現在お使いのブラウザのバージョンでは、本サービスの機能をご利用いただけない可能性があります
バージョンアップを試すか、Google ChromeやMozilla Firefoxなどの最新ブラウザをお試しください
取締役
第348条
条文
第348条(業務の執行)
① 取締役は、定款に別段の定めがある場合を除き、株式会社(取締役会設置会社を除く。以下この条において同じ。)の業務を執行する。
② 取締役が2人以上ある場合には、株式会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、取締役の過半数をもって決定する。
③ 前項の場合には、取締役は、次に掲げる事項についての決定を各取締役に委任することができない。
一 支配人の選任及び解任
二 支店の設置、移転及び廃止
三 第298条第1項各号(第325条において準用する場合を含む。)に掲げる事項
四 取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
五 第426条第1項の規定による定款の定めに基づく第423条第1項の責任の免除
④ 大会社においては、取締役は、前項第4号に掲げる事項を決定しなければならない。
① 取締役は、定款に別段の定めがある場合を除き、株式会社(取締役会設置会社を除く。以下この条において同じ。)の業務を執行する。
② 取締役が2人以上ある場合には、株式会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、取締役の過半数をもって決定する。
③ 前項の場合には、取締役は、次に掲げる事項についての決定を各取締役に委任することができない。
一 支配人の選任及び解任
二 支店の設置、移転及び廃止
三 第298条第1項各号(第325条において準用する場合を含む。)に掲げる事項
四 取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
五 第426条第1項の規定による定款の定めに基づく第423条第1項の責任の免除
④ 大会社においては、取締役は、前項第4号に掲げる事項を決定しなければならない。
過去問・解説
(H28 予備 第21問 ア)
取締役会設置会社においては、定款に別段の定めがある場合を除き、業務執行についての取締役会の決定をするに当たり会議を開催する必要があるが、取締役会設置会社でない会社においては、取締役が3人いる場合であっても、業務の決定をするに当たり会議を開催する必要がない。
取締役会設置会社においては、定款に別段の定めがある場合を除き、業務執行についての取締役会の決定をするに当たり会議を開催する必要があるが、取締役会設置会社でない会社においては、取締役が3人いる場合であっても、業務の決定をするに当たり会議を開催する必要がない。
(正答)〇
(解説)
362条2項1号は、取締役会が行う職務として、「取締役会設置会社の業務執行の決定」を掲げている。
これについて、判例(最判昭44.11.27)は、「取締役らの右承認は、いわゆる持ち廻りの方式でなされたものにすぎないから、有効な取締役会の選任ということはできず、取締役…は、これによって、会社の代表権を取得することはできない。」として、持ち回り決議が無効であることを示している。
他方で、348条2項は、「取締役が2人以上ある場合には、株式会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、取締役の過半数をもって決定する。」と規定しており、取締役会設置会社でない会社については、会議の開催を求めていない。
したがって、取締役会設置会社においては、定款に別段の定めがある場合を除き、業務執行についての取締役会の決定をするに当たり会議を開催する必要があるが、取締役会設置会社でない会社においては、取締役が3人いる場合であっても、業務の決定をするに当たり会議を開催する必要がない。
362条2項1号は、取締役会が行う職務として、「取締役会設置会社の業務執行の決定」を掲げている。
これについて、判例(最判昭44.11.27)は、「取締役らの右承認は、いわゆる持ち廻りの方式でなされたものにすぎないから、有効な取締役会の選任ということはできず、取締役…は、これによって、会社の代表権を取得することはできない。」として、持ち回り決議が無効であることを示している。
他方で、348条2項は、「取締役が2人以上ある場合には、株式会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、取締役の過半数をもって決定する。」と規定しており、取締役会設置会社でない会社については、会議の開催を求めていない。
したがって、取締役会設置会社においては、定款に別段の定めがある場合を除き、業務執行についての取締役会の決定をするに当たり会議を開催する必要があるが、取締役会設置会社でない会社においては、取締役が3人いる場合であっても、業務の決定をするに当たり会議を開催する必要がない。
(H19 司法 第36問 2)
「会社等の常務は、その完了前に他の構成員が異議を述べない限り、各構成員が単独で行うことができる。」という説明は、株式会社、合同会社及び民法上の組合のいずれにも当てはまらない。なお、「構成員」とは、株式会社にあっては株主を、合同会社にあっては社員を、民法上の組合にあっては組合員をそれぞれ指すものとし、また、各記述について、定款又は組合契約には特別の定めがないものとする。
「会社等の常務は、その完了前に他の構成員が異議を述べない限り、各構成員が単独で行うことができる。」という説明は、株式会社、合同会社及び民法上の組合のいずれにも当てはまらない。なお、「構成員」とは、株式会社にあっては株主を、合同会社にあっては社員を、民法上の組合にあっては組合員をそれぞれ指すものとし、また、各記述について、定款又は組合契約には特別の定めがないものとする。
(正答)✕
(解説)
合同会社の社員及び民法上の組合の組合員については、他の構成員が異議を述べない限り、各構成員が単独で常務を行うことができる(590条3項、民法670条5項)。
他方で、会社法348条1項は、「取締役は、定款に別段の定めがある場合を除き、株式会社…の業務を執行する。」と規定しており、株主が常務を行うことを認めていない。
したがって、「会社等の常務は、その完了前に他の構成員が異議を述べない限り、各構成員が単独で行うことができる。」という説明は、合同会社及び民法上の組合に限って当てはまる。
合同会社の社員及び民法上の組合の組合員については、他の構成員が異議を述べない限り、各構成員が単独で常務を行うことができる(590条3項、民法670条5項)。
他方で、会社法348条1項は、「取締役は、定款に別段の定めがある場合を除き、株式会社…の業務を執行する。」と規定しており、株主が常務を行うことを認めていない。
したがって、「会社等の常務は、その完了前に他の構成員が異議を述べない限り、各構成員が単独で行うことができる。」という説明は、合同会社及び民法上の組合に限って当てはまる。
(H24 司法 第43問 ウ)
取締役会設置会社でない株式会社において、A及びBの2名が取締役に選任され、Aが代表取締役に選定されている場合、Aは、単独で、株主総会の日時及び場所等の株主総会の招集事項を決定することができる。
取締役会設置会社でない株式会社において、A及びBの2名が取締役に選任され、Aが代表取締役に選定されている場合、Aは、単独で、株主総会の日時及び場所等の株主総会の招集事項を決定することができる。
(正答)✕
(解説)
取締役会設置会社でない株式会社において、業務執行の決定は、取締役の過半数をもって決定する(348条2項)。
そして、348条3項3号は、取締役に委任できない事項の1つとして、「第298条第1項各号…に掲げる事項」を掲げており、298条1項1号は、株主総会を招集する場合に定めなければならない事項の1つとして、「株主総会の日時及び場所」を掲げている。
したがって、取締役会設置会社でない株式会社において、A及びBの2名が取締役に選任され、Aが代表取締役に選定されている場合、株主総会の日時及び場所等の株主総会の招集事項の決定は、取締役の過半数によってしなければならず、Aが単独ですることはできない。
取締役会設置会社でない株式会社において、業務執行の決定は、取締役の過半数をもって決定する(348条2項)。
そして、348条3項3号は、取締役に委任できない事項の1つとして、「第298条第1項各号…に掲げる事項」を掲げており、298条1項1号は、株主総会を招集する場合に定めなければならない事項の1つとして、「株主総会の日時及び場所」を掲げている。
したがって、取締役会設置会社でない株式会社において、A及びBの2名が取締役に選任され、Aが代表取締役に選定されている場合、株主総会の日時及び場所等の株主総会の招集事項の決定は、取締役の過半数によってしなければならず、Aが単独ですることはできない。
(R5 予備 第21問 4)
取締役がある業務を執行することにつき取締役会設置会社と当該取締役との利益が相反する状況にあるときは、取締役会の決議によって当該業務の執行を委託された社外取締役が当該業務を執行しても、当該業務の執行が業務執行取締役の指揮命令によるものでなければ、当該社外取締役は、社外取締役の要件を欠くことにはならない。
取締役がある業務を執行することにつき取締役会設置会社と当該取締役との利益が相反する状況にあるときは、取締役会の決議によって当該業務の執行を委託された社外取締役が当該業務を執行しても、当該業務の執行が業務執行取締役の指揮命令によるものでなければ、当該社外取締役は、社外取締役の要件を欠くことにはならない。
(正答)〇
(解説)
348条の2は、1項において、「株式会社(指名委員会等設置会社を除く。)が社外取締役を置いている場合において、当該株式会社と取締役との利益が相反する状況にあるとき、その他取締役が当該株式会社の業務を執行することにより株主の利益を損なうおそれがあるときは、当該株式会社は、その都度、取締役の決定(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)によって、当該株式会社の業務を執行することを社外取締役に委託することができる。」と規定し、3項において、「前2項の規定により委託された業務の執行は、第2条第15号イに規定する株式会社の業務の執行に該当しないものとする。ただし、社外取締役が業務執行取締役(指名委員会等設置会社にあっては、執行役)の指揮命令により当該委託された業務を執行したときは、この限りでない。」と規定している。
したがって、当該業務の執行が業務執行取締役の指揮命令によるものでなければ、当該社外取締役は業務執行をしたことにならず、社外取締役の要件を欠くことにはならない。
