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通貨偽造の罪
第148条
条文
第148条(通貨偽造及び行使等)
① 行使の目的で、通用する貨幣、紙幣又は銀行券を偽造し、又は変造した者は、無期又は3年以上の拘禁刑に処する。
② 偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項と同様とする。
① 行使の目的で、通用する貨幣、紙幣又は銀行券を偽造し、又は変造した者は、無期又は3年以上の拘禁刑に処する。
② 偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項と同様とする。
総合メモ
第150条
条文
第150条(偽造通貨等収得)
行使の目的で、偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を収得した者は、3年以下の拘禁刑に処する。
行使の目的で、偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を収得した者は、3年以下の拘禁刑に処する。
過去問・解説
(R6 司法 第10問 オ)
甲は、乙から金銭の借入れとして1万円札10枚を受け取った際、それらの中に偽造の1万円札が含まれていることに気付かず、その後、偽造の1万円札の存在に気付いたが、行使の目的でそのまま保持した。この場合、甲に偽造通貨収得罪は成立しない。
甲は、乙から金銭の借入れとして1万円札10枚を受け取った際、それらの中に偽造の1万円札が含まれていることに気付かず、その後、偽造の1万円札の存在に気付いたが、行使の目的でそのまま保持した。この場合、甲に偽造通貨収得罪は成立しない。
(正答) 〇
(解説)
甲は、乙から金銭の借入れとして1万円札10枚を受け取った際、それらの中に偽造の1万円札が含まれていることに気付かなかったのだから、「偽造…の銀行券…を収得した」時点では構成要件的故意(38条1項本文)を欠く。したがって、偽造通貨収得罪は成立しない。
なお、甲は、偽造の1万円札の存在に気付いた後も、行使の目的でそのまま保持しているから、「銀行券を収得した後に、それが偽造…のものであることを知って」これを保持しているが、「これを行使し、又は行使の目的で人に交付し」ているわけではないから、収得後知情行使等(152条)も成立しない。
甲は、乙から金銭の借入れとして1万円札10枚を受け取った際、それらの中に偽造の1万円札が含まれていることに気付かなかったのだから、「偽造…の銀行券…を収得した」時点では構成要件的故意(38条1項本文)を欠く。したがって、偽造通貨収得罪は成立しない。
なお、甲は、偽造の1万円札の存在に気付いた後も、行使の目的でそのまま保持しているから、「銀行券を収得した後に、それが偽造…のものであることを知って」これを保持しているが、「これを行使し、又は行使の目的で人に交付し」ているわけではないから、収得後知情行使等(152条)も成立しない。
総合メモ
第153条
条文
第153条(通貨偽造等準備)
貨幣、紙幣又は銀行券の偽造又は変造の用に供する目的で、器械又は原料を準備した者は、3月以上5年以下の拘禁刑に処する。
貨幣、紙幣又は銀行券の偽造又は変造の用に供する目的で、器械又は原料を準備した者は、3月以上5年以下の拘禁刑に処する。
過去問・解説
(H29 共通 第20問 1)
甲は、覚せい剤の密売人である乙から、偽造した1万円札と引換えに覚せい剤をだまし取ろうと考え、1万円札の偽造に使用する目的で、作業部屋を自己名義で賃借した上、印刷機及び印刷用紙を購入して同部屋に運び込み、それらを使用して1万円札100枚を偽造した。甲が作業部屋を自己名義で賃借した行為は、通貨偽造罪の予備行為に該当することから、その段階で甲には通貨偽造等準備罪が成立する。
甲は、覚せい剤の密売人である乙から、偽造した1万円札と引換えに覚せい剤をだまし取ろうと考え、1万円札の偽造に使用する目的で、作業部屋を自己名義で賃借した上、印刷機及び印刷用紙を購入して同部屋に運び込み、それらを使用して1万円札100枚を偽造した。甲が作業部屋を自己名義で賃借した行為は、通貨偽造罪の予備行為に該当することから、その段階で甲には通貨偽造等準備罪が成立する。
(正答) ✕
(解説)
通貨偽造準備罪における行為は、通貨偽造罪(148条1項)・外国通貨偽造罪(149条1項)の予備行為のうち、「器械又は原料を準備」する行為のみを特に処罰するものである。
甲が作業部屋を自己名義で賃借した行為は、「器械又は原料を準備した」には当たらないから、通貨偽造等準備罪は成立しない。
通貨偽造準備罪における行為は、通貨偽造罪(148条1項)・外国通貨偽造罪(149条1項)の予備行為のうち、「器械又は原料を準備」する行為のみを特に処罰するものである。
甲が作業部屋を自己名義で賃借した行為は、「器械又は原料を準備した」には当たらないから、通貨偽造等準備罪は成立しない。