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短答判例

送達

受訴裁判所の裁判所書記官が原告からの誤った回答に基づき被告の就業場所が不明であるとして実施した訴状等の付郵便送達の適法性 最一小判平成10年9月10日

概要
裁判所書記官が被告の就業場所が不明であると判断して書留郵便に付する送達により訴状を送達した場合に、被告の就業場所の存在が事後に判明したときであっても、その認定資料の収集につき裁量権の範囲を逸脱し、あるいはこれに基づく判断が合理性を欠くなどの事情がない限り、その付郵便送達は適法である。
判例
事案:裁判所書記官が、被告の就業場所が不明であるとして付郵便送達の方法による送達(107条)をしたが、事後的に被告の就業場所の存在が発覚したという事案において、当該送達の有効性が問題となった。

判旨:「民事訴訟関係書類の送達事務は、受訴裁判所の裁判所書記官の固有の職務権限に属し、裁判所書記官は、原則として、その担当事件における送達事務を民訴法の規定に従い独立して行う権限を有するものである。受送達者の就業場所の認定に必要な資料の収集については、担当裁判所書記官の裁量にゆだねられているのであって、担当裁判所書記官としては、相当と認められる方法により収集した認定資料に基づいて、就業場所の存否につき判断すれば足りる。担当裁判所書記官が、受送達者の就業場所が不明であると判断して付郵便送達を実施した場合には、受送達者の就業場所の存在が事後に判明したときであっても、その認定資料の収集につき裁量権の範囲を逸脱し、あるいはこれに基づく判断が合理性を欠くなどの事情がない限り、右付郵便送達は適法であると解するのが相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(R7 予備 第33問 5)
裁判所書記官が被告の就業場所が不明であると判断して書留郵便に付する送達により訴状を送達した場合において、被告の就業場所の存在が事後に判明したときは、当該書留郵便に付する送達は無効である。

(正答)✕

(解説)
判例(最判平10.9.10)は、「担当裁判所書記官が、受送達者の就業場所が不明であると判断して付郵便送達を実施した場合には、受送達者の就業場所の存在が事後に判明したときであっても、その認定資料の収集につき裁量権の範囲を逸脱し、あるいはこれに基づく判断が合理性を欠くなどの事情がない限り、右付郵便送達は適法であると解するのが相当である。」としている。
したがって、被告の就業場所の存在が事後に判明した場合であっても、その送達が有効となることがある。

該当する過去問がありません

訴訟代理人がある場合における当事者本人に対する訴訟書類送達の効力 最二小判昭和25年6月23日

概要
訴訟代理人がいる場合、訴訟書類は、その代理人に送達するのを通例とするが、この場合においても、当事者本人に対する送達を妨げるものではない。
判例
事案:訴訟代理人があるにもかかわらず、訴訟代理人ではなく当事者本人にのみ判決が送達がなされた事案において、訴訟代理人がある場合における当事者本人に対する訴訟書類送達の効力が問題となった。

判旨:「訴訟代理人のあるときは、訴訟書類は、その代理人に送達するのを通例とするけれども、この場合においても当事者本人に対する送達を妨げるものではない。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H27 予備 第31問 5)
訴訟代理人を選任している被告につき、第1審判決正本を、当該訴訟代理人ではなく被告本人に送達することは違法である。

(正答)✕

(解説)
判例(最判昭25.6.23)は、「訴訟代理人のあるときは、訴訟書類は、その代理人に送達するのを通例とするけれども、この場合においても当事者本人に対する送達を妨げるものではない。」としている。
したがって、訴訟代理人を選任している被告につき、第1審判決正本を、当該訴訟代理人ではなく被告本人に送達することは適法である。


全体の正答率 : 100%

(R2 予備 第36問 ア)
訴訟代理人がある間は、当事者本人に対してした訴訟関係書類の送達は無効である。

(正答)✕

(解説)
判例(最判昭25.6.23)は、「訴訟代理人のあるときは、訴訟書類は、その代理人に送達するのを通例とするけれども、この場合においても当事者本人に対する送達を妨げるものではない。」としている。
したがって、訴訟代理人がある間に、当事者本人に対してした訴訟関係書類の送達も有効である。

