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窃盗の罪(不法領得の意思) - 解答モード

不法領得の意思 大判大正9年2月4日

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概要
他人の自転車を一時使用するに止まらず、終局的に被害者の所持を奪い事実上自己の完全なる支配に移し、これを使用処分して所有者を排除する意思があるときは不正領得の意思があるものとする。
判例
事案:とめられていた自転車を無断で使用し乗り捨てたという事案において、不法領得の意思が認められるかが問題となった。

判旨:「窃盗罪ノ成立ニハ他人ノ財物ニ付キ不正領得ノ意思ヲ以テ其所持ヲ侵シ之ヲ自己ノ所持ニ移スコトヲ必要トスルカ故ニ単ニ一時使用ノ為メニ之ヲ自己ノ所持ニ移スカ如キハ窃盗罪ヲ構成セサルモノトス
 他人ノ自転車ヲ一時使用スルニ止マラスシテ終局的ニ被害者ノ所持ヲ奪ヒ事実上自己ノ完全ナル支配ニ移シ之ヲ使用処分シテ自ラ所有者ノ実ヲ挙クル意思アルトキハ即チ不正領得ノ意思アルモノトス」
過去問・解説

(H22 司法 第7問 3)
「駅に行く必要があったので、約30分ほどこの自転車に乗り、駅に着いたら駅前に乗り捨てるつもりだった。」と供述する甲に、窃盗罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(大判大9.2.4)は、本肢と同種の事案において、「他人ノ自転車ヲ一時使用スルニ止マラスシテ終局的ニ被害者ノ所持ヲ奪ヒ事実上自己ノ完全ナル支配ニ移シ之ヲ使用処分シテ自ラ所有者ノ実ヲ挙クル意思アルトキハ即チ不正領得ノ意思アルモノトス」として、被害者の占有を終局的に奪い、自らが所有者のように支配した場合に、窃盗罪の成立を認めている。
したがって、自転車に30分ほど乗って捨てるつもりであった甲には、窃盗罪が成立する。

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窃盗罪の成否(不正領得の意思) 最二小判昭和26年7月13日

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概要
窃盗罪の成立に必要な不正領得の意思とは、権利者を排除し他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従いこれを利用し又は処分する意思をいうのであって、永久的にその物の経済的利益を保持する意思であることを必要としない。
判例
事案:強盗犯が犯行後追跡されて陸地から船で逃走しようと企て、海岸に繋留してあった他人所有の肥料船に乗り込み、該船が対岸に着けば当然その場にこれを乗り捨てる意思をもって岸から約半丁位の海上まで漕ぎ出したという事案において、不法領得の意思が認められるかが問題となった。

判旨:「原判決が本件窃盗の事実として確定したところは、本件強盗傷人の犯行後被告人等は追跡せられ一旦陸に上って逃走したが、更に陸地から船で逃走しようと企て、判示場所に繋留してあった判示V所有の肥料船一艘に乗り込み岸から約半丁位の海上まで漕ぎ出したというのであるから、右事実自体によって、たとえ短時間であっても、被告人等が右肥料船に対するVの所持を侵し該船を自己の所持に移したものであることは明白であるばかりでなく、更に挙示の証拠によれば被告人等は右肥料船が対岸に着けば当然その場にこれを乗り捨てる意思であったことが認められるのである。そもそも、刑法上窃盗罪の成立に必要な不正領得の意思とは、権利者を排除し他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従いこれを利用し又は処分する意思をいうのであって、永久的にその物の経済的利益を保持する意思であることを必要としないのであるから、被告人等が対岸に該船を乗り捨てる意思で前記肥料船に対するVの所持を奪った以上、一時的にも該船の権利者を排除し終局的に自ら該船に対する完全な支配を取得して所有者と同様の実を挙げる意思即ち右にいわゆる不正領得の意思がなかったという訳にはゆかない。これを要するに、原判決の摘示事実及びこれが証拠によって、被告人に本件窃盗罪の成立に必要な不正領得の意思のあったことが認め得るから、原判決には所論のような理由不備等の違法はなく、論旨は採用し得ない。」
過去問・解説

(H19 司法 第17問 エ)
銀行強盗の犯人が、犯行後逃走しようとし、銀行前の駐車場に止めてあった他人所有の自動車に乗り込み、適当な場所まで逃走した後は乗り捨てるか、あるいは崖下等に転落させる意思で、同自動車を運転してその場から走り去った行為に窃盗罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭26.7.13)は、「窃盗罪の成立に必要な不正領得の意思とは、権利者を排除し他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従いこれを利用し又は処分する意思をいうのであって、永久的にその物の経済的利益を保持する意思であることを必要としない…。」としている。
したがって、適当な場所まで逃走した後は乗り捨てるか、あるいは崖下等に転落させる意思であったとしても、権利者を排除し他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従いこれを利用し又は処分する意思としての不法領得の意思は否定されず、窃盗罪が成立する。

