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意思表示(詐欺・脅迫 96条) - 解答モード

96条3項の「第三者」の意義 大判昭和7年8月9日

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概要
96条3項における「第三者」とは、詐欺による意思表示の後、新たに権利を有するに至った者をいい、詐欺による他人間の法律行為によって自己の債務を免れたにすぎない者は、「第三者」に当たらない。
判例
事案:詐欺による他人間の法律行為によって自己の債務を免れた者が、当該他人間の法律行為が詐欺により取り消された場合において、その自己の債務を免れた者が96条3項の「第三者」に当たり保護されるかが問題となった。

判旨:「民法第96条第3項ニ所謂善意ノ第三者トハ詐欺ノ情ヲ知ラス善意ヲ以テ新ニ権利ヲ取得シタル者ヲ謂フモノニシテ詐欺ニ因ル他人間ノ法律行為ニ因リ自然ニ自己ノ債務ヲ免レタル者ノ如キハ其ノ内ニ包含セサルモノト解スルヲ相当トス(明治32年(オ)第227号明治33年5月7日当院判決参照)。」
過去問・解説
全体の正答率 : 60.0%

(H26 共通 第2問 オ)
連帯債務者の1人であるAが代物弁済をした後、その代物弁済を詐欺を理由として取り消した場合、他の連帯債務者は、Aの代物弁済が詐欺によるものであることを過失なく知らなかったときであっても、債権者に対し、代物弁済による債務の消滅を主張することはできない。

(正答)

(解説)
判例(大判昭7.8.9)は、96条3項における「第三者」とは、詐欺による意思表示の後、新たに権利を有するに至った者をいい、詐欺による他人間の法律行為によって自己の債務を免れたにすぎない者は、「第三者」に当たらない旨判示している。したがって、連帯債務者の1人であるAの代物弁済を詐欺を理由として取り消した場合、他の連帯債務者は、「第三者」に当たらず、債権者に対し、代物弁済による債務の消滅を主張することはできない。

該当する過去問がありません

詐欺取消し後の第三者 大判昭和17年9月30日

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概要
①詐欺取消後の第三者は、96条3項の「第三者」に当たらない。
②不動産の売主兼詐欺取消権者と、詐欺取消後の第三者との間の、当該不動産の所有権取得についての優劣は、177条により、登記の有無によって決する。
判例
事案:①詐欺取消後の第三者が、96条3項の「第三者」に当たるか問題となった。
 ②不動産の売主兼詐欺取消権者が、詐欺取消後の第三者に対して当該不動産の所有権を主張するためには、登記を備える必要があるかが問題となった。

判旨:「凡ソ民法第96条第3項ニ於テ詐欺ニ因ル意思表示ノ取消ハ之ヲ以テ善意ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得サル旨規定セルハ取消ニ因リ其ノ行為カ初ヨリ無効ナリシモノト看做サルル効果即チ取消ノ遡及効ヲ制限スル趣旨ナレハ茲ニ所謂第三者トハ取消ノ遡及効ニ因リ影響ヲ受クヘキ第三者即チ取消前ヨリ既ニ其ノ行為ノ効力ニ付利害関係ヲ有セル第三者ニ限定シテ解スヘク取消以後ニ於テ始メテ利害関係ヲ有スルニ至リタル第三者ハ仮令其ノ利害関係発生当時詐欺及取消ノ事実ヲ知ラサリシトスルモ右条項ノ適用ヲ受ケサルコト洵ニ原判示ノ如クナリト雖右条項ノ適用ナキノ故ヲ以テ直ニ斯カル第三者ニ対シテハ取消ノ結果ヲ無条件ニ対抗シ得ルモノト為スヲ得ス今之ヲ本件ニ付テ観ルニ本件売買カ原判決説示ノ如ク其ノ要素ニ錯誤アルモノニアラスシテ詐欺ニ因リ取消シ得ヘキモノナリトセハ本件売買ノ取消ニ依リ土地所有権ハAニ復帰シ初ヨリBニ移転サリシモノト為ルモ此ノ物権変動ハ民法第177条ニ依リ登記ヲ為スニ非サレハ之ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得サルヲ本則ト為ス。」
過去問・解説
全体の正答率 : 83.3%

(H19 司法 第11問 2)
Aは、Bの詐欺により、その所有する土地をBに売り渡し、所有権移転登記をした場合、Aが売買契約を取り消す意思表示をした後、BがこれをCに転売し登記を経由したとしても、Cは、Aに対し、所有権の取得を対抗することができない。