該当する過去問がありません

受送達者宛ての訴訟関係書類の交付を受けた同居者等と受送達者との間にその訴訟に関して事実上の利害関係の対立がある場合 最三小決平成19年3月20日

概要
①106条1項所定の同居者等と受送達者との間に、その訴訟に関して事実上の利害関係の対立があるにすぎない場合には、当該同居者等に対して書類を交付することによって、受送達者に対する補充送達の効力が生ずる。
②106条1項所定の同居者等と受送達者との間に、その訴訟に関して事実上の利害関係の対立があるため、同居者等から受送達者に対して書類が速やかに交付されることを期待することができない場合において、当該同居者等から受送達者に対して書類が実際に交付されず、そのため、受送達者が訴訟が提起されていることを知らないまま判決がされたときには、338条1項3号の再審事由がある。
判例
事案:主債務者と連帯保証人に対して債務の履行を求めて訴えが提起され、連帯保証人を受送達者とする訴状を主債務者が受け取りこれを連帯保証人に渡さなかったという事案において、①そもそも送達が有効であったといえるか、②送達が有効であった場合、338条1項3号の「法定代理権、訴訟代理権又は代理人が訴訟行為をするのに必要な授権を欠いたこと」があったとはいえないのではないかなどが問題となった。

判旨:①「106条1項は、就業場所以外の送達をすべき場所において受送達者に出会わないときは、『使用人その他の従業者又は同居者であって、書類の受領について相当のわきまえのあるもの』(以下『同居者等』という。)に書類を交付すれば、受送達者に対する送達の効力が生ずるものとしており、その後、書類が同居者等から受送達者に交付されたか否か、同居者等が上記交付の事実を受送達者に告知したか否かは、送達の効力に影響を及ぼすものではない(最高裁昭和42年 (オ)第1017号同45年5月22日第二小法廷判決・裁判集民事99号201頁参照)。したがって、受送達者あての訴訟関係書類の交付を受けた同居者等が、その訴訟において受送達者の相手方当事者又はこれと同視し得る者に当たる場合は別として(民法108条参照)、その訴訟に関して受送達者との間に事実上の利害関係の対立があるにすぎない場合には、当該同居者等に対して上記書類を交付することによって、受送達者に対する送達の効力が生ずるというべきである。そうすると、仮に、抗告人の主張するような事実関係があったとしても、本件訴状等は抗告人に対して有効に送達されたものということができる。」
 ②「しかし、本件訴状等の送達が補充送達として有効であるからといって、直ちに民訴法338条1項3号の再審事由の存在が否定されることにはならない。同事由の存否は、当事者に保障されるべき手続関与の機会が与えられていたか否かの観点から改めて判断されなければならない。すなわち、受送達者あての訴訟関係書類の交付を受けた同居者等と受送達者との間に、その訴訟に関して事実上の利害関係の対立があるため、同居者等から受送達者に対して訴訟関係書類が速やかに交付されることを期待することができない場合において、実際にもその交付がされなかったときは、受送達者は、その訴訟手続に関与する機会を与えられたことにならないというべきである。そうすると、上記の場合において、当該同居者等から受送達者に対して訴訟関係書類が実際に交付されず、そのため、受送達者が訴訟が提起されていることを知らないまま判決がされたときには、当事者の代理人として訴訟行為をした者が代理権を欠いた場合と別異に扱う理由はないから、民訴法338条1項3号の再審事由があると解するのが相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 75%

(H20 司法 第72問 イ)
判例によれば、再審事由については限定列挙主義がとられているので、これを類推適用することは許されない。

(正答)✕

(解説)
判例(最判平19.3.20)は、「当該同居者等から受送達者に対して訴訟関係書類が実際に交付されず、そのため、受送達者が訴訟が提起されていることを知らないまま判決がされたときには、当事者の代理人として訴訟行為をした者が代理権を欠いた場合と別異に扱う理由はないから、民訴法338条1項3号の再審事由がある…。」として、338条1項3号を類推適用することで、再審事由があることを示している。
したがって、再審事由について類推適用することも許される。


