(H19 司法 第7問 小問2第3肢改題)
「風俗を害すべき書籍、図画、彫刻物その他の物品」を輸入禁制品として掲げる関税定率法の規定が憲法21条に違反しないとした判決(最大判昭和59年12月12日)は、「このように限定して解する限り、当該規制は、他の基本的人権に対する侵害を回避し、防止するために必要かつ合理的なものとして、憲法第21条に違反するものではない。」とする泉佐野市市民会館事件(最判平成7年3月7日)と、同じ法律解釈の方法をとった最高裁判所の判決である。
(正答)〇
(解説)
札幌税関検査事件判決(最大判昭59.12.12)は、「関税定率法21条1項3号にいう『風俗を害すべき書籍、図画』等との規定を合理的に解釈すれば、右にいう『風俗』とは専ら性的風俗を意味し、右規定により輸入禁止の対象とされるのは猥褻な書籍、図画等に限られるものということができ、このような限定的な解釈が可能である以上、右規定は、何ら明確性に欠けるものではなく、憲法21条1項の規定に反しない合憲的なものというべきである。」として、合憲限定解釈により、漠然性ゆえ無効の主張を退けた。
また、泉佐野市民会館事件判決(最判平7.3.7)も、「本件条例7条1号は、『公の秩序をみだすおそれがある場合』を本件会館の使用を許可してはならない事由として規定しているが、同号は、広義の表現を採っているとはいえ、右のような趣旨からして、本件会館における集会の自由を保障することの重要性よりも、本件会館で集会が開かれることによって、人の生命、身体又は財産が侵害され、公共の安全が損なわれる危険を回避し、防止することの必要性が優越する場合をいうものと限定して解すべきであり、その危険性の程度としては、前記各大法廷判決の趣旨によれば、単に危険な事態を生ずる蓋然性があるというだけでは足りず、明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見されることが必要であると解するのが相当である…。そう解する限り、このような規制は、他の基本的人権に対する侵害を回避し、防止するために必要かつ合理的なものとして、憲法21条に違反するものではな…いというべきである。」としており、合憲限定解釈により本件条例の憲法21条1項違反を回避している。
(H25 司法 第6問 ウ)
憲法の禁ずる検閲とは、公権力が主体となって、表現物を対象とし、その全部又は一部の発表の禁止を目的として、表現物につき網羅的一般的に、発表前にその内容を審査した上で不適当と認めるものの発表を禁止することを、その特質として備えるものをいう。
(正答)✕
(解説)
札幌税関事件判決(最大判昭59.12.12)は、「憲法21条2項にいう『検閲』とは、行政権が主体となつて、思想内容等の表現物を対象とし、その全部又は一部の発表の禁止を目的として、対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に、発表前にその内容を審査した上、不適当と認めるものの発表を禁止することを、その特質として備えるものを指すと解すべきである。」としており、検閲の主体を「公権力」のうち「行政権」に限定している。
(R1 司法 第5問 ウ)
関税法第69条の11第1項第7号(旧関税定率法第21条第1項第3号)は、輸入を禁止する物品として「風俗を害すべき書籍、図画」等と規定しているが、我が国内における健全な性的風俗を維持確保すべきことは公共の福祉に合致するものである上、「風俗」という用語が「性的風俗」を意味することはその文言自体から明らかであるので、明確性の原則にも反せず、このような制限はやむを得ない。
(正答)✕
(解説)
札幌税関検査事件判決(最大判昭59.12.12)は、「同法21条1項3号は、輸入を禁止すべき物品として、『風俗を害すべき書籍、図画』等と規定する。この規定のうち、『風俗』という用語そのものの意味内容は、性的風俗、社会的風俗、宗教的風俗等多義にわたり、その文言自体から直ちに一義的に明らかであるといえないことは所論のとおりである。」とする一方で、「関税定率法21条1項3号にいう『風俗を害すべき書籍、図画』等との規定を合理的に解釈すれば、右にいう『風俗』とは専ら性的風俗を意味し、右規定により輸入禁止の対象とされるのは猥褻な書籍、図画等に限られるものということができ、このような限定的な解釈が可能である以上、右規定は、何ら明確性に欠けるものではなく、憲法21条1項の規定に反しない合憲的なものというべきである。」としている。
したがって、「『風俗』という用語が『性的風俗』を意味することはその文言自体から明らかである」とする点において、本肢は誤っている。
(R7 共通 第5問 ア)
憲法第21条第2項前段にいう「検閲」とは、公権力が主体となって、思想内容等の表現物を対象とし、その全部又は一部の発表の禁止を目的として、対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に、発表前にその内容を審査した上、不適当と認めるものの発表を禁止することを、その特質として備えるものを指す。
(正答)✕
(解説)
札幌税関事件判決(最大判昭59.12.12)は、「憲法21条2項にいう『検閲』とは、行政権が主体となつて、思想内容等の表現物を対象とし、その全部又は一部の発表の禁止を目的として、対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に、発表前にその内容を審査した上、不適当と認めるものの発表を禁止することを、その特質として備えるものを指すと解すべきである。」としており、検閲の主体を「公権力」のうち「行政権」に限定している。
(R7 共通 第5問 イ)
表現物に対する税関検査は、表現の事前規制たる側面を有するものの、検査対象となる表現物は、一般に、国外においては既に発表済みで、輸入が禁止されるだけで、発表の機会が全面的に奪われてしまうものでもなく、また、税関は特に思想内容等を対象として規制することを独自の使命とするものではないから、憲法第21条第2項前段にいう「検閲」には当たらない。
(正答)〇
(解説)
札幌税関検査事件判決(最大判昭59.12.12)は、「税関検査が表現の事前規制たる側面を有することを否定することはできない。しかし、これにより輸入が禁止される表現物は、一般に、国外においては既に発表済みのものであって、その輸入を禁止したからといって、それは、当該表現物につき、事前に発表そのものを一切禁止するというものではない。…税関は、関税の確定及び徴収を本来の職務内容とする機関であって、特に思想内容等を対象としてこれを規制することを独自の使命とするものではな…い。」としている。