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賄賂の罪 - 解答モード
賄賂の目的物 大判明治43年12月19日
概要
判例
要旨:賄賂ノ目的物ハ其有形ナルト無形ナルトヲ問ハス人ノ需用若クハ慾望ヲ充タスニ足ルヘキ一切ノ利益ヲ包含セルモノトス
(※原文を確認できないため、要旨のみを掲載)
賄賂罪の「賄賂」 最三小決昭和33年9月30日
概要
判例
判旨:「賄賂は職務行為に対するものであれば足り、個々の職務行為と賄賂との間に対価的関係のあることを必要とするものではないと解するを相当とする…。」
賄賂罪の「賄賂」 最一小決平成24年10月15日
概要
判例
判旨:「被告人Aは福島県知事であって、同県が発注する建設工事に関して上記の権限を有していたものであり、その実弟である被告人Bが代表取締役を務めるCにおいて、本件土地を早期に売却し、売買代金を会社再建の費用等に充てる必要性があったにもかかわらず、思うようにこれを売却できずにいる状況の中で、被告人両名が共謀の上、同県が発注した木戸ダム工事受注の謝礼の趣旨の下に、Fに本件土地を買い取ってもらい代金の支払を受けたというのであって、このような事実関係の下においては、本件土地の売買代金が時価相当額であったとしても、本件土地の売買による換金の利益は、被告人Aの職務についての対価性を有するものとして賄賂に当たると解するのが相当である。」
過去問・解説
(H30 共通 第20問 ウ)
乙は、土地の購入資金を調達するため、それまでにX市発注の公共工事の受注に際して、土木部長として便宜を図ってきた建築業を営むCに対して、乙所有の農地を時価(700万円)で買い取ってほしい旨を依頼した。Cは、本件農地にはそれまで買手が全く見付からず、乙が苦労していることを知りながら、かねてX市発注の公共工事の受注に際して乙が有利な取り計らいをしてくれたことに対する謝礼の趣旨に加え、時価であれば損をすることもないと考えて、乙の依頼を了承した。そして、Cは、乙と本件農地の売買契約を締結した上で、乙に現金700万円を手渡した。
乙は、本件農地を時価でCに売却したのであるから、乙がCから交付を受けた現金700万円は通常の経済取引に基づく不動産の購入代金であり、不正な利益としての賄賂には当たらないので、乙に収賄罪(収受)は成立しない。
中元・歳暮の賄賂該当性 大判昭和4年12月4日
概要
判例
判旨:「若シ公務員ノ職務ニ關係ナカリセハ中元歳暮ニ於ケル社交上ノ慣習儀禮ト認メラルヘキ程度ノ贈物ト雖苟モ公務員ノ職務ニ關シ授受セラルル以上ハ賄賂罪ノ成立スルコト勿論ニシテ其ノ額ノ多少公務員ノ社交上ノ地位若ハ時期ノ如何ヲ理由トシテ公務員ノ私的生活ニ關スル社交上ノ儀禮ニ依ル贈答タルニ止マルモノト認メサルヘカラサル理由アルコトナシ」
過去問・解説
(H21 司法 第5問 オ)
公務員が物品の贈与を受けた場合、それが中元・歳暮の名目で贈与されたものであっても、同人の職務との対価関係が認められる限り、単純収賄罪(刑法第197条第1項前段)が成立する。
社交儀礼と賄賂罪 最一小判昭和50年4月24日
概要
判例
判旨:「右小切手の授受についてみると、それが供与されたのは、被告人が新規に右Aの学級担任になった直後の時期においてであるところ、右Bは、Aの場合ばかりでなく、かねてから子女の教員に対しては季節の贈答や学年初めの挨拶を慣行としていたものであって、これらの贈答に関しては、儀礼的挨拶の限度を超えて、教育指導につき他の生徒に対するより以上の特段の配慮、便益を期待する意図があったとの疑惑を抱かせる特段の事情も認められないのであるから、本件小切手の供与についても、被告人が新しく学級担任の地位についたことから父兄からの慣行的社交儀礼として行われたものではないかとも考えられる余地が十分存するのであって、右供与をもって直ちに被告人が学級担任の教諭として行うべき教育指導の職務行為そのものに関する対価的給付であると断ずるには、記録上窺知することのできる被告人に対する他の父兄からの贈答状況、金額、被告人以外の教員の場合における同種事情、被告人が無罪とされた他の9個の事実との対比等の諸事情一切を総合考慮するときは、なお合理的な疑が存するものといわなければならないのである。
