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契約各論(売買 555条~585条) - 解答モード
他人物売買の解除と買主の使用利益返還義務 最二小判昭和51年2月13日
概要
判例
判旨:「売買契約が解除された場合に、目的物の引渡を受けていた買主は、原状回復義務の内容として、解除までの間目的物を使用したことによる利益を売主に返還すべき義務を負うものであり、この理は、他人の権利の売買契約において、売主が目的物の所有権を取得して買主に移転することができず、民法561条の規定により該契約が解除された場合についても同様であると解すべきである。けだし、解除によつて売買契約が遡及的に効力を失う結果として、契約当事者に該契約に基づく給付がなかつたと同一の財産状態を回復させるためには、買主が引渡を受けた目的物を解除するまでの間に使用したことによる利益をも返還させる必要があるのであり、売主が、目的物につき使用権限を取得しえず、したがつて、買主から返還された使用利益を究極的には正当な権利者からの請求により保有しえないこととなる立場にあつたとしても、このことは右の結論を左右するものではないと解するのが、相当だからである。」
過去問・解説
(H28 司法 第24問 イ)
甲土地の売買契約がAを売主、Bを買主として締結され、AからBに甲土地の引渡しがされたが、甲土地がCの所有であった場合において、Aが甲土地の権利をCから取得してBに移転することができないことを理由にBが甲土地の売買契約を解除したときは、Bは、Aに対し、その解除までの間の甲土地の使用利益を返還しなければならない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭51.2.13)は、「売買契約が解除された場合に、目的物の引渡を受けていた買主は、原状回復義務の内容として、解除までの間目的物を使用したことによる利益を売主に返還すべき義務を負うものであり、この理は、他人の権利の売買契約において、売主が目的物の所有権を取得して買主に移転することができず、民法561条の規定により該契約が解除された場合についても同様であると解すべきである。けだし、解除によって売買契約が遡及的に効力を失う結果として、契約当事者に該契約に基づく給付がなかったと同一の財産状態を回復させるためには、買主が引渡を受けた目的物を解除するまでの間に使用したことによる利益をも返還させる必要がある」と判示している。
改正民法下における561条は、「他人の権利(権利の一部が他人に属する場合におけるその権利の一部を含む。)を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。」と定めるにとどまり、解除権の発生を認めていないが、売主が同条に定める義務を履行せず、あるいは履行不能となった場合には、541条、542条による解除が可能となる。そして、上記判例の理解は、改正民法下における、売主が561条が定める義務に違反した場合の541条、542条による解除の場合にも同様に妥当すると解されている。
したがって、Aが甲土地の権利をCから取得してBに移転することができないことを理由にBが甲土地の売買契約を解除したときは、Bは、Aに対し、その解除までの間の甲土地の使用利益を返還しなければならない。
手付契約の解釈 最三小判昭和24年10月4日
概要
判例
判旨:「違約の場合手附の没収又は倍返しをするという約束は民法の規定による解除の留保を少しも妨げるものではない。」
過去問・解説
(H20 司法 第21問 ア)
売主Xと買主Yとの間の売買契約において手付が交付された。XY間の売買契約書に、違約をした場合には手付の没収又は倍返しをするという約定があったとしても、それだけでは手付による解除を排除する意思表示があったとはいえない。
解約手付と主張立証責任 最一小判昭和29年1月21日
概要
判例