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不法領得の意思 最二小決昭和55年10月30日

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概要
他人所有の普通乗用自動車を、数時間にわたって完全に自己の支配下に置く意図のもとに、駐車場から所有者に無断で乗り出し、その後約4時間余りの間乗り廻していたなどの事情があるときは、たとえ、使用後に元の場所に戻しておくつもりであったとしても、右自動車に対する不法領得の意思があったということができる。
判例
事案:使用後に元の場所に戻しておくつもりはあったが、他人所有の普通乗用自動車を、数時間にわたって完全に自己の支配下に置く意図のもと、駐車場から所有者に無断で乗り出し、その後約4時間余りの間乗り廻していたという事案において、不法領得の意思が認められるかが問題となった。

判旨:「被告人は、深夜、a市内の給油所の駐車場から、他人所有の普通乗用自動車(時価約250万円相当)を、数時間にわたって完全に自己の支配下に置く意図のもとに、所有者に無断で乗り出し、その後4時間余りの間、同市内を乗り廻していたというのであるから、たとえ、使用後に、これを元の場所に戻しておくつもりであったとしても、被告人には右自動車に対する不正領得の意思があったというべきである(最高裁昭和42年(あ)第2478号同43年9月17日第三小法廷決定・裁判集168号691頁参照)。」
過去問・解説

(H28 共通 第16問 1)
甲は、警察官から職務質問をされそうになったのでその場から急いで立ち去ろうと考え、たまたま路上に駐車されていた他人所有の自動車に乗り込み、適当な場所で乗り捨てるつもりで、同自動車を運転してその場から走り去った。この場合、甲には、不法領得の意思が認められ、窃盗罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(大判大9.2.4)は、本肢と同種の事案において、「他人ノ自転車ヲ一時使用スルニ止マラスシテ終局的ニ被害者ノ所持ヲ奪ヒ事実上自己ノ完全ナル支配ニ移シ之ヲ使用処分シテ自ラ所有者ノ実ヲ挙クル意思アルトキハ即チ不正領得ノ意思アルモノトス」として、被害者の占有を終局的に奪い、自らが所有者のように支配した場合に、窃盗罪の成立を認めている。
したがって、他人所有の自動車に乗り込み、適当な場所で乗り捨てるつもりで、運転してその場から走り去った場合であっても、不法領得の意思は認められ、甲に窃盗罪が成立する。

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不法領得の意思 大判大正4年5月21日

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概要
窃盗罪の成立に必要な故意とは、法定の犯罪構成要件たる事実に対する認識の他、不法にものを自己に領得する意思があることを必要とする。そして、不法領得の意思とは、権利者を排除して他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従いこれを利用若しくは処分する意思である。
判例
事案:窃盗の成立のために、不法領得の意思が必要であるかが問題となった。

判旨:「窃盗罪ノ成立ニ必要ナル故意アリトスルニハ法定ノ犯罪構成要件タル事実ニ対スル認識ノ外尚ホ不法ニ物ヲ自己ニ領得スルノ意思アルコトヲ要スルモノトス
 領得ノ意思トハ権利者ヲ排除シテ他人ノ物ヲ自己ノ所有物トシテソノ経済的用法ニ従イ之ヲ利用若シクハ処分スルノ意思ニ外ナラズ」
過去問・解説

(R2 共通 第20問 ア)
甲は、某所公園内において、ベンチ上に置いてあるバッグ1個を発見し、誰かが置き忘れたものと考え、警察に届け出るため、これを手に取り、同公園から路上に出た。甲の行為は、Vによる占有の回復を困難にする行為であるため、窃盗罪又は占有離脱物横領罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(大判大4.5.21)は、窃盗の事案において、「窃盗罪ノ成立ニ必要ナル故意アリトスルニハ法定ノ犯罪構成要件タル事実ニ対スル認識ノ外尚ホ不法ニ物ヲ自己ニ領得スルノ意思アルコトヲ要スルモノトス」として、窃盗罪の成立には故意に加えて不法領得の意思が必要であるとした上で、「領得ノ意思トハ権利者ヲ排除シテ他人ノ物ヲ自己ノ所有物トシテソノ経済的用法ニ従イ之ヲ利用若シクハ処分スルノ意思ニ外ナラズ」として、窃盗罪の成立には不法領得の意思が必要であることを示している。
甲は、警察に届けるためにバッグを手にとったのであるから、不法領得の意思が認められない。
したがって、甲に窃盗罪又は占有離脱物横領罪は成立しない。

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