…以上説示の諸事情に加え、その他記録上窺知できる諸般の事情をも総合して本件事実関係を見れば、第一審判決が掲げる証拠及び記録によっても、前記2件の供与をもって、被告人の教諭としての公的職務に関し、これに対してなされたものであると断定するには、なお合理的な疑いの存することを払拭することができず、右2件の供与は、被告人の職務行為を離れた、むしろ私的な学習上生活上の指導に対する感謝の趣旨と、被告人に対する敬慕の念に発する儀礼の趣旨に出たものではないかと思われる余地があると言わなくてはならない。」
過去問・解説
(R5 司法 第11問 ア)
公立中学校の教員が、自らが担任を務める生徒の保護者から商品券を受け取った場合、それが慣行的社交儀礼としてなされたものであっても、常に「賄賂」に当たる。
収賄罪における「職務」 最三小判昭和37年5月29日
概要
判例
判旨:「刑法197条にいう『其職務』とは、当該公務員の一般的な職務権限に属するものであれば足り、本人が現に具体的に担当している事務であることを要しないものと解するを相当とするから、a県事務吏員でa県b事務所農地課勤務の被告人は、農地課長の職務代理者を命ぜられたと否とにかかわりなく、たとえ、日常担当しない事務であっても、同課の分掌事務に属するものであるかぎり、前記農地および農業用施設等復旧工事に関する事務をも含めてその全般にわたり、上司の命を受けてこれを処理し得べき一般的権限を有していたものと解するを相当とする。」
賄賂罪の「職務」 最三小決昭和40年10月19日
概要
判例
判旨:「刑法197条にいう公務員の職務とは、公務員がその地位にもとづいて取り扱うすべての執務をいい、独立の決裁権があることを必要としないものと解するのが相当である。」
賄賂罪の「職務」 最二小決昭和58年3月25日
概要
判例
判旨:「贈賄罪は、公務員に対し、その職務に関し賄賂を供与することによって成立するものであり、公務員が一般的職務権限を異にする他の職務に転じた後に前の職務に関して賄賂を供与した場合であっても、右供与の当時受供与者が公務員である以上、贈賄罪が成立するものと解すべきである…。」
過去問・解説
(H18 司法 第14問 1)
市役所の建築課長甲は、人事異動により同じ市役所の保健課長に転任したが、保健課長に就任した後、建設業者乙から、建築課長当時にその職務に関し有利な取り計らいを受けたことの謝礼として現金30万円を収受した。判例の立場に従うと、甲に収賄罪(刑法第197条第1項前段)が成立する。
(H24 司法 第12問 4)
公務員が一般的職務権限を異にする他の部署に異動した後に、前の職務に関して賄賂を収受した場合でも、収受の当時において公務員である以上、収賄罪は成立する。
(H30 共通 第6問 オ)
賄賂罪の「職務」は、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をした時点で公務員の一般的職務権限に属している必要があり、公務員が一般的職務権限を異にする他の職務に転じた後に前の職務に関して賄賂を収受した場合には、賄賂罪は成立しない。
賄賂罪における職務行為の該当性 最大判平成7年2月22日
概要
判例
判旨:「賄賂罪は、公務員の職務の公正とこれに対する社会一般の信頼を保護法益とするものであるから、賄賂と対価関係に立つ行為は、法令上公務員の一般的職務権限に属する行為であれば足り、公務員が具体的事情の下においてその行為を適法に行うことができたかどうかは、問うところではない。けだし、公務員が右のような行為の対価として金品を収受することは、それ自体、職務の公正に対する社会一般の信頼を害するからである。
…内閣総理大臣は、少なくとも、内閣の明示の意思に反しない限り、行政各部に対し、随時、その所掌事務について一定の方向で処理するよう指導、助言等の指示を与える権限を有するものと解するのが相当である。したがって、内閣総理大臣の運輸大臣に対する前記働き掛けは、一般的には、内閣総理大臣の指示として、その職務権限に属することは否定できない。