348条の2は、1項において、「株式会社(指名委員会等設置会社を除く。)が社外取締役を置いている場合において、当該株式会社と取締役との利益が相反する状況にあるとき、その他取締役が当該株式会社の業務を執行することにより株主の利益を損なうおそれがあるときは、当該株式会社は、その都度、取締役の決定(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)によって、当該株式会社の業務を執行することを社外取締役に委託することができる。」と規定し、3項において、「前2項の規定により委託された業務の執行は、第2条第15号イに規定する株式会社の業務の執行に該当しないものとする。ただし、社外取締役が業務執行取締役(指名委員会等設置会社にあっては、執行役)の指揮命令により当該委託された業務を執行したときは、この限りでない。」と規定している。
したがって、当該業務の執行が業務執行取締役の指揮命令によるものでなければ、当該社外取締役は業務執行をしたことにならず、社外取締役の要件を欠くことにはならない。
総合メモ
第348条の2
条文
第348条の2(業務の執行の社外取締役への委託)
① 株式会社(指名委員会等設置会社を除く。)が社外取締役を置いている場合において、当該株式会社と取締役との利益が相反する状況にあるとき、その他取締役が当該株式会社の業務を執行することにより株主の利益を損なうおそれがあるときは、当該株式会社は、その都度、取締役の決定(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)によって、当該株式会社の業務を執行することを社外取締役に委託することができる。
② 指名委員会等設置会社と執行役との利益が相反する状況にあるとき、その他執行役が指名委員会等設置会社の業務を執行することにより株主の利益を損なうおそれがあるときは、当該指名委員会等設置会社は、その都度、取締役会の決議によって、当該指名委員会等設置会社の業務を執行することを社外取締役に委託することができる。
③ 前2項の規定により委託された業務の執行は、第②条第15号イに規定する株式会社の業務の執行に該当しないものとする。ただし、社外取締役が業務執行取締役(指名委員会等設置会社にあっては、執行役)の指揮命令により当該委託された業務を執行したときは、この限りでない。
① 株式会社(指名委員会等設置会社を除く。)が社外取締役を置いている場合において、当該株式会社と取締役との利益が相反する状況にあるとき、その他取締役が当該株式会社の業務を執行することにより株主の利益を損なうおそれがあるときは、当該株式会社は、その都度、取締役の決定(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)によって、当該株式会社の業務を執行することを社外取締役に委託することができる。
② 指名委員会等設置会社と執行役との利益が相反する状況にあるとき、その他執行役が指名委員会等設置会社の業務を執行することにより株主の利益を損なうおそれがあるときは、当該指名委員会等設置会社は、その都度、取締役会の決議によって、当該指名委員会等設置会社の業務を執行することを社外取締役に委託することができる。
③ 前2項の規定により委託された業務の執行は、第②条第15号イに規定する株式会社の業務の執行に該当しないものとする。ただし、社外取締役が業務執行取締役(指名委員会等設置会社にあっては、執行役)の指揮命令により当該委託された業務を執行したときは、この限りでない。
過去問・解説
関連する過去問がありません
総合メモ
第349条
条文
第349条(株式会社の代表)
① 取締役は、株式会社を代表する。ただし、他に代表取締役その他株式会社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。
② 前項本文の取締役が2人以上ある場合には、取締役は、各自、株式会社を代表する。
③ 株式会社(取締役会設置会社を除く。)は、定款、定款の定めに基づく取締役の互選又は株主総会の決議によって、取締役の中から代表取締役を定めることができる。
④ 代表取締役は、株式会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
⑤ 前項の権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
① 取締役は、株式会社を代表する。ただし、他に代表取締役その他株式会社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。
② 前項本文の取締役が2人以上ある場合には、取締役は、各自、株式会社を代表する。
③ 株式会社(取締役会設置会社を除く。)は、定款、定款の定めに基づく取締役の互選又は株主総会の決議によって、取締役の中から代表取締役を定めることができる。
④ 代表取締役は、株式会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
⑤ 前項の権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
過去問・解説
(H24 予備 第21問 イ)
代表取締役及び代表執行役は、いずれも、その権限に制限が加えられていない限り、会社の業務に関する一切の裁判上及び裁判外の行為をする権限を有する。
代表取締役及び代表執行役は、いずれも、その権限に制限が加えられていない限り、会社の業務に関する一切の裁判上及び裁判外の行為をする権限を有する。
(正答)〇
(解説)
349条4項は、「代表取締役は、株式会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。」と規定している。
また、420条3項は、349条4項を代表執行役について準用している。
したがって、代表取締役及び代表執行役は、いずれも、その権限に制限が加えられていない限り、会社の業務に関する一切の裁判上及び裁判外の行為をする権限を有する。
349条4項は、「代表取締役は、株式会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。」と規定している。
また、420条3項は、349条4項を代表執行役について準用している。
したがって、代表取締役及び代表執行役は、いずれも、その権限に制限が加えられていない限り、会社の業務に関する一切の裁判上及び裁判外の行為をする権限を有する。
(H18 司法 第45問 ア)
取締役会において代表取締役の代表権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
取締役会において代表取締役の代表権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
(正答)〇
(解説)
349条は、4項において、「代表取締役は、株式会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。」と規定し、5項において、「前項の権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。」と規定している。
349条は、4項において、「代表取締役は、株式会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。」と規定し、5項において、「前項の権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。」と規定している。
(H22 司法 第44問 ウ)
監査役会設置会社が監査役に対して訴えを提起する場合には、代表取締役が当該監査役会設置会社を代表し、指名委員会等設置会社が監査委員に対して訴えを提起する場合には、株主総会で当該訴えについて当該指名委員会等設置会社を代表する者を定めたときはその者が、当該定めがないときは取締役会の定める者が、当該指名委員会等設置会社を代表する。
監査役会設置会社が監査役に対して訴えを提起する場合には、代表取締役が当該監査役会設置会社を代表し、指名委員会等設置会社が監査委員に対して訴えを提起する場合には、株主総会で当該訴えについて当該指名委員会等設置会社を代表する者を定めたときはその者が、当該定めがないときは取締役会の定める者が、当該指名委員会等設置会社を代表する。
(正答)〇
(解説)
349条4項は、「代表取締役は、株式会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。」と規定している。
したがって、監査役会設置会社が監査役に対して訴えを提起する場合には、代表取締役が当該監査役会設置会社を代表する。
他方で、指名委員会等設置会社が監査委員に対して訴えを提起する場合には、株主総会で当該訴えについて当該指名委員会等設置会社を代表する者を定めたときはその者が、当該定めがないときは取締役会の定める者が、当該指名委員会等設置会社を代表する(408条1項1号)。
349条4項は、「代表取締役は、株式会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。」と規定している。
したがって、監査役会設置会社が監査役に対して訴えを提起する場合には、代表取締役が当該監査役会設置会社を代表する。
他方で、指名委員会等設置会社が監査委員に対して訴えを提起する場合には、株主総会で当該訴えについて当該指名委員会等設置会社を代表する者を定めたときはその者が、当該定めがないときは取締役会の定める者が、当該指名委員会等設置会社を代表する(408条1項1号)。
(H25 司法 第44問 オ)
代表取締役Iが、自己の個人的利益を図る目的で、会社を代表してJから金銭を借り入れた場合において、JがIの真意を知り得べきであったときは、その借入れの効力は、会社には及ばない。
代表取締役Iが、自己の個人的利益を図る目的で、会社を代表してJから金銭を借り入れた場合において、JがIの真意を知り得べきであったときは、その借入れの効力は、会社には及ばない。
(正答)〇
(解説)
民法107条は、「代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。」と規定しており、同条は代表取締役の代表権濫用の場合にも適用ないし類推適用される。
したがって、代表取締役Iが、自己の個人的利益を図る目的で、会社を代表してJから金銭を借り入れた場合において、JがIの真意を知り得べきであったときは、その借入れの効力は、会社には及ばない。
民法107条は、「代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。」と規定しており、同条は代表取締役の代表権濫用の場合にも適用ないし類推適用される。
