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取締役(表見代表取締役)

取締役会の無効な決議により選任された代表取締役がした行為への会社法354条の規定の類推適用 最二小判昭和56年4月24日

概要
取締役会の無効な決議により選任された代表取締役が会社の代表としてした行為については、会社は、354条の類推適用により、善意の第三者に対して責任を負う。
判例
事案:取締役会の無効な決議により選任された代表取締役が会社の代表としてした行為について、会社が第三者に対して責任を負うかが問題となった。

判旨:「代表取締役に通知しないで招集された取締役会において代表取締役に選任された取締役が、この選任決議に基づき、代表取締役としてその職務を行ったときは、右選任が有効な取締役会の代表取締役選任決議として認められず、無効である場合であっても、会社は、商法262条(現:会社法354条)の規定の類推適用により、代表取締役としてした取締役の行為について、善意の第三者に対してその責に任ずべきものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H25 司法 第44問 ア)
取締役会設置会社(委員会設置会社を除く。)の取締役が行った取引に関し、取締役Aが会社の代表取締役としてBと取引を行った場合において、Aを代表取締役に選定した取締役会の決議が無効であったときは、Aが代表権を有しないことをBが知らなかったとしても、その取引の効力は、会社には及ばない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭56.4.24)は、「取締役会において代表取締役に選任された取締役が、この選任決議に基づき、代表取締役としてその職務を行ったときは、右選任が有効な取締役会の代表取締役選任決議として認められず、無効である場合であっても、会社は、商法262条(現:会社法354条)の規定の類推適用により、代表取締役としてした取締役の行為について、善意の第三者に対してその責に任ずべき…。」としている。
したがって、Aを代表取締役に選定した取締役会の決議が無効であったとしても、Aが代表権を有しないことをBが知らなければ、354条の類推適用により、取引の効力が会社に及ぶ。

(H26 予備 第20問 2)
表見代表取締役についての会社法第354条に関し、代表取締役に通知しないで招集された取締役会において代表取締役に選定された取締役が代表取締役として取引をした場合には、その選定が無効であるときであっても、会社は、その取引について、善意の第三者に対して責任を負う。

(正答)

(解説)
判例(最判昭56.4.24)は、「代表取締役に通知しないで招集された取締役会において代表取締役に選任された取締役が、この選任決議に基づき、代表取締役としてその職務を行ったときは、右選任が有効な取締役会の代表取締役選任決議として認められず、無効である場合であっても、会社は、商法262条(現:会社法354条)の規定の類推適用により、代表取締役としてした取締役の行為について、善意の第三者に対してその責に任ずべき…。」としている。
総合メモ

会社の使用人が代表取締役の承認のもとに常務取締役の名称を使用してなした行為への会社法354条の類推適用 最二小判昭和35年10月14日

概要
354条は、会社の使用人が代表取締役の承認のもとに常務取締役の名称を使用してなした行為につき、類推適用される。
判例
事案:会社の使用人が代表取締役の承認のもとに常務取締役の名称を使用してなした行為に、354条が類推適用されるかが問題となった。

判旨:「上告会社の使用人で、平素から、同会社が他から金員借入の交渉をなすに際し同会社の代表取締役…の諒解を得て、上告会社常務取締役の名称を使用…していたものであるが、本件消費貸借についても…承認の下に、同会社常務取締役の名称を使用したというのである。かくのごとき場合においては、上告会社は商法262条(現:会社法354条)の規定の類推解釈により、…善意の第三者に対してその責を負うものと解するのが相当であ…る…。」
過去問・解説
(H26 予備 第20問 1)
表見代表取締役についての会社法第354条に関し、取締役の地位を有しない会社の使用人が、代表取締役の承認の下に、会社を代表する権限を有するものと認められる名称を使用して取引をした場合には、会社は、その取引について、善意の第三者に対して責任を負う。

(正答)

(解説)
判例(最判昭35.10.14)は、「上告会社の使用人で、…同会社の代表取締役…の諒解を得て、上告会社常務取締役の名称を使用…していたものである…。…上告会社は商法262条(現:会社法354条)の規定の類推解釈により、…善意の第三者に対してその責を負う…。」としている。
総合メモ

会社を訴訟上代表する権限を有する者を定めるにあたっての会社法354条の適用の可否 最三小判昭和45年12月15日

概要
354条は、会社を訴訟上代表する権限を有する者を定めるに当たっては、適用されない。
判例
事案:会社を訴訟上代表する権限を有する者を定めるにあたって、354条が適用されるかが問題となった。

