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窃盗の罪(実行行為) - 解答モード

窃盗罪の成否(郵便物) 大判明治45年4月26日

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概要
郵便集配人は配達中に係る郵便物自体については事実上の支配があるものと認められるが、郵便物の中身は依然他人の占有に存するとして、その中身を奪取する行為は横領罪ではなく窃盗罪が成立する。
判例
事案:郵便集配人が、その配達中に係る郵便物の中身を窃取した事案において、横領罪又は窃盗罪のいずれが成立するかが問題となった。

判旨:「郵便集配人ハ其配達中ニ係ル郵便物自体ニ付テハ事実上ノ支配アルヘキモ封入ノ物件ハ依然他人ノ占有内ニ存スルモノナルヲ以テ其物件ヲ奪取シタル所為ハ横領罪ニ非スシテ窃盗罪ヲ構成スヘキモノトス」
過去問・解説

(H25 司法 第4問 エ)
甲は、乙から鍵の掛かった乙の手提げ金庫を預かって保管していたが、同金庫の在中物を自分のものにしようと考え、同金庫を破壊し、中に入っていた乙の宝石を取り出し、第三者に売却した。甲に窃盗罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(大判明45.4.26)は、郵便集配人が、その配達中に係る郵便物の中身を奪取した事案において、「郵便集配人ハ其配達中ニ係ル郵便物自体ニ付テハ事実上ノ支配アルヘキモ封入ノ物件ハ依然他人ノ占有内ニ存スルモノナルヲ以テ其物件ヲ奪取シタル所為ハ横領罪ニ非スシテ窃盗罪ヲ構成スヘキモノトス」として、郵便物の中身の奪取は横領罪ではなく窃盗罪を構成することを示している。
したがって、中に入っていた乙の宝石は乙の占有下にあったといえ、これを取り出し売却した甲の行為には、窃盗罪が成立する。


(H30 共通 第8問 ウ)
甲が、乙から封かんされた現金20万円入りの封筒を渡されてそれを丙に届けるように依頼されたが、丙方に向かう途中で封筒内の現金が欲しくなり、封を開いて封筒に入っていた現金のうち5万円を取り出してこれを自己のものとし、残りの現金が入った封筒を丙に交付した場合、取り出した5万円について窃盗罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(大判明45.4.26)は、郵便集配人が、その配達中に係る郵便物の中身を奪取した事案において、「郵便集配人ハ其配達中ニ係ル郵便物自体ニ付テハ事実上ノ支配アルヘキモ封入ノ物件ハ依然他人ノ占有内ニ存スルモノナルヲ以テ其物件ヲ奪取シタル所為ハ横領罪ニ非スシテ窃盗罪ヲ構成スヘキモノトス」として、郵便物の中身の奪取は横領罪ではなく窃盗罪を構成することを示している。
そうすると、封かんされた現金20万円入りの封筒全体の占有は委託された甲にあるが、内容物の現金は委託者乙に占有があり、甲が封かんされた封筒内から現金5万円を抜き出して自己のものとし、残りの現金が入った封筒を丙に交付する行為は窃盗罪の実行行為に当たる。
したがって、甲に窃盗罪が成立する。

該当する過去問がありません

窃盗罪及び業務上横領罪の成否 大判大正7年2月6日

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概要
従業員が雇い主の居宅において雇い主の物品を販売する場合、その物品は雇い主の占有に属し、従業員の占有に属するものではないから、従業員が雇い主の占有を犯すときは横領罪ではなく、窃盗罪が成立する。
判例
事案:店員が商店主の指示に基づき、単に商品の管理を機械的に補助・監視していた場合において、店員が商品を領得したという事案において、商品の占有が誰に帰属しているかが問題となった。

判旨:「雇人カ雇主ノ居宅ニ於テ雇主ノ物品ヲ販売スル場合ニ於テハ其物品ハ雇主ノ占有ニ属シ雇人ノ占有ニ属スルモノニ非ス従テ雇人カ雇主ノ右占有ヲ侵ストキハ窃盗罪ヲ成立シ横領罪ヲ以テ論スヘキモノニ非ス」
過去問・解説

