現在お使いのブラウザのバージョンでは、本サービスの機能をご利用いただけない可能性があります
バージョンアップを試すか、Google ChromeやMozilla Firefoxなどの最新ブラウザをお試しください

引き続き問題が発生する場合は、 お問い合わせ までご連絡ください。

民事訴訟法 民事訴訟法220条4号ハにいう「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」の意義 最二小判平成11年11月12日 - 解答モード

概要
ある文書が、専ら内部の者の利用に供する目的で作成され、外部の者に開示することが予定されていない文書であって、開示されると個人のプライバシーが侵害されたり個人ないし団体の自由な意思形成が阻害されたりするなど、開示によって所持者の側に看過し難い不利益が生ずるおそれがあると認められる場合には、特段の事情がない限り、当該文書は「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」(220条4号ハ)にあたる。
判例
事案:銀行の貸出稟議書につき文書提出命令の申立がなされた事案において、当該文書が「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」(220条4号ハ)にあたるかが問題となった。

判旨:「ある文書が、その作成目的、記載内容、これを現在の所持者が所持するに至るまでの経緯、その他の事情から判断して、専ら内部の者の利用に供する目的で作成され、外部の者に開示することが予定されていない文書であって、開示されると個人のプライバシーが侵害されたり個人ないし団体の自由な意思形成が阻害されたりするなど、開示によって所持者の側に看過し難い不利益が生ずるおそれがあると認められる場合には、特段の事情がない限り、当該文書は民訴法220条4号ハ(現:220条4号ニ)所定の『専ら文書の所持者の利用に供するための文書』に当たると解するのが相当である。
 これを本件についてみるに、記録によれば、銀行の貸出稟議書とは、支店長等の決裁限度を超える規模、内容の融資案件について、本部の決裁を求めるために作成されるものであって、通常は、融資の相手方、融資金額、資金使途、担保・保証、返済方法といった融資の内容に加え、銀行にとっての収益の見込み、融資の相手方の信用状況、融資の相手方に対する評価、融資についての担当者の意見などが記載され、それを受けて審査を行った本部の担当者、次長、部長など所定の決裁権者が当該貸出しを認めるか否かについて表明した意見が記載される文書であること、本件文書は、貸出稟議書及びこれと一体を成す本部認可書であって、いずれも抗告人がJに対する融資を決定する意思を形成する過程で、右のような点を確認、検討、審査するために作成されたものであることが明らかである。
 右に述べた文書作成の目的や記載内容等からすると、銀行の貸出稟議書は、銀行内部において、融資案件についての意思形成を円滑、適切に行うために作成される文書であって、法令によってその作成が義務付けられたものでもなく、融資の是非の審査に当たって作成されるという文書の性質上、忌たんのない評価や意見も記載されることが予定されているものである。したがって、貸出稟議書は、専ら銀行内部の利用に供する目的で作成され、外部に開示することが予定されていない文書であって、開示されると銀行内部における自由な意見の表明に支障を来し銀行の自由な意思形成が阻害されるおそれがあるものとして、特段の事情がない限り、『専ら文書の所持者の利用に供するための文書』に当たると解すべきである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H21 司法 第64問 2)
銀行の貸出稟議書は、専ら銀行内部の利用に供する目的で作成され、外部に開示することが予定されていない文書であって、開示されると銀行内部における自由な意見の表明に支障を来し銀行の自由な意思形成が阻害されるおそれがあるものとして、特段の事情がない限り、専ら文書の所持者の利用に供するための文書に該当することから、所持者はその提出を拒むことができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平11.11.12)は、「銀行の貸出稟議書は…専ら銀行内部の利用に供する目的で作成され、外部に開示することが予定されていない文書であって、開示されると銀行内部における自由な意見の表明に支障を来し銀行の自由な意思形成が阻害されるおそれがあるものとして、特段の事情がない限り、『専ら文書の所持者の利用に供するための文書』に当たる…。」としている。
したがって、銀行の貸出稟議書は、特段の事情のない限り、「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」(220条4号ニ)に当たるため、所持者はその提出を拒むことができる。


全体の正答率 : 66.6%

(H24 共通 第66問 ウ)
判例によれば、株式会社の社内文書で外部の者への開示が予定されていないものであっても、その文書を開示することにより当該株式会社に看過し難い不利益を生ずるおそれがないときには、文書提出命令の対象となる。

(正答)

(解説)
判例(最判平11.11.12)は、「ある文書が…専ら内部の者の利用に供する目的で作成され、外部の者に開示することが予定されていない文書であって、開示されると個人のプライバシーが侵害されたり個人ないし団体の自由な意思形成が阻害されたりするなど、開示によって所持者の側に看過し難い不利益が生ずるおそれがあると認められる場合には、特段の事情がない限り、当該文書は民訴法220条4号ハ所定の『専ら文書の所持者の利用に供するための文書』に当たる…。」としている。
したがって、その文書を開示することにより当該株式会社に看過し難い不利益を生ずるおそれがないときには、「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」(220条4号ニ)には当たらないため、文書提出命令の対象となる。

該当する過去問がありません

前の判例 次の判例