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強盗の罪(強盗取得罪) - 解答モード
強盗罪の成否(被害者不知) 最二小判昭和23年12月24日
概要
判例
判旨:「犯人が屋内に侵入して家人にピストル等を突きつけて脅迫した場合に家人は犯人が屋外に退出するに至るまで畏怖を感じ反抗を抑圧されることは当然であるから、犯人がその間家人の所持する財物を奪取すればそれは窃盗ではなく強盗であること言うまでもないことである。されば、被告人甲が懐中時計を奪取した状況が所論のとおりであったとしても強盗であることに論はなく、又強盗罪の判示としては所論のように個々の財物について奪取の状況を逐一説明する必要のないことも多言を要しない虞であり、猶共同強盗であるから仮令論旨のいう様に被告人乙が時計奪取の事実を知らなかったとしても共同の責任を負うのは当然である。」
過去問・解説
(H22 司法 第18問 ア)
甲が、財物奪取の意思で乙に脅迫を加えてその反抗を抑圧し、同人のポケットから財物を奪ったが、財物を奪われたことに乙が気付かなかった場合、強盗既遂罪(刑法第236条第1項)は成立しない。
(H25 司法 第12問 1)
甲は、乙に対し、金品を奪うために、反抗を抑圧するに足りる程度の暴行を加え、その反抗を抑圧して乙から財布を奪ったが、乙は財布を奪われたことに気付かなかった。甲には強盗既遂罪が成立する。
(R5 予備 第4問 3)
甲は、財物奪取目的でAを脅迫してその反抗を抑圧し、その際、Aが気付かないうちに、Aが持つかばんから財布を抜き取った。この場合、甲に強盗罪が成立する。
強盗罪の成否 最三小判昭和24年6月14日
概要
判例
判旨:「被告人は共犯者等と共に被害会社の事務所に押入り、居合わせた男女事務員の全部を縛って全然抵抗し得ず奪われた物を取返し得ない状態に置き洋服類は着込み、その他の物は荷造りして持ち出すばかりにしたところを、警察隊に踏み込まれて捕縛されたのであって、…既に物の支配を取得したと言い得るのであり、窃盗罪についてではあるが、盗品が犯行の場所から持出される前に既遂を認定した判例が大審院以来繰返されているのであって、…強盗罪についてもこの点は同様であり、論旨は理由がない。」
過去問・解説
(H22 司法 第8問 エ)
甲の罪責について、判例の立場に従って検討し、強盗罪が既遂になる場合には1を、未遂にとどまる場合には2を、既遂にも未遂にもならない場合には3を選びなさい。
甲は、深夜、強盗の目的で会社事務所に入り込み、1人で勤務していた事務員乙を縛り上げ、持参したボストンバッグに同事務所に設置された金庫内の現金を詰め込んで手に持ち、同事務所の出入口から外に出ようとしたところ、駆けつけた警察官に同事務所内で逮捕された。
強盗罪の成否(暴行後の奪取の意思) 東京高判昭和48年3月26日
概要
判例
判旨:「強盗罪は相手方の反抗を抑圧するに足りる暴行または脅迫を手段として財物を奪取することによって成立する犯罪であるから、その暴行または脅迫は財物奪取の目的をもってなされるものでなければならない。それゆえ、当初は財物奪取の意思がなく他の目的で暴行または脅迫を加えた後に至って初めて奪取の意思を生じて財物を取得した場合においては、犯人がその意思を生じた後に改めて被害者の抗拒を不能ならしめる暴行ないし脅迫に値する行為が存在してはじめて強盗罪の成立があるものと解すべきである(もっとも、この場合は、被害者はそれ以前に被告人から加えられた暴行または脅迫の影響によりすでにある程度抵抗困難な状態に陥っているのが通例であろうから、その後の暴行・脅迫は通常の強盗罪の場合に比し程度の弱いもので足りることが多いであろうし、また、前に被告人が暴行・脅迫を加えている関係上、被害者としてはさらに暴行・脅迫(特にその前者)を加えられるかもしれないと考え易い状況にあるわけであるから、被告人のささいな言動もまた被害者の反抗を抑圧するに足りる脅迫となりうることに注意する必要がある。しかし、いずれにしても、さらに暴行または脅迫の行なわれることを要することに変りはない。)。そして右の暴行または脅迫の行なわれたことは、もとより強盗罪の罪となるべき事実として具体的かつ明確に判示されなければならない。