したがって、代表取締役Iが、自己の個人的利益を図る目的で、会社を代表してJから金銭を借り入れた場合において、JがIの真意を知り得べきであったときは、その借入れの効力は、会社には及ばない。
(H28 予備 第21問 ウ)
取締役会設置会社においては、代表取締役を選定しなければならないが、取締役会設置会社でない会社においては、代表取締役を定めることができない。
取締役会設置会社においては、代表取締役を選定しなければならないが、取締役会設置会社でない会社においては、代表取締役を定めることができない。
(正答)✕
(解説)
349条3項は、「株式会社(取締役会設置会社を除く。)は、定款、定款の定めに基づく取締役の互選又は株主総会の決議によって、取締役の中から代表取締役を定めることができる。」と規定しており、取締役会設置会社でない会社においても、代表取締役を定めることができるとしている。
他方で、362条3項は、「取締役会は、取締役の中から代表取締役を選定しなければならない。」と規定している。
したがって、取締役会設置会社においては、代表取締役を選定しなければならず、取締役会設置会社でない会社においては、代表取締役を定めることができる。
349条3項は、「株式会社(取締役会設置会社を除く。)は、定款、定款の定めに基づく取締役の互選又は株主総会の決議によって、取締役の中から代表取締役を定めることができる。」と規定しており、取締役会設置会社でない会社においても、代表取締役を定めることができるとしている。
他方で、362条3項は、「取締役会は、取締役の中から代表取締役を選定しなければならない。」と規定している。
したがって、取締役会設置会社においては、代表取締役を選定しなければならず、取締役会設置会社でない会社においては、代表取締役を定めることができる。
(R6 予備 第20問 1)
取締役会設置会社でない株式会社は、定款の定めに基づく取締役の互選によって、取締役の中から代表取締役を定めることができる。
取締役会設置会社でない株式会社は、定款の定めに基づく取締役の互選によって、取締役の中から代表取締役を定めることができる。
(正答)〇
(解説)
349条3項は、「株式会社(取締役会設置会社を除く。)は、定款、定款の定めに基づく取締役の互選又は株主総会の決議によって、取締役の中から代表取締役を定めることができる。」と規定している。
349条3項は、「株式会社(取締役会設置会社を除く。)は、定款、定款の定めに基づく取締役の互選又は株主総会の決議によって、取締役の中から代表取締役を定めることができる。」と規定している。
(R6 予備 第20問 5)
取締役会設置会社でない株式会社において、取締役が2名以上ある場合において、代表取締役その他当該株式会社を代表する者を定めていないときは、取締役は、定款に別段の定めがある場合を除き、委任を受けていなくても、各自が当該株式会社の業務を決定することができる。
取締役会設置会社でない株式会社において、取締役が2名以上ある場合において、代表取締役その他当該株式会社を代表する者を定めていないときは、取締役は、定款に別段の定めがある場合を除き、委任を受けていなくても、各自が当該株式会社の業務を決定することができる。
(正答)✕
(解説)
348条2項は、「取締役が2人以上ある場合には、株式会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、取締役の過半数をもって決定する。」と規定している。
したがって、取締役会設置会社でない株式会社において、取締役が2名以上ある場合において、代表取締役その他当該株式会社を代表する者を定めていないときは、各自が当該株式会社の業務を決定するのではなく、取締役の過半数をもって、当該株式会社の業務を決定することができる。
348条2項は、「取締役が2人以上ある場合には、株式会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、取締役の過半数をもって決定する。」と規定している。
したがって、取締役会設置会社でない株式会社において、取締役が2名以上ある場合において、代表取締役その他当該株式会社を代表する者を定めていないときは、各自が当該株式会社の業務を決定するのではなく、取締役の過半数をもって、当該株式会社の業務を決定することができる。
(R6 予備 第22問 エ)
監査役会設置会社でない株式会社の監査役は、会計監査人が職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合には、監査役の全員の同意によって当該会計監査人を解任することができる。
監査役会設置会社でない株式会社の監査役は、会計監査人が職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合には、監査役の全員の同意によって当該会計監査人を解任することができる。
(正答)〇
(解説)
340条は、1項1号において、監査役が会計監査人を解任できる場合の1つとして、会計監査人が「職務上の義務に違反し、又は職務を怠ったとき」を掲げている。そして、2項において、監査役の解任について、「監査役が二人以上ある場合には、監査役の全員の同意によって行わなければならない。」と規定している。
したがって、監査役会設置会社でない株式会社の監査役は、会計監査人が職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合には、監査役の全員の同意によって当該会計監査人を解任することができる。
340条は、1項1号において、監査役が会計監査人を解任できる場合の1つとして、会計監査人が「職務上の義務に違反し、又は職務を怠ったとき」を掲げている。そして、2項において、監査役の解任について、「監査役が二人以上ある場合には、監査役の全員の同意によって行わなければならない。」と規定している。
したがって、監査役会設置会社でない株式会社の監査役は、会計監査人が職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合には、監査役の全員の同意によって当該会計監査人を解任することができる。
総合メモ
第350条
条文
第350条(代表者の行為についての損害賠償責任)
株式会社は、代表取締役その他の代表者がその職務を行うについて第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。
株式会社は、代表取締役その他の代表者がその職務を行うについて第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。
総合メモ
第351条
条文
第351条(代表取締役に欠員を生じた場合の措置)
① 代表取締役が欠けた場合又は定款で定めた代表取締役の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した代表取締役は、新たに選定された代表取締役(次項の1時代表取締役の職務を行うべき者を含む。)が就任するまで、なお代表取締役としての権利義務を有する。
② 前項に規定する場合において、裁判所は、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより、一時代表取締役の職務を行うべき者を選任することができる。
③ 裁判所は、前項の1時代表取締役の職務を行うべき者を選任した場合には、株式会社がその者に対して支払う報酬の額を定めることができる。
① 代表取締役が欠けた場合又は定款で定めた代表取締役の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した代表取締役は、新たに選定された代表取締役(次項の1時代表取締役の職務を行うべき者を含む。)が就任するまで、なお代表取締役としての権利義務を有する。
② 前項に規定する場合において、裁判所は、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより、一時代表取締役の職務を行うべき者を選任することができる。
③ 裁判所は、前項の1時代表取締役の職務を行うべき者を選任した場合には、株式会社がその者に対して支払う報酬の額を定めることができる。
過去問・解説
(H18 司法 第45問 オ)
取締役全員の任期が満了したが、会社の内紛で株主総会が開催できず取締役の選任決議ができない場合には、従前の代表取締役は、依然として会社を代表する権限を有する。
取締役全員の任期が満了したが、会社の内紛で株主総会が開催できず取締役の選任決議ができない場合には、従前の代表取締役は、依然として会社を代表する権限を有する。
(正答)〇
(解説)
351条1項は、「代表取締役が欠けた場合又は定款で定めた代表取締役の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した代表取締役は、新たに選定された代表取締役…が就任するまで、なお代表取締役としての権利を有する。」と規定している。
したがって、取締役全員の任期が満了したが、会社の内紛で株主総会が開催できず取締役の選任決議ができない場合には、従前の代表取締役は、依然として会社を代表する権限を有する。
351条1項は、「代表取締役が欠けた場合又は定款で定めた代表取締役の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した代表取締役は、新たに選定された代表取締役…が就任するまで、なお代表取締役としての権利を有する。」と規定している。
したがって、取締役全員の任期が満了したが、会社の内紛で株主総会が開催できず取締役の選任決議ができない場合には、従前の代表取締役は、依然として会社を代表する権限を有する。
(H24 司法 第43問 オ)
取締役会設置会社でない株式会社において、A及びBの2名が取締役に選任され、Aが代表取締役に選定されている場合、以下の記述は正しいか。
会社の定款には、代表取締役は株主総会の決議によって取締役の中から定めるとの規定があり、それに基づいてAが代表取締役に選定されている場合において、Aが取締役にとどまりつつ代表取締役を辞任したときは、Bは、当然に会社を代表する権限を有する。
取締役会設置会社でない株式会社において、A及びBの2名が取締役に選任され、Aが代表取締役に選定されている場合、以下の記述は正しいか。
会社の定款には、代表取締役は株主総会の決議によって取締役の中から定めるとの規定があり、それに基づいてAが代表取締役に選定されている場合において、Aが取締役にとどまりつつ代表取締役を辞任したときは、Bは、当然に会社を代表する権限を有する。
(正答)✕
(解説)
