(H19 司法 第9問 イ)
最高裁判所の判例によれば、教科書検定制度は、普通教育の場で教科用図書として用いるための図書を作成する目的でつくられた規制であって、それは教科書の形態における研究結果の発表を著しく制限するから、学問の自由を保障した憲法23条に反する。
(正答) ✕
(解説)
第一次家永教科書事件上告審判決(最判平5.3.16)は、「教科書は、教科課程の構成に応じて組織排列された教科の主たる教材として、普通教育の場において使用される児童、生徒用の図書であって…、学術研究の結果の発表を目的とするものではなく、本件検定は、…旧検定基準の各条件に違反する場合に、教科書の形態における研究結果の発表を制限するにすぎない。このような本件検定が学問の自由を保障した憲法23条の規定に違反しないことは、当裁判所の判例…の趣旨に徴して明らかである。」としている。
(H22 司法 第5問 ア)
教科書検定が憲法21条2項に違反しないとされるのは、審査が、教科書の誤記や誤植などの客観的に明らかな誤りがあるか、教科書の内容が教育課程の大綱的基準の枠内にあるかなどの点に限定され、かつ、執筆者の思想の内容にわたらない場合に限られる。
(正答) ✕
(解説)
第一次家永教科書事件上告審判決(最判平5.3.16)は、札幌税関事件判決(最大判昭59.12.12)の「検閲」概念を踏襲した上で、「本件検定は、前記のとおり、一般図書としての発行を何ら妨げるものではなく、発表禁止目的や発表前の審査などの特質がないから、検閲に当たらず、憲法21条2項前段の規定に違反するものではない。」としている。
(H22 司法 第5問 イ)
教科書検定が教科書執筆者の表現行為を制限することになるとしても、教育の中立・公正、一定水準の確保等の要請にかんがみれば、検定による表現の自由の制約は合理的で必要やむを得ない限度のものであるから、憲法21条1項に違反しない。
(正答) 〇
(解説)
第一次家永教科書事件上告審判決(最判平5.3.16)は、「(一)…普通教育の場においては、教育の中立・公正、一定水準の確保等の要請があり、これを実現するためには、これらの観点に照らして不適切と認められる図書の教科書としての発行、使用等を禁止する必要があること…、(二)その制限も、右の観点からして不適切と認められる内容を含む図書のみを、教科書という特殊な形態において発行を禁ずるものにすぎないことなどを考慮すると、本件検定による表現の自由の制限は、合理的で必要やむを得ない限度のものというべきであって、憲法21条1項の規定に違反するものではない。」としている。
(H22 司法 第5問 ウ)
教科書検定は、検定で不合格とされた図書を一般図書として「思想の自由市場」に流通させることを何ら妨げるものではなく、発表禁止目的や発表前の審査等の特質がないから、憲法21条2項の「検閲」には当たらない。
(正答) 〇
(解説)
第一次家永教科書事件上告審判決(最判平5.3.16)は、札幌税関事件判決(最大判昭59.12.12)の「検閲」概念を踏襲した上で、「不合格図書をそのまま一般図書として発行し、教師、児童、生徒を含む国民一般にこれを発表すること、すなわち思想の自由市場に登場させることは、何ら妨げられるところはない…。…本件検定は、前記のとおり、一般図書としての発行を何ら妨げるものではなく、発表禁止目的や発表前の審査などの特質がないから、検閲に当たらず、憲法21条2項前段の規定に違反するものではない。」としている。
(H28 共通 第7問 ウ)
普通教育の場において使用される教科書は学術研究の結果の発表を目的とするものではなく、教科書検定は、記載内容がいまだ学界において支持を得ていないとき、あるいは当該教科課程で取り上げるにふさわしい内容と認められないときなど一定の検定基準に違反する場合に、教科書の形態における研究結果の発表を制限するにすぎないから、憲法23条に反しない。
(正答) 〇
(解説)
第一次家永教科書事件上告審判決(最判平5.3.16)は、「教科書は、教科課程の構成に応じて組織排列された教科の主たる教材として、普通教育の場において使用される児童、生徒用の図書であって…、学術研究の結果の発表を目的とするものではなく、本件検定は、申請図書に記述された研究結果が、たとい執筆者が正当と信ずるものであったとしても、いまだ学界において支持を得ていなかったり、あるいは当該学校、当該教科、当該科目、当該学年の児童、生徒の教育として取り上げるにふさわしい内容と認められないときなど旧検定基準の各条件に違反する場合に、教科書の形態における研究結果の発表を制限するにすぎない。このような本件検定が学問の自由を保障した憲法23条の規定に違反しないことは、当裁判所の判例…の趣旨に徴して明らかである。」としている。
(R4 共通 第8問 イ)
教育内容に対する国家的介入は抑制的であることが要請され、誤った知識や一方的な観念を子どもに植え付けるような教育を施すことを国が強制することは許されないと解されるが、このことは、教育内容について決定する国の権能を否定する理由とはならない。
(正答)〇
(解説)
第一次家永教科書事件上告審判決(最判平5.3.16)は、「教師は、高等学校以下の普通教育の場においても、授業等の具体的内容及び方法においてある程度の裁量が認められるという意味において、一定の範囲における教育の自由が認められ、私学教育の自由も限られた範囲において認められるが、それ以外の領域においては、国は、子ども自身の利益の擁護のため、又は子どもの成長に対する社会公共の利益と関心にこたえるため、必要かつ相当と認められる範囲において、子どもに対する教育内容を決定する権能を有する。」とする一方で、「もっとも、教育内容への国家的介入はできるだけ抑制的であることが要請され、殊に、子どもが自由かつ独立の人格として成長することを妨げるような介入、例えば、誤った知識や一方的な観念を子どもに植え付けるような内容の教育を施すことを強制することは許されない。」としている。
したがって、教育内容への国家的介入について抑制が要請されることや、誤った知識や一方的な観念を子どもに植え付けるような教育を強制することが許されないことは、教育内容について決定する国の権能の限界を示すものであり、その権能を否定する理由とはならない。
(R5 共通 第5問 ア)
普通教育の場において使用される教科書は、研究結果の発表を直接の目的とするものではないものの、研究結果の発表という面があることから、記載内容がいまだ学界において支持を得ていないときに検定基準を満たさないとする教科書検定処分は憲法23条に違反する。
(正答) ✕
(解説)
第一次家永教科書事件上告審判決(最判平5.3.16)は、「本件検定は、申請図書に記述された研究結果が、たとい執筆者が正当と信ずるものであったとしても、いまだ学界において支持を得ていなかった…ときなど旧検定基準の各条件に違反する場合に、教科書の形態における研究結果の発表を制限するにすぎない。このような本件検定が学問の自由を保障した憲法23条の規定に違反しないことは、当裁判所の判例…の趣旨に徴して明らかである。」としている。
(R8 共通 第4問 ウ)
最高裁判所は、普通教育の場において使用される教科書も学術研究の結果の発表を目的とするものであるが、児童生徒には批判能力がなく、一方的な観念を児童生徒に植え付けるような内容の教育を施すことは許されないから、教科書検定制度は憲法第23条の規定に違反しないとした。
(正答)✕
(解説)
第一次家永教科書事件上告審判決(最判平5.3.16)は、「教科書は、教科課程の構成に応じて組織排列された教科の主たる教材として、普通教育の場において使用される児童、生徒用の図書であって…、学術研究の結果の発表を目的とするものではな」いとしている。
したがって、教科書が「学術研究の結果の発表を目的とするものである」とする本肢は誤りである。