しかるに、原判決をみると、被告人が奪取の意思発生前に加えた暴行により畏怖している被害者の懐中に手を差し入れて、抵抗不能の状態にある同人から金品を取り上げた事実は判示されているが、右の判示では、財物奪取の意思を生じた後にその手段として暴行はもとよりなんらかの脅迫が行なわれたことも判示されているとはいいがたい。あるいは、その中に『同人が抵抗できない状態にあるのに乗じ』とあるところからみると、そこに一種の暗黙の脅迫が行なわれたことを認定した趣旨であるかとも想像されなくはないけれども、そう解するには表現があまりに抽象的で罪となるべき事実の要素としての脅迫の判示があったとするには不十分だといわざるをえないのである。また、被告人が被害者の懐中に手を差し入れる際『お前本当に金がないのか』と申し向けたことが判示されているが、これはその文言自体からも明らかなように、暗黙にもせよ被害者に害を加うべき脅迫の意思表示とみることはできない。これを要するに、原判決はその(罪となるべき事実)第2において強盗罪の成立に必要な暴行または脅迫の行為につきその判示が十分であるとはいいがたいのであるから、その理由が不備であるというのほかなく、控訴趣意に対して判断をするまでもなく、この点において破棄を免れない。」
過去問・解説
(R1 司法 第2問 エ)
甲及び乙は、宝石商の丙から宝石を奪うことを計画した。その計画は、甲が、宝石取引のあっせんにかこつけてホテルの一室に丙を呼び出し、別室の顧客に見せる必要があるとうそを言って丙から宝石を受領し、甲の退室後に、乙が同室に入って丙を殺害するという内容であった。
甲は、計画に従って、ホテルの一室で丙から宝石を受領して退室し、それと入れ替わりに同室に立ち入った乙が丙の腹部を包丁で刺し、丙に重傷を負わせたが、殺害には至らなかった。
乙が丙の腹部を包丁で刺した行為が、丙から宝石の占有を奪取する手段とならないと考えた場合、甲及び乙に、いわゆる一項強盗による強盗殺人未遂罪が成立することはない。
(R2 共通 第20問 ウ)
甲は、Vの暴行を避けようとして、その胸付近を1回平成手で突いたところ、その勢いでVが後方に転倒し、後頭部を路面に打ち付け、失神した。甲は、その頃には、Vが本件バッグの所有者であると分かっていたが、Vの態度に怒りを覚えたことなどから、本件バッグを自己のものにしようと考え、失神しているVからこれを取り上げて自宅に持ち帰った。
甲が本件バッグをVから取り上げた行為は、甲の暴行に起因するVの失神状態に乗じて本件バッグの占有を取得したといえるため、強盗罪が成立する。
十分な意思能力を持っていない者に対する暴行脅迫 最二小判昭和22年11月26日
概要
判例
判旨:「本件の被害者は僅かに10歳の小兒であって反抗するに足る意思能力を持ってゐたとは考へられない。反抗する能力の無い者に對して『反抗を抑壓して強取した』と判示した原審判決は理由に齟齬があるから破毀せられるべきものであると思料する。といふのであるが、およそ強盗罪の成立には目的を遂行するに障碍となる者に對してその反抗を抑壓するに足る暴行を加へるといふことで十分であって論旨にいふやうに暴行を受けるものが十分の意思能力を持ってゐることは必要ではない。本件被害者Vの三男能親も既に當10歳と云へば完全な意思能力はないまでも或程度物に對する管理の實力は持ってゐるといふべきであって同人が本件犯行の現場に居合せたことは被告人が同家の物を盗むといふ目的を遂行するのに障碍となったことは疑のないところである。よって右能親に對して原判示のやうな暴行を加へて同家の物を盗んだ被告人の所爲を以て強盗の罪にあたると判斷した原判決はまことに正當であって論旨は理由がない。」
過去問・解説
(H22 司法 第18問 オ)
甲が、財物奪取の意思で乙宅に乙の留守中に侵入し、乙の甥でたまたま留守番をしていた丙(15歳)に対し、暴行を加えてその反抗を抑圧し、タンス内から乙が所有し管理する衣類を奪った場合、強盗既遂罪(刑法第236条第1項)は成立しない。
(H25 司法 第12問 4)
甲は、空き巣を行う目的で乙宅に侵入したところ、たまたま留守番をしていた乙の甥である10歳の丙に発見され、金品を奪うために、丙に対し、反抗を抑圧するに足りる程度の暴行を加え、その反抗を抑圧して寝室のタンス内にあった乙名義の預金通帳と印鑑を奪った。甲には強盗既遂罪が成立する。
