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民事訴訟法 当事者の主張した自己に不利益な事実で相手方の援用しないものが訴訟資料となるか 最一小判昭和41年9月8日 - 解答モード

概要
所有権に基づき土地の明渡を求めた当事者が相手方に対しその土地の使用を許した事実を主張し、裁判所がこれを確定した場合には、相手方が右事実を自己の利益に援用しなかったときでも、裁判所は、その当事者の請求の当否を判断するについてその事実をしんしゃくすべきである。
判例
事案:所有権に基づき土地の明渡を求めた当事者が相手方に対しその土地の使用を許した事実を主張し、裁判所がこれを確定したが、相手方が右事実を自己の利益に援用しなかった事案において、当事者の主張した自己に不利益な事実で相手方の援用しないものが訴訟資料となるか問題となった。

判旨:「被控訴人の本訴請求については、被控訴人が控訴人に対し本件宅地の使用を許したとの事実は、元来、控訴人の主張立証すべき事項であるが、控訴人においてこれを主張しなかったところ、かえって被控訴人においてこれを主張し、原審が被控訴人のこの主張に基づいて右事実を確定した以上、控訴人において被控訴人の右主張事実を自己の利益に援用しなかったにせよ、原審は右本訴請求の当否を判断するについては、この事実を斟酌すべきであると解するのが相当である。」
過去問・解説

(H19 司法 第70問 2)
Xは、「甲建物は、かつてAが所有していたが、同人が死亡し、同人の子で唯一の相続人であるXが相続した。しかるに、Yは何らの権原もなく、同建物を占有している。」と主張し、同建物の所有権に基づいて、Yに対して、同建物の明渡しを求める訴えを提起した。Yは、「元所有者のAは、生前Yに甲建物を賃貸し、同建物を引き渡した。」と主張した。Xは、このYの主張を否認し、「AはYに、甲建物を、期間の定めなくYの居住のため無償で利用させる旨約束して、これを引き渡したが、Yの居住の目的に従った使用収益をするのに足りる期間は経過した。」と主張した。Yは、このXの主張を全部否認した。裁判所は、証拠調べの結果、AY間において使用貸借契約が成立したが、Xの主張する期間の経過は認められないと判断した場合、Yの使用借権の存在を理由として、Xの請求を棄却することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭41.9.8)は、「被控訴人の本訴請求については、被控訴人が控訴人に対し本件宅地の使用を許したとの事実は、元来、控訴人の主張立証すべき事項であるが、控訴人においてこれを主張しなかったところ、かえって被控訴人においてこれを主張し、原審が被控訴人のこの主張に基づいて右事実を確定した以上、控訴人において被控訴人の右主張事実を自己の利益に援用しなかったにせよ、原審は右本訴請求の当否を判断するについては、この事実を斟酌すべきである。」としている。
本肢において、原告Xが主張している、「AはYに、甲建物を、期間の定めなくYの居住のため無償で利用させる旨約束して、これを引き渡した。」という事実は、被告Yが主張すべき事実である。もっとも、かかる事実を被告が自己の利益に援用しなかった場合であっても、裁判所がかかる事実が認められるとの心証を得た場合、これを判決の基礎とすることができる。
したがって、裁判所は、証拠調べの結果、AY間において使用貸借契約が成立したが、Xの主張する期間の経過は認められないと判断した場合、Yの使用借権の存在を理由として、Xの請求を棄却することができる。


(H23 共通 第66問 オ)
所有権に基づく建物明渡請求訴訟の原告が、被告との間で当該建物について使用貸借契約を締結したがその契約は終了した旨の陳述をしたのに対し、被告は、当該建物はもともと自己の所有する建物であったと主張し、口頭弁論の終結に至るまで、原告が陳述した使用貸借契約締結の事実を援用しなかった。この場合、裁判所は、証拠調べの結果、当該使用貸借契約締結の事実が認められるとの心証を得ても、この事実を判決の基礎とすることができない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭41.9.8)は、「被控訴人の本訴請求については、被控訴人が控訴人に対し本件宅地の使用を許したとの事実は、元来、控訴人の主張立証すべき事項であるが、控訴人においてこれを主張しなかったところ、かえって被控訴人においてこれを主張し、原審が被控訴人のこの主張に基づいて右事実を確定した以上、控訴人において被控訴人の右主張事実を自己の利益に援用しなかったにせよ、原審は右本訴請求の当否を判断するについては、この事実を斟酌すべきである。」としている。
本肢において、原告が陳述した使用貸借契約締結の事実は、被告が主張すべき事実である。かかる事実を被告が自己の利益に援用しなかった場合であっても、裁判所がかかる事実が認められるとの心証を得た場合、これを判決の基礎とすることができる。


(R2 予備 第39問 2)
所有権に基づく建物明渡請求訴訟において、「原告は、被告に対してその建物を無償で使用させていた。」との事実を原告が陳述した場合には、被告がその援用をしないときであっても、裁判所は、原告と被告との間でその建物の使用貸借契約が成立したことを判決の基礎とすることができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭41.9.8)は、「被控訴人の本訴請求については、被控訴人が控訴人に対し本件宅地の使用を許したとの事実は、元来、控訴人の主張立証すべき事項であるが、控訴人においてこれを主張しなかったところ、かえって被控訴人においてこれを主張し、原審が被控訴人のこの主張に基づいて右事実を確定した以上、控訴人において被控訴人の右主張事実を自己の利益に援用しなかったにせよ、原審は右本訴請求の当否を判断するについては、この事実を斟酌すべきである。」としている。
本肢において、原告が陳述していた、「原告は、被告に対してその建物を無償で使用させていた。」という事実は、被告が主張立証すべき事項である。もっとも、かかる事実を被告が自己の利益に援用しなかった場合であっても、裁判所がかかる事実が認められるとの心証を得た場合、これを判決の基礎とすることができる。

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