(正答)

(解説)
判例(大判昭17.9.30)は、取消後の第三者は、96条3項の「第三者」に該当しない旨判示した上で、売主と詐欺取消後の第三者と間での不動産の所有権の帰属は、登記の有無で決する旨判示している。Cは詐欺取消後の第三者に当たるところ、購入した土地につき所有権移転登記を経由しているから、Cは、Aに対し、所有権の取得を対抗することができる。


全体の正答率 : 60.0%

(H20 司法 第8問 3)
土地を所有し占有するYは、Aに対し、同土地を売却して移転登記を行ったが、この売買にはAによる詐欺があったので、YはAに対して取消しの意思表示をした。その直後、Aは、同土地をXに売却して移転登記を行った。Xが所有権に基づき占有者Yに対し土地の引渡しを請求した場合、Yは引渡しを拒絶することができる。

(正答)

(解説)
判例(大判昭17.9.30)は、取消後の第三者は、96条3項の「第三者」に該当しない旨判示した上で、売主と詐欺取消後の第三者との間の不動産の所有権の帰属は、登記の有無で決する旨判示している。Xは取消後の第三者に当たるところ、土地の所有権移転登記を経ており、土地の所有権取得をYに対抗することができる。したがって、Yは引渡しを拒絶することができない。


全体の正答率 : 100.0%

(H21 司法 第11問 イ)
AがBの詐欺によりBに対し甲不動産を売り渡し、甲不動産の所有権移転登記がされた。その後、AはBの詐欺を理由に当該売買契約を取り消したが、Bはその取消し後に甲不動産をCに売り渡し、その所有権移転登記がされた。この場合、Aは、登記をしなくてもCに対し、所有権の復帰を対抗することができる。

(正答)

(解説)
判例(大判昭17.9.30)は、取消後の第三者は、96条3項の「第三者」に該当しない旨判示した上で、売主と詐欺取消後の第三者との間の不動産の所有権の帰属は、登記の有無で決する旨判示している。Cは取消後の第三者に当たるため、AとCとの間の甲不動産の所有権の帰属についての優劣は、登記の有無で決せられる。したがって、Aは、登記をしなければCに対し、所有権の復帰を対抗することができない。


全体の正答率 : 100.0%

(H27 共通 第7問 イ)
AがA所有の甲土地をBに売却し、その旨の所有権移転登記がされた後、Aは、Bの詐欺を理由としてBに対する売買の意思表示を取り消した。その後、BがCに甲土地を売却し、Cへの所有権移転登記をした場合、Aは、Cに対し、甲土地の所有権がBからAに復帰したことを主張することができない。

(正答)

(解説)
判例(大判昭17.9.30)は、取消後の第三者は、96条3項の「第三者」に該当しない旨判示した上で、売主と詐欺取消後の第三者との間の不動産の所有権の帰属は、登記の有無で決する旨判示している。Cは取消後の第三者に当たるところ、Cは甲土地の所有権移転登記を経ている。したがって、甲土地所有権の取得についてはCが優先するため、Aは、Cに対し、甲土地の所有権がBからAに復帰したことを主張することができない。


全体の正答率 : 100.0%

(R2 司法 第7問 イ)
A所有の甲土地をAがBに売却し、その旨の登記がされたが、AがBの詐欺を理由としてAB間の売買契約を取り消した後、この取消しについて善意無過失のCに対しBが甲土地を売却し、その旨の登記がされた場合、Aは、Cに対し、甲土地の所有権を登記がなくても主張することができる。

(正答)

(解説)
判例(大判昭17.9.30)は、取消後の第三者は、96条3項の「第三者」に該当しない旨判示した上で、売主と詐欺取消後の第三者との間の不動産の所有権の帰属は、登記の有無で決する旨判示している。Cは取消後の第三者に当たるところ、Aに先立ち甲土地の所有権移転登記を具備しているため、甲土地の所有権の帰属については、Cが優先する。したがって、Aは、Cに対し、甲土地の所有権を主張することができない。


全体の正答率 : 100.0%

(R6 司法 第7問 ウ)
AがA所有の甲土地をBに売却し、AからBへの所有権移転登記がされた後、Aは、詐欺を理由に甲土地の売買契約を取り消した。Bは、その取消し後に甲土地をCに売却した。この場合、Aは、甲土地の所有権がAに復帰した旨の登記を備えなければ、そのことを第三者Cに対抗することができない。