(H24 共通 第1問 1)
甲の罪責について判例の立場に従って検討した場合、甲に窃盗罪が成立するか。
甲は、コンビニエンスストアでレジ係のアルバイトをしていたが、店長の乙が短時間外出していた間に、商品棚からたばこ1カートンを取り出して自分のバッグに入れ、アルバイト終了後店外へ持ち出し、これを自分のものにした。

(正答)

(解説)
判例(大判大7.2.6)は、「雇人カ雇主ノ居宅ニ於テ雇主ノ物品ヲ販売スル場合ニ於テハ其物品ハ雇主ノ占有ニ属シ雇人ノ占有ニ属スルモノニ非ス従テ雇人カ雇主ノ右占有ヲ侵ストキハ窃盗罪ヲ成立シ横領罪ヲ以テ論スヘキモノニ非ス」として、店で販売している商品の占有は雇い主の占有に属することを示している。
店長である乙は短時間の外出をしていたにとどまるから、たばこの占有は乙に認められ、甲に窃盗罪が成立する。


(R3 予備 第8問 2)
スーパーマーケットでレジ係のアルバイトをしていた者が、担当するレジ内の売上金を自己の遊興費として費消するため、店長に無断で、同レジ内から売上金を取り出し、自己のバッグに入れて店外に持ち出した場合、当該行為は、他人の占有ではなく、その所有権を侵害する行為であるから、業務上横領罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(大判大7.2.6)は、「雇人カ雇主ノ居宅ニ於テ雇主ノ物品ヲ販売スル場合ニ於テハ其物品ハ雇主ノ占有ニ属シ雇人ノ占有ニ属スルモノニ非ス従テ雇人カ雇主ノ右占有ヲ侵ストキハ窃盗罪ヲ成立シ横領罪ヲ以テ論スヘキモノニ非ス」として、店で販売している商品の占有は雇い主の占有に属することを示している。
したがって、店長にレジ内の売上金の占有が認められることになるから、甲には業務上横領罪ではなく窃盗罪が成立する。

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窃盗罪の実行の着手時期 大判大正8年4月4日

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概要
被告が領得した物件は所有者甲の事実上の支配を離脱したが甲が宿泊する旅館主乙の事実上の支配が及ぶ当該旅館屋内の便所にあり、乙がこのことを知っているか問わず当然乙の支配内に属するものとして、窃盗罪の成立を認めた。
判例
事案:旅館内に置き忘れられた財物を窃取したという事案において、窃盗罪の実行の着手が認められるかが問題となった。

判旨:「被告ノ領得シタル物件ハ所有者甲ノ事実上ノ支配ヲ離脱シタルモ甲ノ宿泊セル旅館主乙ノ事実上ノ支配ノ及フ該旅館屋内ノ便所ニ現在セルモノナルトキハ乙カ右事実ヲ認知セルト否トヲ問ハス当然乙ノ支配内ニ属スルヲ以テ遺失物ヲ以テ論スルヲ得ス」
過去問・解説

(H24 共通 第1問 2)
甲に窃盗罪が成立するか。
甲は、旅館に宿泊した際、旅館内にある共同浴場の脱衣場で、他の宿泊客が置き忘れた時計を見付けたので、脱衣場から持ち出し、これを自分のものにした。

(正答)

(解説)
判例(大判大8.4.4)は、本肢と同種の事案において、「被告ノ領得シタル物件ハ所有者甲ノ事実上ノ支配ヲ離脱シタルモ甲ノ宿泊セル旅館主乙ノ事実上ノ支配ノ及フ該旅館屋内ノ便所ニ現在セルモノナルトキハ乙カ右事実ヲ認知セルト否トヲ問ハス当然乙ノ支配内ニ属スルヲ以テ遺失物ヲ以テ論スルヲ得ス」として、客が旅館に置き忘れた物品の占有は旅館主にあることを示している。
他の宿泊客が旅館内にある共同浴場の脱衣場で時計を置き忘れていたとしても、当該時計には旅館主の占有が認められ、遺失物には当たらず、これを脱衣場から持ち出すことは窃盗罪の実行行為に当たる。
したがって、甲には窃盗罪が成立する。

