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刑法 家屋の従物と「建造物」の関係 最一小判昭和25年12月14日

概要
家屋の従物が「建造物」たる家屋の一部を構成するものと認めるには、更らにこれを毀損しなければ取り外すことができない状態にあることを必要とする。
判例
事案:布団と畳を焼損した事案において、建具その他家屋の従物が「建造物」たる家屋の一部を構成するかが問題となった。

判旨:「建具その他家屋の従物が建造物たる家屋の一部を構成するものと認めるには、該物件が家屋の一部に建付けられているだけでは足りず更らにこれを毀損しなければ取り外すことができない状態にあることを必要とするものである。従って、判示布団は勿論判示畳のごときは未だ家屋と一体となってこれを構成する建造物の一部といえないこと多言を要しないから、原判決の前示判示は、建造物の放火既遂の犯罪事実を認定判示したものではなく、その放火未遂の認定判示であるといわなければならない。」
過去問・解説
(H18 司法 第19問 エ)
甲は、宿泊していたホテルの部屋に放火しようと考え、窓のカーテンに火をつけたが、カーテンを焼損した時点で、従業員に消し止められた。甲に現住建造物等放火既遂罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭25.12.14)は、「建具その他家屋の従物が建造物たる家屋の一部を構成するものと認めるには、該物件が家屋の一部に建付けられているだけでは足りず更らにこれを毀損しなければ取り外すことができない状態にあることを必要とする…。」としている。
甲が火をつけたカーテンは、毀損しなければ取り外せないとはいえないことから、建造物の一部には当たらない。
したがって、甲に現住建造物等放火既遂罪は成立しない。

(H21 司法 第11問 2)
甲は、乙が住居に使用する同人所有の家屋を燃やそうと考え、火の付いた新聞紙を同家屋内のふすまに近づけ、新聞紙の火をふすまに燃え移らせてこれを燃焼させた。この場合、火が媒介物である新聞紙を離れてふすまが独立に燃焼するに至ったのであるから、この段階で、現住建造物等放火罪の既遂罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭25.12.14)は、「建具その他家屋の従物が建造物たる家屋の一部を構成するものと認めるには、該物件が家屋の一部に建付けられているだけでは足りず更らにこれを毀損しなければ取り外すことができない状態にあることを必要とする…。」としている。
甲が火のついた新聞紙によって焼損させたふすまは、毀損しなければ取り外せないとはいえないことから、建造物の一部には当たらない。
したがって、甲に現住建造物等放火既遂罪は成立しない。

(H24 共通 第17問 2)
甲は、周囲に他の住宅のない場所に空家を所有する乙から、同家屋に付された火災保険金をだまし取る計画を持ちかけられ、これに応じることとし、同家屋に立て掛けてあった薪に灯油をかけて火をつけたところ、火は同家屋の取り外し可能な雨戸に燃え移ったが、たまたま降り出した激しい雨によって鎮火した。甲には他人所有非現住建造物等放火未遂罪が成立するにとどまる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭25.12.14)は、「建具その他家屋の従物が建造物たる家屋の一部を構成するものと認めるには、該物件が家屋の一部に建付けられているだけでは足りず更らにこれを毀損しなければ取り外すことができない状態にあることを必要とする…。」としている。
甲が火をつけた薪から燃え移らせた雨戸はら毀損しなければ取り外せないとはいえないことから、建造物の一部には当たらない。
また、本件家屋は、保険に付したものであることから、109条1項の客体となる(115条)。
したがって、甲には、他人所有非現住建造物等放火未遂罪が成立する。

(H25 司法 第14問 エ)
「建造物」には、家屋の和室に敷かれている畳も含まれる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭25.12.14)は、「建具その他家屋の従物が建造物たる家屋の一部を構成するものと認めるには、該物件が家屋の一部に建付けられているだけでは足りず更らにこれを毀損しなければ取り外すことができない状態にあることを必要とする…。」としている。
畳は、毀損しなければ取り外せないとはいえないことから、「建造物」には含まれない。

(H28 司法 第13問 ウ)
甲は、Aと同居している自宅を燃やそうと考え、自宅の和室に新聞紙が入った段ボール箱を置き、同新聞紙にライターで点火したが、その直後に帰宅したAが燃えている同段ボール箱を発見して消火したため、同段ボール箱の直下の畳だけが焼損した。甲に現住建造物等放火罪の未遂罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭25.12.14)は、「建具その他家屋の従物が建造物たる家屋の一部を構成するものと認めるには、該物件が家屋の一部に建付けられているだけでは足りず更らにこれを毀損しなければ取り外すことができない状態にあることを必要とする…。」としている。
甲が焼損させた畳はら毀損しなければ取り外せないとはいえないことから、建造物の一部には当たらず、これらを焼損したのみでは、「建造物」の焼損とはいえない。
したがって、甲に現住建造物等放火未遂罪が成立する。

(H30 司法 第16問 オ)
甲は、乙が住居に使用する家屋を燃やそうと考え、同家屋の6畳和室に敷かれた布団に灯油をまいて放火し、火は布団からその下に敷かれた畳に燃え移って炎上したが、他に燃え移る前に乙によって消し止められた。甲には現住建造物等放火罪(刑法第108条)の既遂罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭25.12.14)は、「建具その他家屋の従物が建造物たる家屋の一部を構成するものと認めるには、該物件が家屋の一部に建付けられているだけでは足りず更らにこれを毀損しなければ取り外すことができない状態にあることを必要とする…。」としている。
甲が布団に放火して燃え移らせた畳は、毀損しなければ取り外せないとはいえないことから、建造物の一部には当たらない。
したがって、甲に現住建造物等放火既遂罪は成立しない。

