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短答判例
総則
唯一の証拠の原則 最一小判昭和53年3月23日
概要
当事者が申し出た証拠が、ある争点について唯一の証拠方法である場合には、特段の事情がない限り、その証拠を取り調べなければならない。
判例
事案:被告らは、原告が土地の完全な所有権を有することを争い、その主張を立証するため当事者本人尋問を申し出た。この本人尋問は、その主張に関する唯一の証拠方法であったが、原審はこれを取り調べずに弁論を終結した。そこで、唯一の証拠方法の申出を採用しないことが許されるかが問題となった。
判旨:「所論の上告人入江保本人尋問の申出は、本件土地につき被上告人丸三商工株式会社が完全な所有権でなく共有持分を有するにすぎないとの上告人入江保らの主張に関する唯一の証拠方法の申出であるから、特段の事情のないかぎりこれを取り調べることを要するところ、原審はこれに対する採否を明示することなく弁論を終結したことが明らかである。そうして本件において右特段の事情があつたことは記録上窺われない。もつとも,原審の第8回口頭弁論調書の記載によれば、原審の口頭弁論終結にあたつて当事者双方が「他に主張立証はない。」と述べたことが認められるが、このことを以て前記唯一の証拠方法を取り調べることを要しない特段の事情とすることはできない。
そうすると、原判決には証拠の採否に関する法の解釈適用を誤つた違法があるものというべきであり、右違法は判決に影響を及ぼすことが明らかである。」
判旨:「所論の上告人入江保本人尋問の申出は、本件土地につき被上告人丸三商工株式会社が完全な所有権でなく共有持分を有するにすぎないとの上告人入江保らの主張に関する唯一の証拠方法の申出であるから、特段の事情のないかぎりこれを取り調べることを要するところ、原審はこれに対する採否を明示することなく弁論を終結したことが明らかである。そうして本件において右特段の事情があつたことは記録上窺われない。もつとも,原審の第8回口頭弁論調書の記載によれば、原審の口頭弁論終結にあたつて当事者双方が「他に主張立証はない。」と述べたことが認められるが、このことを以て前記唯一の証拠方法を取り調べることを要しない特段の事情とすることはできない。
そうすると、原判決には証拠の採否に関する法の解釈適用を誤つた違法があるものというべきであり、右違法は判決に影響を及ぼすことが明らかである。」
過去問・解説
(R8 予備 第40問 エ)
裁判所は、当事者が申し出た証拠が唯一の証拠方法に当たらない場合において、必要でないと認めるときには、当該証拠を取り調べることを要しない。
裁判所は、当事者が申し出た証拠が唯一の証拠方法に当たらない場合において、必要でないと認めるときには、当該証拠を取り調べることを要しない。
(正答)〇
(解説)
181条1項は、「裁判所は、当事者が申し出た証拠で必要でないと認めるものは、取り調べることを要しない。」と規定している。もっとも、判例(最判昭53.3.23)は、当事者が申し出た証拠について、「唯一の証拠方法の申出であるから、特段の事情のないかぎりこれを取り調べることを要する…。」とし、当事者が申し出た証拠が唯一の証拠方法に当たる場合には、特段の事情がない限り、その証拠を取り調べなければならない旨判示している。
したがって、裁判所は、当事者が申し出た証拠が唯一の証拠方法に当たらない場合において、必要でないと認めるときには、当該証拠を取り調べることを要しない。
181条1項は、「裁判所は、当事者が申し出た証拠で必要でないと認めるものは、取り調べることを要しない。」と規定している。もっとも、判例(最判昭53.3.23)は、当事者が申し出た証拠について、「唯一の証拠方法の申出であるから、特段の事情のないかぎりこれを取り調べることを要する…。」とし、当事者が申し出た証拠が唯一の証拠方法に当たる場合には、特段の事情がない限り、その証拠を取り調べなければならない旨判示している。
したがって、裁判所は、当事者が申し出た証拠が唯一の証拠方法に当たらない場合において、必要でないと認めるときには、当該証拠を取り調べることを要しない。
