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横領の罪(客体) - 解答モード

共有金に対する横領罪の成立 大判昭和10年8月29日

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概要
共有者の1人が共有金を費消する場合は共有金全部について横領罪が成立する。
判例
事案:共有者の1人が占有する共有金を自己1人のために費消した事案において、横領罪の成否や、横領罪が成立する範囲が問題となった。

判旨:共有者ノ一人カ其ノ占有セル共有金ヲ擅ニ自己1人ノ為費消スルニ於テハ該共有金全部ニ付横領罪成立ス
(※原文を確認できないため、要旨のみを掲載)
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(R6 司法 第6問 1)
甲は、同居している友人Aと一緒に旅行費用として現金を積み立て、同現金を自宅の金庫に入れてAと共に保管していたが、Aに無断で同現金を全て取り出し、自己の借金の返済に充てた。この場合、甲に上記現金の占有が認められるから、甲にはAに対する横領罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭25.6.6)は、本肢と同種の事案において、共同占有者の1人が無断で財物を自己の下へ移転することは、他の共同占有者の占有を侵害するとして、窃盗罪が成立することを示している。
したがって、甲には、Aに無断で共有して保管していた現金を全て取り出し、自己の借金の返済に充てた行為について、Aに対する窃盗罪が成立する。

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建物の横領罪の成否 札幌高判昭和30年11月17日

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概要
建物売買契約が合意解除されるなどして、売買契約が初めから無効であったものとみなされても、原状回復義務に関して、当事者間に委託信任関係は存在し、横領罪が成立しうる。
判例
事案:建物売買契約の合意解除後、建物所有権移転登記手続未了であることを奇貨としてA会社より金20万円を借受けるに際し前記建物上に抵当権を設定したという事案において、横領罪の成否が問題となった。

判旨:「同建物内の居住者等が期限内に立退かず(四)の条項が履行されなかったところより、被告人は右約束手形金を支払うことができなかったため同年6月22日島田豊次郎に対し、前記売買契約解除の意思表示をなし島田名義にその所有権移転登記手続に必要な権利書、委任状及び印鑑証明書を送付したところ、島田はその頃これを承諾して同書類をも受領し茲に同売買契約は合意解除され、その結果前記建物の所有権は原状回復により島田豊次郎に復帰したこと。それにもかかわらず、被告人はその所有権移転登記手続未了なるを奇貨としてその後昭和28年6月3日旭川市2条通3丁目右5号大洋産業株式会社において同社より金20万円を借受けるに際し擅に前記建物上に抵当権を設定し以てこれを横領したことを優に認定できる。従って本件公訴事実はその証明十分であるといわなければならない。記録及び原審並びに当審取調の各証拠中右認定と相容れない部分はいずれも措信し難く、その他記録並びに当審取調の結果につき精査検討するも右認定をくつがえすに足る証拠はない。なお、弁護人は本件建物の所有権が島田豊次郎に移転したのは昭和28年6月3日以降であるとし、その論証として当時被告人において同建物の固定資産税を納付していたものであり、また、島田は被告人より本件建物代金の支払方法として差入れた金額40万円の約束手形を当時その手裡に保有していたものである2点に徴し明らかである、故に、本件横領罪は成立しない旨主張するが、証人島田豊次郎の当公廷における供述及び前掲原審取調の約束手形及び登記簿謄本を綜合すると、本件建物につき昭和28年8月21日被告人より島田豊次郎に対し同人名義の所有権移転登記手続をなしたことが明らかであるが、右は前記昭和24年6月22日頃本件建物売買契約の合意解除により本件建物の所有権が島田豊次郎に復帰したところ、被告人より受領した印鑑証明書に相違の点があったのでその訂正手続方を催告していたけれども早急に運ばず漸く昭和28年6月22日頃に至り新たに印鑑証明書の交付を受けたので同年8月21日島田豊次郎名義にその所有権移転登記手続がなされたものに過ぎず、従って本件建物の所有権が実体法上島田豊次郎に復帰したのは前段認定のように昭和24年6月22日頃であって昭和28年6月3日以降でないことが認められる。尤も記録及び証人島田豊次郎の当公廷における供述によれば、(一)被告人は本件犯行時である昭和28年6月3日当時本件建物の固定資産税を納付していたこと、(二)島田は前記被告人より本件建物代金の支払方法として受領した金額40万円の約束手形を右当時その手裡に保有していたことが認められるが、同証拠及び原審第3回公判調書中証人島田豊次郎の供述記載並びに前掲原審取調の約束手形を綜合すると、右(一)は本件建物が当時登記簿上被告人名義になっていたためであり、右(二)は前記建物売買契約の合意解除当時同手形の被告人名下の印影を破棄してこれを失効せしめたものであって有効手形として保有していたものでないことを認めることができる。記録及び原審並びに当審取調の各証拠中以上認定に反する部分はいずれも措信できない。故に右(一)、(二)の事実は前段認定の妨げとならない。弁護人の所論は採用するを得ず。されば、原判決が本件公訴事実を否定し被告人に対し無罪の言渡をなしたのは事実を誤認したものであり、その誤が判決に影響を及ぼすことが明らかであるから、爾余の趣旨に対する判断をなすまでもなく原判決は破棄を免れない。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H20 司法 第18問 ウ)
甲は、17歳の乙と同人所有の絵画の売買契約を締結し当該絵画の引渡しを受けたが、乙が親権者の同意がないことを理由に同契約を取り消した。甲はこれを知りながら、乙に無断で当該絵画を丙に売却して丙に引き渡した場合、甲乙間の売買契約が初めから無効であったものとみなされるため、甲と乙の間に委託信任関係は存在しないこととなるから、甲には横領罪は成立しない。

