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詐欺の罪(客体) - 解答モード
未成年者に対する詐欺罪の成否 大判大正4年6月15日
概要
判例
判旨:「刑法第248条ノ罪ハ未成年者ノ知慮浅薄又ハ人ノ心神耗弱ナル状況ヲ利用シ詐欺又ハ恐喝ニ該当セサル誘惑其他ノ方法ヲ用ヰ財物ヲ交付セシムルニ因リテ成立スルモノトス
知慮浅薄ナル未成年者又ハ心神耗弱者ニ対シ詐欺又ハ恐喝ノ方法ヲ用ヰ之ニ因リテ財物ヲ交付セシメタル所為ハ刑法第248条ニ該当セスシテ同法第246条又ハ同法第249条ニ該当スルモノトス」
過去問・解説
(H23 共通 第3問 2)
甲は、15歳の乙がふだんから多額の現金を持ち歩いているのを知っていたことから、同人の知識や思慮が足りないことに乗じて現金を手に入れようと考え、乙に対し、借りた現金を返す意思もないのに返す意思があるように装って10万円の借金を申し込み、これを誤信した乙から現金10万円の交付を受けた。甲に詐欺罪が成立する。
(H25 予備 第8問 5)
知慮浅薄な未成年者を欺罔して錯誤に陥らせ、これにより未成年者から財物の交付を受けた場合、刑法第248条の準詐欺罪が成立する。
詐欺罪の成否(不実の登記) 大判大正12年11月12日
概要
判例
要旨:乙者甲者ノ為金員借用抵当権設定登記ヲ為スモノノ如ク装ヒテ之ヲ欺罔シ私ニ其ノ印顆ヲ不正ニ使用シテ甲者ヨリ乙者ニ対シ土地ヲ売渡シタル旨ノ証書ヲ偽造シ附属書類ト併セテ之ヲ登記所ニ提出行使シ登記官吏ヲシテ土地登記簿ノ原本ニ其ノ旨不実ノ記載ヲ為サシムル行為ハ公正証書原本ノ不実記載及其ノ行使ノ罪ヲ構成スルニ止リ土地ニ対スル詐欺罪ヲ構成スルモノニ非ス
(※原文を確認できないため、要旨のみを掲載)
過去問・解説
詐欺罪の成否 大判昭和12年7月5日
概要
判例
判旨:「建物ニ付所有権保存登記ヲ為シ居ルコトハ夫レ自体財産上ノ利益ヲ有スルモノナルコト勿論ナリ而シテ建物保存登記抹消請求事件ノ民事訴訟ニ於テ原告ト被告トカ建物所有権ノ帰属ヲ争ヒ輙ク原告ノ勝訴ヲ予断シ難キ状勢ニ在ル場合ハ原告ノ請求権ハ訴訟ノ終了スル迄ハ未確定ノ状態ニ存スルモノナル
…保存登記ヲ為シタル場合ニ於テハ未確定ナル利益ヲ有スルニ過キサル原告ヲシテ既ニ早ク確定的ニ之カ利益ヲ取得セシメ民事訴訟ノ被告トシテハ訴訟ノ結果ニヨルニアラサレハ喪失スルコトナカルヘキ利益ヲ今ニシテ既ニ取リ去ラレタルニ外ナラサルヲ以テ前示建物所有権カ右原被両造ノ何レニ属スルカハ之ヲ決定スル迄モナク被告人ハ人ヲ欺罔シテ他人ヲシテ財産上不法ノ利益ヲ得セシメタルモノト云フヘク原審カ之ヲ以テ詐欺罪ニ問擬シタルハ固ヨリ正当」
過去問・解説
(H19 司法 第5問 ア)
甲は、乙がAを欺いて、乙の不動産に設定していたAの抵当権の設定登記を抹消させたことを知りながら、乙の不動産を譲り受けた。この場合、甲には盗品等有償譲受け罪が成立する。
(正答)✕
(解説)
判例(大判昭12.7.5)は、本肢と同種の事案において、「保存登記ヲ為シタル場合ニ於テハ未確定ナル利益ヲ有スルニ過キサル原告ヲシテ既ニ早ク確定的ニ之カ利益ヲ取得セシメ民事訴訟ノ被告トシテハ訴訟ノ結果ニヨルニアラサレハ喪失スルコトナカルヘキ利益ヲ今ニシテ既ニ取リ去ラレタルニ外ナラサルヲ以テ前示建物所有権カ右原被両造ノ何レニ属スルカハ之ヲ決定スル迄モナク被告人ハ人ヲ欺罔シテ他人ヲシテ財産上不法ノ利益ヲ得セシメタルモノト云フヘク原審カ之ヲ以テ詐欺罪ニ問擬シタルハ固ヨリ正当」として、欺罔を用いて建物保存登記を抹消させた場合、2項詐欺罪が成立することを示している。
したがって、乙には2項詐欺罪が成立する。
そして、2項詐欺罪によって取得した財産上の利益は、盗品等譲受け罪における「盗品等」には含まれない。
よって、甲には盗品等有償譲受け罪が成立しない。
