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強盗の罪(強盗致死傷罪・強盗殺人罪・強盗傷人罪) - 解答モード

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強盗殺人罪の成否 大判大正2年10月21日

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概要
240条後段の強盗殺人罪は、強盗が財物強取の行為によって人を死に致らしめた事実あれば直ちに成立するものだから、致死の結果が財物強取の前にあるとその後にあるとは同罪の成立に影響しない。
判例
事案:人を死亡させたのち、身に着けていた金品を奪ったという事案において、致死の結果と強取の先後関係が問題となった。

判旨:「刑法第240条後段ノ強盗殺人罪ハ強盗カ財物強取ノ行為ニ因リテ人ヲ死ニ致シタル事実アレハ直ニ成立スルモノニシテ致死ノ結果カ財物強取ノ前ニ在ルト其後ニ在ルトハ同罪ノ成立ニ影響ナシ」
過去問・解説

(R4 司法 第18問 ②)
死者が生前身に付けていた財物を領得した場合について、丙が当初から財物を領得する意思でBを殺害し、Bの死亡直後に財布を領得したときは、丙に強盗殺人罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(大判大2.10.21)は、本肢と同種の事案において、「刑法第240条後段ノ強盗殺人罪ハ強盗カ財物強取ノ行為ニ因リテ人ヲ死ニ致シタル事実アレハ直ニ成立スルモノニシテ致死ノ結果カ財物強取ノ前ニ在ルト其後ニ在ルトハ同罪ノ成立ニ影響ナシ」として、強盗致死罪の成立にあたって、致死結果と財物奪取は先後を問わないことを示している。
したがって、当初から財物を領得する意思でBを殺害し財布を領得した丙には、強盗殺人罪が成立する。

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事後強盗による強盗殺人強盗傷人・強盗致死傷 大判昭和6年7月8日

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概要
240条の「強盗」には事後強盗(238条)及び昏睡強盗(239条)も含まれる。
判例
事案:強盗犯人が逮捕を免れようと巡査に傷害を負わせたという事案において、強盗致傷罪における「強盗」には事後強盗犯人も含まれるかが問題となった。

判旨:「刑法第二百四十条ニ所謂強盗ニハ同法第二百三十八条及第二百三十九条ニ依リ強盗ヲ以テ論スヘキ場合ヲモ包含ス」
過去問・解説

(H27 共通 第16問 4)
窃盗犯人が窃盗の現場で逮捕を免れるために相手方を殺害した場合、強盗殺人罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(大判昭6.7.8)は、「刑法第二百四十条ニ所謂強盗ニハ同法第二百三十八条及第二百三十九条ニ依リ強盗ヲ以テ論スヘキ場合ヲモ包含ス」として、事後強盗行為によって人を死傷させた場合にも、強盗致死傷罪が成立することを示している。
したがって、窃盗犯人が窃盗の現場で逮捕を免れるために相手方を殺害した場合、事後強盗による強盗殺人罪が成立する。


(R3 共通 第18問 1)
甲は、銭湯の脱衣場で窃盗をしようと考え、客の財布を手に取って在中する金額を確認中、その様子を目撃した乙から声を掛けられたため、逮捕を免れる目的で、乙に犯行を抑圧するに足りる程度の暴行を加えて加療約1か月間を要する傷害を負わせた。この場合、甲には、事後強盗罪及び強盗致傷罪が成立し、両罪は観念的競合となる。

(正答)

(解説)
判例(大判昭6.7.8)は、「刑法第二百四十条ニ所謂強盗ニハ同法第二百三十八条及第二百三十九条ニ依リ強盗ヲ以テ論スヘキ場合ヲモ包含ス」として、事後強盗行為によって人を死傷させた場合にも、強盗致死傷罪が成立することを示している。
甲は、逮捕を免れる目的で、乙に犯行を抑圧するに足りる程度の暴行を加えて加療約1か月間を要する傷害を負わせているから、甲には、事後強盗による強盗致傷罪の一罪のみが成立する。