全体の正答率 : 100%

(H25 共通 第61問 3)
判例の趣旨によれば、妻が夫に無断で夫を連帯保証人として銀行から借入れをし、銀行が夫に対し保証債務履行請求訴訟を提起した場合において、訴状を夫の住所地で送達するときは、同居中の妻がこれを受領しても補充送達として有効である。

(正答)〇

(解説)
判例(最決平19.3.20)は、「受送達者あての訴訟関係書類の交付を受けた同居者等が、その訴訟において受送達者の相手方当事者又はこれと同視し得る者に当たる場合は別として(民法108条1項参照)、その訴訟に関して受送達者との間に事実上の利害関係の対立があるにすぎない場合には、当該同居者等に対して上記書類を交付することによって、受送達者に対する送達の効力が生ずる。」としている。
妻が夫に無断で夫を連帯保証人として銀行から借入れをし、銀行が夫に対し保証債務履行請求訴訟を提起した場合、妻と夫の間には事実上の利害関係があるに過ぎないから、訴状を夫の住所地で送達するときは、同居中の妻がこれを受領しても補充送達として有効である。


全体の正答率 : 33.3%

(H27 予備 第31問 3)
被告のクレジットカードを無断で使用した被告の同居の妻が、当該使用に係る立替金請求訴訟の訴状等が被告の住所において送達された際、被告不在のため、被告に代わってこれを受領した後に隠匿したことにより、被告が訴え提起の事実を知らないまま被告敗訴の第1審判決が下され、これが確定したときは、当該判決に対して再審の訴えを提起することができる。

(正答)〇

(解説)
判例(最決平19.3.20)は、「同居者等と受送達者との間に,その訴訟に関して事実上の利害関係の対立があるため,同居者等から受送達者に対して上記書類が速やかに交付されることを期待することができない場合において,当該同居者等から受送達者に対して上記書類が実際に交付されず,そのため,受送達者が訴訟が提起されていることを知らないまま判決がされたときには,民訴法338条1項3号の再審事由がある。」として、338条1項3号に該当するとしている。
したがって、本肢の被告とその妻との間には、事実上の利害関係の対立があるから、民訴法338条1項3号の再審事由があり、再審の訴えを提起することができる。


全体の正答率 : 66.6%

(R2 予備 第36問 オ)
書類の受領について相当のわきまえのある同居者が受送達者宛ての訴訟関係書類の交付を受けた場合において、当該同居者と受送達者との間に、その訴訟に関して事実上の利害関係の対立があるときは、受送達者に対する送達の効力が生じない。

(正答)✕

(解説)
判例(最判平19.3.20)は、「受送達者あての訴訟関係書類の交付を受けた同居者等が、…その訴訟に関して受送達者との間に事実上の利害関係の対立があるにすぎない場合には、当該同居者等に対して上記書類を交付することによって、受送達者に対する送達の効力が生ずる…。」としている。


全体の正答率 : 100%

(R5 予備 第35問 ア)
書類の受領について相当のわきまえのある同居者が受送達者宛ての訴訟関係書類の交付を受けた場合には、当該同居者と受送達者との間にその訴訟に関して事実上の利害関係の対立があるときであっても、受送達者に対する送達の効力が生ずる。

(正答)〇

(解説)
判例(最決平19.3.20)は、「受送達者あての訴訟関係書類の交付を受けた同居者等が、その訴訟において受送達者の相手方当事者又はこれと同視し得る者に当たる場合は別として(民法108条1項参照)、その訴訟に関して受送達者との間に事実上の利害関係の対立があるにすぎない場合には、当該同居者等に対して上記書類を交付することによって、受送達者に対する送達の効力が生ずる。」としている。

該当する過去問がありません