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意思表示(錯誤 95条) - 解答モード

他に連帯保証人がある旨の債務者の言を誤信して連帯保証をした場合は要素の錯誤か 最一小判昭和32年12月19日

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概要
他に連帯保証人がある旨の債務者の言葉を誤信した結果、連帯保証をした場合は、保証人が債権者に対して、他にも連帯保証人があることを特に連帯保証契約の内容としたという事情がない限り、当然に錯誤取消しができるわけではない。
判例
事案:他に連帯保証人がある旨の債務者の言葉を誤信した結果、連帯保証をした場合において、当然に錯誤取消しができるかどうかが問題となった。

判旨:「保証契約は、保証人と債権者との間に成立する契約であつて、他に連帯保証人があるかどうかは、通常は保証契約をなす単なる縁由にすぎず、当然にはその保証契約の内容となるものではない。されば、原判決説示のごとくAにおいてBも連帯保証人となることが特に本件保証契約の内容とした旨の主張、立証のない本件においては、原判決の判断は正当であ」る。
過去問・解説
全体の正答率 : 66.6%

(H28 司法 第2問 エ)
他にも連帯保証人となる者がいるとの債務者の説明を信じて連帯保証人となった者は、特にその旨が表示され連帯保証契約の内容とされていたとしても、連帯保証契約について錯誤による取消しを主張することができない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭32.12.19)は、「保証契約は、保証人と債権者との間に成立する契約であって、他に連帯保証人があるかどうかは、通常は保証契約をなす単なる縁由にすぎず、当然にはその保証契約の内容となるものではない。」と判示しつつ、「されば、原判決説示のごとくAにおいてBも連帯保証人となることが特に本件保証契約の内容とした旨の主張、立証のない本件においては、原判決の判断は正当であ」ると判示し、錯誤取消しが認められない旨判示している。そうすると、保証契約において他に連帯保証人となる者がいるかどうかは、動機の錯誤(95条1項2号)に当たるところ、判例の事案とは異なり、特にその旨が表示され連帯保証契約の内容とされていた場合(95条2項)には、当該錯誤は「法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものである」(95条1項柱書)といえるため、連帯保証契約について錯誤による取消しを主張することができる。

該当する過去問がありません

黙示の表示と錯誤取り消し 最一小判平成元年9月14日

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概要
協議離婚に伴い夫が自己の不動産全部を妻に譲渡する旨の財産分与契約をし、後日夫に譲渡所得税が課されることが判明した場合において、契約の当時、妻のみに課税されるものと誤解した夫が心配してこれを気遣う発言をし、妻も自己に課税されるものと理解していたなどの事実関係の下においては、他に特段の事情がない限り、夫の課税負担の錯誤に係る動機は、妻に黙示的に表示されて意思表示の内容をなしている。
判例
事案:協議離婚に伴う財産分与契約において、分与者が自己に課税されないと錯誤に陥っており、かつその旨を明言はしていなかった場合においても、当該錯誤にかかる動機が意思表示の内容になるかが問題となった。

判旨:「所得税法33条1項にいう「資産の譲渡」とは、有償無償を問わず資産を移転させる一切の行為をいうものであり、夫婦の一方の特有財産である資産を財産分与として他方に譲渡することが右「資産の譲渡」に当たり、 譲渡所得を生ずるものであることは、当裁判所の判例(最高裁昭和47年(行ツ)第4号同50年5月27日第三小法廷判決・民集29巻5号641頁、昭和51年(行ツ)第27号同53年2月16日第一小法廷判決・裁判集民事123号七71頁)とするところであり、離婚に伴う財産分与として夫婦の一方がその特有財産である不動産を他方に譲渡した場合には、分与者に譲渡所得を生じたものとして課税されることとなる。…本件財産分与契約の際、少なくとも上告人において右の点を誤解していたものというほかはないが、上告人は、その際、財産分与を受ける被上告人に課税されることを心配してこれを気遣う発言をしたというのであり、記録によれば、被上告人も、自己に課税されるものと理解していたことが窺われる。そうとすれば、上告人において、右財産分与に伴う課税の点を重視していたのみならず、他に特段の事情がない限り、自己に課税されないことを当然の前提とし、かつ、その旨を黙示的には表示していたものといわざるをえない。」
過去問・解説
全体の正答率 : 83.3%

(H20 司法 第5問 エ)
協議離婚に伴う財産分与契約において、分与者は、自己に譲渡所得税が課されることを知らず、課税されないとの理解を当然の前提とし、かつ、その旨を黙示的に表示していた場合であっても、財産分与契約の取消しを主張することはできない。

(正答)

(解説)
判例(最判平元.9.14)は、協議離婚に伴う財産分与契約において、分与者が、自己に譲渡所得税が課されることを知らず、課税されないとの理解を当然の前提とし、かつ、その旨を黙示的に表示していた場合には、課税負担の錯誤にかかる動機は、意思表示の内容を内容をなす旨判示している。この判例の理解は現行法にも妥当し、動機が黙示的に表示されていた場合であっても、95条2項の「表示されていたとき」に当たる。
そうすると、協議離婚に伴う財産分与契約において、分与者の、自己に譲渡所得税が課されることを知らず、課税されないとの理解は、動機の錯誤(95条1項2号)に当たり、当該錯誤は「法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要」(95条1項柱書)であり、「表示されていたとき」(95条2項)に当たる。したがって、分与者は財産分与契約の取消しを主張することができる。