351条1項は、「代表取締役が欠けた場合…には、…辞任により退任した代表取締役は、新たに選定された代表取締役…が就任するまで、なお代表取締役としての権利義務を有する。」と規定している。
したがって、Aが取締役にとどまりつつ代表取締役を辞任したときであっても、新たに選定された代表取締役が就任するまでは、Aが引き続き会社を代表する権限を有することとなり、Bが当然に会社を代表する権限を有することにはならない。
351条1項は、「代表取締役が欠けた場合…には、…辞任により退任した代表取締役は、新たに選定された代表取締役…が就任するまで、なお代表取締役としての権利義務を有する。」と規定している。
したがって、Aが取締役にとどまりつつ代表取締役を辞任したときであっても、新たに選定された代表取締役が就任するまでは、Aが引き続き会社を代表する権限を有することとなり、Bが当然に会社を代表する権限を有することにはならない。
総合メモ
第352条
条文
第352条(取締役の職務を代行する者の権限)
① 民事保全法(平成元年法律第91号)第56条に規定する仮処分命令により選任された取締役又は代表取締役の職務を代行する者は、仮処分命令に別段の定めがある場合を除き、株式会社の常務に属しない行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。
② 前項の規定に違反して行った取締役又は代表取締役の職務を代行する者の行為は、無効とする。ただし、株式会社は、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
① 民事保全法(平成元年法律第91号)第56条に規定する仮処分命令により選任された取締役又は代表取締役の職務を代行する者は、仮処分命令に別段の定めがある場合を除き、株式会社の常務に属しない行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。
② 前項の規定に違反して行った取締役又は代表取締役の職務を代行する者の行為は、無効とする。ただし、株式会社は、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
過去問・解説
関連する過去問がありません
総合メモ
第353条
条文
第353条(株式会社と取締役との間の訴えにおける会社の代表)
第349条第4項の規定にかかわらず、株式会社が取締役(取締役であった者を含む。以下この条において同じ。)に対し、又は取締役が株式会社に対して訴えを提起する場合には、株主総会は、当該訴えについて株式会社を代表する者を定めることができる。
第349条第4項の規定にかかわらず、株式会社が取締役(取締役であった者を含む。以下この条において同じ。)に対し、又は取締役が株式会社に対して訴えを提起する場合には、株主総会は、当該訴えについて株式会社を代表する者を定めることができる。
過去問・解説
関連する過去問がありません
総合メモ
第354条
条文
第354条(表見代表取締役)
株式会社は、代表取締役以外の取締役に社長、副社長その他株式会社を代表する権限を有するものと認められる名称を付した場合には、当該取締役がした行為について、善意の第三者に対してその責任を負う。
株式会社は、代表取締役以外の取締役に社長、副社長その他株式会社を代表する権限を有するものと認められる名称を付した場合には、当該取締役がした行為について、善意の第三者に対してその責任を負う。
過去問・解説
関連する過去問がありません
総合メモ
第355条
条文
第355条(忠実義務)
取締役は、法令及び定款並びに株主総会の決議を遵守し、株式会社のため忠実にその職務を行わなければならない。
取締役は、法令及び定款並びに株主総会の決議を遵守し、株式会社のため忠実にその職務を行わなければならない。
総合メモ
第356条
条文
第356条(競業及び利益相反取引の制限)
① 取締役は、次に掲げる場合には、株主総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
一 取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき。
二 取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするとき。
三 株式会社が取締役の債務を保証することその他取締役以外の者との間において株式会社と当該取締役との利益が相反する取引をしようとするとき。
② 民法第108条の規定は、前項の承認を受けた同項第2号又は第3号の取引については、適用しない。
① 取締役は、次に掲げる場合には、株主総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
一 取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき。
二 取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするとき。
三 株式会社が取締役の債務を保証することその他取締役以外の者との間において株式会社と当該取締役との利益が相反する取引をしようとするとき。
② 民法第108条の規定は、前項の承認を受けた同項第2号又は第3号の取引については、適用しない。
過去問・解説
(H18 司法 第38問 5)
取締役会設置会社の取締役が自己又は第三者のために会社と取引をしようとするときは、取締役会の承認を要するとの規定は、株主保護を目的とするものである。
取締役会設置会社の取締役が自己又は第三者のために会社と取引をしようとするときは、取締役会の承認を要するとの規定は、株主保護を目的とするものである。
(正答)〇
(解説)
356条1項2号は、取締役が株主総会において承認を受けなければならない場合の1つとして、「取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引しようとするとき。」を掲げている。
本規定は、取締役が会社(株主)の利益の犠牲において自己又は第三者の利益を図ることを防止する趣旨で設けられている(江頭憲治郎「株式会社法」第9版464頁)と解されている。
したがって、取締役会設置会社の取締役が自己又は第三者のために会社と取引をしようとするときは、取締役会の承認を要するとの規定は、株主保護を目的とするものである。
356条1項2号は、取締役が株主総会において承認を受けなければならない場合の1つとして、「取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引しようとするとき。」を掲げている。
本規定は、取締役が会社(株主)の利益の犠牲において自己又は第三者の利益を図ることを防止する趣旨で設けられている(江頭憲治郎「株式会社法」第9版464頁)と解されている。
したがって、取締役会設置会社の取締役が自己又は第三者のために会社と取引をしようとするときは、取締役会の承認を要するとの規定は、株主保護を目的とするものである。
(H25 予備 第21問 オ)
取締役会設置会社である甲株式会社(以下「甲社」という。)の代表取締役Aが、甲社を代表して、甲社の取締役Bとの間で取引(以下「本件取引」という。)を行う場合、判例によれば、本件取引の内容が、不動産鑑定士による鑑定評価の評価額を代金額として甲社がBから不動産を買い受けるものである場合には、利益相反取引として甲社の取締役会の承認を受ける必要はない。
取締役会設置会社である甲株式会社(以下「甲社」という。)の代表取締役Aが、甲社を代表して、甲社の取締役Bとの間で取引(以下「本件取引」という。)を行う場合、判例によれば、本件取引の内容が、不動産鑑定士による鑑定評価の評価額を代金額として甲社がBから不動産を買い受けるものである場合には、利益相反取引として甲社の取締役会の承認を受ける必要はない。
(正答)✕
(解説)
356条1項2号は、取締役が株主総会において承認を受けなければならない場合の1つとして、「取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引しようとするとき。」を掲げ、365条1項は、「取締役会設置会社における第356条の規定の適用については、同条第1項中『株主総会』とあるのは、『取締役会』とする。」と規定している。
したがって、取締役会設置会社において、取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引しようとするときは、取締役会の承認を受けなければならない。
よって、取締役会設置会社である甲社の代表取締役Aが、甲社を代表して、甲社の取締役Bとの間で取引を行う場合、本件取引の内容が、不動産鑑定士による鑑定評価の評価額を代金額として甲社がBから不動産を買い受けるものである場合であっても、利益相反取引として甲社の取締役会の承認を受ける必要がある。
なお、本肢のような判例は存在しない。
356条1項2号は、取締役が株主総会において承認を受けなければならない場合の1つとして、「取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引しようとするとき。」を掲げ、365条1項は、「取締役会設置会社における第356条の規定の適用については、同条第1項中『株主総会』とあるのは、『取締役会』とする。」と規定している。
したがって、取締役会設置会社において、取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引しようとするときは、取締役会の承認を受けなければならない。
よって、取締役会設置会社である甲社の代表取締役Aが、甲社を代表して、甲社の取締役Bとの間で取引を行う場合、本件取引の内容が、不動産鑑定士による鑑定評価の評価額を代金額として甲社がBから不動産を買い受けるものである場合であっても、利益相反取引として甲社の取締役会の承認を受ける必要がある。
なお、本肢のような判例は存在しない。
(H21 司法 第42問 ウ)
取締役が自己のために取締役会設置会社でない会社と取引をしようとするときに承認を受けなければならない株主総会の決議は、特別決議ではなく、普通決議である。
取締役が自己のために取締役会設置会社でない会社と取引をしようとするときに承認を受けなければならない株主総会の決議は、特別決議ではなく、普通決議である。
(正答)〇
(解説)
356条1項2号は、取締役が、株主総会の承認を受けなければならない場合の1つとして、「取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするとき。」を掲げている。そして、株主総会で特別決議が必要になる場合について掲げている309条2項各号は、356条1項2号の場合を掲げていない。そのため、356条1項2号における「株主総会」は、普通決議(309条1項)である。