…以上検討したところによれば、運輸大臣がAに対しL1011型機の選定購入を勧奨する行為は、運輸大臣の職務権限に属する行為であり、内閣総理大臣が運輸大臣に対し右勧奨行為をするよう働き掛ける行為は、内閣総理大臣の運輸大臣に対する指示という職務権限に属する行為ということができるから、甲が内閣総理大臣として運輸大臣に前記働き掛けをすることが、賄賂罪における職務行為に当たるとした原判決は、結論において正当として是認することができるというべきである。」
過去問・解説
(H19 司法 第9問 2)
収賄罪において賄賂と対価関係に立つ行為は、法令上公務員の一般的職務権限に属する行為であれば足り、公務員が具体的事情の下においてその行為を適法に行うことができたかどうかは、問うところではない。
(R3 共通 第4問 ウ)
公務員が、その職務に関し、賄賂を収受したとき、当該職務が適切なものであっても単純収賄罪(刑法第197条第1項前段)が成立する。
賄賂罪の「職務に関し」 最一小決平成17年3月11日
概要
判例
判旨:「警察法64条等の関係法令によれば、同庁警察官の犯罪捜査に関する職務権限は、同庁の管轄区域であるAの全域に及ぶと解されることなどに照らすと、被告人が、X警察署管内の交番に勤務しており、Y警察署刑事課の担当する上記事件の捜査に関与していなかったとしても、被告人の上記行為は、その職務に関し賄賂を収受したものであるというべきである。」
過去問・解説
(H26 共通 第4問 1)
判例(最決H17.3.11)は、X警察署地域課とY警察署刑事課とは一般的職務権限を異にするが、同じA県警察内であり犯罪捜査という点で職務が密接に関連することから、甲が受けた現金の供与も甲の職務に関するものと認めている。
(H26 共通 第4問 2)
判例(最決H17.3.11)は、職務関連性の判断において、甲が所属するA県警察の警察官に対して法令が与えた一般的職務権限に属する職務行為であるか否かを重視している。
(H26 共通 第4問 3)
判例(最決H17.3.11)は、警察官が捜査情報を漏えいすることはそもそも禁じられているので、これが職務行為や職務密接関連行為に該当することはないと考えている。
(H26 共通 第4問 4)
判例(最決H17.3.11)は、甲が以前Y警察署刑事課に勤務中に扱った事件に関して、X警察署地域課に異動になった後に現金の供与を受けたとしても、供与を受けた時点で公務員である以上収賄罪が成立することを認めたものである。
(H26 共通 第4問 5)
判例(最決H17.3.11)は、当該事件の捜査を担当しているY警察署刑事課所属の警察官への働き掛けは、あっせん収賄罪にいう「あっせん」であり、これが職務行為や職務密接関連行為に該当することはないと考えている。
収賄罪(要求)の成否 大判昭和9年11月26日
概要
判例
判旨:「賄賂要求ノ罪ハ被要求者カ之ニ応スル意思ナキ為其ノ目的ヲ達スル能ハサル場合ニ於テモ成立スルモノトス」
過去問・解説
(H30 共通 第20問 エ)
乙は、土地の購入資金を調達するため、それまでにX市発注の公共工事の受注に際して、土木部長として便宜を図ってきた建築業を営むCに対して、乙所有の農地を時価より高い1000万円で買い取ってほしい旨を依頼した。Cがこの依頼を拒否した場合、収賄罪と贈賄罪は対向犯として必要的共犯の関係にあるので、乙に収賄罪(要求)は成立しない。
再選後の受託収賄罪の成否 最三小決昭和61年6月27日
概要
判例
判旨:「被告人甲は、a市が発注する各種工事に関し、入札参加者の指名及び入札の執行を管理する職務権限をもつ同市市長と共謀を遂げ、近く施行される同市長選挙に立候補の決意を固めていた同市長において、再選された場合に具体的にその職務を執行することが予定されていた市庁舎の建設工事等につき、電気・管工事業者乙から入札参加者の指名、入札の執行等に便宜有利な取計いをされたい旨の請託を受けたうえ、その報酬として、同市長の職務に関し、現金3000万円の供与を受けたというのである。このように、市長が、任期満了の前に、現に市長としての一般的職務権限に属する事項に関し、再選された場合に担当すべき具体的職務の執行につき請託を受けて賄賂を収受したときは、受託収賄罪が成立すると解すべきであるから、被告人甲の本件所為について受託収賄罪の成立を認めた原判断は正当である。」