総合メモ
調査嘱託の結果の証拠調べ 最一小判昭和45年3月26日
概要
調査嘱託(186条)によって得られた調査の結果を証拠とするには、裁判所がこれを口頭弁論において提示して当事者に意見陳述の機会を与えれば足り、当事者の援用を要しない。
判例
事案:調査嘱託の結果を弁論に顕出させたのみで、当事者がこれを援用していないにもかかわらず判決の基礎にした事案において、調査嘱託の結果を、当事者の援用無くして判決の基礎とできるかが問題となった。
判旨:「調査の嘱託によって得られた回答書等調査の結果を証拠とするには、裁判所がこれを口頭弁論において提示して当事者に意見陳述の機会を与えれば足り、当事者の援用を要しないものと解すべきところ、所論の東京繊維商品取引所に対する照会の回答は原審の第32回口頭弁論期日において弁論に顕出されていることが記録上明らかであるから、原判決が、右回答に基づいて所論の取引の受渡期限における同取引所の取引価格を認定したことも、正当ということができる。」
判旨:「調査の嘱託によって得られた回答書等調査の結果を証拠とするには、裁判所がこれを口頭弁論において提示して当事者に意見陳述の機会を与えれば足り、当事者の援用を要しないものと解すべきところ、所論の東京繊維商品取引所に対する照会の回答は原審の第32回口頭弁論期日において弁論に顕出されていることが記録上明らかであるから、原判決が、右回答に基づいて所論の取引の受渡期限における同取引所の取引価格を認定したことも、正当ということができる。」
過去問・解説
(H26 共通 第67問 イ)
判例の趣旨によれば、調査の嘱託の嘱託先が嘱託に応じて書面を裁判所に送付した場合において、裁判所が当該書面を証拠とするには、口頭弁論において提示して当事者に意見陳述の機会を与えれば足り、当事者の援用を要しない。
判例の趣旨によれば、調査の嘱託の嘱託先が嘱託に応じて書面を裁判所に送付した場合において、裁判所が当該書面を証拠とするには、口頭弁論において提示して当事者に意見陳述の機会を与えれば足り、当事者の援用を要しない。
(正答)〇
(解説)
186条は、「裁判所は、必要な調査を官庁若しくは公署、外国の官庁若しくは公署又は学校、商工会議所、取引所その他の団体に嘱託することができる。」と規定している。
これについて、判例(最判昭45.3.26)は、本肢と同種の事案において、「調査の嘱託によって得られた回答書等調査の結果を証拠とするには、裁判所がこれを口頭弁論において提示して当事者に意見陳述の機会を与えれば足り、当事者の援用を要しない…。」としている。
したがって、調査の嘱託の嘱託先が嘱託に応じて送付された書面について、裁判所が証拠とするには、口頭弁論において提示して当事者に意見陳述の機会を与えれば足り、当事者の援用を要しない。
186条は、「裁判所は、必要な調査を官庁若しくは公署、外国の官庁若しくは公署又は学校、商工会議所、取引所その他の団体に嘱託することができる。」と規定している。
これについて、判例(最判昭45.3.26)は、本肢と同種の事案において、「調査の嘱託によって得られた回答書等調査の結果を証拠とするには、裁判所がこれを口頭弁論において提示して当事者に意見陳述の機会を与えれば足り、当事者の援用を要しない…。」としている。
したがって、調査の嘱託の嘱託先が嘱託に応じて送付された書面について、裁判所が証拠とするには、口頭弁論において提示して当事者に意見陳述の機会を与えれば足り、当事者の援用を要しない。
(R1 予備 第41問 イ)
調査嘱託の嘱託先から送付された回答書を証拠資料とするためには、回答書を文書として取り調べなければならない。
調査嘱託の嘱託先から送付された回答書を証拠資料とするためには、回答書を文書として取り調べなければならない。
(正答)✕
(解説)
186条は、「裁判所は、必要な調査を官庁若しくは公署、外国の官庁若しくは公署又は学校、商工会議所、取引所その他の団体に嘱託することができる。」と規定している。
判例(最判昭45.3.26)は、本肢と同種の事案において、「調査の嘱託によって得られた回答書等調査の結果を証拠とするには、裁判所がこれを口頭弁論において提示して当事者に意見陳述の機会を与えれば足り、当事者の援用を要しない…。」としている。