したがって、取締役が自己のために取締役会設置会社でない会社と取引をしようとするときに承認を受けなければならない株主総会の決議は、特別決議ではなく、普通決議である。
356条1項2号は、取締役が、株主総会の承認を受けなければならない場合の1つとして、「取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするとき。」を掲げている。そして、株主総会で特別決議が必要になる場合について掲げている309条2項各号は、356条1項2号の場合を掲げていない。そのため、356条1項2号における「株主総会」は、普通決議(309条1項)である。
したがって、取締役が自己のために取締役会設置会社でない会社と取引をしようとするときに承認を受けなければならない株主総会の決議は、特別決議ではなく、普通決議である。
(H21 司法 第42問 エ)
取締役会設置会社の取締役が取締役会の承認を受けて会社の事業の部類に属する取引をしたときは、その取引によって当該会社に損害が生じても、当該取締役は、会社に対する損害賠償責任を負わない。
取締役会設置会社の取締役が取締役会の承認を受けて会社の事業の部類に属する取引をしたときは、その取引によって当該会社に損害が生じても、当該取締役は、会社に対する損害賠償責任を負わない。
(正答)✕
(解説)
423条1項は、「取締役…は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」と規定しており、これは取締役が取締役会の承認を受けて会社の事業の部類に属する取引をした場合であっても、変わらない。
したがって、取締役会設置会社の取締役が取締役会の承認を受けて会社の事業の部類に属する取引をしたときであっても、その取引によって当該会社に損害が生じた場合、当該取締役は、会社に対する損害賠償責任を負う。
423条1項は、「取締役…は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」と規定しており、これは取締役が取締役会の承認を受けて会社の事業の部類に属する取引をした場合であっても、変わらない。
したがって、取締役会設置会社の取締役が取締役会の承認を受けて会社の事業の部類に属する取引をしたときであっても、その取引によって当該会社に損害が生じた場合、当該取締役は、会社に対する損害賠償責任を負う。
(H21 司法 第42問 オ)
取締役会設置会社の取締役が会社の事業と同じ種類の事業を行っている他の株式会社の業務執行者に就任するためには、当該取締役会設置会社の取締役会の承認を受けなければならない。
取締役会設置会社の取締役が会社の事業と同じ種類の事業を行っている他の株式会社の業務執行者に就任するためには、当該取締役会設置会社の取締役会の承認を受けなければならない。
(正答)✕
(解説)
356条1項1号は、取締役が株主総会において承認を受けなければならない場合の1つとして、「取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき」を掲げ、365条1項は、「取締役会設置会社における第356条の規定の適用については、同条第1項中『株主総会』とあるのは、『取締役会』とする。」と規定している。
もっとも、会社の事業と同じ種類の事業を行っている他の株式会社の業務執行者に就任することは、356条1項1号の「取引」には当たらないため、取締役会の承認は不要である。
したがって、取締役会設置会社の取締役が会社の事業と同じ種類の事業を行っている他の株式会社の業務執行者に就任するためには、当該取締役会設置会社の取締役会の承認を受ける必要はない。
356条1項1号は、取締役が株主総会において承認を受けなければならない場合の1つとして、「取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき」を掲げ、365条1項は、「取締役会設置会社における第356条の規定の適用については、同条第1項中『株主総会』とあるのは、『取締役会』とする。」と規定している。
もっとも、会社の事業と同じ種類の事業を行っている他の株式会社の業務執行者に就任することは、356条1項1号の「取引」には当たらないため、取締役会の承認は不要である。
したがって、取締役会設置会社の取締役が会社の事業と同じ種類の事業を行っている他の株式会社の業務執行者に就任するためには、当該取締役会設置会社の取締役会の承認を受ける必要はない。
(H29 予備 第22問 エ)
取締役会設置会社であるA株式会社(以下「A社」という。)は、事業として甲県内においてトラックによる陸上貨物運送を行っている。Aの取締役Bが事業として甲県内においてトラックによる陸上貨物運送を行っているC株式会社の代表取締役となって当該運送に係る取引をしようとする場合には、Bは、A社の取締役会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
取締役会設置会社であるA株式会社(以下「A社」という。)は、事業として甲県内においてトラックによる陸上貨物運送を行っている。Aの取締役Bが事業として甲県内においてトラックによる陸上貨物運送を行っているC株式会社の代表取締役となって当該運送に係る取引をしようとする場合には、Bは、A社の取締役会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
(正答)〇
(解説)
356条1項1号は、取締役が株主総会において重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない場合の1つとして、「取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき」を掲げ、365条1項は、「取締役会設置会社における第356条の規定の適用については、同条第1項中『株主総会』とあるのは、『取締役会』とする。」と規定している。
そして、ここでいう「株式会社の事業の部類に属する取引」とは、会社が実際に行っている取引と目的物(商品・役務の提供)及び市場(地域・流通段階等)が競合する取引をいうと解されている(江頭憲治郎「株式会社法」第9版459頁)。
したがって、事業として甲県内においてトラックによる陸上貨物運送を行っているA社の取締役であるBが、事業として甲県内においてトラックによる陸上貨物運送を行っているC株式会社の代表取締役となって、当該運送に係る取引をしようとする場合には、BはA社の取締役会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
356条1項1号は、取締役が株主総会において重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない場合の1つとして、「取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき」を掲げ、365条1項は、「取締役会設置会社における第356条の規定の適用については、同条第1項中『株主総会』とあるのは、『取締役会』とする。」と規定している。
そして、ここでいう「株式会社の事業の部類に属する取引」とは、会社が実際に行っている取引と目的物(商品・役務の提供)及び市場(地域・流通段階等)が競合する取引をいうと解されている(江頭憲治郎「株式会社法」第9版459頁)。
したがって、事業として甲県内においてトラックによる陸上貨物運送を行っているA社の取締役であるBが、事業として甲県内においてトラックによる陸上貨物運送を行っているC株式会社の代表取締役となって、当該運送に係る取引をしようとする場合には、BはA社の取締役会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
(H24 司法 第43問 ア)
取締役会設置会社でない株式会社において、A及びBの2名が取締役に選任され、Aが代表取締役に選定されている場合、Bが自己のために会社と取引をするときは、Aの同意を受けなければならない。
取締役会設置会社でない株式会社において、A及びBの2名が取締役に選任され、Aが代表取締役に選定されている場合、Bが自己のために会社と取引をするときは、Aの同意を受けなければならない。
(正答)✕
(解説)
356条1項1号は、取締役が株主総会の承認を受けなければならない場合の1つとして、「取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき」を掲げている。
したがって、取締役会設置会社でない株式会社において、A及びBの2名が取締役に選任され、Aが代表取締役に選定されている場合、Bが自己のために会社と取引をするときは、Aの同意ではなく株主総会の承認を得なければならない。
356条1項1号は、取締役が株主総会の承認を受けなければならない場合の1つとして、「取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき」を掲げている。
したがって、取締役会設置会社でない株式会社において、A及びBの2名が取締役に選任され、Aが代表取締役に選定されている場合、Bが自己のために会社と取引をするときは、Aの同意ではなく株主総会の承認を得なければならない。
(R6 予備 第22問 イ)
取締役会設置会社の監査役が自己又は第三者のために当該取締役会設置会社の事業の部類に属する取引をしようとするときは、取締役会の承認を受けなければならない。
取締役会設置会社の監査役が自己又は第三者のために当該取締役会設置会社の事業の部類に属する取引をしようとするときは、取締役会の承認を受けなければならない。
(正答)✕
(解説)
356条1項1号は、取締役が株主総会の承認を受けなければならない場合の1つとして、「取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき」を掲げ、365条1項は、「取締役会設置会社における第356条の規定の適用については、同条第1項中『株主総会』とあるのは、『取締役会』とする。」と規定している。
したがって、取締役会設置会社において、自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするときに、株主総会の承認が必要なのは取締役であって、監査役ではない。
356条1項1号は、取締役が株主総会の承認を受けなければならない場合の1つとして、「取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき」を掲げ、365条1項は、「取締役会設置会社における第356条の規定の適用については、同条第1項中『株主総会』とあるのは、『取締役会』とする。」と規定している。