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強盗致傷罪の成否 最一小決昭和28年2月19日

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概要
被害者に対し「金を出せ」「騒ぐと突き刺すぞ」等と申し向けて刃渡り45ミリメートルの日本刀を突きつける所為は、人の身体に対する不法な有形力の行使であって、強盗傷人罪における暴行に当たる。被害者が右に日本刀にしがみついて救を求め、犯人がその刀を引いたことによって右手掌等に傷害を負わせたときは、その所為は暴行の結果といいうる。
判例
事案:被害者に対し「金を出せ」「騒ぐと突き刺すぞ」等と申し向けて刃渡り45ミリメートルの日本刀を突きつけ、被害者が右に日本刀にしがみついて救を求めたところ、被告人がその刀を引いたことによって右手掌等に傷害を負わせたという事案において、強盗致傷罪の成否が問題となった。

判旨:「犯人が被害者に対し前示のような日本刀を突き付ける所為をなせばそれだけでも人の身体に対する不法な有形力を行使したものとして暴行を加えたといい得ること勿論であって、かかる際に判示の如く被害者がその日本刀にしがみつき救を求め、犯人がその刀を引いたことにより被害者の判示部位に切創を負わしめたとすればその負傷は右暴行による結果たること多言を要しないところであるから本件は所論のように強盗が暴行を加えずただ脅迫をしただけというような事態ではなく、強盗が暴行により被害者に傷害を加えたとの事案なのである。」
過去問・解説

(R5 予備 第4問 4)
甲は、財物奪取目的でAに包丁を突き付けて「金を出さなければ殺す。」と言って脅したところ、Aに包丁をつかまれたため、Aが負傷することを分かりながら包丁を引き、Aは両手を負傷した。この場合、甲に強盗傷人罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最決昭28.2.19)は、本肢と同種の事案において、「犯人が被害者に対し前示のような日本刀を突き付ける所為をなせばそれだけでも人の身体に対する不法な有形力を行使したものとして暴行を加えたといい得る…。」とした上で、「被害者がその日本刀にしがみつき救を求め、犯人がその刀を引いたことにより被害者の判示部位に切創を負わしめたとすればその負傷は右暴行による結果たること多言を要しない…。」としている。
甲は、Aに包丁をつかまれたため、Aが負傷することを分かりながら包丁を引き、Aは両手を負傷しているところ、これは暴行により傷害を加えた結果に当たる。
したがって、甲に強盗傷人罪が成立する。

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2項強盗による殺人罪の成否 最三小判昭和32年9月13日

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概要
犯人が債務の支払を免れる目的をもって債権者に対しその反抗を抑圧すべき暴行、脅迫を加え、債権者をして支払の請求をしない旨を表示させて支払を免れた場合であると、右の手段により債権者をして事実上支払の請求をすることができない状態に陥らしめて支払を免れた場合であるとを問わず等しく236条2項の不法利得罪を構成する。
判例
事案:貸金返還債務を免れるために貸主を殺害しようとしたという事案において、2項強盗罪における「暴行」としていかなる利益を移転させる現実的危険性が必要とされるかが問題となった。

判旨:「236条2項の罪は1項の罪と同じく処罰すべきものと規定され、1項の罪とは不法利得と財物強取とを異にする外、その構成要素に何らの差異がなく、1項の罪におけると同じく相手方の反抗を抑圧すべき暴行、脅迫の手段を用いて財産上不法利得するをもって足り、必ずしも相手方の意思による処分行為を強制することを要するものではない。犯人が債務の支払を免れる目的をもって債権者に対しその反抗を抑圧すべき暴行、脅迫を加え、債権者をして支払の請求をしない旨を表示せしめて支払を免れた場合であると、右の手段により債権者をして事実上支払の請求をすることができない状態に陥らしめて支払を免れた場合であるとを問わず、ひとしく右236条2項の不法利得罪を構成するものと解すべきである。」
過去問・解説

