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犯罪の不成立及び刑の減免 - 解答モード
第36条
条文
① 急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
② 防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
第37条
条文
① 自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
② 前項の規定は、業務上特別の義務がある者には、適用しない。
過去問・解説
(H24 司法 第9問 5)
避難行為から生じた害が避難行為により避けようとした害の程度を超えるが、危難を回避する方法がその避難行為以外に存在しなかった場合には、過剰避難が成立し得る。
(H27 予備 第3問 エ)
現在の危難を避けるためにした行為によって生じた害が、避けようとした害の程度を超えた場合、当該行為をした者の刑を免除することはできない。
第38条
条文
① 罪を犯す意思がない行為は、罰しない。ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない。
② 重い罪に当たるべき行為をしたのに、行為の時にその重い罪に当たることとなる事実を知らなかった者は、その重い罪によって処断することはできない。
③ 法律を知らなかったとしても、そのことによって、罪を犯す意思がなかったとすることはできない。ただし、情状により、その刑を減軽することができる。
過去問・解説
(H26 司法 第3問 ア)
法律を知らなかったとしても、そのことによって、罪を犯す意思がなかったとすることはできないが、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
(H27 司法 第9問 2)
Aは、Bから預かった荷物の中身は「覚せい剤である。」と思ったものの、覚せい剤を日本に持ち込むことは法律上禁止されていないと考えてこれを日本に持ち込んだ場合、Aには覚せい剤取締法の輸入罪が成立する。
(正答) 〇
(解説)
38条3項本文は、「法律を知らなかったとしても、そのことによって、罪を犯す意思がなかったとすることはできない。」と規定している。
Aは、Bから預かった荷物の中身は「覚せい剤である。」と認識した上で、それを日本に持ち込んでいるのだから、覚せい剤取締法の輸入罪の構成要件該当事実の認識・認容があり、本罪における「罪を犯す意思」(38条1項本文)が認められる。
Aは、覚せい剤を日本に持ち込むことは法律上禁止されていないと考えているが、それは単に「法律を知らなかった」(38条3項本文)にすぎず、「罪を犯す意思」を否定する事情とはならない。
したがって、Aには覚せい剤取締法の輸入罪が成立する。
第39条
条文
① 心神喪失者の行為は、罰しない。
② 心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。
過去問・解説
(H20 司法 第19問 5)
心神耗弱者の行為は、情状により、その刑を減軽することができる。
(H22 司法 第14問 5)
犯行当時の行為者が、心神喪失状態にあった場合は処罰されないが、心神耗弱状態にあった場合は必ずその刑が減軽又は免除される。
(H24 司法 第13問 ウ)
犯行時に心神耗弱の状態にあったと認められれば、刑が任意的に減軽される。
(H27 共通 第11問 4)
心神耗弱は、責任能力が著しく減退しているにすぎないから、その刑を減軽しないこともできる。
(H30 共通 第11問 2)
行為者が犯行時に心神耗弱状態にあった場合でも、その刑を減軽しないことができる。
第41条
条文
14歳に満たない者の行為は、罰しない。
過去問・解説
(H22 司法 第14問 3)
13歳の少年であっても、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた場合においては、事件の重大性等の諸般の事情を考慮し、刑罰が科されることがある。
(H25 司法 第5問 3)
13歳であるが、行為の是非を弁識する能力及びこの弁識に従って行動する能力に欠けるところがない場合、責任能力が認められる。
(H26 司法 第3問 エ)
14歳未満の者であっても、行為の是非善悪を弁識し、その弁識に従って行動する能力が十分に認められる場合があり、そのような者については処罰されることがある。
(H27 共通 第11問 5)
13歳の少年が人を殺害した場合、少年法の規定に基づく手続を経れば、その少年に刑罰を科すことができる。
(H29 司法 第13問 1)
13歳の少年であっても、事物の理非善悪を弁識する能力及びその弁識に従って行動する能力が備わっていれば、責任能力が認められることがある。
(H30 共通 第11問 5)
14歳の者は、事物の是非善悪を弁識し、その弁識に従って行動する能力が十分に認められる場合であっても、処罰されない。
第42条
条文
① 罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。
② 告訴がなければ公訴を提起することができない罪について、告訴をすることができる者に対して自己の犯罪事実を告げ、その措置にゆだねたときも、前項と同様とする。
過去問・解説
(H19 司法 第10問 オ)
甲は、空腹を感じたが所持金がなかったことから、飲食店Aにおいて無銭飲食をした。そして、同店店主乙から飲食代金の支払を請求されるや、乙に対し、「金はない。」と言いながら所携のナイフを乙に突き付けて脅迫し、乙がひるんだすきにその場から逃走した。
しかし、この先も生活費が手に入る見込みがなかった甲は、いっそのこと刑務所で服役して飢えをしのごうと考え直し、付近の警察署に出頭するため、上記ナイフを手に持ったまま同署の前まで歩いていった。捜査機関は、この時点でいまだ甲による上記無銭飲食の事実を認識していなかったが、同署の警察官Xは、ナイフを手に持った甲の姿を見て不審者と認め、甲に対する職務質問を開始した。甲は、その職務質問に対し、警察官Xに無銭飲食の事実を告げ、ナイフも提出した。
この場合において、甲が、ナイフを突き付けたのは無銭飲食をした後逃走するためであり、そのような行為が強盗という罪に当たるとは思わなかったと申告している場合には、自首は成立しない。