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窃盗罪の実行の着手時期 大判大正13年3月28日

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概要
被害者の死亡と無関係の第三者が死者から財物を領得するという事案について、犯人の致死行為と第三者の領得行為を全体として一体のものとして評価することはできないから窃盗罪は成立せず、占有離脱物横領罪が成立するにとどまる。
判例
事案:関東大震災による火災で死亡した焼死体から現金を領得したという事案において、死者の占有が認められるかが問題となった。

要旨:犯人の致死行為と第三者の領得行為を全体として一体のものとして評価することはできないから窃盗罪は成立せず、占有離脱物横領罪が成立するにとどまる
(※原文を確認できないため、要旨のみを掲載)
過去問・解説

(H24 共通 第1問 3)
甲は、深夜、路上を歩いていたところ、見知らぬ乙と丙が殴り合いのけんかをしていたので、これを見ていると、乙がナイフを取り出して丙を刺し殺した。甲は、乙が走り去った直後、死亡した丙の上着のポケット内に入っていた現金入りの財布を持ち去り、これを自分のものにした。この場合、甲に窃盗罪が成立するか。

(正答)

(解説)
判例(大判大13.3.28)は、被害者の死亡と無関係の第三者が死者から財物を領得したという事案において、犯人の致死行為と第三者の領得行為を全体として一体のものとして評価することはできないから窃盗罪は成立せず、占有離脱物横領罪が成立するにとどまることを判断している。
甲は、見知らぬ乙と丙のけんかを見ていただけであって、乙の丙殺害には関与しておらず、乙の致死行為と甲の領得行為は全体として一体のものとして評価することはできない。
したがって、甲には窃盗罪ではなく占有離脱物横領罪が成立するにとどまる。

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窃盗罪の成否(宿泊客と丹前) 最一小決昭和31年1月19日

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概要
旅館の宿泊客が、普通に旅舘が旅客に提供するその所有の丹前、浴衣を着、帯をしめ、下駄を履いたままの状態で外出しても、その丹前等の占有は所有者である旅舘に存する。
判例
事案:宿泊客が旅館の丹前等を着用したまま立ち去ったという事案において、窃盗罪の成否が問題となった。

判旨:「本件のように被告人が旅舘に宿泊し、普通に旅舘が旅客に提供するその所有の丹前、浴衣を着、帯をしめ、下駄をはいたままの状態で外出しても、その丹前等の所持は所有者である旅舘に存するものと解するを相当とする…。」
過去問・解説

(H26 共通 第2問 1)
宿泊客が、旅館の貸与した浴衣を自分のものにしようと考え、これを着用したまま、玄関にいた支配人に「ちょっと向かいのポストまで手紙を出してくる。」と告げ、支配人に「いってらっしゃいませ。」と言われて旅館を立ち去った行為には、窃盗罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最決昭31.1.19)は、本肢と同種の事案において、「被告人が旅舘に宿泊し、普通に旅舘が旅客に提供するその所有の丹前、浴衣を着、帯をしめ、下駄をはいたままの状態で外出しても、その丹前等の所持は所有者である旅舘に存する…。」として、窃盗罪の成立を認めている。
したがって、宿泊客が、浴衣を自分のものにしようと考え、これを着用したまま旅館を立ち去った行為に窃盗罪が成立する。

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窃盗罪の成否(善意の第三者が売却搬出) 最三小判昭和31年7月3日

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概要
他人の所有管理にかかる物件につき、管理処分権なき者が、不法領得の意思をもってあたかも自己の所有物の如く装いこれを善意の第三者に売却搬出させた行為は、窃盗罪の間接正犯を構成する。
判例
事案:他人の管理する物を鉄くずとして善意の第三者である業者に買い取らせ、搬出させた事案において、窃盗罪の間接正犯の成否が問題となった。