判旨:「売買の当事者間に手附が授受された場合において、特別の意思表示がない限り、民法557条に定めている効力、すなわちいわゆる解約手附としての効力を有するものと認むべきである。これと異る効力を有する手附であることを主張せんとする者は、前記特別の意思表示の存することを主張・立証すべき責任があると解するのが相当である。」
過去問・解説
(H20 司法 第21問 イ)
売主Xと買主Yとの間の売買契約において手付が交付された。Yが手付を放棄して売買契約を解除したと訴訟において主張するためには、YがXとの間で売買契約に付随して解約手付の趣旨で手付金を交付する合意をしたことを主張する必要がある。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭29.1.21)は、「売買の当事者間に手附が授受された場合において、特別の意思表示がない限り、民法557条に定めている効力、すなわちいわゆる解約手附としての効力を有するものと認むべきである。これと異る効力を有する手附であることを主張せんとする者は、前記特別の意思表示の存することを主張・立証すべき責任があると解するのが相当である。」と判示している。したがって、売主Xと買主Yとの間の売買契約において手付が交付されれば、当該手付はいわゆる解約手付(557条1項)と推定されるから、Yが手付を放棄して売買契約を解除したと訴訟において主張するためには、YがXとの間で売買契約に付随して解約手付の趣旨で手付金を交付する合意をしたことを主張する必要はない。
(H20 司法 第21問 エ)
売主Xと買主Yとの間の売買契約において手付が交付された。Xが手付による解除の抗弁を訴訟において主張する場合、Yは、XとYが解除権の留保をしない旨の合意をしたこと、又は、X若しくはYがXの解除の意思表示に先立ち履行に着手したことを再抗弁とすることができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭29.1.21)は、「売買の当事者間に手附が授受された場合において、特別の意思表示がない限り、民法557条に定めている効力、すなわちいわゆる解約手附としての効力を有するものと認むべきである。これと異る効力を有する手附であることを主張せんとする者は、前記特別の意思表示の存することを主張・立証すべき責任があると解するのが相当である。」と判示している。したがって、Xが手付による解除の抗弁を訴訟において主張する場合、Yは、XとYが解除権の留保をしない旨の合意をしたことを再抗弁とすることができる。よって、本肢前段は正しい。
一方、557条1項は、「買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。」と規定している。したがって、Yが再抗弁とすることができるのは、Y自身が解除の意思表示に先立ち履行に着手したことに限られ、Xが解除の意思表示に先立ち履行に着手したことを再抗弁とすることはできない。よって、本肢後段は誤っている。
解約手付と解除権 最大判昭和40年11月24日
概要
判例
判旨:「民法557条1項にいう履行の着手とは、債務の内容たる給付の実行に着手すること、すなわち、客観的に外部から認識し得るような形で履行行為の一部をなし又は履行の提供をするために欠くことのできない前提行為をした場合を指す…。」
過去問・解説
(H19 司法 第24問 2)
Aは、その所有する甲土地をBに売却する契約(以下「本契約」という。)を結び、BはAに手付を交付した。甲土地は乙土地の一部であったが、Aが乙土地から甲土地を分筆する登記手続をしたときは、Bは、本契約を手付により解除することはできない。
(H19 司法 第24問 4)
Aは、その所有する甲土地をBに売却する契約(以下「本契約」という。)を結び、BはAに手付を交付した。Aが本契約を結んだ翌日、甲土地の売却代金を購入代金に充てる資金計画の下で、Cの所有する土地をCから購入する契約を結んだ場合、Bは、本契約を手付により解除することはできない。
(正答)✕
(解説)