(正答)

(解説)
裁判例(札幌高判昭30.11.17)は、建物売買契約の合意解除後の横領事案において、「建物…売買契約解除の意思表示をなしV名義にその所有権移転登記手続に必要な権利書、委任状及び印鑑証明書を送付したところ、Vはその頃これを承諾して同書類をも受領し茲に同売買契約は合意解除され、その結果前記建物の所有権は原状回復によりVに復帰したこと。それにもかかわらず、被告人はその所有権移転登記手続未了なるを奇貨としてその後…A株式会社において同社より金20万円を借受けるに際し擅に前記建物上に抵当権を設定し以てこれを横領した…。」として、売買契約が解除により無効となった後においても、原状回復義務について、当事者間における委託信任関係が継続することを前提として横領罪の成立を認めている。
したがって、親権者の取消しにより売買契約が初めから無効であったものとみなされても、原状回復義務に関して、甲乙間に委託信任関係は存在する。
よって、甲が乙に無断で当該絵画を丙に売却して丙に引き渡した行為について、甲には横領罪が成立する。

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不動産の二重売買における横領罪の成否 最三小判昭和30年12月26日

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概要
不動産の所有権が売買によって買主に移転した場合、登記簿上の所有名義がなお売主にあるときは、売主はその不動産を占有するものである、したがっていわゆる二重売買においては横領罪の成立が認められる。
判例
事案:不動産のいわゆる二重売買の事案において、横領罪の成否が問題となった。

判旨:「不動産の所有権が売買によって買主に移転した場合、登記簿上の所有名義がなお売主にあるときは、売主はその不動産を占有するものと解すべく、従っていわゆる二重売買においては横領罪の成立が認められるとする趣旨は、大審院当時くりかえし判例として示されたところであり、この見解は今なお支持せられるべきものである…本件について原判決の是認する第一審の確定した事実は、被告人は判示のように本件山林をAに売却したのであるが、なお登記簿上被告人名義であるのを奇貨とし、右山林をさらにBに売却したというのであるから、原審が横領罪の成立を認めたのは相当であってなんら誤はない。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H18 司法 第5問 ア)
甲は、自己の所有する不動産を乙に売却して代金を受領した後、所有権移転登記をしない間に、乙に無断で、借金をしている丙のため、その不動産に抵当権を設定して登記を完了した。甲に横領罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭30.12.26)は、不動産の二重売買の事案において、「不動産の所有権が売買によって買主に移転した場合、登記簿上の所有名義がなお売主にあるときは、売主はその不動産を占有するものと解すべく、従っていわゆる二重売買においては横領罪の成立が認められる…。」としている。
そして、抵当権の設定行為についても、抵当権の実行によって換価処分がなされるおそれがあるから、横領行為であるといえる。
したがって、先売買契約の代金受領後に、無断で抵当権を設定しその旨の登記を具備した行為について、甲に横領罪が成立する。