(正答)

(解説)
判例(大判昭17.9.30)は、取消後の第三者は、96条3項の「第三者」に該当しない旨判示した上で、売主と詐欺取消後の第三者との間の不動産の所有権の帰属は、登記の有無で決する旨判示している。Cは取消後の第三者に当たるため、AとCとの間の甲土地所有権の帰属についての優劣は、登記の有無で決せられる。したがって、Aは、甲土地の所有権がAに復帰した旨の登記を備えなければ、そのことを取消後の第三者であるCに対抗することができない。

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96条「強迫」の意義 最三小判昭和33年7月1日

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概要
「強迫による意思表示」(96条1項)が成立するためには、表意者が畏怖の結果完全に選択の自由を失ったことを要するものではない。
判例
事案:脅迫を受けた表意者に選択の自由がなお存在した場合、96条1項の「強迫による意思表示」が認められるかが問題となった。

判旨:「民法96条にいう「強迫に因る意思表示」の要件たる強迫ないし畏怖については、明示若しくは暗黙に告知せられる害悪が客観的に重大なると軽微なるとを問わず、苟くもこれにより表意者において畏怖した事実があり且右畏怖の結果意思表示をしたという関係が主観的に存すれば足りる…。所論は、強迫の結果選択の自由を失わない限り強迫に因る意思表示ありといい難いとするものであるが、完全に意思の自由を失つた場合はむしろその意思表示は当然無効であり、民法96条適用の余地はないのである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H23 司法 第1問 1)
強迫が認められるためには、表意者が、畏怖を感じ、完全に意思の自由を失ったといえなければならない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭33.7.1)は、「強迫による意思表示」(96条1項)が成立するためには、表意者が畏怖の結果完全に選択の自由を失ったことを要するものではない旨判示している。


全体の正答率 : 85.7%

(H26 司法 第1問 ウ)
強迫による意思表示の取消しが認められるためには、表意者が完全に意思の自由を失って意思表示をしたことを要する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭33.7.1)は、「強迫による意思表示」(96条1項)が成立するためには、表意者が畏怖の結果完全に選択の自由を失ったことを要するものではない旨判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(H30 司法 第3問 イ)
強迫による意思表示の取消しが認められるためには、表意者が、畏怖の結果、完全に意思の自由を失ったことを要する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭33.7.1)は、「強迫による意思表示」(96条1項)が成立するためには、表意者が畏怖の結果完全に選択の自由を失ったことを要するものではない旨判示している。

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96条3項の「第三者」 最一小判昭和49年9月26日

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概要
96条3項の「第三者」の範囲は、同条の趣旨に照らして合理的に画定されるべきであり、物権の転得者で、かつ、対抗要件を備えた者に限られず、契約から発生した法律関係について新たに利害関係を有するに至った者が「第三者」に当たる。
判例
事案:AがBとの間で締結した農地の売買契約を、詐欺により取り消したとして、Bから同農地を買い受けたCに対して、抹消登記手続等を求めた場合において、農地法5条の許可を条件とする所有権移転登記請求権保全の仮登記を経由したCが、96条3項の「第三者」に当たるかが問題となった。