判例(最大判昭40.11.24)は、「民法557条1項にいう履行の着手とは、債務の内容たる給付の実行に着手すること、すなわち、客観的に外部から認識し得るような形で履行行為の一部をなし又は履行の提供をするために欠くことのできない前提行為をした場合を指す…。」と判示している。本肢においては、Aが本契約を結んだ翌日、甲土地の売却代金を購入代金に充てる資金計画の下で、Cの所有する土地をCから購入する契約を結んているところ、当該行為は、履行行為の一部を成す行為でも、履行の提供をするために書くことのできない前提行為でもない。したがって、Aの当該行為をもって、「履行に着手した」(557条1項ただし書)とはいえず、Bは、本契約を手付により解除することができる。
特定物の他人物売買契約の所有物の移転時期 大判大正8年7月5日
概要
判例
判旨:「他人ノ物ヲ自己ノ所有ニ属スルモノト誤信シ之ヲ第三者ニ売却シタル場合ハ民法第562条ニ規定セル売主カ契約ノ当時其売却シタル権利ノ自己ニ属セサルコトヲ知ラサリシ場合ニ該当スルカ故ニ同法第560条ニ従ヒ売主ハ其権利ヲ取得シテ之ヲ買主ニ移転スルノ義務ヲ有スルモノニシテ而テ其売買ノ目的タル物カ他人所有ノ特定物ナル場合ニ売主カ後日其物ノ所有権ヲ取得スルニ至リタルトキハ当事者ニ於テ更ニ何等ノ意思表示ヲ為スコトヲ要セス其物ハ当然直ニ買主ノ所有ニ帰スルモノトス蓋シ売買ニ因リテ所有権ヲ移転スルニハ売買契約ノ外尚所有権ノ移轂ヲ目的トスル物権契約ヲ締結スルコトヲ必要トスル法制ニ在リテハ叙上ノ場合ニ売主ハ更ニ買主ニ対シ所有権ヲ移轂スヘキ意思表示ヲ為スコトヲ要スルハ当然ナレトモ我民法ノ如ク特定物ニ関スル所有権ハ売買ノ意思表示ニ依リテ直ニ買主ニ移転スヘキ法制ノ下ニ在リテハ上記売買ノ目的タル第三者所有ノ特定物ノ所有権カ売主ニ帰属スルニ至リタルトキハ売買ノ効力ハ直ニ実現シ其物ノ所有権ハ何等ノ意思表示ヲ為スコトナク当然直ニ買主ニ移轂スル。」
過去問・解説
(H21 司法 第27問 エ)
Aが所有する甲不動産について、Bを売主とし、Cを買主とする売買契約が成立した。甲不動産の所有権は売買契約成立時にBからCに移転するが、BがAから所有権を取得することができないため売買契約が解除された場合は、甲不動産の所有権はCからAに直接復帰する。
特定物の他人物売買契約の所有物の移転時期 最二小判昭和40年11月19日
概要
判例
判旨:「AよりCへの本件物件の所有権…移転の時期、方法につき特段の約定ないし意思表示がない限り…、Bが昭和36年7月8日Aより本件物件の所有権を取得すると同時にCがBより本件物件の所有権を取得…するに至つたものと解すべきである(被控訴人の所有権取得につき、大審院大正8年(オ)第114号大正8年7月5日判決、民録25輯1258頁参照)。」
他人の権利の売主をその権利者が相続した場合と売主としての履行義務 最大判昭和49年9月4日
概要
判例
判旨:「他人の権利の売主が死亡し、その権利者において売主を相続した場合には、権利者は相続により売主の売買契約上の義務ないし地位を承継するが、そのために権利者自身が売買契約を締結したことになるものでないことはもちろん、これによつて売買の目的とされた権利が当然に買主に移転するものと解すべき根拠もない。また、権利者は、その権利により、相続人として承継した売主の履行義務を直ちに履行することができるが、他面において、権利者としてその権利の移転につき諾否の自由を保有しているのであつて、それが相続による売主の義務の承継という偶然の事由によつて左右されるべき理由はなく、また権利者がその権利の移転を拒否したからといつて買主が不測の不利益を受けるというわけでもない。それゆえ、権利者は、相続によつて売主の義務ないし地位を承継しても、相続前と同様その権利の移転につき諾否の自由を保有し、信義則に反すると認められるような特別の事情のないかぎり、右売買契約上の売主としての履行義務を拒否することができるものと解するのが、相当である。」
過去問・解説
(H29 司法 第27問 イ)