過去問・解説
(H21 司法 第5問 エ)
市長が、その任期満了前に、現に市長としての一般的職務権限に属する事項に関し、再選された後に担当すべき具体的職務について請託を受けて賄賂を収受した場合には、受託収賄罪(刑法第197条第1項後段)は成立せず、市長に再選されたときに限り、事前収賄罪(刑法第197条第2項)が成立する。
第三者供賄罪における第三者の意義 最二小決昭和29年8月20日
概要
判例
判旨:「刑法197条の2の罪が成立するためには公務員が其の職務に関する事項につき依頼を受けこれを承諾したことを必要とし第三者に供与した利益がその公務員の職務行為に対する代償たる性質を有することを要するものと解するを相当とし、右第三者のうちには地方公共団体その他の法人を含むことも当然でありこれを除外する理由はない。本件において確定された事実は第一審判決判示のとおりであってその要旨は被告人はa町警察の警察署長であり犯罪の検挙、捜査及び検挙した被疑事件を検察官に送致する職務等を有するものであるが、判示被疑事件につきa町又はa町外b村A組合に寄附金をするから寛大に扱われたいとの依頼を受けてこれを承諾し右町及び組合に寄附金名義で金員を供与させよって右被疑事件を検察庁に送致しなかったという趣旨であるから、贈賄者の供与した利益は賄賂性があり刑法197条の3、1項及び同法197条の2の罪が成立する…。」
過去問・解説
(H24 司法 第12問 3)
第三者供賄罪において、賄賂の供与を受ける第三者は、自然人に限られない。
あっせん収賄罪の「あっせん」の意義 最二小決昭和43年10月15日
概要
判例
判旨:「刑法197条の4の斡旋収賄罪が成立するためには、その要件として、公務員が積極的にその地位を利用して斡旋することは必要でないが、少なくとも公務員としての立場で斡旋することを必要とし、単なる私人としての行為は右の罪を構成しないものと解するのが相当である。」
あっせん収賄罪の成否 最二小決平成15年1月14日
概要
判例
判旨:「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律73条1項は、公正取引委員会は、同法違反の犯罪があると思料するときは検事総長に告発しなければならないと定め、同法96条1項は、同法89条から91条までの罪は、同委員会の告発を待って、これを論ずると定めているところ、公務員が、請託を受けて、公正取引委員会が同法違反の疑いをもって調査中の審査事件について、同委員会の委員長に対し、これを告発しないように働き掛けることは、同委員会の裁量判断に不当な影響を及ぼし、適正に行使されるべき同委員会の告発及び調査に関する権限の行使をゆがめようとするものであるから、平成7年法律第91号による改正前の刑法197条の4にいう『職務上相当ノ行為ヲ為サザラシム可ク』あっせんすることに当たると解すべきである。」
過去問・解説
(H19 司法 第9問 1)
公務員が賄賂を受け取って、他の公務員の職務について働き掛けを行った場合、違法な行為の働き掛けがあったときにのみあっせん収賄罪が成立し、他の公務員の裁量判断に不当な影響を及ぼす程度では同罪は成立しない。
金銭貸借の形式の賄賂と没収 最二小決昭和36年6月22日
概要
判例
判旨:「…本件の如く公務員がその職務に関し金員の貸与を受け賄賂を収受した場合において、その金員の没収ができないとき、刑法19条1項3号、2項、19条ノ2によって、被告人からその金額を追徴することができることは、当裁判所の判例とするところであり(昭和33年2月27日第一小法廷決定、刑集12巻2号342頁)、所論は結局単なる法令違反の主張に帰し、刑訴405条の上告理由にあたらない。(なお本件の金員15000円は昭和33年法律第107号による改正前の刑法197条ノ4にいわゆる『収受シタル賄賂』そのものではなく、且つ、右金員は同法19条1項1号にいわゆる『犯罪行為ヲ組成シタル物』ではなくて、同条同項3号にいわゆる『犯罪行為ニ因リ得タル物』と解すべきである…。」
