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民法 転付債権者・第三債務者間の債権債務の相殺適状は債務者・第三債務者間の債権債務の相殺適状より後に生じたが転付債権者の相殺の意思表示が第三債務者の相殺の意思表示より先にされた場合と相殺の優劣 最三小判昭和54年7月10日 - 解答モード
概要
転付債権者に転付された債務者の第三債務者に対する甲債権と第三債務者の転付債権者に対する乙債権との相殺適状が、甲債権と第三債務者の債務者に対する丙債権との相殺適状より後に生じた場合であっても、第三債務者が丙債権を自働債権とし甲債権を受働債権とする相殺の意思表示をするより先に、転付債権者の甲債権を自働債権、乙債権を受働債権とする相殺の意思表示により甲債権が消滅していた場合には、第三債務者による当該相殺の意思表示は、その効力を生じない。
判例
事案:転付債権者・第三債務者間の債権債務の相殺適状は債務者・第三債務者間の債権債務の相殺適状より後に生じたが、転付債権者の相殺の意思表示が第三債務者の相殺の意思表示より先にされた場合において、両相殺の優劣を、相殺適状の先後で判断するのか、相殺の意思表示の先後で判断するのかが問題となった。
判旨:「相殺適状は、原則として、相殺の意思表示がされたときに現存することを要するのであるから、いつたん相殺適状が生じていたとしても、相殺の意思表示がされる前に一方の債権が弁済、代物弁済、更改、相殺等の事由によって消滅していた場合には相殺は許されない(民法508条はその例外規定である。)、と解するのが相当である。また、債権が差し押さえられた場合において第三債務者が債務者に対して反対債権を有していたときは、その債権が差押後に取得されたものでない限り、右債権及び被差押債権の弁済期の前後を問わず、両者が相殺適状になりさえすれば、第三債務者は、差押後においても右反対債権を自働債権とし被差押債権を受働債権として相殺することができるわけであるけれども、そのことによって、第三債務者が右の相殺の意思表示をするまでは、転付債権者が転付命令によって委付された債権を自働債権とし、第三債務者に対して負担する債務を受働債権として相殺する権能が妨げられるべきいわれはない。
したがつて、本件において、上告人の相殺の意思表示が被上告人のそれより先にされたものであつても、上告人の主張にかかる両債権が相殺適状となった時期が被上告人の主張にかかる両債権が相殺適状となった時期より後のことであるから上告人主張の相殺の自働債権はさかのぼって消滅したこととなるとして、結局、上告人の相殺の抗弁を排斥した原判決は、民法505条、506条の解釈適用を誤ったものというべきであ…る。」
判旨:「相殺適状は、原則として、相殺の意思表示がされたときに現存することを要するのであるから、いつたん相殺適状が生じていたとしても、相殺の意思表示がされる前に一方の債権が弁済、代物弁済、更改、相殺等の事由によって消滅していた場合には相殺は許されない(民法508条はその例外規定である。)、と解するのが相当である。また、債権が差し押さえられた場合において第三債務者が債務者に対して反対債権を有していたときは、その債権が差押後に取得されたものでない限り、右債権及び被差押債権の弁済期の前後を問わず、両者が相殺適状になりさえすれば、第三債務者は、差押後においても右反対債権を自働債権とし被差押債権を受働債権として相殺することができるわけであるけれども、そのことによって、第三債務者が右の相殺の意思表示をするまでは、転付債権者が転付命令によって委付された債権を自働債権とし、第三債務者に対して負担する債務を受働債権として相殺する権能が妨げられるべきいわれはない。
したがつて、本件において、上告人の相殺の意思表示が被上告人のそれより先にされたものであつても、上告人の主張にかかる両債権が相殺適状となった時期が被上告人の主張にかかる両債権が相殺適状となった時期より後のことであるから上告人主張の相殺の自働債権はさかのぼって消滅したこととなるとして、結局、上告人の相殺の抗弁を排斥した原判決は、民法505条、506条の解釈適用を誤ったものというべきであ…る。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%
(R3 共通 第21問 ア)
AのBに対する金銭債権(以下「甲債権」という。)とBのAに対する金銭債権(以下「乙債権」という。)がある。甲債権と乙債権の両方の弁済期が到来した後、甲債権がAからCに譲渡され、その対抗要件が具備された。この場合において、Bは、CがBのCに対する金銭債権(丙債権)と甲債権とを相殺した後であっても、乙債権と甲債権との相殺をもってCに対抗することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭54.7.10)は、本肢と同種の事案において、転付債権者に転付された債務者の第三債務者に対する甲債権と第三債務者の転付債権者に対する乙債権との相殺適状が、甲債権と第三債務者の債務者に対する丙債権との相殺適状より後に生じた場合であっても、第三債務者が丙債権を自働債権とし甲債権を受働債権とする相殺の意思表示をするより先に、転付債権者の甲債権を自働債権、乙債権を受働債権とする相殺の意思表示により甲債権が消滅していた場合には、第三債務者による当該相殺の意思表示は、その効力を生じない旨判示している。本肢においても、甲債権と乙債権の両方の弁済期が到来した後、甲債権がAからCに譲渡され、その対抗要件が具備された場合において、Bは、CがBのCに対する金銭債権(丙債権)と甲債権とを相殺した後は、乙債権と甲債権との相殺をもってCに対抗することができない。