A所有の甲土地をBがCに対して売り渡す旨の契約が締結された場合において、Bが死亡し、AがBを単独で相続したときは、Aは、Cに対し、甲土地の売主としての履行を拒むことはできない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭49.9.4)は、 他人の権利の売主が死亡し、その権利者において当該売主を相続した場合には、当該権利者は相続により売主の売買契約上の義務ないし地位を承継するが、相続前と同様その権利の移転につき諾否の自由を保有するから、信義則に反すると認められるような特別の事情のないかぎり、履行義務を拒否することができる旨判示している。したがって、A所有の甲土地をBがCに対して売り渡す旨の契約が締結された場合において、Bが死亡し、AがBを単独で相続したときであっても、信義則に反すると認められるような特段の事情が見受けられない本肢においては、Aは、Cに対し、甲土地の売主としての履行を拒むことができる。
借地権付建物売買における土地の瑕疵担保責任は売主にあるか 最三小判平成3年4月2日
概要
判例
判旨:「建物とその敷地の賃借権とが売買の目的とされた場合において、右敷地についてその賃貸人において修繕義務を負担すべき欠陥が右売買契約当時に存したことがその後に判明したとしても、右売買の目的物に隠れた瑕疵があるということはできない。けだし、右の場合において、建物と共に売買の目的とされたものは、建物の敷地そのものではなく、その賃借権であるところ、敷地の面積の不足、敷地に関する法的規制又は賃貸借契約における使用方法の制限等の客観的事由によって賃借権が制約を受けて売買の目的を達することができないときは、建物と共に売買の目的とされた賃借権に瑕疵があると解する余地があるとしても、賃貸人の修繕義務の履行により補完されるべき敷地の欠陥については、賃貸人に対してその修繕を請求すべきものであって、右敷地の欠陥をもって賃貸人に対する債権としての賃借権の欠陥ということはできないから、買主が、売買によって取得した賃借人たる地位に基づいて、賃貸人に対して、右修繕義務の履行を請求し、あるいは賃貸借の目的物に隠れた瑕疵があるとして瑕疵担保責任を追求することは格別、売買の目的物に瑕疵があるということはできないのである。なお、右の理は、債権の売買において、債務の履行を最終的に担保する債務者の資力の欠如が債権の瑕疵に当たらず、売主が当然に債務の履行について担保責任を負担するものではないこと(民法569条参照)との対比からしても、明らかである。」
過去問・解説
(H28 司法 第24問 ウ)
建物とその敷地の賃借権とが売買契約の目的とされた場合には、敷地に欠陥があり、賃貸人がその欠陥について修繕義務を負担するときであっても、買主は、売主に対し、その欠陥が売買の目的物の隠れた瑕疵に該当することを理由として瑕疵担保責任を追及することができる。
数量指示売買において数量が多すぎた場合における代金増額請求の可否 最三小判平成13年11月27日
概要
判例
判旨:「民法565条にいういわゆる数量指示売買において数量が超過する場合、買主において超過部分の代金を追加して支払うとの趣旨の合意を認め得るときに売主が追加代金を請求し得ることはいうまでもない。しかしながら、同条は数量指示売買において数量が不足する場合又は物の一部が滅失していた場合における売主の担保責任を定めた規定にすぎないから、数量指示売買において数量が超過する場合に、同条の類推適用を根拠として売主が代金の増額を請求することはできないと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H18 司法 第1問 4)
数量指示売買において数量が多すぎた場合、売主は、民法の担保責任の規定の類推適用を根拠として代金増額を請求することはできない。
(H23 司法 第26問 4)
売買の目的物である土地の実際に有する数量を確保するため、売主が一定の面積を契約において表示し、かつ、この面積を基礎として代金が定められた売買において、実際の面積が超過する場合、売主は、契約締結時にその超過の事実を知らなかったときは、買主に対する意思表示により、超過した部分の割合に応じて代金の増額を請求することができる。
(H25 共通 第24問 ウ)