全体の正答率 : 100%

(H20 司法 第18問 イ)
甲が、自己が所有し、登記簿上も自己が所有権者となっている土地を乙に売却し、その売買代金の受領を終え、当該土地の所有権が乙に移転した後、乙がその移転登記を完了する前に、甲が、事情を知った丙に当該土地を売却し、丙がその移転登記を完了した場合には、丙が当該土地の所有権の取得を乙に対抗できるか否かにかかわらず、甲には横領罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭30.12.26)は、不動産の二重売買の事案において、「不動産の所有権が売買によって買主に移転した場合、登記簿上の所有名義がなお売主にあるときは、売主はその不動産を占有するものと解すべく、従っていわゆる二重売買においては横領罪の成立が認められる…。」としている。
そして、第二譲受人が当該土地の所有権の取得を第一譲受人に対抗できるか否かは横領罪の成立を左右しない。
甲は、乙が所有権移転登記を完了する前に、事情を知った丙に当該土地を売却し所有権移転登記を完了しているから、丙が当該土地の所有権の取得を乙に対抗できるか否かにかかわらず、甲には横領罪が成立する。


全体の正答率 : 100%

(H21 司法 第21問 ア)
甲は、自己が所有し、その旨登記されている家屋を乙に売却して引き渡し、その売買代金を受領した後、乙への所有権移転登記が完了する前に、当該家屋に丙を権利者とする抵当権を設定し、その旨の登記をした。甲は、乙に当該家屋を売却して引き渡している以上、当該家屋は「自己の占有する」物とはいえないので、甲には乙を被害者とする横領罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭30.12.26)は、不動産の二重売買の事案において、「不動産の所有権が売買によって買主に移転した場合、登記簿上の所有名義がなお売主にあるときは、売主はその不動産を占有するものと解すべく、従っていわゆる二重売買においては横領罪の成立が認められる…。」としている。
そして、抵当権の設定行為についても、抵当権の実行によって換価処分がなされるおそれがあるから、横領行為であるといえる。
したがって、甲が乙から売買代金を受領した後、乙への所有権移転登記が完了する前に、当該家屋に丙を権利者とする抵当権を設定しその旨の登記を具備した行為について、甲には乙を被害者とする横領罪が成立する。


全体の正答率 : 100%

(H28 司法 第2問 ア)
甲は、自己が所有する不動産を乙に売却したが、乙への所有権移転登記が完了する前に、同不動産を丙に売却し、丙への所有権移転登記を完了した。甲に横領罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭30.12.26)は、不動産の二重売買の事案において、「不動産の所有権が売買によって買主に移転した場合、登記簿上の所有名義がなお売主にあるときは、売主はその不動産を占有するものと解すべく、従っていわゆる二重売買においては横領罪の成立が認められる…。」としている。
そして、第二譲受人が当該土地の所有権の取得を第一譲受人に対抗できるか否かは横領罪の成立を左右しない。
したがって、甲が、乙が所有権移転登記を完了する前に、丙に当該土地を売却した行為について、甲には横領罪が成立する。

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債権譲渡人が通知する前に受領した弁済金を費消した場合の横領罪の戒否(R6) 最一小決昭和33年5月1日

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概要
債権譲渡人が未だその通知をしないうちに債務の弁済として受領した金銭を自己のため費消した場合、横領罪が成立する。
判例
事案:債権譲渡人が未だその通知をしないうちに債務の弁済として受領した金銭を自己のため費消したという事案において、横領罪の成否が問題となった。

原審「債権を譲渡して、いまだ債権譲渡の通知を出さなかったとしても、該通知は債務者に対する対抗要件たるに止り、債権を譲渡した相手方たる前記協同組合と被告人が代表者取締役である前記A株式会社との間においては、右債権は完全に譲渡されて、右A株式会社は既に権利を失い、B株式会社から支払われた金員は右協同組合の所有に帰するわけであるから、右A株式会社が所有権を取得するいわれはない。従って被告人が該金員を右債務者より受領保管中自己又は右A株式会社のために擅に使用するにおいては、自己の占有する他人の金員を自己又は第三者のために領得費消したこととなるから、横領罪を構成することは明かである。」