詐欺罪の成否 最二小判昭和25年2月24日
概要
判例
判旨:「贓物を処分することは財産罪に伴う事後処分に過ぎないから別罪を構成しないことは勿論であるが窃取または騙取した郵便貯金通帳を利用して郵便局係員を欺罔し真実名義人において貯金の払戻を請求するものと誤信せしめて貯金の払戻名義の下に金員を騙取することは更に新法益を侵害する行為であるからここに亦犯罪の成立を認むべきであってこれをもって贓物の単なる事後処分と同視することはできないのである。然らば原審が所論郵便貯金通帳を利用して預金を引出した行為に対し詐欺罪をもって問擬したことは正当であるから論旨は理由がない。」
過去問・解説
(H18 司法 第17問 4)
他人から預金通帳と届出印鑑を一時的に預かったにすぎない者が、それを利用して勝手に銀行窓口で銀行員から預金払戻名下に金員の交付を受けた場合、預金の払戻権限がないのにそれがあるように偽っているので、銀行員を相手方とする詐欺罪が成立する。
(R6 司法 第7問 5)
甲は、他人から盗んだクレジットカードを使用して商品をだまし取ろうと考え、A名義のクレジットカードを窃取し、家電量販店において、店員に対し、Aに成り済まして同クレジットカードを提示して商品の購入を申し込んだが、同店員に盗難カードであることを見破られたため、商品を手に入れることができなかった。この場合、甲に窃盗罪及び詐欺未遂罪が成立し、両罪は牽連犯となる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭25.2.24)は、被告人が窃取又は騙取した郵便貯金通帳を利用して郵便局係員を欺罔し、真実名義人において貯金の払戻請求するものと誤信させて、金員を交付させた事案において、「窃取または騙取した郵便貯金通帳を利用して郵便局係員を欺罔し真実名義人において貯金の払戻を請求するものと誤信せしめて貯金の払戻名義の下に金員を騙取することは更に新法益を侵害する行為であるからここに亦犯罪の成立を認むべきであってこれをもって賍物の単なる事後処分と同視することはできない…。」として、詐欺罪は窃盗罪によって評価されておらず、別個詐欺罪が成立することを示している。
したがって、甲には窃盗罪と詐欺未遂罪が成立し、両者は手段・結果の関係にはないため、併合罪となる。
詐欺罪の成否(旅券の不正申請) 最一小判昭和27年12月25日
概要
判例
判旨:「原判決は『被告人は同係員を欺罔して旅券の下付を受けようとしたけれども、その後占領軍官憲の調査により右証明書2通の記載内容が虚偽であることを発見されたため竟に旅券騙取の目的を遂げなかったものである』と認定し、刑法246条1項、250条に該当する詐欺未遂である旨判示している。そして、刑法157条2項には、公務員に対し虚偽の申立を為し免状、鑑札又は旅券に不実の記載を為さしめたる者とあるに過ぎないけれども、免状、鑑札、旅券のような資格証明書は、当該名義人においてこれが下付を受けて所持しなければ効用のないものであるから、同条に規定する犯罪の構成要件は、公務員に対し虚偽の申立を為し免状等に不実の記載をさせるだけで充足すると同時に、その性質上不実記載された免状等の下付を受ける事実をも当然に包含するものと解するを正当とする。しかも、同条項の刑罰が1年以下の懲役又は300円以下の罰金に過ぎない点をも参酌すると免状、鑑札、旅券の下付を受ける行為のごときものは、刑法246条の詐欺罪に問擬すべきではなく、右刑法157条2項だけを適用すべきものと解するを相当とする。されば、原判決が右下付を受けようとした行為を目して詐欺未遂としたことは擬律錯誤の違法があるものといわなければならない。そして、判示の米国領事館員のごときは、刑法7条、従って同法157条2項にいわゆる公務員とはいえないから、右判示行為は、刑法157条2項の未遂罪にも該当しないものといわなければならない。」