強盗罪と間接正犯 東京高判昭和42年6月20日
概要
判例
判旨:「財物を交付せしめる手段として被害者に対し脅迫を加えた場合、その脅迫が社会通念上一般に被害者の反抗を抑圧するに足りる程度のものであれば,現実に被害者が反抗を抑圧されたか否かを問わず、右脅迫は強盗罪の実行行為に該当するとともに右脅迫により反抗を抑圧された被害者が財物を差し出すのは、もはや任意交付の観念をもって律すべき限りでなく、犯人がこれを受領するのは、すなわち財物の奪取にほかならないから、仮令犯人において被害者の手を経ず直接財物を奪い取るの意図なく、被害者の提供をまってはじめてこれを受領する意図であったとしても、その目的を達する手段として被害者の反抗を抑圧するに足りる脅迫を用いたものである以上、犯人に強盗の犯意がなかったとはいえない。」
過去問・解説
(R2 共通 第1問 3)
甲は、財物を奪取するために、当該財物の占有者Xに対し、反抗を抑圧するに足りる程度の暴行や脅迫を用いて、当該財物を差し出すしかないとの精神状態に陥らせた上で、当該財物を差し出させた。この場合、甲に、Xに対する強盗罪は成立せず、窃盗罪の間接正犯が成立する。
(正答)✕
(解説)
裁判例(東京高判昭42.6.20)は、「脅迫が社会通念上一般に被害者の反抗を抑圧するに足りる程度のものであれば,現実に被害者が反抗を抑圧されたか否かを問わず、右脅迫は強盗罪の実行行為に該当するとともに右脅迫により反抗を抑圧された被害者が財物を差し出すのは、もはや任意交付の観念をもって律すべき限りでなく、犯人がこれを受領するのは、すなわち財物の奪取にほかならない…。」としている。
Xは、当該財物を自ら甲に差し出しているが、直前に甲は反抗を抑圧するに足りる程度の暴行や脅迫を用いて、Xを当該財物を差し出すしかないとの精神状態に陥らせている以上、「強取」に当たる。
したがって、甲には、強盗罪が成立する。
強盗罪の既遂時期 最三小判昭和24年6月14日
概要
判例
判旨:「被告人は共犯者等と共に被害会社の事務所に押入り,居合わせた男女事務員の全部を縛って全然抵抗し得ず奪われた物を取返し得ない状態に置き洋服類は着込み、その他の物は荷造りして持ち出すばかりにしたところを、警察隊に踏み込まれて捕縛されたのであって、…既に物の支配を取得したと言い得るのであり、窃盗罪についてではあるが、盗品が犯行の場所から持出される前に既遂を認定した判例が大審院以来繰返されているのであって、…強盗罪についてもこの点は同様であり、論旨は理由がない。」
過去問・解説
(H22 司法 第8問 エ)
甲の罪責について、判例の立場に従って検討し、強盗罪が既遂になる場合には1を、未遂にとどまる場合には2を、既遂にも未遂にもならない場合には3を選びなさい。
甲は、深夜、強盗の目的で会社事務所に入り込み、1人で勤務していた事務員乙を縛り上げ、持参したボストンバッグに同事務所に設置された金庫内の現金を詰め込んで手に持ち、同事務所の出入口から外に出ようとしたところ、駆けつけた警察官に同事務所内で逮捕された。
強盗罪の既遂時期 最三小判昭和23年12月24日
概要
判例
判旨:「犯人が屋内に侵入して家人にピストル等を突きつけて脅迫した場合に家人は犯人が屋外に退出するに至るまで畏怖を感じ反抗を抑圧されることは当然であるから、犯人がその間家人の所持する財物を奪取すればそれは窃盗ではなく強盗であること言うまでもないことである。されば、被告人甲が懐中時計を奪取した状況が所論のとおりであったとしても強盗であることに論はなく、又強盗罪の判示としては所論のように個々の財物について奪取の状況を逐一説明する必要のないことも多言を要しない虞であり、猶共同強盗であるから仮令論旨のいう様に被告人乙が時計奪取の事実を知らなかったとしても共同の責任を負うのは当然である。」
過去問・解説
(H22 司法 第18問 ア)
甲が、財物奪取の意思で乙に脅迫を加えてその反抗を抑圧し、同人のポケットから財物を奪ったが、財物を奪われたことに乙が気付かなかった場合、強盗既遂罪(刑法第236条第1項)は成立しない。