最判:「原判決が同判示のごとき理由から、本件につき横領罪の成立を認めた第1審判決を是認したのも正当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(R6 司法 第6問 3)
A社の代表取締役である甲は、A社が有する債権をB組合に譲渡したが、同債権の債務者Cに対する債権譲渡の通知をする前に、Cから債務の弁済として現金を受領し、同現金をB組合に無断で自己のために費消した。この場合、上記通知がされていないから、甲にはB組合に対する横領罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最決昭33.5.1)は、「債権を譲渡して、いまだ債権譲渡の通知を出さなかったとしても、該通知は債務者に対する対抗要件たるに止り、債権を譲渡した相手方たる前記協同組合と被告人が代表者取締役である前記A株式会社との間においては、右債権は完全に譲渡されて、右A株式会社は既に権利を失い、B株式会社から支払われた金員は右協同組合の所有に帰するわけである…。」とした上で、「自己の占有する他人の金員を自己又は第三者のために領得費消したこととなるから、横領罪を構成することは明かである。」とした原審(広島高判昭32.10.10)の判断を正当であるとしている。
したがって、債権の債務者Cに対する債権譲渡の通知をする前に現金を受領し自己のために費消した行為について、債権譲渡通知がなされていないとしても、甲にはB組合に対する横領罪が成立する。

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盗品売却代金の横領 最三小判昭和36年10月10日

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概要
民法上犯人に対しその返還を請求し得べきものでないとしても、被告人が自己以外の者のためにこれを占有して居るのであるから、その占有中これを着服した以上、横領の罪責を免れ得ない。
判例
事案:窃盗犯人から売却を依頼された盗品の販売代金を着服したという事案において、横領罪の成否が問題となった。

判旨:「刑法252条1項の横領罪の目的物は、単に犯人の占有する他人の物であることを以って足るのであって、その物の給付者において、民法上犯人に対しその返還を請求し得べきものであることを要件としない…。したがって、所論金員は、窃盗犯人たる第1審相被告人において、牙保者たる被告人に対しその返還を請求し得ないとしても、被告人が自己以外の者のためにこれを占有して居るのであるから、その占有中これを着服した以上、横領の罪責を免れ得ない。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H28 司法 第2問 ウ)
甲は、乙から盗品を売却するよう依頼され、同盗品を丙に売却したが、その売却代金を着服した。甲に横領罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭36.10.10)は、本肢と同種の事案において、「刑法252条1項の横領罪の目的物は、単に犯人の占有する他人の物であることを以って足るのであって、その物の給付者において、民法上犯人に対しその返還を請求し得べきものであることを要件としない…。したがって、所論金員は、窃盗犯人たる第1審相被告人において、牙保者たる被告人に対しその返還を請求し得ないとしても、被告人が自己以外の者のためにこれを占有して居るのであるから、その占有中これを着服した以上、横領の罪責を免れ得ない。」としている。
したがって、盗品の売却代金を着服した行為について、甲に横領罪が成立する。


全体の正答率 : 100%

(R1 共通 第20問 オ)
甲が腕時計の売却代金を費消したことについては、同腕時計の窃盗犯人である乙は甲に対してその代金の引渡しを請求する権利がないので、甲に委託物横領罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭36.10.10)は、本肢と同種の事案において、「刑法252条1項の横領罪の目的物は、単に犯人の占有する他人の物であることを以って足るのであって、その物の給付者において、民法上犯人に対しその返還を請求し得べきものであることを要件としない…。したがって、所論金員は、窃盗犯人たる第1審相被告人において、牙保者たる被告人に対しその返還を請求し得ないとしても、被告人が自己以外の者のためにこれを占有して居るのであるから、その占有中これを着服した以上、横領の罪責を免れ得ない。」としている。
したがって、乙が甲に対してその代金の引渡しを請求する権利がなくとも、甲に委託物横領罪が成立する。


全体の正答率 : 100%

(R3 予備 第8問 5)
窃盗犯人から盗品の売却を依頼された者が、その売却代金を自己の用途に費消するため着服した場合、当該行為は、他人の所有権を侵害する行為であるものの、窃盗犯人との間の委託信任関係は法律上保護に値しないから、横領罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭36.10.10)は、本肢と同種の事案において、「刑法252条1項の横領罪の目的物は、単に犯人の占有する他人の物であることを以って足るのであって、その物の給付者において、民法上犯人に対しその返還を請求し得べきものであることを要件としない…。したがって、所論金員は、窃盗犯人たる第1審相被告人において、牙保者たる被告人に対しその返還を請求し得ないとしても、被告人が自己以外の者のためにこれを占有して居るのであるから、その占有中これを着服した以上、横領の罪責を免れ得ない。」としている。
したがって、窃盗犯人から盗品の売却を依頼された者が、その売却代金を自己の用途に費消するため着服した場合、窃盗犯人との間の委託信任関係は法律上保護に値しないとしても、横領罪が成立する。

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後行行為における横領罪の成否 最大判平成15年4月23日