判例によれば、数量を指示してした土地の売買において数量が超過する場合には、売主は、数量が不足する場合の代金の減額に関する民法の規定の類推適用により、代金の増額を請求することができる。
譲渡する意思のない売買契約 最一小判昭和25年10月26日
概要
判例
判旨:「他人の物の売買にあっては、その目的物の所有者が売買成立当時からその物を他に譲渡する意思がなく、従って売主においてこれを取得し買主に移転することができないような場合であってもなおその売買契約は有効に成立するものといわなければならない。」
過去問・解説
(H21 司法 第27問 ア)
Aが所有する甲不動産について、Bを売主とし、Cを買主とする売買契約が成立した場合において、BC間の売買契約が成立した当時からAに甲不動産を他に譲渡する意思がなく、したがってBにおいて甲不動産を取得しCに移転することができないような場合であっても、なおその売買契約は有効に成立する。
目的物を引き渡した後の574条の適用 大判昭和2年12月27日
概要
判例
判旨:「民法第574条ハ代金支払ノ場所ニ付別段ノ定ナキ場合ノ規定ニシテ目的物ノ引渡ト同時ニ代金ヲ支払フヘキ関係カ猶現存スル場合ニ限リ其ノ適用アリ既ニ目的物ノ引渡ヲ了シタル後ニ於テハ其ノ適用ナキモノト解スルヲ正当トス。」
過去問・解説
(H26 共通 第23問 ア)
買主は、目的物の引渡しを先に受けた場合でも、目的物の引渡しを受けた場所において代金を支払わなければならない。
(正答)✕
(解説)
判例(大判昭2.12.27)は、574条は、代金支払の場所につき別段の定めがなく、かつ、目的物の引渡しと同時に代金を支払うべき関係が存在する場合に限って適用されるから、買主が目的物の引渡しを受けた後においては、同条は適用されない旨判示している。そうすると、買主が目的物の引渡しを先に受けた場合における買主の代金支払の場所については、一般原則である484条1項が適用されることになる。
そして、同項は、「弁済をすべき場所について別段の意思表示がないときは、特定物の引渡しは債権発生の時にその物が存在した場所において、その他の弁済は債権者の現在の住所において、それぞれしなければならない。」と規定しており、売買代金の支払は、同項における「その他の弁済」に当たる。したがって、買主が、目的物の引渡しを先に受けた場合には、目的物の引渡しを受けた場所ではなく、売主の現在の住所において、代金を支払わなければならない。
代金支払後の売主の果実収受権 大判昭和7年3月3日
概要
判例
判旨:「売主ヲシテ代金ノ利用ト果実ノ取得トノ二重ノ利益ヲ獲得セシムルカ如キハ其ノ法意ニ適合セサルモノト云フヘク従テ既ニ代金ノ支払ヲ受ケナカラ尚且引渡スヘキ目的物ヲ引渡サスシテ占有スル売主ハ其ノ目的物ヨリ生スル果実ヲ取得シ得サルモノト為スヲ以テ右法条ノ律意ニ副フモノト云フヘシ。」
過去問・解説
(H26 共通 第23問 イ)
売主は、目的物の引渡しを遅滞している場合でも、引渡しまでは、これを使用し果実を取得することができるが、買主が代金を支払った後は、果実を取得することはできない。
目的物の引渡しを遅滞している場合における果実収取権 大連判大正13年9月24日
概要
判例
判旨:「民法第575条第1項ニハ未タ引渡ササル売買ノ目的物カ果実ヲ生シタルトキハ其ノ果実ハ売主ニ属ストアリテ引渡ヲ為ササル事由ニ付何等ノ区別ヲ設ケサルノミナラス元来同条ハ売買ノ目的物ニ付其ノ引渡前ニ果実ヲ生シ若ハ売主カ目的物ヲ使用シタル場合ニ買主ヨリ売主ニ対シテ其ノ果実若ハ使用ノ対価ヲ請求スルコトヲ得セシムルトキハ売主ヨリ買主ニ対シテ目的物ノ管理及保存ニ要シタル費用ノ償還並代金ノ利息ヲ請求シ得ルコトトナリ相互間ニ錯雑ナル関係ヲ生スルニヨリ之ヲ避ケントスルノ趣旨ニ外ナラサルヲ以テ此ノ趣旨ヨリ推考スルモ同条ハ売買ノ目的物ノ引渡ニ付期限ノ定アリテ売主カ其ノ引渡ヲ遅滞シタルトキト雖其ノ引渡ヲ為ス迄ハ之ヲ使用シ且果実ヲ収得スルコトヲ得ヘキト同時ニ代金ノ支払ニ付期限ノ定アリテ買主カ其ノ支払ヲ遅滞シタルトキハ勿論同時履行ノ場合ニ於テ買主カ目的物ノ受領ヲ拒ミ遅滞ニ付セラレタルトキト雖目的物ノ引渡ヲ受クル迄ハ代金ノ利息ヲ支払フコトヲ要セサルモノト謂ハサルヘカラス。」