判旨:「本件ドラグライン1基につき、何等管理処分権なき被告人が他人と売買契約を締結しても、ただそれだけの事実に止まるならば、所論の如く、被告人に窃盗罪の成立を認めることはできないけれども、…情を知らないAに、自己に処分権がある如く装い、屑鉄として、解体運搬費等を差引いた価額、即ち、買主において解体の上これを引き取る約定で売却し、その翌日頃右Aは情を知らない古鉄回収業Bに右物件を前同様古鉄として売却し、同人において、その翌日頃から数日を要して、ガス切断等の方法により、解体の上順次搬出したものであることが明らかであるから、右解体搬出された物件につき被告人は窃盗罪の刑事責任を免れることはできない…。」
過去問・解説

(H21 司法 第4問 2)
甲は、乙所有の材木を自己の所有物であると偽って情を知らない丙に売却し、丙は、乙の材木置場から当該材木を搬出した。この場合、情を知らないことにつき丙に過失があったとしても、甲は窃盗罪の正犯となる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭31.7.3)は、本肢と同種の事案において、「解体搬出された物件につき被告人は窃盗罪の刑事責任を免れることはできない…。」として、窃盗罪の成立を認めている。
甲は、乙所有の材木を自己の所有物であると偽って、事情を知らない丙に売却し、丙を道具として利用し、丙をして、乙の材木置場から当該材木を搬出させている。
そして、丙に、情を知らないことにつき過失があったとしても間接正犯は成立しうる。
したがって、甲には、窃盗罪の間接正犯が成立する。


(H28 共通 第17問 5)
甲は、乙所有の建材を自己の所有物であると偽って、事情を知らない丙に売却し、丙をして、乙の建材置場から当該建材を搬出させた。窃盗罪の間接正犯が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭31.7.3)は、本肢と同種の事案において、「解体搬出された物件につき被告人は窃盗罪の刑事責任を免れることはできない…。」として、窃盗罪の成立を認めている。
甲は、乙所有の建材を自己の所有物であると偽って、事情を知らない丙に売却し、丙を道具として利用し、丙をして、乙の建材置場から当該建材を搬出させている。
したがって、甲には、窃盗罪の間接正犯が成立する。


(R2 共通 第1問 5)
甲は、Xが管理する工事現場に保管されている同人所有の機械を、同人に成り済まして、甲をXであると誤信した中古機械買取業者Yに売却し、同人に同機械を同所から搬出させた。この場合、甲に、Xに対する窃盗罪の間接正犯が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭31.7.3)は、本肢と同種の事案において、「解体搬出された物件につき被告人は窃盗罪の刑事責任を免れることはできない…。」として、窃盗罪の成立を認めている。
甲は、X所有の機械をXに成りすますことで、自己の所有物であると偽って、甲をXであると誤信したYに売却し、Yを道具として利用し、Yをして、Xの管理する工事現場から当該機械を搬出させている。
したがって、甲には、窃盗罪の間接正犯が成立する。

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窃盗罪の成否(キャリーバック内の荷物) 最一小決昭和32年4月25日

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概要
被告人が他人からその所有の衣類在中の縄掛け梱包した行李1個を預り保管していたような場合は、所有者たる他人は行李在中の衣類に対しその所持を失うものでないから、被告人が他から金借する質種に供する目的で擅に梱包を解き右行李から衣類を取り出したときは、衣類の窃盗罪を構成し横領罪を構成しない。
判例
事案:他人からその所有の衣類在中の縄掛け梱包した行李を預かり保管中質種に供する目的で梱包を解き行李から衣類を取り出したという事案において、窃盗罪と横領罪のいずれが成立するかが問題となった。