(R1 司法 第2問 ウ)
甲及び乙は、宝石商の丙から宝石を奪うことを計画した。その計画は、甲が、宝石取引のあっせんにかこつけてホテルの一室に丙を呼び出し、別室の顧客に見せる必要があるとうそを言って丙から宝石を受領し、甲の退室後に、乙が同室に入って丙を殺害するという内容であった。
 甲は、計画に従って、ホテルの一室で丙から宝石を受領して退室し、それと入れ替わりに同室に立ち入った乙が丙の腹部を包丁で刺し、丙に重傷を負わせたが、殺害には至らなかった。
甲及び乙が、丙から宝石の代金相当額の支払を免れる意図を持っていたとしても、丙がこれを免除又は猶予する旨の財産的処分行為をしていないため、甲及び乙に、いわゆる2項強盗による強盗殺人未遂罪が成立することはない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭32.9.13)は、「犯人が債務の支払を免れる目的をもって債権者に対しその反抗を抑圧すべき暴行、脅迫を加え、債権者をして支払の請求をしない旨を表示せしめて支払を免れた場合であると、右の手段により債権者をして事実上支払の請求をすることができない状態に陥らしめて支払を免れた場合であるとを問わず、ひとしく右236条2項の不法利得罪を構成する…。」としている。
丙は、代金支払債務を免除又は猶予する旨の財産的処分行為をしていないものの、甲は、殺人の故意で丙の腹部を包丁で刺し、丙に重傷を負わせ、事実上支払の請求をすることができない状態に陥れている。
したがって、甲及び乙に、いわゆる2項強盗による強盗殺人未遂罪が成立する。

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強盗致傷罪の成否(ひったくり) 最三小決昭和45年12月22日

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概要
いわゆるひったくりにおいて、財物奪取に伴う暴行行為が、被害者の注意を引くにとどまらず、その反抗を抑圧するに足りる程度に達していた場合には強盗罪が認められる。
判例
事案:夜間人通りの少ない場所で、通行中の女性の所持しているハンドバッグを窃取する目的をもって、自動車を運転して同女に近づき、自動車の窓からハンドバッグのさげ紐をつかんで引っ張ったが、同女がこれを奪われまいと離さなかったため、さらに奪取の目的を達成しようとして、右さげ紐をつかんだまま自動車を進行させ、同女を引きずって路上に転倒させたり、車体に接触させたり、あるいは道路脇の電柱に衝突させたりして、傷害を負わせたという事案において、強盗罪の成否が問題となった。

判旨:「事実審の確定した事実関係の下において、被告人の第一審判決判示第4、第8および第15の各行為がいずれも強盗致傷罪にあたる旨の原判断は正当である。」
過去問・解説

(H19 司法 第15問 3)
甲は、夜間、普通乗用自動車を運転し、人通りが少ない一方通行の狭い道路を進行中、右前方を歩いている女性乙がショルダーバッグを左肩に掛けているのを認め、同バッグを奪い取ろうと考え、同車で乙を追い抜きざま、運転席窓から右手を出して同バッグをつかんで引っ張った。乙は、同バッグを引っ張られた勢いで路上に転倒したものの、同バッグを奪われまいとして、そのさげひもから手を離さなかったので、甲は、乙から同バッグを奪い取るため、乙の身体を同バッグごと引きずることを認識しながらそのまま加速して運転を続けた。甲は、約20メートルにわたって乙の身体を引きずったが、乙は、同バッグから手を離さなければ、同車の車輪に巻き込まれたり、道路脇の壁に衝突するなどして重傷を負いかねないという危険を感じ、やむなくそのさげひもから手を離し、甲は、同バッグをつかんだまま同車で逃走した。乙は、前記のとおり路上を引きずられたことにより、約2週間の加療を要する右足関節捻挫等の傷害を負った。
 甲に、強盗(刑法第236条第1項)が人を負傷させたものとして、強盗致傷罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最決昭45.12.22)は、本肢と同種の事案において、「事実審の確定した事実関係の下において、被告人の…各行為がいずれも強盗致傷罪にあたる旨の原判断は正当である。」として、財物奪取に伴う暴行行為が、被害者の注意を引くにとどまらず、その反抗を抑圧するに足りる程度に達していた場合には強盗罪が認められることを示している。
甲は、乙から同バッグを奪い取るため、乙の身体を同バッグごと引きずることを認識しながら自動車の運転を続け約20メートルにわたって乙の身体を引きずっているから、注意を引くにとどまらず、その反抗を抑圧するに足りる程度に達していたといえる。
したがって、甲に強盗致傷罪が成立する。

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