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概要
委託を受けて他人の不動産を占有する者が、これにほしいままに抵当権を設定してその旨の登記を了した後、これについてほしいままに売却等の所有権移転行為を行いその旨の登記を了したときは、後行の所有権移転行為について横領罪の成立を肯定することができ、先行の抵当権設定行為が存在することは同罪の成立自体を妨げる事情にはならない。
判例
事案:委託を受けて他人の不動産を占有する者が、これにほしいままに抵当権を設定してその旨の登記を了した後、これについてほしいままに売却等の所有権移転行為を行いその旨の登記を了したという事案において、後行行為について横領罪の成否が問題となった。

判旨:「委託を受けて他人の不動産を占有する者が、これにほしいままに抵当権を設定してその旨の登記を了した後においても、その不動産は他人の物であり、受託者がこれを占有していることに変わりはなく、受託者が、その後、その不動産につき、ほしいままに売却等による所有権移転行為を行いその旨の登記を了したときは、委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をしたものにほかならない。したがって、売却等による所有権移転行為について、横領罪の成立自体は、これを肯定することができるというべきであり、先行の抵当権設定行為が存在することは、後行の所有権移転行為について犯罪の成立自体を妨げる事情にはならないと解するのが相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H21 司法 第21問 オ)
甲は、A会社の代表取締役であるが、権限がないのに、A会社が所有し、その旨登記されている土地について、甲を債務者、乙を権利者とする抵当権を設定し、その旨の登記を完了した後、さらに、権限がないのに、当該土地を丙に売却してその旨の登記を完了した。当該土地に抵当権を設定してその旨の登記をした時点で、甲には業務上横領罪が成立するので、当該土地を丙に売却してその旨の登記を完了した行為についてA会社を被害者とする業務上横領罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最大判平15.4.23)は、「売却等による所有権移転行為について、横領罪の成立自体は、これを肯定することができるというべきであり、先行の抵当権設定行為が存在することは、後行の所有権移転行為について犯罪の成立自体を妨げる事情にはならない…。」としている。
したがって、甲が乙を権利者とする抵当権を設定することで業務上横領罪が成立した後、当該土地を丙に売却してその旨の登記を完了した行為についても、甲には、A会社を被害者とする業務上横領罪が成立する。


全体の正答率 : 100%

(H30 共通 第20問 イ)
甲は、別居している実弟Aとの間で、自己が所有するX市内の土地(以下「本件土地」という。)を代金3000万円で売却する売買契約を締結し、Aから代金全額の支払を受けたものの、本件土地の所有権移転登記は未了のままであった。
そこで、甲は、自己が経営する会社の資金繰りのため、自らが保管していた本件土地の登記済証を利用し、事情を知らないBに対して、本件土地に抵当権を設定するので、それを担保に1000万円を融資してほしい旨申し入れたところ、Bは、これを了承した。数日後、甲は、Bから1000万円の融資を受けた上、Aに無断で本件土地の抵当権設定登記を完了した。
甲が本件土地をAに無断で乙に売却し、所有権移転登記を完了したことについては、それ以前に甲がAに無断で本件土地に抵当権を設定し、その旨の登記を完了したことによって、犯罪の成立は妨げられないので、甲に横領罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最大判平15.4.23)は、「売却等による所有権移転行為について、横領罪の成立自体は、これを肯定することができるというべきであり、先行の抵当権設定行為が存在することは、後行の所有権移転行為について犯罪の成立自体を妨げる事情にはならない…。」としている。
したがって、甲が本件土地をAに無断で乙に売却し、所有権移転登記を完了した行為についても、甲に業務上横領罪が成立する。


全体の正答率 : 100%

(R3 予備 第8問 4)
所有者から委託を受けて不動産を占有する者が、所有者に無断で、金融機関を抵当権者とする抵当権を同不動産に設定してその旨の登記を了した後において、同不動産の売却代金を自己の用途に費消するため、更に所有者に無断で、第三者に同不動産を売却してその旨の登記を了した場合、先行する抵当権設定行為について横領罪が成立する場合であっても、後行する所有権移転行為について、横領罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最大判平15.4.23)は、「売却等による所有権移転行為について、横領罪の成立自体は、これを肯定することができるというべきであり、先行の抵当権設定行為が存在することは、後行の所有権移転行為について犯罪の成立自体を妨げる事情にはならない…。」としている。
したがって、第三者に不動産を売却してその旨の登記を了した、後行する所有権移転行為についても、横領罪が成立する。

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