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秘密を侵す罪

第133条

条文
第133条(信書開封)
 正当な理由がないのに、封をしてある信書を開けた者は、1年以下の拘禁刑又は20万円以下の罰金に処する。
過去問・解説
(R6 司法 第14問 1)
信書開封罪は、信書に記載された人の秘密を保護法益とするため、正当な理由なく、封をしてある信書を開けたとしても、信書の内容を確認しなかった場合には成立しない。

(正答)  

(解説)
「封をしている信書を開けた」(133条)とは、封緘を破棄して信書の内容を知りうる状態に作り出すことをいい、信書の内容を読んで、実際に了知することまでは要しないから、本罪は抽象的危険犯である(大塚裕史ほか「基本刑法Ⅱ」第4版94頁)。
本肢の事例では、封をしてある信書を開けており、封緘を破棄して信書の内容を知りうる状態に作り出している以上、「封をしている信書を開けた」として、信書開封罪が成立する。
総合メモ

第134条

条文
第134条(秘密漏示)
① 医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、6月以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金に処する。
② 宗教、祈祷若しくは祭祀の職にある者又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときも、前項と同様とする。
過去問・解説
(H25 共通 第10問 1)
【事案及び判旨】
 精神科の医師である甲が、犯行時16歳の少年Aが犯した殺人罪に関する保護事件が係属している家庭裁判所からAの精神鑑定を命ぜられた際、鑑定資料として家庭裁判所から交付されたAの捜査機関に対する供述調書の謄本を新聞記者に閲覧させたため、Aが甲を秘密漏示罪で告訴した事案につき、裁判所は、甲の行為は秘密漏示罪に該当し、訴訟条件にも欠けるところはない旨判示し、甲に有罪判決を言い渡した。 
 この判旨は、甲が医師の身分を有していることを前提に秘密漏示罪の成立を認めたものである。

(正答)  

(解説)
秘密漏示罪は、「医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職にあった者」を身分とする真正身分犯であるところ、精神科の医師である甲は「医師」に当たる。
したがって、 上記の判旨は、甲が医師の身分を有していることを前提に秘密漏示罪の成立を認めたものである。

(R6 司法 第14問 2)
秘密漏示罪は、医師や弁護士など人の秘密を知りやすい職にある者を主体とする犯罪であり、かつて同職にあったが、既に同職にない者については、同罪の主体とはならない。

(正答)  

(解説)
秘密漏示罪の主体には、「医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人」だけでなく、「これらの職にあった者」も含まれる。

(R6 司法 第14問 4)
弁護士が、正当な理由なく、業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときには秘密漏示罪が成立するが、弁護士が業務とは無関係に偶然知った人の秘密を漏らしたとしても、同罪は成立しない。

(正答)  

(解説)
134条は、秘密漏示の対象となる秘密を、「その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密」に限定している。
したがって、弁護士が、正当な理由なく、業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときには、「弁護士…が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたとき」として、秘密漏示罪が成立するが、弁護士が業務とは無関係に偶然知った人の秘密を漏らしたときは、「弁護士…が、…その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らした」とはいえないから、本罪は成立しない。

(R6 司法 第14問 5)
弁護士が、正当な理由なく、業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を特定かつ少数の人に漏らした場合、その者らを通じて不特定又は多数の人へと秘密が漏れなければ、秘密漏示罪は成立しない。

(正答)  

(解説)
秘密漏示罪(134条)における「秘密を漏らした」とは、その秘密を知らない者に告知することを意味し、公然性は不要である(230条対照)であるから、秘密を1人だけに告知する場合であっても、これに当たる(大塚裕史ほか「基本刑法Ⅱ」第4版95頁)。
したがって、弁護士が、正当な理由なく、業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を特定かつ少数の人に漏らした場合、その者らを通じて不特定又は多数の人へと秘密が漏れなかったとしても、秘密漏示罪が成立する。
総合メモ