判旨:「本件のごとく被告人が他人からその所有の衣類在中の縄掛け梱包した行李1個を預り保管していたような場合は、所有者たる他人は行李在中の衣類に対しその所持を失うものでないから、被告人が他から金借する質種に供する目的で擅に梱包を解き右行李から衣類を取出したときは、衣類の窃盗罪を構成し横領罪を構成しない。」
過去問・解説

(H26 共通 第2問 4)
施錠された友人所有のキャリーバッグを同人から預かり保管していた者が、在中する衣類を自分のものにしようと考え、友人に無断でキャリーバッグの施錠を解き、同衣類を取り出した行為には、窃盗罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最決昭32.4.25)は、本肢と同種の事案において、「所有者たる他人は行李在中の衣類に対しその所持を失うものでないから、被告人が他から金借する質種に供する目的で擅に梱包を解き右行李から衣類を取出したときは、衣類の窃盗罪を構成し横領罪を構成しない…。」として、内容物の奪取が窃盗罪を構成することを示している。
したがって、キャリーバッグについて、自分のものにしようと無断で施錠を解き、衣類を取り出した場合、友人の占有に属する内容物たる衣類を自己のもとへ占有を移転しているといえ、窃盗罪が成立する。


(R2 共通 第2問 1)
甲は、乙からの委託に基づき、同人所有の衣類が入った、施錠されていたスーツケース1個を預かり保管していたところ、衣類を古着屋に売却して自己の遊興費を得ようと考え、勝手に開錠し、中から衣類を取り出した。この場合、遅くとも衣類を取り出した時点で不法領得の意思の発現と認められる外部的行為があったといえるから、甲には、横領罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最決昭32.4.25)は、本肢と同種の事案において、「所有者たる他人は行李在中の衣類に対しその所持を失うものでないから、被告人が他から金借する質種に供する目的で擅に梱包を解き右行李から衣類を取出したときは、衣類の窃盗罪を構成し横領罪を構成しない…。」として、内容物の奪取が窃盗罪を構成することを示している。
甲は、売却して自己の遊興費を得ようと無断でスーツケースの施錠を解き、衣類を取り出しているから、乙の占有に属する内容物たる衣類を自己のもとへ占有を移転しているといえ、甲に窃盗罪が成立する。

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窃盗罪の成否 最一小判昭和33年4月17日

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概要
市議会議員選挙に際し、特定の候補者に当選を得させるため、後日その候補者の氏名を記入して投票中に混入し投票数を増加する目的をもって、投票所管理者の保管する市選挙管理委員会所有の市議会議員選挙を投票用紙をひそかに持ち出したときは、不法領得の意思がないとはいえず、窃盗罪を構成する。
判例
事案:市議会議員選挙に際し、特定の候補者を当選させるため、後日その候補者の氏名を記入して投票中に混入し投票数を増加する目的をもって、投票所管理者の保管する市選挙管理委員会所有にかかる市議会議員選挙を投票用紙をひそかに持ち出したという事案において、不法領得の意思が認められるかが問題となった。

判旨:「投票用紙は所有権の客体となるものであるこというまでもないし、また、被告人甲、同乙の両名は、権利者を排除して徳島市選挙管理委員会所有の投票用紙を恰も自己の所有物のごとくこれを同用紙として利用する意思であったこと明らかであるから、同被告人等は、不法領得の意思なしというを得ない。」
過去問・解説

(H19 司法 第17問 ア)
市議会議員選挙に際し、特定の候補者を当選させるため、後日その候補者の氏名を記載して投票の中に混入し同候補者の得票数を増加させる目的をもって、投票所管理者の保管する市議会議員選挙の投票用紙を持ち出した行為に窃盗罪が成立するか。

(正答)

(解説)
判例(最判昭33.4.17)は、本肢と同種の事案において、「投票用紙は所有権の客体となるものであるこというまでもないし、また、被告人甲、同乙の両名は、権利者を排除して徳島市選挙管理委員会所有の投票用紙を恰も自己の所有物のごとくこれを同用紙として利用する意思であったこと明らかであるから、同被告人等は、不法領得の意思なしというを得ない。」として、不法領得の意思を認め、窃盗罪が成立するとしている。

