現在お使いのブラウザのバージョンでは、本サービスの機能をご利用いただけない可能性があります
バージョンアップを試すか、Google ChromeやMozilla Firefoxなどの最新ブラウザをお試しください
刑法 方法の錯誤 大判昭和8年8月30日 - 解答モード
概要
殺意をもって暴行を加えた際、目的とした人とは別の他の人を殺害するに至ったときは、別の他人に対する殺人罪の成立を認めるべきである。
判例
事案:殺意をもって暴行したものの、実際に暴行した者は殺害しようとした者と異なっていた事案において、殺人罪が成立するかが問題となった。
判旨:「人ヲ殺害スル意思ヲ以テ之ニ暴行ヲ加ヘ因テ人ヲ殺害シタル結果ヲ惹起シタル以上ハ縱令其ノ殺害ノ結果カ犯人ニ於テ毫モ意識セサリシ客體ノ上ニ生シタルトキト雖暴行ト殺害トノ間ニ因果ノ關係存スルコト明白ナル以上犯人ニ於テ殺人既遂ノ罪責ヲ負フヘキコト勿論ニシテ過失致死罪ヲ以テ論スヘキニ非ス」
判旨:「人ヲ殺害スル意思ヲ以テ之ニ暴行ヲ加ヘ因テ人ヲ殺害シタル結果ヲ惹起シタル以上ハ縱令其ノ殺害ノ結果カ犯人ニ於テ毫モ意識セサリシ客體ノ上ニ生シタルトキト雖暴行ト殺害トノ間ニ因果ノ關係存スルコト明白ナル以上犯人ニ於テ殺人既遂ノ罪責ヲ負フヘキコト勿論ニシテ過失致死罪ヲ以テ論スヘキニ非ス」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%
(H20 司法 第7問 ウ)
甲は、乙に対する殺意をもって、乙の背後からけん銃を発射したところ、乙は赤ん坊の丙を抱いており、銃弾が乙の身体を貫通した後、丙にも命中して、乙及び丙の両名を死亡させた。甲が、乙に抱かれている丙の存在を認識していなかった場合でも、甲には乙及び丙に対する殺人罪が成立する。
(正答)〇
(解説)
判例(大判昭8.8.30)は、「人ヲ殺害スル意思ヲ以テ之ニ暴行ヲ加ヘ因テ人ヲ殺害シタル結果ヲ惹起シタル以上ハ縱令其ノ殺害ノ結果カ犯人ニ於テ毫モ意識セサリシ客體ノ上ニ生シタルトキト雖暴行ト殺害トノ間ニ因果ノ關係存スルコト明白ナル以上犯人ニ於テ殺人既遂ノ罪責ヲ負フヘキコト勿論ニシテ過失致死罪ヲ以テ論スヘキニ非ス」として、行為のときに少しも認識していなかった客体に結果が生じたとしても、殺害行為と結果との間に因果関係が認められることが明白ならば、殺人罪が成立しうることを示している。
甲は、乙に抱かれている丙の存在を認識していなかったが、人を殺す意思のもとで、拳銃を発射し銃弾が乙の身体を貫通した後、丙にも命中しているから、甲の殺害行為と乙及び丙の死亡結果との間に因果関係が認められることが明白であるといえる。
したがって、甲には乙及び丙に対する殺人罪が成立する。