全体の正答率 : 100.0%

(H30 司法 第3問 エ)
協議離婚に伴う財産分与契約において、分与者は、自己に譲渡所得税が課されることを知らず、課税されないとの理解を当然の前提とし、かつ、その旨を黙示的に表示していた場合であっても、財産分与契約について錯誤による無効を主張することはできない。

(正答)

(解説)
判例(最判平元.9.14)は、協議離婚に伴う財産分与契約において、分与者が、自己に譲渡所得税が課されることを知らず、課税されないとの理解を当然の前提とし、かつ、その旨を黙示的に表示していた場合には、課税負担の錯誤にかかる動機は、意思表示の内容を内容をなす旨判示している。この判例の理解は現行法にも妥当し、動機が黙示的に表示されていた場合であっても、95条2項の「表示されていたとき」に当たる。
そうすると、協議離婚に伴う財産分与契約において、分与者の、自己に譲渡所得税が課されることを知らず、課税されないとの理解は、動機の錯誤(95条1項2号)に当たり、当該錯誤は「法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要」(95条1項柱書)であり、「表示されていたとき」(95条2項)に当たる。したがって、分与者は財産分与契約の錯誤による取消しを主張することができ、取消しにより生ずる無効(121条)を主張することができる。

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錯誤取消しの可否 最一小判平成14年7月11日

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概要
特定の商品の代金について立替払契約が締結され、同契約に基づく債務について連帯保証契約が締結された場合において、立替払契約は商品の売買契約が存在しないいわゆる空クレジット契約であって、保証人は、保証契約を締結した際、そのことを知らなかったなどの事実関係の下においては、保証人の意思表示には法律行為の要素に錯誤がある。
判例
事案:商品代金の立替払契約に基づく債務の保証人の意思表示の際に、主債務にかかる契約が空クレジット契約であった場合、要素の錯誤が認められるかが問題となった。

判旨:「保証契約は、特定の主債務を保証する契約であるから、主債務がいかなるものであるかは、保証契約の重要な内容である。そして、主債務が、商品を購入する者がその代金の立替払を依頼しその立替金を分割して支払う立替払契約上の債務である場合には、商品の売買契約の成立が立替払契約の前提となるから、商品売買契約の成否は、原則として、保証契約の重要な内容であると解するのが相当である。」
 「(1)本件立替払契約は、Aにおいて、CがDから購入する本件機械の代金をDに立替払し、Cは、Aに対し、立替金及び手数料の合計額を分割して支払う、という形態のものであり、本件保証契約は本件立替払契約に基づきCがAに対して負担する債務について連帯して保証するものであるところ、(2)本件立替払契約はいわゆる空クレジット契約であって、本件機械の売買契約は存在せず、(3)Bは、本件保証契約を締結した際、そのことを知らなかった、というのであるから、本件保証契約におけるBの意思表示は法律行為の要素に錯誤があったものというべきである。
 本件立替払契約のようなクレジット契約が、その経済的な実質は金融上の便宜を供与するにある…。しかし、主たる債務が実体のある正規のクレジット契約によるものである場合と、空クレジットを利用することによって不正常な形で金融の便益を得るものである場合とで、主債務者の信用に実際上差があることは否定できず、保証人にとって、主債務がどちらの態様のものであるかにより、その負うべきリスクが異なってくるはずであり、看過し得ない重要な相違があるといわざるをえない。まして、前記のように、1通の本件契約書上に本件立替払契約と本件保証契約が併せ記載されている本件においては、 連帯保証人であるBは、主債務者であるCが本件機械を買い受けてAに対し分割金を支払う態様の正規の立替払契約であることを当然の前提とし、これを本件保証契約の内容として意思表示をしたものであることは、一層明確であるといわなければならない。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(H28 司法 第2問 ウ)
Aを売主、Bを買主とする売買契約に基づく商品の売買代金をCが立替払する旨の契約がBC間で締結され、BのCに対する立替金償還債務をDが連帯保証した場合において、Dが、CD間の連帯保証契約締結当時、実際にはAB間の売買契約が存在しないことを知らなかったときは、Dは、CD間の連帯保証契約について錯誤による取消しを主張することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平14.7.11)は、「保証契約は、特定の主債務を保証する契約であるから、主債務がいかなるものであるかは、保証契約の重要な内容である。そして、主債務が、商品を購入する者がその代金の立替払を依頼しその立替金を分割して支払う立替払契約上の債務である場合には、商品の売買契約の成立が立替払契約の前提となるから、商品売買契約の成否は、原則として、保証契約の重要な内容であると解するのが相当である。」と判示し、錯誤無効を認める旨判示している。この判例の理解は、現行法下においても妥当する。したがって、Dが、CD間の連帯保証契約締結当時、実際にはAB間の売買契約が存在しないことを知らなかったときは、Dは、CD間の連帯保証契約について錯誤による取消(95条1項)を主張することができる。

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