過去問・解説
(H19 司法 第9問 4)
公務員が賄賂として関係業者から借金をした場合、借金という形をとっても実は金銭の贈与を受ける趣旨であれば、当該金銭は没収の対象となるが、本当に借金したにすぎない場合には、刑法第197条の5の規定によっては、受領した金銭を没収することはできない。
賄賂の追徴額の基準時 最大判昭和43年9月25日
概要
判例
判旨:「収賄者は賄賂たる物を収受することによってその物のその当時の価額に相当する利益を得たものであり、その後の日時の経過等によるその物の価額の増減の如きは右収受とは別個の原因に基づくものすぎないのであるから、没収に代えて追徴すべき金額はその物の授受当時の価額によるべきものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H29 司法 第9問 オ)
収賄罪において、収受した賄賂が没収不能となった時点で、収受時と比較してその価額が減じていた場合には、没収不能時の価額を追徴することになる。
収賄罪における追徴の意義 最三小判平成16年11月8日
概要
判例
判旨:「刑法(平成7年法律第91号による改正前のもの。)197条ノ5の規定による没収・追徴は、必要的に行うべきものであるが、本件のように収賄の共同正犯者が共同して収受した賄賂については、これが現存する場合には、共犯者各自に対しそれぞれ全部の没収を言い渡すことができるから、没収が不能な場合の追徴も、それが没収の換刑処分であることに徴すれば、共犯者ら各自に対し、それぞれ収受した賄賂の価額全部の追徴を命じることができると解するのが相当であり、賄賂を共同収受した者の中に公務員の身分を有しない者が含まれる場合であっても、異なる扱いをする理由はない。
…収賄犯人等に不正な利益の保有を許さないという要請が満たされる限りにおいては、必要的追徴であるからといって、賄賂を共同収受した共犯者全員に対し、それぞれその価額全部の追徴を常に命じなければならないものではないということができるのであり(最高裁昭和26年(あ)第3100号同33年3月5日大法廷判決・刑集12巻3号384頁参照)、裁判所は、共犯者らに追徴を命じるに当たって、賄賂による不正な利益の共犯者間における帰属、分配が明らかである場合にその分配等の額に応じて各人に追徴を命じるなど、相当と認められる場合には、裁量により、各人にそれぞれ一部の額の追徴を命じ、あるいは一部の者にのみ追徴を科することも許されるものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(R5 司法 第11問 オ)
裁判所は、収賄の共同正犯者が共同して収受した賄賂について、共犯者各自に対し、公務員の身分の有無にかかわらず、それぞれその価額全部の追徴を命じることができ、相当と認められる場合には、裁量により、各自にそれぞれ一部の額の追徴を命じ、あるいは一部の者にのみ追徴を科することも許される。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平16.11.8)は、「没収・追徴は、必要的に行うべきものであるが、本件のように収賄の共同正犯者が共同して収受した賄賂については、これが現存する場合には、共犯者各自に対しそれぞれ全部の没収を言い渡すことができる…。」とした上で、「賄賂を共同収受した者の中に公務員の身分を有しない者が含まれる場合であっても、異なる扱いをする理由はない。」としている。
また、本判例は続けて、「裁判所は、共犯者らに追徴を命じるに当たって、賄賂による不正な利益の共犯者間における帰属、分配が明らかである場合にその分配等の額に応じて各人に追徴を命じるなど、相当と認められる場合には、裁量により、各人にそれぞれ一部の額の追徴を命じ、あるいは一部の者にのみ追徴を科することも許される…。」としている。