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刑事訴訟法 押収した写真フィルムの現像 東京高判昭和45年10月21日

概要
押収した写真フィルムを現像することは、押収物に関する必要な処分として適法である。
判例
事案:司法警察員巡査部長は、被告人方居宅に赴き、捜索差押許可状を被告人に示して、室内にあつた現像されていないフィルム1本(以下、「本件フィルム」という。)、カメラなどを押収し、その後、捜査官において、押収した本件フィルムを現像しという事案において、押収した本件フィルムを現像したことが、本件フィルムという「押収物」に関する「必要な処分」(222条1項、111条2項による1項の準用)として適法であるかが問題となった。

判旨:「司法警察員が刑事訴訟法218条1項の定めるところによって、裁判官の発する令状により捜索差押をする場合には、同法222条1項により111条が準用され、司法警察員は押収物について同条2項により1項の処分、すなわち「錠をはずし、封を開き、その他必要な処分をすることができる」ことが明らかであり、そして、右にいう「必要な処分」とは、押収の目的を達するため合理的に必要な範囲内の処分を指すものであつて、必ずしもその態様を問わないものと解するのが相当である。これを本件フィルムについてみると、それは、前示のごとく被告人らが被害者女性との性交の姿態などを写した物で、これをもとにして被害者から金品を得ようとしたというのであるから、右の犯行を証明する重要な証拠物であるが、これをその証明の用に供するためには、本件の場合未現像のままでは意味がなく、そのフィルムがいかなる対象を写したものであるかが明らかにされることによってはじめて証拠としての効用を発揮するものといわなければならない。従って、司法警察員として、果たして右が真に本件犯行と関係ある証拠物であるかどうかを確かめ、かつ裁判所において直ちに証拠として使用しうる状態に置くために、本件フィルムを現像して、その影像を明かにしたことは、当該押収物の性質上、これに対する「必要な処分」であつたということができる。 
 なお所論は、フィルムを現像するには、別に裁判官の命によりその権限を付与されるべきであつたと主張するけれども、本件フィルムのように撮影ずみのフィルムを現像することは、用法に従いフィルムに一種の加工を施して既存の画像を現わす作業にすぎないのであって、これを破壊するわけでもなく、押収者において前に引用した刑事訴訟法111条2項の「必要な処分」として当然なしうるところであるから、別に刑事訴訟法222条1項、218条1項により裁判官の発する検証許可状による必要はないと解すべきである。
以上を要するに、本件において司法警察員が捜索差押許可状をえて捜索差押をなし、本件フィルムを押収し、これを現像したことについて、何らの手続上の違法がない以上、これを採証した原判決は正当というべく、その違法であることを前提として憲法違反ないし理由の喰い違いを主張する所論は、いずれも採用することができない。論旨は理由がない。
過去問・解説
(H21 司法 第26問 ア)
被疑者甲が強姦の模様を撮影した写真があると脅迫して強姦の被害者から金員を恐喝した事件で甲方を捜索したところ、司法警察員が、甲方から未現像の写真フィルムを差し押さえたので、それを警察署において現像することは、差し押さえるべき物を写真フィルムとする甲方に対する捜索差押許可状により行うことができる。

(正答)

(解説)
裁判例(東京高判昭45.10.21)は、本肢と同種の事案において、「司法警察員として、果たして右が真に本件犯行と関係ある証拠物であるかどうかを確かめ、かつ裁判所において直ちに証拠として使用しうる状態に置くために、本件フイルムを現像して、その影像を明かにしたことは、当該押収物の性質上、これに対する『必要な処分』であつたということができる。」と判示して、押収した写真ファイルを現像したことについて、「押収物」に関する「必要な処分」(222条1項本文、111条2項による1項の準用)として適法としている。
したがって、司法警察員が、甲方から未現像の写真フィルムを差し押さえ、それを警察署において現像することは、差し押さえるべき物を写真フィルムとする甲方に対する捜索差押許可状により行うことができる。
総合メモ
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