判例
判旨:「本件につき、公然性を欠くものとしたのは相当であって…。」
過去問・解説
(H18 司法 第1問 エ)
執行猶予中の甲は、居酒屋で飲食中、隣のテーブルの男Aと口論になり、Aの顔面をこぶしで殴打して鼻骨骨折等の傷害を負わせたが、店員らに現行犯逮捕され、K警察署の司法警察員に引き渡された。取調室において、甲が、司法警察員Yに傷害事件の見通しを尋ねたところ、Yは「被害者の傷害の程度も重いので、軽く考えない方がいいかもしれない。」などと答えた。甲はYの話を聞き、実刑になり刑務所に収容されるかもしれないと思い、憤激のあまり、Yに対し「ばか野郎。お前らはうそつきだ。」などと怒号した。甲に侮辱(刑法第231条)が成立する。
伝播可能性の理論 最一小判昭和34年5月7日
概要
判例
判旨:「被告人は不定多数の人の視聴に達せしめ得る状態において事実を摘示したものであり、その摘示が質問に対する答としてなされたものであるかどうかというようなことは、犯罪の成否に影響がないとしているのである。そして、このような事実認定の下においては、被告人は刑法230条1項にいう公然事実を摘示したものということができるのであり、かく解釈したからといってなんら所論憲法各法条の保障する自由を侵害したことにはならないのはもちろん(昭和31年(あ)第3359号、同33年4月10日当小法廷判決・集12巻5号830頁以下参照)、また、所論判例と相反する判断をしたことにもならない。
…本件火災の放火犯人であると確認することはできないから、被告人についてはその陳述する事実につき真実であることの証明がなされなかったものというべく、被告人は本件につき刑責を免れることができない…。」
過去問・解説
(H21 司法 第13問 2)
名誉毀損罪が成立するためには、公然と事実の摘示が行われる必要があるが、特定かつ少数人に事実を摘示した場合には、その者らを通じて不特定又は多数人に伝播する可能性があったとしても、公然と事実の摘示が行われたとはいえないから、名誉毀損罪が成立する余地はない。
(R2 共通 第16問 3)
特定かつ少数の者に特定人の名誉を毀損する事実を摘示した場合、その内容が拡散する可能性があったとしても、「公然と」事実を摘示したことにはならない。
(R4 共通 第20問 ア)
甲(女性、16歳)は、高校の同級生A(女性、16歳)が非行グループと交際し、飲酒喫煙を繰り返していることを知り、それらのAの具体的行動を、特に口止めもせずに同級生2名に告げたところ、同人らを介して、Aの同行動がクラスの全生徒30名の知るところとなった。甲が、Aの上記行動を同級生2名に告げた行為は、特定かつ少数の者にAの名誉を毀損する事実を摘示したにすぎないことから、名誉毀損罪が成立することはない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭34.5.7)は、特定かつ少数人に対して事実の摘示をした名誉毀損の事案において、「被告人は不定多数の人の視聴に達せしめ得る状態において事実を摘示したものであり、…被告人は刑法230条1項にいう公然事実を摘示したものということができる…。」として、事実摘示の直接の相手方が特定かつ少数であっても、その者を通して不特定又は多数人に伝播する可能性があるのであれば、公然性を充足することを示している。
甲は、Aの飲酒喫煙等の事実について、特定かつ少数の者たる同級生2名に告げただけであるが、結局特に口止めをしなかったために同人らを介して、Aの同行動がクラスの全生徒30名に伝播している。
したがって、甲の同級生に口止めせずに告げた行為は、不特定又は多数人に伝播する可能性ある特定かつ少数の者に対する摘示にあたり、公然性を充足する。
よって、甲に名誉毀損罪が成立する余地がある。