(R1 共通 第8問 1)
「建造物」とは、家屋その他これに類する工作物であって、土地に定着し、人の起居出入りに適する構造を有するものをいう。

(正答)

(解説)
判例(大判大13.5.31)は、「刑法第109条第1項ニ所謂建造物トハ家屋其ノ他之ニ類似スル工作物ニシテ土地ニ定着シ人ノ起居出入ニ適スル構造ヲ有スルモノヲ云フ」として、109条1項における建造物とは家屋その他これに類似する工作物であって土地に定着し人の起居出入に適する構造を有するものをいうことを示している。

(R2 共通 第14問 2)
甲が乙に頼まれて、乙所有の大型家具を、丙が居住する家屋に近接する甲所有の畑地で燃やし始めたところ、周辺に火の粉が飛び散り、予期に反して、同家屋の屋根のひさしに飛び火して、同ひさしを焼損させたところで火が消し止められた場合、甲には、延焼罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭25.12.14)は、「建具その他家屋の従物が建造物たる家屋の一部を構成するものと認めるには、該物件が家屋の一部に建付けられているだけでは足りず更らにこれを毀損しなければ取り外すことができない状態にあることを必要とする…。」としている。
甲が乙の大型家具から飛び火させ、焼損させたひさしは、通常毀損しなければ家屋から取り外すことができない状態にあるから、「建造物」の一部に当たる。
そして、甲の予期に反して飛び火して、乙から依頼を受けており自己物と同視できる大型家具から、108条の客体である丙家屋へ火が燃え移ったといえる。
したがって、甲に延焼罪(111条1項、110条2項)が成立する。

(R5 司法 第8問 3)
甲は、妻と二人で居住する木造家屋を燃やそうと考え、壁に掛けられたカレンダーに火をつけた。この場合、上記カレンダーが焼損した時点で、これに気付いた妻に火を消し止められ、他に燃え移らなかったのであれば、甲に現住建造物等放火既遂罪が成立することはない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭25.12.14)は、「建具その他家屋の従物が建造物たる家屋の一部を構成するものと認めるには、該物件が家屋の一部に建付けられているだけでは足りず更らにこれを毀損しなければ取り外すことができない状態にあることを必要とする…。」としている。
甲が火をつけた壁に掛けられたカレンダーは、毀損しなければ取り外せないとはいえないことから、建造物の一部には当たらない。
そして、カレンダーが焼損した時点で、これに気付いた妻に火を消し止められ、他に燃え移らなかったのであれば、甲の現住建造物等放火罪は未遂にとどまり、既遂罪が成立することはない。

(R6 司法 第20問 ウ)
【事 例】
保険会社の従業員である甲は、顧客Aが独りで住んでいる一戸建て家屋に多額の現金が保管されていることを知り、Aを殺害した上で同現金を手に入れようと計画した。甲は、その計画に従い、某月1日午後4時頃、Aを戸外に連れ出し、麻酔薬を吸引させて気絶させた上、自動車の後部座席にAを押し込み、同車を運転してAを山奥まで運んだ。さらに、甲は、同日午後6時頃、気絶していたAを車外に引っ張り出した上、自殺に見せ掛けるため、大木の枝に縛り付けた縄でAの頸部をくくり、そのままAをつり下げて窒息死させた。甲は、Aが持っていたA方の鍵を入手した上で、その場にAの死体を放置して上記自動車を運転してA方に向かった。甲は、同日午後8時50分頃、上記鍵を使用してA方内に立ち入り、同所に保管されていた現金500万円を自己のかばんに入れて上記計画を完遂した。
甲は、A方を燃やして犯行を隠蔽しようと考え、同日午後9時頃、A方居室の畳に火を放ってA方を出た。その直後、付近住民が異変に気付いてA方内に立ち入り、上記畳を取り外して屋外に投げ捨てたため、同畳以外は焼損しなかった。
甲は、同月5日、逮捕され、その後の弁解録取手続において、自暴自棄になり、警察官Bが甲の弁解を記載した弁解録取書を手で破り捨てた。
Aには死亡事故を起こしたことによる前科があり、乙は、かつてAから同前科があることを聞いていた。乙は、Aが死亡したことを知り、同月7日、インターネットの掲示板に「Aは、事故を起こして人を死なせた前科がある。」と書き込み、インターネットを利用する不特定多数の者が閲覧可能な状態にした。

以下の記述は正しいか。

【記 述】
甲が焼損させたA方居室の畳は建造物の付属物であるから、甲が同畳を焼損させた行為について、甲に非現住建造物等放火既遂罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭25.12.14)は、「建具その他家屋の従物が建造物たる家屋の一部を構成するものと認めるには、該物件が家屋の一部に建付けられているだけでは足りず更らにこれを毀損しなければ取り外すことができない状態にあることを必要とする…。」としている。
甲が焼損させた畳は、毀損しなければ取り外せないとはいえないことから、建造物の一部には当たらない。
したがって、甲に非現住建造物等放火既遂罪は成立しない。
総合メモ
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