過去問・解説
(H18 司法 第17問 3)
係員に偽りの申立てをして旅券の交付を受けた場合、旅券は財産的価値を欠き財物に当たらないので、詐欺罪は成立しない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭27.12.25)は、旅券を不正申請した事案において、「157条2項…に規定する犯罪の構成要件は、公務員に対し虚偽の申立を為し免状等に不実の記載をさせるだけで充足すると同時に、その性質上不実記載された免状等の下付を受ける事実をも当然に包含するものと解するを正当とする。しかも、同条項の刑罰が1年以下の懲役又は300円以下の罰金に過ぎない点をも参酌すると免状、鑑札、旅券の下付を受ける行為のごときものは、刑法246条の詐欺罪に問擬すべきではなく、右刑法157条2項だけを適用すべきものと解するを相当とする。」として、詐欺罪の成立を否定している。
したがって、係員に偽りの申立てをして旅券の交付を受けた場合、旅券等不実記載罪には、不実記載された旅券を受け取ることまで含まれているから、詐欺罪は成立しない。
詐欺罪の成否(所有権が留保されている場合) 最三小決昭和45年6月30日
概要
判例
判旨:「自動車については、被告人阿部光男名義の月賦購入の約定で引渡しを受けたものであるため、その所有権が売主に留保され、被告人甲らが売却その他の処分をする権限を有しない等の民事法上の制限があったとしても、売主を欺罔し、よってその引渡しを受けて占有を取得した以上、詐欺罪を構成するものと解すべきであって、これと同趣旨の原判断は、是認することができる。」
過去問・解説
(H30 司法 第12問 2)
自動車販売会社の販売員に対し、その代金を支払う意思も能力もないのに、これらがあるように装って自動車の購入を申し込み、分割払いの約定で同販売員から自動車の引渡しを受けた場合、代金完済まで同自動車の所有権が同会社に留保されていても、詐欺罪が成立する。
詐欺罪における「財物」 最一小決昭和51年4月1日
概要
判例
判旨:「国がその所有する本件未墾地を農地法61条以下の規定により売渡処分をする旨を公示したところ、被告人両名は、原審相被告人乙と共謀し、右甲が国の定める増反者等選定の基準適格者であることを奇貨として、同人において、農地法所定の趣旨に従ってみずから右土地を保有し、これを開墾利用して自己の営農に役立てる意思がなく、売渡しを受けたうえは被告人丙にその所有権を取得させ、同人の隠居所敷地に供する意図であるのに、この事情を秘匿し、売渡事務をつかさどる県知事にあて、所定の買受予約申込書等の必要書類を順次提出してその売渡しを求め、同知事を欺罔して右甲が売渡処分名下に本件国有地の所有権を得した、というのであって、これによれば、被告人らの行為は刑法246条1項に該当し、詐欺罪が成立するものといわなければならない。被告人らの本件行為が、農業政策という国家的法益の侵害に向けられた側面を有するとしても(農地法にはかかる行為を処罰する規定はない。)、その故をもって当然に、刑法詐欺罪の成立が排除されるものではない。欺罔行為によって国家的法益を侵害する場合でも、それが同時に、詐欺罪の保護法益である財産権を侵害するものである以上、当該行政刑罰法規が特別法として詐欺罪の適用を排除する趣旨のものと認められない限り、詐欺罪の成立を認めることは、大審院時代から確立された判例であり、当裁判所もその見解をうけついで今日に至っているのである…」
預金通帳が詐欺罪の客体となるか 最二小決平成14年10月21日
概要
判例