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窃盗罪の成否(自動支払機) 東京高判昭和55年3月3日

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概要
他人のキャッシュカードを窃取することと、窃取したキャッシュカードを用いて銀行の現金自動預払機から預金を引き出す行為は別個の法益を侵害しそれぞれの行為に窃盗罪が成立し、両者は併合罪の関係になる。
判例
事案:他人のキャッシュカードを窃取した後、窃取したキャッシュカードを用いて銀行の現金自動預払機から預金を引き出した事案において、預金引き出し行為に新たに窃盗罪が成立するかが問題となった。

判旨:「被告人は、…各預金払戻用キャッシュカード(以下、『カード』という)を窃取した後、その被害者らが友人でカードの暗証番号を知っていたことから、ひそかに、…管理者の意に反して、原判示のとおりB銀行α支店設置の自動支払機カード入口に右窃取したカードをそれぞれ差し込み、同支払機の各暗証番号を押して現金を出させ、これを自己の支配下においたものであることが認められるから、被告人の欺罔により被害者の誤信による現金の交付があったものではなく、被告人が、カードを利用して、同支払機の管理者の意思に反し、同人不知の間に、その支配を排除して、同支払機の現金を自己の支配下に移したものであって、このように窃盗犯人が賍物たるカードを用いて第三者たる右管理者の管理する現金を窃取した場合には、賍物についての事実上の処分行為をしたにとどまる場合と異なり、…管理者に対する関係において、新たな法益侵害を伴うものであるから、カードの窃盗罪のほかに、カード利用による現金の窃盗罪が別個に成立するものというべきであり、右管理者の所属する銀行がカードの預金者に対し所論の免責を受けることがあるにしても、右認定を妨げるものではない。」
過去問・解説

(H27 共通 第20問 ウ)
借金の返済に苦しんでいた甲とその内縁の妻乙は、A市が発行した乙を被保険者とする国民健康保険被保険者証の氏名を乙から実在しない丙に改変し、丙になりすまして消費者金融会社から借入れをして現金を手に入れることを相談した。甲と相談したとおり、乙は、上記国民健康保険被保険者証の被保険者氏名欄に乙とあるのを丙と書き換えた。そして、乙は、消費者金融会社の無人借入手続コーナーにおいて、借入申込書に丙の氏名を記載し、丙と刻した印鑑を押捺するなどして丙名義の借入申込書1通を完成させた上、同申込書及び氏名を丙に改変した上記国民健康保険被保険者証の内容を、同コーナーに設置された機械を使用し、同機械に接続されている同社本店の端末機に送信し、同社の貸付手続担当者に対し、丙であるかのように装って100万円の借入れを申し込んだ。同担当者は、当該申込みをした者が真実丙であり、かつ、貸付金は約定のとおりに返済されるものと誤信し、同社の貸付システムに従って丙名義の借入カードを上記コーナーに設置された機械から発券した。乙は、その場で同カードを入手し、同カードを現金自動入出機に挿入して同機から現金100万円を引き出した。甲と乙には現金100万円について詐欺罪が成立する。

(正答)

(解説)
裁判例(東京高判昭55.3.3)は、窃盗犯人が賍物たるカードを用いて第三者たる右管理者の管理する現金を窃取した事案において、「賍物についての事実上の処分行為をしたにとどまる場合と異なり、第三者たる右管理者に対する関係において、新たな法益侵害を伴うものであるから、カードの窃盗罪のほかに、カード利用による現金の窃盗罪が別個に成立する…。」として、現金自動入出機のような機械を相手にする場合は欺罔行為といえず詐欺罪は成立しないことを示している。
したがって、乙が入手した丙名義のカードを用いて現金自動入出機から現金100万円を引き出している行為に、窃盗罪が成立する。

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窃盗罪の成否(現金自動支払機) 東京高判平成6年9月12日