判旨:「民法96条1項、3項は、詐欺による意思表示をした者に対し、その意思表示の取消権を与えることによって詐欺被害者の救済をはかるとともに、他方その取消の効果を「善意の第三者」との関係において制限することにより、当該意思表示の有効なことを信頼して新たに利害関係を有するに至った者の地位を保護しようとする趣旨の規定であるから、右の第三者の範囲は、同条のかような立法趣旨に照らして合理的に画定されるべきであって、必ずしも、所有権その他の物権の転得者で、かつ、これにつき対抗要件を備えた者に限定しなければならない理由は、見出し難い。
 ところで、本件農地については、知事の許可がないかぎり所有権移転の効力を生じないが、さりとて本件売買契約はなんらの効力を有しないものではなく、特段の事情のないかぎり、売主であるAは、買主であるBのため、知事に対し所定の許可申請手続をなすべき義務を負い、もしその許可があつたときには所有権移転登記手続をなすべき義務を負うに至るのであり、これに対応して、買主は売主に対し、かような条件付の権利を取得し、かつ、この権利を所有権移転請求権保全の仮登記によって保全できると解すべきことは、当裁判所の判例の趣旨とするところである(昭和30年(オ)第995号同33年6月5日第1小法廷判決・民集12巻 9号1359頁、同33年(オ)第836号同35年10月11日第3小法廷判決・ 民集14巻12号2465頁、同39年(オ)第1397号同41年2月24日第1小法廷判決・裁判集民事82号559頁、同42年(オ)第30号同43年4月4日第1小法廷判決・裁判集民事90号887頁、同46年(オ)第213号同46年6月11日第2小法廷判決・裁判集民事103号117頁参照)。そうして、本件売渡担保契約により、Cは、Bが本件農地について取得した右の権利を譲り受け、仮登記移転の附記登記を経由したというのであり、これにつきAが承諾を与えた事実が確定されていない以上は、CがAに対し、直接、本件農地の買主としての権利主張をすることは許されないにしても(最高裁昭和29年(オ)第971号同30年9月29日第1小法廷判決・民集9巻10号1472頁、同37年(オ)第291号同38年9月3日第3小法廷判決・民集17巻8号885頁、同46年(オ)第213号同46年6月11日第2小法廷判決・ 裁判集民事103号117頁参照)、本件売渡担保契約は当事者間においては有効と解しうるのであつて、これにより、Cは、もし本件売買契約について農地法5条の許可がありBが本件農地の所有権を取得した場合には、その所有権を正当に転得することのできる地位を得たものということができる。
 そうすると、Cは、以上の意味において、本件売買契約から発生した法律関係について新たに利害関係を有するに至った者というべきであって、民法96条3項の第三者にあたると解するのが相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 20.0%

(H28 司法 第23問 イ)
Aは、Bとの間で、Aの所有する著名な陶芸家の銘が入った絵皿(以下「甲」という。)をBに300万円で売り、代金はBがCに支払うとの合意をした。AB間の売買契約が締結され、Cが受益の意思表示をした後、実は甲が贋作であることが判明し、BがAの詐欺を理由に売買契約を取り消した場合、CがAの詐欺について善意無過失であるときは、Bは詐欺取消しをCに対抗することができない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭49.9.26)は、96条3項の「第三者」の範囲は、同条の趣旨に照らして合理的に画定されるべきであり、物権の転得者でかつ、対抗要件を備えたものに限られず、契約から発生した法律関係について新たに利害関係を有するに至った者が「第三者」に当たる旨判示している。第三者のためにする契約から生じた受益者の受益権は、取り消される売買契約から直接発生した権利に過ぎない。したがって、第三者のためにする契約の受益者は、契約から発生した法律関係について新たに利害関係を有するに至った者とはいえず、「第三者」に当たらない。よって、Cは96条3項の「第三者」に当たらず、同項により保護されないため、Bは詐欺取消しをCに対抗することができる。


全体の正答率 : 20.0%

(H30 司法 第3問 ウ)
Aを欺罔してその農地を買い受けたBが、農地法上の許可を停止条件とする所有権移転の仮登記を得た上で、当該売買契約上の権利をCに譲渡して当該仮登記移転の付記登記をした場合には、Cは民法第96条第3項の「第三者」に当たる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭49.9.26)は、本肢と同種の事案において、「民法96条1項、3項は、詐欺による意思表示をした者に対し、その意思表示の取消権を与えることによって詐欺被害者の救済をはかるとともに、他方その取消の効果を「善意の第三者」との関係において制限することにより、当該意思表示の有効なことを信頼して新たに利害関係を有するに至った者の地位を保護しようとする趣旨の規定であるから、右の第三者の範囲は、同条のかような立法趣旨に照らして合理的に画定されるべきであって、必ずしも、所有権その他の物権の転得者で、かつ、これにつき対抗要件を備えた者に限定しなければならない理由は、見出し難い。」と判示した上で、「本件売渡担保契約は当事者間においては有効と解しうるのであつて、これにより、Cは、もし本件売買契約について農地法5条の許可がありBが本件農地の所有権を取得した場合には、その所有権を正当に転得することのできる地位を得たものということができる。…そうすると、Cは、以上の意味において、本件売買契約から発生した法律関係について新たに利害関係を有するに至った者というべきであって、民法96条3項の第三者にあたると解するのが相当である。」と判示している。したがって、本肢におけるCも、96条3項の「第三者」に当たる。

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