判旨:「しかし、預金通帳は、それ自体として所有権の対象となり得るものであるにとどまらず、これを利用して預金の預入れ、払戻しを受けられるなどの財産的な価値を有するものと認められるから、他人名義で預金口座を開設し、それに伴って銀行から交付される場合であっても、刑法246条1項の財物に当たると解するのが相当である。そして、被告人は、上記のとおり、銀行窓口係員に対し、自己がA本人であるかのように装って預金口座の開設を申し込み、その旨誤信した同係員から貯蓄総合口座通帳1冊の交付を受けたのであるから、被告人に詐欺罪が成立することは明らかである。そうすると、詐欺罪の成立を否定した原判決には、刑法246条1項の解釈適用を誤った違法があるというべきである。」
過去問・解説
(H20 司法 第20問 3)
甲は、架空人である乙名義でX銀行Y支店に預金口座を開設しようと企て、乙に成り済まして預金口座を開設し、乙名義の預金通帳の交付を受けた。この場合、預金通帳は口座開設に伴って発行される証書にすぎないので、甲に詐欺罪は成立しない。
(H23 司法 第19問 ウ)
甲は、求人広告を見て乙と会い、乙から、銀行で架空人名義の預金口座を開設し、その預金通帳とキャッシュカードを手に入れて乙に渡すというアルバイトを依頼され、これを引き受けた。その際、甲は、乙から、預金口座を開設する際に身分証明書として呈示するため、甲の顔写真が印刷された架空人A名義の運転免許証を作成する必要があると聞かされたので、甲の顔写真を乙に交付するとともに、甲の知人Bの住所をキャッシュカードの送付先として乙に教えた。乙は、不正に入手したC名義の真正な運転免許証の顔写真の上から甲の顔写真を貼り付け、氏名をA名義に、住所をBの住所にそれぞれ書き換えるなどの加工を施し、甲の顔写真が貼付されたA名義の運転免許証を作成した。同免許証は、一見すると真正なものと見分けがつかないような精巧なものであった。数日後、甲は、乙から、前記運転免許証とAの姓を刻した印鑑を受け取った。その後、甲は、銀行に行き、口座開設申込書にAの氏名及びBの住所等を書いてAの印鑑を押した上、同銀行窓口係丙に対し、Aを装い、同申込書を前記運転免許証と一緒に提出して口座開設を申し込んだ。丙は、甲がAであることを疑うこともなく、かつ、前記運転免許証及び前記口座開設申込書の記載内容が虚偽であると知っていれば口座開設をしなかったのに、これらの内容が真実であるものと誤信し、A名義の口座を開設する手続を行い、即日窓口で預金通帳を甲に交付し、キャッシュカードについては、Bの住所地宛てに郵送した。甲は、数日後に郵送されたキャッシュカードをBから受け取った後、しばらくの間、自宅に通帳とキャッシュカードを保管し、その後、報酬と引換えに、預金通帳とキャッシュカードを乙に交付した。甲に詐欺罪が成立する。
詐欺罪の成否(国民健康保険証) 最一小決平成18年8月21日
概要
判例
判旨:「被告人が、町役場係員に対し、虚偽の生年月日を記入した自己名義の住民異動届に国民健康保険の被保険者の資格を転入により取得した旨を付記して提出するなどして、係員を欺いて国民健康保険被保険者証の交付を受けた行為について、刑法246条1項の詐欺罪の成立を認めた原判断は、正当である。」
過去問・解説
詐欺罪の成否(航空券) 最一小決平成22年7月29日
概要
判例
判旨:「被告人は、ア Bらと共謀の上、航空機によりカナダへの不法入国を企図している中国人のため、航空会社係員を欺いて、関西国際空港発バンクーバー行きの搭乗券を交付させようと企て、平成18年6月7日、関西国際空港旅客ターミナルビル内のA航空チェックインカウンターにおいて、Bが、A航空(以下『本件航空会社』という。)から業務委託を受けている会社の係員に対し、真実は、バンクーバー行きA航空36便の搭乗券をカナダに不法入国しようとして関西国際空港のトランジット・エリア内で待機している中国人に交付し、同人を搭乗者として登録されているBとして航空機に搭乗させてカナダに不法入国させる意図であるのにその情を秘し、あたかもBが搭乗するかのように装い、Bに対する航空券及び日本国旅券を呈示して、上記A航空36便の搭乗券の交付を請求し、上記係員をしてその旨誤信させて、同係員からBに対する同便の搭乗券1枚の交付を受け、イ Cらと共謀の上、同年7月16日、上記チェックインカウンターにおいて、Cが、アと同様の意図及び態様により、Cに対する航空券及び日本国旅券を呈示して、バンクーバー行きA航空36便の搭乗券の交付を請求し、Cに対する同便の搭乗券1枚の交付を受けた。
