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刑法 予見可能性の意義 最二小判平成12年12月20日

概要
実際の因果経過を具体的に予見することが出来なくても、結果発生の可能性を予見することが出来る場合には過失が認められる。
判例
事案:鉄道トンネル内における電力ケーブルの接続工事を施工した業者につき経過を具体的に予見することはできなかったという事案において、トンネル内での火災発生の予見可能性が認められるかが問題となった。

判旨:「近畿日本鉄道東大阪線生駒トンネル内における電力ケーブルの接続工事に際し、施工資格を有してその工事に当たった被告人が、ケーブルに特別高圧電流が流れる場合に発生する誘起電流を接地するための大小2種類の接地銅板のうちの1種類をY分岐接続器に取り付けるのを怠ったため、右誘起電流が、大地に流されずに、本来流れるべきでないY分岐接続器本体の半導電層部に流れて炭化導電路を形成し、長期間にわたり同部分に集中して流れ続けたことにより、本件火災が発生したものである。右事実関係の下においては、被告人は、右のような炭化導電路が形成されるという経過を具体的に予見することはできなかったとしても、右誘起電流が大地に流されずに本来流れるべきでない部分に長期間にわたり流れ続けることによって火災の発生に至る可能性があることを予見することはできたものというべきである。したがって、本件火災発生の予見可能性を認めた原判決は、相当である。」
過去問・解説
(H29 共通 第11問 ウ)
仮に、甲及び乙において、V1が死亡するに至る実際の因果経過を具体的に予見することが不可能であった場合、甲及び乙には業務上過失致死罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最判平12.12.20)は、トンネル内で火災が発生した事案において、「炭化導電路が形成されるという経過を具体的に予見することはできなかったとしても、右誘起電流が大地に流されずに本来流れるべきでない部分に長期間にわたり流れ続けることによって火災の発生に至る可能性があることを予見することはできたものというべきである。」として、実際の因果経過を具体的に予見することが不可能であったとしても、過失を認めている。
したがって、甲及び乙において、V1が死亡するに至る実際の因果経過を具体的に予見することが不可能であった場合であっても、両者に過失が認められ、業務上過失致死罪が成立する。

(R1 司法 第17問 エ)
過失犯が成立するには、因果経過の予見可能性を要するため、現実の結果発生に至る経過を逐一具体的に予見できなければ、過失犯が成立することはない。

(正答)

(解説)
判例(最判平12.12.20)は、トンネル内で火災が発生した事案において、「炭化導電路が形成されるという経過を具体的に予見することはできなかったとしても、右誘起電流が大地に流されずに本来流れるべきでない部分に長期間にわたり流れ続けることによって火災の発生に至る可能性があることを予見することはできたものというべきである。」として、実際の因果経過を具体的に予見することが不可能であったとしても、過失を認めている。
したがって、現実の結果発生に至る経過を逐一具体的に予見できなくても、過失犯は成立する。
総合メモ
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