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概要
預金口座の名義人と銀行との関係は、前者に正当な払戻し権限がある場合であっても、債権債務関係が成立しているだけであって、銀行の現金自動支払機内の現金について預金口座の名義人が事実上これを管理するとか、所持するとか、占有するとかいう立場にはなく、右現金は、銀行(現実には、当該銀行の支店長)の管理ないしは占有に属する。
判例
事案:送金銀行の手違いで自己の普通預金口座に過剰入金された金員を自己のキャッシュカードを用いて現金自動支払機から引き出したという事案において、窃盗罪の成否が問題となった。

判旨:「もともと、預金口座の名義人と銀行との関係は、前者に正当な払戻し権限がある場合であっても、債権債務関係が成立しているだけであって、銀行の現金自動支払機内の現金について預金口座の名義人が事実上これを管理するとか、所持するとか、占有するとかいう立場にはなく、右現金は、銀行(現実には、当該銀行の支店長)の管理ないしは占有に属すると解するのが相当である。もっとも、横領罪との関係においては、預金口座の名義人に正当な払戻し権限がある場合に、預金債権に対する管理、占有ひいては銀行が事実上占有する金銭に対する預金額の限度での法律上の占有という観念を容れる余地がある。しかし、本件は、送金した銀行側の手違いにより、誤って被告人の預金口座に入金があったに過ぎず、被告人に右預金について正当な払戻し権限のない場合であるから(このことは、受入れ銀行の側に何らの過誤がない場合も同様である。)、自動支払機内の現金について、所論のいうように、被告人が管理者であるとか、被告人がこれを所持(支配)していたということのできないことはもとより、被告人が法律上の占有を取得することもないと解される。したがって、本件については、横領罪の成立する余地はなく、詐欺罪が問題とならないことも明らかであり、銀行の現金に対する占有を侵害したものとして、窃盗罪が成立するというべきである。そうすると、被告人がキャッシュカードで引き出した現金について、A銀行a支店長等の管理に属すると認めた上、窃盗罪の成立を認めた原判断は正当であり…。」
過去問・解説

(H26 共通 第2問 2)
送金銀行の手違いで、自己名義の預金口座に誤って入金されたことを知った者が、これを自分のものにしようと考え、同口座のキャッシュカードを用いて現金自動預払機から全額を引き出した行為には、窃盗罪は成立しない。

(正答)

(解説)
裁判例(東京高判平6.9.12)は、本肢と同種の事案において、「預金口座の名義人と銀行との関係は、前者に正当な払戻し権限がある場合であっても、債権債務関係が成立しているだけであって、銀行の現金自動支払機内の現金について預金口座の名義人が事実上これを管理するとか、所持するとか、占有するとかいう立場にはなく、右現金は、銀行(現実には、当該銀行の支店長)の管理ないしは占有に属する…。」として、窃盗罪が成立することを示している。

該当する過去問がありません

窃盗罪の成否(メダルの不正取得) 最二小判平成19年4月13日

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概要
専らメダルを不正取得する目的で体感器と称する電子機器を身体に装着し、パチスロ機で遊戯をして取得したメダルについては、同電子機器がパチスロ機に直接には不正の工作ないし影響を与えず、また、当該メダルが同電子機器の操作の結果取得されたものでなくとも、メダル管理者の意思に反してその占有を自己の占有に移したものとして窃盗罪が成立する。
判例
事案:専らメダルの不正取得を目的として体感器と称する電子機器を身体に装着してパチスロ機で遊戯したという事案において、窃盗罪の成否が問題となった。

判旨:「本件機器がパチスロ機に直接には不正の工作ないし影響を与えないものであるとしても、専らメダルの不正取得を目的として上記のような機能を有する本件機器を使用する意図のもと、これを身体に装着し不正取得の機会をうかがいながらパチスロ機で遊戯すること自体、通常の遊戯方法の範囲を逸脱するものであり、パチスロ機を設置している店舗がおよそそのような態様による遊戯を許容していないことは明らかである。そうすると、被告人が本件パチスロ機『甲』55番台で取得したメダルについては、それが本件機器の操作の結果取得されたものであるか否かを問わず、被害店舗のメダル管理者の意思に反してその占有を侵害し自己の占有に移したものというべきである。したがって、被告人の取得したメダル約1524枚につき窃盗罪の成立を認めた原判断は、正当である。」
過去問・解説