本件において、航空券及び搭乗券にはいずれも乗客の氏名が記載されているところ、本件係員らは、搭乗券の交付を請求する者に対して旅券と航空券の呈示を求め、旅券の氏名及び写真と航空券記載の乗客の氏名及び当該請求者の容ぼうとを対照して、当該請求者が当該乗客本人であることを確認した上で、搭乗券を交付することとされていた。このように厳重な本人確認が行われていたのは、航空券に氏名が記載されている乗客以外の者の航空機への搭乗が航空機の運航の安全上重大な弊害をもたらす危険性を含むものであったことや、本件航空会社がカナダ政府から同国への不法入国を防止するために搭乗券の発券を適切に行うことを義務付けられていたこと等の点において、当該乗客以外の者を航空機に搭乗させないことが本件航空会社の航空運送事業の経営上重要性を有していたからであって、本件係員らは、上記確認ができない場合には搭乗券を交付することはなかった。また、これと同様に、本件係員らは、搭乗券の交付を請求する者がこれを更に他の者に渡して当該乗客以外の者を搭乗させる意図を有していることが分かっていれば、その交付に応じることはなかった。
以上のような事実関係からすれば、搭乗券の交付を請求する者自身が航空機に搭乗するかどうかは、本件係員らにおいてその交付の判断の基礎となる重要な事項であるというべきであるから、自己に対する搭乗券を他の者に渡してその者を搭乗させる意図であるのにこれを秘して本件係員らに対してその搭乗券の交付を請求する行為は、詐欺罪にいう人を欺く行為にほかならず、これによりその交付を受けた行為が刑法246条1項の詐欺罪を構成することは明らかである。」
過去問・解説
(H28 司法 第12問 イ)
Aは、Bに成り済まし、銀行の窓口行員Cに対し、B名義の口座の預金をA名義の口座に振込入金するよう依頼した。Cは、AをBと思い込み、コンピュータの端末を操作して、同銀行が業務用に使用している電子計算機にアクセスし、前記依頼のとおり振込入金の処理をした。Bに成り済まし、Cに振込入金の処理を行わせたAの行為について、電子計算機使用詐欺罪が成立する。
(正答)✕
(解説)
判例(最決平22.7.29)は、他人を乗せる目的で自己名義の航空会社の搭乗券の交付を請求した事案において、「搭乗券の交付を請求する者自身が航空機に搭乗するかどうかは、本件係員らにおいてその交付の判断の基礎となる重要な事項であるというべきであるから…詐欺罪にいう人を欺く行為にほかならず、これによりその交付を受けた行為が刑法246条1項の詐欺罪を構成する…。」としている。
口座から振り込み依頼をするときに、名義人が本人であるかは交付の判断の基礎となる重要な事項であるというべきであるから、甲には詐欺罪が成立する。
そして、詐欺罪と電子計算機使用詐欺罪とは、法条競合の関係にある。
したがって、詐欺罪が成立しないときにのみ電子計算機使用詐欺罪が成立するから、Aの行為について、電子計算機使用詐欺罪は成立せず、詐欺罪のみが成立する。
(H30 司法 第12問 1)
航空会社の空港係員に対し、内心では、外国への不法入国を企てている知人を搭乗させるつもりであるのに、自らが搭乗するとうそを言って、あらかじめ航空券を購入していた航空便について搭乗券の交付を求め、同係員から搭乗券の交付を受けた場合、当該搭乗券についての詐欺罪が成立する。