したがって、取締役会設置会社において、自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするときに、株主総会の承認が必要なのは取締役であって、監査役ではない。
総合メモ
第357条
条文
第357条(取締役の報告義務)
① 取締役は、株式会社に著しい損害を及ぼすおそれのある事実があることを発見したときは、直ちに、当該事実を株主(監査役設置会社にあっては、監査役)に報告しなければならない。
② 監査役会設置会社における前項の規定の適用については、同項中「株主(監査役設置会社にあっては、監査役)」とあるのは、「監査役会」とする。
③ 監査等委員会設置会社における第1項の規定の適用については、同項中「株主(監査役設置会社にあっては、監査役)」とあるのは、「監査等委員会」とする。
① 取締役は、株式会社に著しい損害を及ぼすおそれのある事実があることを発見したときは、直ちに、当該事実を株主(監査役設置会社にあっては、監査役)に報告しなければならない。
② 監査役会設置会社における前項の規定の適用については、同項中「株主(監査役設置会社にあっては、監査役)」とあるのは、「監査役会」とする。
③ 監査等委員会設置会社における第1項の規定の適用については、同項中「株主(監査役設置会社にあっては、監査役)」とあるのは、「監査等委員会」とする。
過去問・解説
関連する過去問がありません
総合メモ
第358条
条文
第358条(業務の執行に関する検査役の選任)
① 株式会社の業務の執行に関し、不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があることを疑うに足りる事由があるときは、次に掲げる株主は、当該株式会社の業務及び財産の状況を調査させるため、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをすることができる。
一 総株主(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の100分の3(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する株主
二 発行済株式(自己株式を除く。)の100分の3(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の数の株式を有する株主
② 前項の申立てがあった場合には、裁判所は、これを不適法として却下する場合を除き、検査役を選任しなければならない。
③ 裁判所は、前項の検査役を選任した場合には、株式会社が当該検査役に対して支払う報酬の額を定めることができる。
④ 第2項の検査役は、その職務を行うため必要があるときは、株式会社の子会社の業務及び財産の状況を調査することができる。
⑤ 第2項の検査役は、必要な調査を行い、当該調査の結果を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録(法務省令で定めるものに限る。)を裁判所に提供して報告をしなければならない。
⑥ 裁判所は、前項の報告について、その内容を明瞭にし、又はその根拠を確認するため必要があると認めるときは、第2項の検査役に対し、更に前項の報告を求めることができる。
⑦ 第2項の検査役は、第5項の報告をしたときは、株式会社及び検査役の選任の申立てをした株主に対し、同項の書面の写しを交付し、又は同項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により提供しなければならない。
① 株式会社の業務の執行に関し、不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があることを疑うに足りる事由があるときは、次に掲げる株主は、当該株式会社の業務及び財産の状況を調査させるため、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをすることができる。
一 総株主(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の100分の3(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する株主
二 発行済株式(自己株式を除く。)の100分の3(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の数の株式を有する株主
② 前項の申立てがあった場合には、裁判所は、これを不適法として却下する場合を除き、検査役を選任しなければならない。
③ 裁判所は、前項の検査役を選任した場合には、株式会社が当該検査役に対して支払う報酬の額を定めることができる。
④ 第2項の検査役は、その職務を行うため必要があるときは、株式会社の子会社の業務及び財産の状況を調査することができる。
⑤ 第2項の検査役は、必要な調査を行い、当該調査の結果を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録(法務省令で定めるものに限る。)を裁判所に提供して報告をしなければならない。
⑥ 裁判所は、前項の報告について、その内容を明瞭にし、又はその根拠を確認するため必要があると認めるときは、第2項の検査役に対し、更に前項の報告を求めることができる。
⑦ 第2項の検査役は、第5項の報告をしたときは、株式会社及び検査役の選任の申立てをした株主に対し、同項の書面の写しを交付し、又は同項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により提供しなければならない。
過去問・解説
(H26 司法 第44問 1)
会社法所定の要件を満たす株主は、代表取締役による会社の業務執行に関し、法令に違反する重大な事実があることを疑うに足りる事由があるときは、会社の業務及び財産の状況を調査させるため、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをすることができる。
会社法所定の要件を満たす株主は、代表取締役による会社の業務執行に関し、法令に違反する重大な事実があることを疑うに足りる事由があるときは、会社の業務及び財産の状況を調査させるため、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをすることができる。
(正答)〇
(解説)
358条1項柱書は、「株式会社の業務の執行に関し、…法令に違反する重大な事実があることを疑うに足りる事由があるときは、次に掲げる株主は、当該株式会社の業務及び財産の状況を調査させるため、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをすることができる。」規定している。
したがって、358条1項各号所定の要件を満たす株主は、代表取締役による会社の業務執行に関し、法令に違反する重大な事実があることを疑うに足りる事由があるときは、会社の業務及び財産の状況を調査させるため、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをすることができる。
358条1項柱書は、「株式会社の業務の執行に関し、…法令に違反する重大な事実があることを疑うに足りる事由があるときは、次に掲げる株主は、当該株式会社の業務及び財産の状況を調査させるため、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをすることができる。」規定している。
したがって、358条1項各号所定の要件を満たす株主は、代表取締役による会社の業務執行に関し、法令に違反する重大な事実があることを疑うに足りる事由があるときは、会社の業務及び財産の状況を調査させるため、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをすることができる。
総合メモ
第359条
条文
第359条(裁判所による株主総会招集等の決定)
① 裁判所は、前条第5項の報告があった場合において、必要があると認めるときは、取締役に対し、次に掲げる措置の全部又は一部を命じなければならない。
一 一定の期間内に株主総会を招集すること。
二 前条第5項の調査の結果を株主に通知すること。
② 裁判所が前項第1号に掲げる措置を命じた場合には、取締役は、前条第5項の報告の内容を同号の株主総会において開示しなければならない。
③ 前項に規定する場合には、取締役(監査役設置会社にあっては、取締役及び監査役)は、前条第5項の報告の内容を調査し、その結果を第1項第1号の株主総会に報告しなければならない。
① 裁判所は、前条第5項の報告があった場合において、必要があると認めるときは、取締役に対し、次に掲げる措置の全部又は一部を命じなければならない。
一 一定の期間内に株主総会を招集すること。
二 前条第5項の調査の結果を株主に通知すること。
② 裁判所が前項第1号に掲げる措置を命じた場合には、取締役は、前条第5項の報告の内容を同号の株主総会において開示しなければならない。
③ 前項に規定する場合には、取締役(監査役設置会社にあっては、取締役及び監査役)は、前条第5項の報告の内容を調査し、その結果を第1項第1号の株主総会に報告しなければならない。
過去問・解説
関連する過去問がありません
総合メモ
第360条
条文
第360条(株主による取締役の行為の差止め)
① 6箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主は、取締役が株式会社の目的の範囲外の行為その他法令若しくは定款に違反する行為をし、又はこれらの行為をするおそれがある場合において、当該行為によって当該株式会社に著しい損害が生ずるおそれがあるときは、当該取締役に対し、当該行為をやめることを請求することができる。
② 公開会社でない株式会社における前項の規定の適用については、同項中「6箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主」とあるのは、「株主」とする。
③ 監査役設置会社、監査等委員会設置会社又は指名委員会等設置会社における第1項の規定の適用については、同項中「著しい損害」とあるのは、「回復することができない損害」とする。
① 6箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主は、取締役が株式会社の目的の範囲外の行為その他法令若しくは定款に違反する行為をし、又はこれらの行為をするおそれがある場合において、当該行為によって当該株式会社に著しい損害が生ずるおそれがあるときは、当該取締役に対し、当該行為をやめることを請求することができる。