(H23 共通 第3問 4)
甲は、パチンコ店において、通常の方法によってパチンコ台で遊技しているように装って同店従業員乙の目を欺き、特殊な器具を使ってパチンコ台を誤作動させてパチンコ玉を排出させ、その占有を取得した。甲に、乙に対する詐欺罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判平19.4.13)は、本肢と同種の事案において、「通常の遊戯方法の範囲を逸脱するものであり、パチスロ機を設置している店舗がおよそそのような態様による遊戯を許容していない…本件機器の操作の結果取得されたものであるか否かを問わず、被害店舗のメダル管理者の意思に反してその占有を侵害し自己の占有に移したものというべきである。」としている。
甲は、被害店舗が想定していない特殊な器具を使って誤作動させてパチンコ玉を排出させているから、被害店舗のメダル管理者の意思に反してその占有を侵害し自己の占有に移したといえる。
したがって、甲に窃盗罪が成立する。

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窃盗罪の成否(パチスロ機) 最一小決平成21年6月29日

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概要
Aがゴト行為により取得したメダルについて窃盗罪が成立し、被告人もその共同正犯であったということはできるものの、被告人が自ら取得したメダルについては、被害店舗が容認している通常の遊戯方法により取得したものであるから、窃盗罪が成立するとはいえない。
判例
事案:パチスロ店内で、パチスロ機から不正な方法によりメダルを窃取した者の共同正犯である者が、上記犯行を隠ぺいする目的をもって、その隣のパチスロ機において、自ら通常の方法により遊戯していたという事案において、この通常の遊戯方法により取得したメダルについて、窃盗罪の成否が問題となった。

判旨:「Aがゴト行為により取得したメダルについて窃盗罪が成立し、被告人もその共同正犯であったということはできるものの、被告人が自ら取得したメダルについては、被害店舗が容認している通常の遊戯方法により取得したものであるから、窃盗罪が成立するとはいえない。そうすると、被告人が通常の遊戯方法により取得したメダルとAがゴト行為により取得したメダルとが混在した前記ドル箱内のメダル414枚全体について窃盗罪が成立するとした原判決は、窃盗罪における占有侵害に関する法令の解釈適用を誤り、ひいては事実を誤認したものであり、本件において窃盗罪が成立する範囲は、前記下皿内のメダル72枚のほか、前記ドル箱内のメダル414枚の一部にとどまるというべきである。」
過去問・解説

(H26 共通 第2問 5)
パチスロ機を誤作動させてメダルを窃取することを共謀した者が、実行者の犯行を隠ぺいするため、実行者の隣で通常の遊戯方法によりメダルを取得した場合、そのメダルを被害品とする窃盗罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最決平21.6.29)は、本肢と同種の事案において、「被告人が自ら取得したメダルについては、被害店舗が容認している通常の遊戯方法により取得したものであるから、窃盗罪が成立するとはいえない。」としている。


(H30 共通 第8問 イ)
甲は、パチスロ機に針金を差し込んで誤作動させてメダルを窃取することを乙と共謀し、乙による窃盗の犯行を周囲から見えにくくするため、乙の隣のパチスロ機で通常の遊戯を行い、それによりメダルを取得した。この場合、甲自身が遊戯したパチスロ機で取得したメダルについても窃盗罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最決平21.6.29)は、本肢と同種の事案において、「被告人が自ら取得したメダルについては、被害店舗が容認している通常の遊戯方法により取得したものであるから、窃盗罪が成立するとはいえない。」としている。
甲は、乙の隣のパチスロ機で通常の遊戯を行い、それによりメダルを取得したにとどまる。
したがって、甲自身が遊戯したパチスロ機で取得したメダルについて窃盗罪は成立しない。

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