したがって、本肢の事案において、調査嘱託の嘱託先から送付された回答書を証拠資料とするためには、裁判所がこれを口頭弁論において提示して当事者に意見陳述の機会を与えれば足り、回答書を文書として取り調べる必要はない。
186条は、「裁判所は、必要な調査を官庁若しくは公署、外国の官庁若しくは公署又は学校、商工会議所、取引所その他の団体に嘱託することができる。」と規定している。
判例(最判昭45.3.26)は、本肢と同種の事案において、「調査の嘱託によって得られた回答書等調査の結果を証拠とするには、裁判所がこれを口頭弁論において提示して当事者に意見陳述の機会を与えれば足り、当事者の援用を要しない…。」としている。
したがって、本肢の事案において、調査嘱託の嘱託先から送付された回答書を証拠資料とするためには、裁判所がこれを口頭弁論において提示して当事者に意見陳述の機会を与えれば足り、回答書を文書として取り調べる必要はない。
(R5 予備 第40問 ウ)
訴訟係属中に、調査の嘱託がされた場合において、嘱託先から回答がされ、裁判所がこれを口頭弁論に提示して当事者に意見陳述の機会を与え、弁論に顕出されたときは、当事者の援用がなくても、この回答を証拠資料にすることができる。
訴訟係属中に、調査の嘱託がされた場合において、嘱託先から回答がされ、裁判所がこれを口頭弁論に提示して当事者に意見陳述の機会を与え、弁論に顕出されたときは、当事者の援用がなくても、この回答を証拠資料にすることができる。
(正答)〇
(解説)
186条は、「裁判所は、必要な調査を官庁若しくは公署、外国の官庁若しくは公署又は学校、商工会議所、取引所その他の団体に嘱託することができる。」と規定している。
判例(最判昭45.3.26)は、本肢と同種の事案において、「調査の嘱託によって得られた回答書等調査の結果を証拠とするには、裁判所がこれを口頭弁論において提示して当事者に意見陳述の機会を与えれば足り、当事者の援用を要しない…。」としている。
したがって、裁判所が調査嘱託先からの回答を口頭弁論に提示して当事者に意見陳述の機会を与え、弁論に顕出されたときは、当事者の援用がなくても、この回答を証拠資料にすることができる。
186条は、「裁判所は、必要な調査を官庁若しくは公署、外国の官庁若しくは公署又は学校、商工会議所、取引所その他の団体に嘱託することができる。」と規定している。
判例(最判昭45.3.26)は、本肢と同種の事案において、「調査の嘱託によって得られた回答書等調査の結果を証拠とするには、裁判所がこれを口頭弁論において提示して当事者に意見陳述の機会を与えれば足り、当事者の援用を要しない…。」としている。
したがって、裁判所が調査嘱託先からの回答を口頭弁論に提示して当事者に意見陳述の機会を与え、弁論に顕出されたときは、当事者の援用がなくても、この回答を証拠資料にすることができる。
総合メモ
弁論の併合と併合前にされた証拠調べ 最三小判昭和41年4月12日
概要
弁論の併合前にそれぞれの事件においてされた証拠調の結果は、併合後の事件においても、同一の性質のまま、証拠資料となる。
判例
事案:弁論の併合がなされた事案において、併合後の事件においても併合前にされた証拠調の結果を証拠資料とできるかが問題となった。
判旨:「数個の事件の弁論が併合されて、同一訴訟手続内において審理されるべき場合には、併合前にそれぞれの事件においてされた証拠調の結果は、併合された事件の関係のすべてについて、当初の証拠調と同一の性質のまま、証拠資料となると解するのが相当である。けだし、弁論の併合により、弁論の併合前にされた各訴訟の証拠資料を共通の判断資料として利用するのが相当だからである。」
判旨:「数個の事件の弁論が併合されて、同一訴訟手続内において審理されるべき場合には、併合前にそれぞれの事件においてされた証拠調の結果は、併合された事件の関係のすべてについて、当初の証拠調と同一の性質のまま、証拠資料となると解するのが相当である。けだし、弁論の併合により、弁論の併合前にされた各訴訟の証拠資料を共通の判断資料として利用するのが相当だからである。」