② 公開会社でない株式会社における前項の規定の適用については、同項中「6箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主」とあるのは、「株主」とする。
③ 監査役設置会社、監査等委員会設置会社又は指名委員会等設置会社における第1項の規定の適用については、同項中「著しい損害」とあるのは、「回復することができない損害」とする。
過去問・解説
(H23 司法 第43問 ア)
種類株式発行会社でない監査役会設置会社において、会社法所定の要件を満たす株主は、代表取締役が法令に違反する行為をするおそれがある場合において、その行為によって会社に回復することができない損害が生ずるおそれがあるときは、その行為をやめることを請求することができる。
種類株式発行会社でない監査役会設置会社において、会社法所定の要件を満たす株主は、代表取締役が法令に違反する行為をするおそれがある場合において、その行為によって会社に回復することができない損害が生ずるおそれがあるときは、その行為をやめることを請求することができる。
(正答)〇
(解説)
360条は、1項において、「6箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主は、取締役が…法令…に違反する行為を…するおそれがある場合において、当該行為によって当該株式会社に著しい損害が生ずるおそれがあるときは、当該取締役に対し、当該行為をやめることを請求することができる。」と規定し、3項において、「監査役会設置会社…における第1項の適用については、同項中『著しい損害』とあるのは、『回復することができない損害』とする。」と規定している。
したがって、種類株式発行会社でない監査役会設置会社において、会社法所定の要件を満たす株主は、代表取締役が法令に違反する行為をするおそれがある場合において、その行為によって会社に回復することができない損害が生ずるおそれがあるときは、その行為をやめることを請求することができる。
360条は、1項において、「6箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主は、取締役が…法令…に違反する行為を…するおそれがある場合において、当該行為によって当該株式会社に著しい損害が生ずるおそれがあるときは、当該取締役に対し、当該行為をやめることを請求することができる。」と規定し、3項において、「監査役会設置会社…における第1項の適用については、同項中『著しい損害』とあるのは、『回復することができない損害』とする。」と規定している。
したがって、種類株式発行会社でない監査役会設置会社において、会社法所定の要件を満たす株主は、代表取締役が法令に違反する行為をするおそれがある場合において、その行為によって会社に回復することができない損害が生ずるおそれがあるときは、その行為をやめることを請求することができる。
(H26 司法 第44問 4)
会社法上の公開会社において、会社法所定の要件を満たす株主は、代表取締役が法令に違反する行為をし、その行為によって会社に著しい損害が生ずるおそれがあるときは、その代表取締役に対し、その行為をやめることを請求することができる。
会社法上の公開会社において、会社法所定の要件を満たす株主は、代表取締役が法令に違反する行為をし、その行為によって会社に著しい損害が生ずるおそれがあるときは、その代表取締役に対し、その行為をやめることを請求することができる。
(正答)✕
(解説)
360条は、1項において、「6箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主は、取締役が…法令…に違反する行為を…する…場合において、当該行為によって当該株式会社に著しい損害が生ずるおそれがあるときは、当該取締役に対し、当該行為をやめることを請求することができる。」と規定し、3項において、「監査役会設置会社…における第1項の適用については、同項中『著しい損害』とあるのは、『回復することができない損害』とする。」と規定している。
そして、公開会社は、取締役会設置会社であり(327条1項1号)、取締役会設置会社は、原則として監査役設置会社である(327条2項本文)。
したがって、会社法所定の要件を満たす株主は、代表取締役が法令に違反する行為をし、その行為によって会社に著しい損害ではなく、回復することができない損害が生ずるおそれがあるときは、その代表取締役に対し、その行為をやめることを請求することができる。
360条は、1項において、「6箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主は、取締役が…法令…に違反する行為を…する…場合において、当該行為によって当該株式会社に著しい損害が生ずるおそれがあるときは、当該取締役に対し、当該行為をやめることを請求することができる。」と規定し、3項において、「監査役会設置会社…における第1項の適用については、同項中『著しい損害』とあるのは、『回復することができない損害』とする。」と規定している。
そして、公開会社は、取締役会設置会社であり(327条1項1号)、取締役会設置会社は、原則として監査役設置会社である(327条2項本文)。
したがって、会社法所定の要件を満たす株主は、代表取締役が法令に違反する行為をし、その行為によって会社に著しい損害ではなく、回復することができない損害が生ずるおそれがあるときは、その代表取締役に対し、その行為をやめることを請求することができる。
総合メモ
第361条
条文
第361条(取締役の報酬等)
① 取締役の報酬、賞与その他の職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益(以下この章において「報酬等」という。)についての次に掲げる事項は、定款に当該事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定める。
一 報酬等のうち額が確定しているものについては、その額
二 報酬等のうち額が確定していないものについては、その具体的な算定方法
三 報酬等のうち当該株式会社の募集株式(第199条第1項に規定する募集株式をいう。以下この項及び第409条第3項において同じ。)については、当該募集株式の数(種類株式発行会社にあっては、募集株式の種類及び種類ごとの数)の上限その他法務省令で定める事項
四 報酬等のうち当該株式会社の募集新株予約権(第238条第1項に規定する募集新株予約権をいう。以下この項及び第409条第3項において同じ。)については、当該募集新株予約権の数の上限その他法務省令で定める事項
五 報酬等のうち次のイ又はロに掲げるものと引換えにする払込みに充てるための金銭については、当該イ又はロに定める事項
イ 当該株式会社の募集株式 取締役が引き受ける当該募集株式の数(種類株式発行会社にあっては、募集株式の種類及び種類ごとの数)の上限その他法務省令で定める事項
ロ 当該株式会社の募集新株予約権 取締役が引き受ける当該募集新株予約権の数の上限その他法務省令で定める事項
六 報酬等のうち金銭でないもの(当該株式会社の募集株式及び募集新株予約権を除く。)については、その具体的な内容
② 監査等委員会設置会社においては、前項各号に掲げる事項は、監査等委員である取締役とそれ以外の取締役とを区別して定めなければならない。
③ 監査等委員である各取締役の報酬等について定款の定め又は株主総会の決議がないときは、当該報酬等は、第1項の報酬等の範囲内において、監査等委員である取締役の協議によって定める。
④ 第1項各号に掲げる事項を定め、又はこれを改定する議案を株主総会に提出した取締役は、当該株主総会において、当該事項を相当とする理由を説明しなければならない。
⑤ 監査等委員である取締役は、株主総会において、監査等委員である取締役の報酬等について意見を述べることができる。
⑥ 監査等委員会が選定する監査等委員は、株主総会において、監査等委員である取締役以外の取締役の報酬等について監査等委員会の意見を述べることができる。
⑦ 次に掲げる株式会社の取締役会は、取締役(監査等委員である取締役を除く。以下この項において同じ。)の報酬等の内容として定款又は株主総会の決議による第1項各号に掲げる事項についての定めがある場合には、当該定めに基づく取締役の個人別の報酬等の内容についての決定に関する方針として法務省令で定める事項を決定しなければならない。ただし、取締役の個人別の報酬等の内容が定款又は株主総会の決議により定められているときは、この限りでない。
一 監査役会設置会社(公開会社であり、かつ、大会社であるものに限る。)であって、金融商品取引法第24条第1項の規定によりその発行する株式について有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならないもの
二 監査等委員会設置会社
① 取締役の報酬、賞与その他の職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益(以下この章において「報酬等」という。)についての次に掲げる事項は、定款に当該事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定める。
一 報酬等のうち額が確定しているものについては、その額
二 報酬等のうち額が確定していないものについては、その具体的な算定方法
三 報酬等のうち当該株式会社の募集株式(第199条第1項に規定する募集株式をいう。以下この項及び第409条第3項において同じ。)については、当該募集株式の数(種類株式発行会社にあっては、募集株式の種類及び種類ごとの数)の上限その他法務省令で定める事項
四 報酬等のうち当該株式会社の募集新株予約権(第238条第1項に規定する募集新株予約権をいう。以下この項及び第409条第3項において同じ。)については、当該募集新株予約権の数の上限その他法務省令で定める事項
五 報酬等のうち次のイ又はロに掲げるものと引換えにする払込みに充てるための金銭については、当該イ又はロに定める事項
イ 当該株式会社の募集株式 取締役が引き受ける当該募集株式の数(種類株式発行会社にあっては、募集株式の種類及び種類ごとの数)の上限その他法務省令で定める事項
ロ 当該株式会社の募集新株予約権 取締役が引き受ける当該募集新株予約権の数の上限その他法務省令で定める事項
六 報酬等のうち金銭でないもの(当該株式会社の募集株式及び募集新株予約権を除く。)については、その具体的な内容
② 監査等委員会設置会社においては、前項各号に掲げる事項は、監査等委員である取締役とそれ以外の取締役とを区別して定めなければならない。
