現在お使いのブラウザのバージョンでは、本サービスの機能をご利用いただけない可能性があります
バージョンアップを試すか、Google ChromeやMozilla Firefoxなどの最新ブラウザをお試しください
訴え(将来の給付の訴え) - 解答モード
将来給付の訴え 最大判昭和56年12月16日
概要
判例
判旨:「民訴法226条(現:135条)はあらかじめ請求する必要があることを条件として将来の給付の訴えを許容しているが、同条は、およそ将来に生ずる可能性のある給付請求権のすべてについて前記の要件のもとに将来の給付の訴えを認めたものではなく、主として、いわゆる期限付請求権や条件付請求権のように、既に権利発生の基礎をなす事実上及び法律上の関係が存在し、ただ、これに基づく具体的な給付義務の成立が将来における一定の時期の到来や債権者において立証を必要としないか又は容易に立証しうる別の一定の事実の発生にかかつているにすぎず、将来具体的な給付義務が成立したときに改めて訴訟により右請求権成立のすべての要件の存在を立証することを必要としないと考えられるようなものについて、例外として将来の給付の訴えによる請求を可能ならしめたにすぎないものと解される。このような規定の趣旨に照らすと、継続的不法行為に基づき将来発生すべき損害賠償請求権についても、例えば不動産の不法占有者に対して明渡義務の履行完了までの賃料相当額の損害金の支払を訴求する場合のように、右請求権の基礎となるべき事実関係及び法律関係が既に存在し、その継続が予測されるとともに、右請求権の成否及びその内容につき債務者に有利な影響を生ずるような将来における事情の変動としては、債務者による占有の廃止、新たな占有権原の取得等のあらかじめ明確に予測しうる事由に限られ、しかもこれについては請求異議の訴えによりその発生を証明してのみ執行を阻止しうるという負担を債務者に課しても格別不当とはいえない点において前記の期限付債権等と同視しうるような場合には、これにつき将来の給付の訴えを許しても格別支障があるとはいえない。しかし、たとえ同一態様の行為が将来も継続されることが予測される場合であっても、それが現在と同様に不法行為を構成するか否か及び賠償すべき損害の範囲いかん等が流動性をもつ今後の複雑な事実関係の展開とそれらに対する法的評価に左右されるなど、損害賠償請求権の成否及びその額をあらかじめ一義的に明確に認定することができず、具体的に請求権が成立したとされる時点においてはじめてこれを認定することができるとともに、その場合における権利の成立要件の具備については当然に債権者においてこれを立証すべく、事情の変動を専ら債務者の立証すべき新たな権利成立阻却事由の発生としてとらえてその負担を債務者に課するのは不当であると考えられるようなものについては、前記の不動産の継続的不法占有の場合とはとうてい同一に論ずることはできず、かかる将来の損害賠償請求権については、冒頭に説示したとおり、本来例外的にのみ認められる将来の給付の訴えにおける請求権としての適格を有するものとすることはできないと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H26 予備 第33問 1)
自らの所有する土地を継続的に不法に占有されている者が将来の賃料に相当する額の損害の賠償を求める訴えには、訴えの利益が認められる。
(正答)〇
(解説)
135条は、「将来の給付を求める訴えは、あらかじめその請求をする必要がある場合に限り、提起することができる。」と規定している。
判例(最大判昭56.12.16)は、「継続的不法行為に基づき将来発生すべき損害賠償請求権についても、例えば不動産の不法占有者に対して明渡義務の履行完了までの賃料相当額の損害金の支払を訴求する場合のように、右請求権の基礎となるべき事実関係及び法律関係が既に存在し、その継続が予測されるとともに、右請求権の成否及びその内容につき債務者に有利な影響を生ずるような将来における事情の変動としては、債務者による占有の廃止、新たな占有権原の取得等のあらかじめ明確に予測しうる事由に限られ、しかもこれについては請求異議の訴えによりその発生を証明してのみ執行を阻止しうるという負担を債務者に課しても格別不当とはいえない点において前記の期限付債権等と同視しうるような場合には、これにつき将来の給付の訴えを許しても格別支障があるとはいえない。」として、不動産の不法占有者に対して明渡義務の履行完了までの賃料相当額の損害金の支払を訴求する場合に、訴えの利益を認めている。
物の給付請求と同時にその執行不能に備えて履行に代わる損害賠償請求を訴えにおいてする場合、かかる代償請求に将来給付の利益が認められるか 大連判昭和15年3月13日
概要
判例
判旨:「株式又ハ物ノ給付ヲ為スヘキ債務者カ其ノ給付ノ強制執行ヲ受ケタルモ其ノ執行奏効セス即執行不能ナル場合ニ於テ債務ノ履行ハ必スシモ不能ナルモノト云フヲ得サルコト勿論ナルモ履行不能ニ因ラサル右孰行不能ノ場合ト雖モ債権者ハ履行ニ代ル損害賠償ヲ請求シ得ヘキモノニシテ此ノ損害賠償ハ畢竟履行遅滞ニ因ル損害賠償ニ他ナラス而シテ本来ノ給付ヲ求ムル訴ニ於テ右損害賠償ノ予備的請求ヲ為シタルトキハ事実審裁判所ハ最後ノ口頭弁論当時ニ於ケル本来ノ給付ノ価額ヲ判定シテ其ノ本来ノ給付ヲ命スルト同時ニ右請求ノ限度内ニ於テ其ノ強制執行不能ナルトキハ該価額相当ノ損害賠償ヲ為スヘキコトヲ命スル判決ヲ為シ得ルモノト解スルヲ妥当トス」
過去問・解説
(H21 司法 第60問 ウ)
物の給付を請求し得る債権者が、本来の給付の請求と執行不能の場合における履行に代わる損害賠償の請求を一の訴えでする場合、損害賠償請求は将来の給付を求めるものであるが、あらかじめ請求をする必要があるものと認められる。
(H27 予備 第36問 4)
物の引渡しが執行不能となる場合に備えての代償請求は、将来の給付の訴えとしてその利益が認められる。
(R5 予備 第38問 ウ)
原告が被告に対して、所有権に基づき機械の引渡しを求めるとともに、強制執行が功を奏しない場合に備えてあらかじめ目的物の時価相当額の代償金の支払を求める場合には、機械の引渡請求を主位的請求とし、代償金の支払請求を予備的請求としなければならない。
(正答)✕
(解説)
物の引渡請求にその物の執行不能を条件とする代償請求としての損害賠償請求を併合する場合について、予備的併合ではなく、単純併合であると解されている。両者は実体法上併存関係にあるからである(伊藤眞「民事訴訟法」第9版690頁)。
したがって、原告が被告に対して、所有権に基づき機械の引渡しを求めるとともに、強制執行が功を奏しない場合に備えてあらかじめ目的物の時価相当額の代償金の支払を求める場合には、機械の引渡請求を主位的請求とし、代償金の支払請求を予備的請求としなければならないわけではない。
なお、判例(大連判昭15.3.13)は、物の引渡請求と代償請求との併合形態については判断を示していないと思われるところ、「実務上は、併存関係にある請求についても解除条件を付すことを許容し、予備的併合と選択的併合と同様に扱うことを許容することがある」との説明もある(伊藤眞「民事訴訟法」第9版690頁)。