総合メモ
伝聞証拠の証拠能力 最二小判昭和27年12月5日
概要
民事訴訟法が証人尋問につき一種の交互尋問制をとっているからといって、いわゆる伝聞証言の証拠能力が当然制限されると解すべきではなく、裁判官の自由な心証による判断に委ねられていると解すべきである。
判例
事案:民事訴訟において、伝聞証拠が提出された事案において、伝聞証拠の証拠能力が問題となった。
判旨:「証拠を、原則として右のような反対尋問を経たものだけに限り、実質的にこれを経ていない、いわゆる伝聞証言その他の伝聞証拠の証拠能力を制限するか、或はこれ等の証拠能力に制限を加えることなく、その証明力如何の判断を、専ら裁判官の自由な心証に委せるかば、反対尋問権の行使につきどの程度まで実質的な保障を与えるかという立法政策の問題であって、交互尋問制のもとにおいては必ず伝聞証拠の証拠能力を否定しなければならない論理的な必要があるわけではない。それ故わが現行民事訴訟法は、私人間の紛争解決を目的とする民事訴訟法においては、伝聞証言その他の伝聞証拠の採否は、裁判官の自由な心証による判断に委せて差支えないという見解のもとに、この他の証拠能力制限の規定を設けなかったものと解するのが相当である。」
判旨:「証拠を、原則として右のような反対尋問を経たものだけに限り、実質的にこれを経ていない、いわゆる伝聞証言その他の伝聞証拠の証拠能力を制限するか、或はこれ等の証拠能力に制限を加えることなく、その証明力如何の判断を、専ら裁判官の自由な心証に委せるかば、反対尋問権の行使につきどの程度まで実質的な保障を与えるかという立法政策の問題であって、交互尋問制のもとにおいては必ず伝聞証拠の証拠能力を否定しなければならない論理的な必要があるわけではない。それ故わが現行民事訴訟法は、私人間の紛争解決を目的とする民事訴訟法においては、伝聞証言その他の伝聞証拠の採否は、裁判官の自由な心証による判断に委せて差支えないという見解のもとに、この他の証拠能力制限の規定を設けなかったものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H20 司法 第67問 4)
別件訴訟において行われた証人尋問の調書の写しは、これを証拠とすることを認めると、相手方の反対尋問の機会を奪うだけでなく、直接主義の原則に反することになるので、その証人の尋問を行うことが困難な場合であっても、書証として提出することはできない。
別件訴訟において行われた証人尋問の調書の写しは、これを証拠とすることを認めると、相手方の反対尋問の機会を奪うだけでなく、直接主義の原則に反することになるので、その証人の尋問を行うことが困難な場合であっても、書証として提出することはできない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭27.12.5)は、本肢と同種の事案において、「いわゆる伝聞証言その他の伝聞証拠の証拠能力を制限するか、或はこれ等の証拠能力に制限を加えることなく、その証明力如何の判断を、専ら裁判官の自由な心証に委せるかば、反対尋問権の行使につきどの程度まで実質的な保障を与えるかという立法政策の問題であって、交互尋問制のもとにおいては必ず伝聞証拠の証拠能力を否定しなければならない論理的な必要があるわけではない。」として、反対尋問の機会を奪うとはしておらず、かつ、証拠能力も否定していない。
したがって、証人の尋問を行うことが困難な場合であっても、書類として提出することは可能である。
判例(最判昭27.12.5)は、本肢と同種の事案において、「いわゆる伝聞証言その他の伝聞証拠の証拠能力を制限するか、或はこれ等の証拠能力に制限を加えることなく、その証明力如何の判断を、専ら裁判官の自由な心証に委せるかば、反対尋問権の行使につきどの程度まで実質的な保障を与えるかという立法政策の問題であって、交互尋問制のもとにおいては必ず伝聞証拠の証拠能力を否定しなければならない論理的な必要があるわけではない。」として、反対尋問の機会を奪うとはしておらず、かつ、証拠能力も否定していない。
したがって、証人の尋問を行うことが困難な場合であっても、書類として提出することは可能である。