判旨:「民法109条(現:民法109条1項)および商法262条(現:会社法354条)の規定は、いずれも取引の相手方を保護し、取引の安全を図るために設けられた規定であるから、取引行為と異なる訴訟手続において会社を代表する権限を有する者を定めるにあたっては適用されないものと解するを相当とする。この理は、同様に取引の相手方保護を図った規定である商法42条1項(現:商法24条)が、その本文において表見支配人のした取引行為について一定の効果を認めながらも、その但書において表見支配人のした訴訟上の行為について右本文の規定の適用を除外していることから考えても明らかである。したがって、本訴において、…被上告会社の代表者としての資格はなく、…被告たる被上告会社の代表者として提起された本件訴は不適法である…。」
過去問・解説
(H26 予備 第20問 5)
表見代表取締役についての会社法第354条に関し、会社の代表者としての資格を有しない者につき代表取締役の就任の登記がされた場合において、その者を被告である当該会社の代表者として提起された訴えは、不適法である。

(正答)

(解説)
判例(最判昭45.12.15)は、「商法262条(現:会社法354条)の規定は、いずれも取引の相手方を保護し、取引の安全を図るために設けられた規定であるから、取引行為と異なる訴訟手続において会社を代表する権限を有する者を定めるにあたっては適用されない…。」とした上で、「本訴において、…被上告会社の代表者としての資格はなく、…被告たる被上告会社の代表者として提起された本件訴は不適法である…。」としている。
したがって、会社の代表者としての資格を有しない者を、被告である当該会社の代表者として提起された訴えは、不適法である。
総合メモ

代表権の欠缺を知らないことにつき第三者に重大な過失がある場合における会社法354条の適用の可否 最二小判昭和52年10月14日

概要
会社は、354条所定の表見代表取締役の行為につき、重大な過失によりその代表権の欠缺を知らない第三者に対しては、責任を負わない。
判例
事案:354条所定の表見代表取締役の行為につき、重大な過失によりその代表権の欠缺を知らない第三者に対して、会社が責任を負うかが問題となった。

判旨:「商法262条(現:会社法354条)に基づく会社の責任は、善意の第三者に対するものであって、その第三者が善意である限り、たとえ過失がある場合においても、会社は同条の責任を免れえないものであるが…、同条は第三者の正当な信頼を保護しようとするものであるから、代表権の欠缺を知らないことにつき第三者に重大な過失があるときは、悪意の場合と同視し、会社はその責任を免れるものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H25 司法 第44問 イ)
取締役会設置会社(委員会設置会社を除く。)の取締役が行った取引に関し、会社から副社長の名称を付された代表権を有しない取締役Cが副社長の名称を使用してDと取引を行った場合において、Cが代表権を有しないことを知らなかったことについてDに重大な過失があるときは、その取引の効力は、会社には及ばない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭52.10.14)は、「商法262条(現:会社法354条)…は第三者の正当な信頼を保護しようとするものであるから、代表権の欠缺を知らないことにつき第三者に重大な過失があるときは、悪意の場合と同視し、会社はその責任を免れる…。」としている。
したがって、Cが代表権を有しないことを知らなかったことについてDに重大な過失があるときは、その取引の効力は、会社には及ばない。

(H26 予備 第20問 3)
表見代表取締役についての会社法第354条に関し、会社が代表取締役以外の取締役に会社を代表する権限を有するものと認められる名称を付し、その取締役がその名称を使用して取引をした場合であっても、その取締役が会社を代表する権限を有しないことを知らないことにつきその取引の相手方に重大な過失があるときは、会社は、その取引について責任を負わない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭52.10.14)は、「商法262条(現:会社法354条)…は第三者の正当な信頼を保護しようとするものであるから、代表権の欠缺を知らないことにつき第三者に重大な過失があるときは、悪意の場合と同視し、会社はその責任を免れる…。」としている。
したがって、取締役が会社を代表する権限を有しないことを知らないことにつきその取引の相手方に重大な過失があるときは、会社は、その取引について責任を負わない。
総合メモ

会社法354条で「善意の第三者」として保護される範囲 最一小判昭和59年3月29日

概要
商法24条、会社法13条、会社法354条により保護される第三者は、取引の直接の相手方に限られる。
判例
事案:商法24条、会社法13条、会社法354条により保護される第三者の範囲が問題となった。

判旨:「商法42条…2項(現:商法24条、会社法13条、会社法354条)にいう相手方等いわゆる表見代理が成立しうる第三者は、当該取引の直接の相手方に限られる…。」
過去問・解説
(H26 予備 第20問 4)
表見代表取締役についての会社法第354条に関し、会社が代表取締役以外の取締役に会社を代表する権限を有するものと認められる名称を付し、その取締役がその名称を使用して取引をした場合において、善意の第三者として保護される者は、その取引の直接の相手方に限られない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭59.3.29)は、「商法42条…2項(現:商法24条、会社法13条、会社法354条)にいう相手方等いわゆる表見代理が成立しうる第三者は、当該取引の直接の相手方に限られる…。」としている。
総合メモ