③ 監査等委員である各取締役の報酬等について定款の定め又は株主総会の決議がないときは、当該報酬等は、第1項の報酬等の範囲内において、監査等委員である取締役の協議によって定める。
④ 第1項各号に掲げる事項を定め、又はこれを改定する議案を株主総会に提出した取締役は、当該株主総会において、当該事項を相当とする理由を説明しなければならない。
⑤ 監査等委員である取締役は、株主総会において、監査等委員である取締役の報酬等について意見を述べることができる。
⑥ 監査等委員会が選定する監査等委員は、株主総会において、監査等委員である取締役以外の取締役の報酬等について監査等委員会の意見を述べることができる。
⑦ 次に掲げる株式会社の取締役会は、取締役(監査等委員である取締役を除く。以下この項において同じ。)の報酬等の内容として定款又は株主総会の決議による第1項各号に掲げる事項についての定めがある場合には、当該定めに基づく取締役の個人別の報酬等の内容についての決定に関する方針として法務省令で定める事項を決定しなければならない。ただし、取締役の個人別の報酬等の内容が定款又は株主総会の決議により定められているときは、この限りでない。
一 監査役会設置会社(公開会社であり、かつ、大会社であるものに限る。)であって、金融商品取引法第24条第1項の規定によりその発行する株式について有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならないもの
二 監査等委員会設置会社
過去問・解説
(H24 共通 第42問 エ)
取締役会設置会社(委員会設置会社を除く。)の取締役の報酬等について、会社が、取締役に対し、その報酬等としていわゆるストック・オプションとしての新株予約権を付与する場合には、株主総会の決議によることを要しない。なお、定款には、報酬等に関する事項の定めがないものとする。
取締役会設置会社(委員会設置会社を除く。)の取締役の報酬等について、会社が、取締役に対し、その報酬等としていわゆるストック・オプションとしての新株予約権を付与する場合には、株主総会の決議によることを要しない。なお、定款には、報酬等に関する事項の定めがないものとする。
(正答)✕
(解説)
361条1項4号は、株主総会の決議が必要な事項の1つとして、「報酬等のうち当該株式会社の募集新株予約権…については、当該募集新株予約権の数の上限その他法務省令で定める事項」を掲げている。
したがって、会社が、取締役に対し、その報酬等としていわゆるストック・オプションしての新株予約権を付与する場合であっても、株主総会の決議が必要である。
361条1項4号は、株主総会の決議が必要な事項の1つとして、「報酬等のうち当該株式会社の募集新株予約権…については、当該募集新株予約権の数の上限その他法務省令で定める事項」を掲げている。
したがって、会社が、取締役に対し、その報酬等としていわゆるストック・オプションしての新株予約権を付与する場合であっても、株主総会の決議が必要である。
(H18 司法 第46問 5)
低賃料での取締役への社宅の提供は、会社財産を社外に流出させるものではないから、定款又は株主総会決議で定める必要はない。
低賃料での取締役への社宅の提供は、会社財産を社外に流出させるものではないから、定款又は株主総会決議で定める必要はない。
(正答)✕
(解説)
361条1項6号は、定款又は株主総会で定める必要のある事項の1つとして、「報酬等のうち金銭でないもの(当該株式会社の募集株式及び募集新株予約権を除く。)については、その具体的な内容」を掲げている。
したがって、低賃料での取締役への社宅の提供であっても、定款又は株主総会の定めが必要である。
361条1項6号は、定款又は株主総会で定める必要のある事項の1つとして、「報酬等のうち金銭でないもの(当該株式会社の募集株式及び募集新株予約権を除く。)については、その具体的な内容」を掲げている。
したがって、低賃料での取締役への社宅の提供であっても、定款又は株主総会の定めが必要である。
(H20 司法 第41問 イ)
取締役の報酬として金銭でないものについてその具体的な内容を定める議案を株主総会に提出した取締役は、当該株主総会において、当該内容を相当とする理由を説明しなければならない。
取締役の報酬として金銭でないものについてその具体的な内容を定める議案を株主総会に提出した取締役は、当該株主総会において、当該内容を相当とする理由を説明しなければならない。
(正答)〇
(解説)
361条は、1項6号において、定款に定めていない場合に株主総会決議によって定めなければならない事項について、「報酬等のうち金銭でないもの(当該株式会社の募集株式及び募集新株予約権を除く。)については、その具体的な内容」を掲げ、4項において、「第1項各号に掲げる事項を定め、又はこれを改定する議案を株主総会に提出した取締役は、当該株主総会において、当該事項を相当とする理由を説明しなければならない。」と規定している。
したがって、取締役の報酬として金銭でないものについてその具体的な内容を定める議案を株主総会に提出した取締役は、当該株主総会において、当該内容を相当とする理由を説明しなければならない。
361条は、1項6号において、定款に定めていない場合に株主総会決議によって定めなければならない事項について、「報酬等のうち金銭でないもの(当該株式会社の募集株式及び募集新株予約権を除く。)については、その具体的な内容」を掲げ、4項において、「第1項各号に掲げる事項を定め、又はこれを改定する議案を株主総会に提出した取締役は、当該株主総会において、当該事項を相当とする理由を説明しなければならない。」と規定している。
したがって、取締役の報酬として金銭でないものについてその具体的な内容を定める議案を株主総会に提出した取締役は、当該株主総会において、当該内容を相当とする理由を説明しなければならない。
(H24 共通 第42問 オ)
取締役会設置会社(委員会設置会社を除く。)の取締役の報酬等について、会社が会社法上の公開会社である場合には、事業報告により、その事業年度に係る取締役ごとの個別の報酬の額を明らかにしなければならない。なお、定款には、報酬等に関する事項の定めがないものとする。
取締役会設置会社(委員会設置会社を除く。)の取締役の報酬等について、会社が会社法上の公開会社である場合には、事業報告により、その事業年度に係る取締役ごとの個別の報酬の額を明らかにしなければならない。なお、定款には、報酬等に関する事項の定めがないものとする。
(正答)✕
(解説)
公開会社は、各事業年度に取締役に支払った報酬等の総額を事業報告によって開示しなければならないが(435条2項、437条、442条、会社法施行規則121条3号)、取締役ごとの個別の報酬額を明らかにする必要はない。
したがって、取締役会設置会社(委員会設置会社を除く。)の取締役の報酬等について、会社が会社法上の公開会社である場合であっても、事業報告により、その事業年度に係る取締役ごとの個別の報酬の額を明らかにする必要はない。
公開会社は、各事業年度に取締役に支払った報酬等の総額を事業報告によって開示しなければならないが(435条2項、437条、442条、会社法施行規則121条3号)、取締役ごとの個別の報酬額を明らかにする必要はない。
したがって、取締役会設置会社(委員会設置会社を除く。)の取締役の報酬等について、会社が会社法上の公開会社である場合であっても、事業報告により、その事業年度に係る取締役ごとの個別の報酬の額を明らかにする必要はない。
(R1 予備 第21問 4)
株式会社が取締役に対し報酬として当該株式会社の株式を交付する場合には、交付する株式の数ではなく、具体的な算定方法を株主総会の決議により定めることができる。
株式会社が取締役に対し報酬として当該株式会社の株式を交付する場合には、交付する株式の数ではなく、具体的な算定方法を株主総会の決議により定めることができる。
(正答)✕
(解説)
361条1項3号は、取締役の報酬等に関して、株主総会で定める必要のある事項の1つとして、「報酬等のうち当該株式会社の募集株式…については、当該募集株式の数…の上限」を掲げている。
したがって、株式会社が取締役に対して報酬として当該株式会社の株式を交付する場合には、当該募集株式の数の上限を定める必要があり、算定方法を定めることはできない。
361条1項3号は、取締役の報酬等に関して、株主総会で定める必要のある事項の1つとして、「報酬等のうち当該株式会社の募集株式…については、当該募集株式の数…の上限」を掲げている。
したがって、株式会社が取締役に対して報酬として当該株式会社の株式を交付する場合には、当該募集株式の数の上限を定める必要があり、算定方法を定めることはできない。
(H24 司法 第42問 エ)
会社が、取締役に対し、その報酬等としていわゆるストック・オプションとしての新株予約権を付与する場合には、株主総会の決議によることを要しない。
会社が、取締役に対し、その報酬等としていわゆるストック・オプションとしての新株予約権を付与する場合には、株主総会の決議によることを要しない。
(正答)✕
(解説)
361条1項4号は、取締役の報酬等に関して、株主総会で定める必要のある事項の1つとして、「報酬等のうち当該株式会社の新株予約権…については、当該募集新株予約権の数の上限」を掲げている。
したがって、会社が、取締役に対し、その報酬等としていわゆるストック・オプションとしての新株予約権を付与する場合には、株主総会の決議によることを要する。
361条1項4号は、取締役の報酬等に関して、株主総会で定める必要のある事項の1つとして、「報酬等のうち当該株式会社の新株予約権…については、当該募集新株予約権の数の上限」を掲げている。
したがって、会社が、取締役に対し、その報酬等としていわゆるストック・オプションとしての新株予約権を付与する場合には、株主総会の決議によることを要する。
(R2 予備 第21問 イ)
監査等委員会設置会社において、監査等委員会が選定する監査等委員は、株主総会において、監査等委員である取締役以外の取締役の報酬について監査等委員会の意見を述べることができる。
監査等委員会設置会社において、監査等委員会が選定する監査等委員は、株主総会において、監査等委員である取締役以外の取締役の報酬について監査等委員会の意見を述べることができる。
(正答)〇
(解説)
361条6項は、「監査等委員会が選定する監査等委員は、株主総会において、監査等委員である取締役以外の取締役の報酬等について監査等委員会の意見を述べることができる。」と規定している。
361条6項は、「監査等委員会が選定する監査等委員は、株主総会において、監査等委員である取締役以外の取締役の報酬等について監査等委員会の意見を述べることができる。」と規定している。